最近船舶の高速化, 大形化に伴ってクランク軸系の振動問題が再び重要になり, 特に縦振動およびねじりと縦の連成振動が焦点である.
前者に対してはすでに多くの論文が発表されているが, ねじり振動のように信頼できる方法はまだ明らかにされていない.また, 後者に対してはその発生機構さえも明らかにされておらず, スケールモデル実験による方法が提案されている程度である.
この論文では, (1) 新しいモデル系を設定して, 縦振動, ねじり振動および横振動2種類を表わせるようにし, (2) 各部のばねこわさを設計図面から直接理論的に求める方法を提案し, (3) マトリクス法を導入して連成振動方程式を書き, これを固有値問題に変換して, ヤコビ回転法により電子計算機で解く方法を述べる. (4) 解は一挙に軸系すべての自然振動数 (固有値) およびモード (固有ベクトル) を与え, これらのうちに縦ねじり連成振動も含まれる.
この方法を, 構造がまったく違う二つの実機に適用して実測値と比較したところ, 結果はかなりよく合った.また, これらを, 従来の方法によるねじりおよび縦振動の計算値と比較し, さらに, 系の数値変更の効果を吟味した.
最後に, この方法はホルツァー法よりも電子計算に便利であること, すなわち, 従来の非連成ねじり, あるいは, 非連成縦振動の計算にも利用することを提唱する.
抄録全体を表示