最近, 船舶主機の遠隔操縦装置が一般化し, さらに船舶の超自動化 (高度集中制御化) においてディーぜール主機の計算機制御が実用化されつつある.また, 機関が大形化, 高過給化するとともに, 負荷急変時の追従性の問題, 熱負荷, 振動, 機械応力などに起因する事故に対する耐久性の問題, さらに, 船舶および主機の汚れに対する経年変化 (トルク・リッチを含む) の問題などが注目されるようになってきた.これらの問題および将来の超自動化に対処するためには, 標準のプロペラ特性およびサイクル特性上ばかりでなく, それら以外の種々の条件での機関の特性をは握せねばならない.
そこで, 大形2サイクルディーゼル機関の陸上運転時に, 水動力計を用いて20種のトルクおよび回転数の組み合わせで, また, 50%および90%負荷にて掃気圧力を標準状態より最大約10% (絶対圧力にて) 低下させ, 機関の燃焼, ガス流れ, サイクルなどの諸特性を測定, 解析した.その結果, 大形ディーゼル機関の燃焼, ガス流れ, 性能, 熱負荷などを支配する諸因子が明確となり, これらから機関の過渡時の挙動, トルク・リッチを含めた経年変化による特性などを推定するための資料が得られた.また, これらは経年変化, トルク・リッチを考慮にいれたプロペラ特性, サイクル特性の初期設定資料として, また, 将来の超自動化における機関のサイクル設定資料としても有効に利用されるだろう.
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