内燃機関架構の横振動によるトラブルは, 過去かなりの例が報告されているが, 機関付属物に悪影響をおよぼすという直接的被害のほかに, 船体の水平, ねじり振動を誘起したり, 局部振動の原因となったり, 設計者にとっては一つのやっかいな問題である.とくに最近のように船体機関が大形化してくると, 固有振動数は低下してくるため, 常用回転数付近で共振する場合が多くなると考えられる.本論文では, この問題に対する研究の現況を紹介した.
まず実機測定により, 架構の振動特性をは握し, 固有振動数が基礎の剛性により大きく左右されることを示した.つぎに, 架構を集中質量系のはりおよび等価的な平面骨組構造系に置換して, マイクレスタッドの方法およびマトリクス法により, 架構の固有振動を試算すると同時に架構プラスチック模型により, 各部の剛性を実験的に調べ, 振動実結果あるいは, 実機測定結果と比較し検討した.前述のように, 二重底は架構の振動に大きな影響を与えるので, 二重底のプラスチック模型実験も実施し, 立体有限要素法およびマトリクス法による計算結果とあわせて検討した.さらに, 架構と二重底の模型を組み合わせて連成振動実験を行ない, 簡単な平面骨組構造系に置換した計算も試みた.このような一連の模型実験により, 架構, 二重底系の振動特性を調べるとともに, 模型船による起振機実験も実施し, 架構, 二重底, 船体振動の関連について論じている.
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