機関と過給機のマッチングの良否は, 機関性能, ガス流れ上の問題点にはもとより, 燃焼室壁部材の熱負荷を支配するシリンダ充てん空気量や吹抜け空気量などの因子にも大きな影響を与える.そこでそれらの定量的関係を実験的には握するため, 大形低速二サイクルデイーゼル機関において過給機とのマッチングに関する系統的な変更実験を行なった.まず, 空気冷却器を含めた過給機系にて選択の容易な因子であるタービンノズル面積とディフューザ内径, 空気冷却器によって定まる掃気温度の変更実験を行ない, それらが燃焼室壁部材の熱負荷を支配するシリンダ充てん空気量, 吹抜け空気量などのサイクル因子にどのように影響するかをは握するとともに, その場合の機関性能および, ガス流れ上の問題点に対する影響を調査し, その設定規準を得た.また経年変化によってプロアや空気冷却器がよごれてくると, マッチングが悪くなり給気量が減少するので, その状態を想定して掃気の一部を大気に放出する実験を行ない同様の調査をした.つぎに特定の過給機系をもつ機関において, その運転条件が変化すると, マッチングが変化し, 機関性能, ガス流れ特性, および熱負荷因子に影響を及ぼす.そこで運転条件のうち, 運転時操作の可能な因子の一つである燃料噴射時期を変更する実験, また, 経済性のうえから使用される低質重油 (C重油) の燃焼実験をも行なってそれらの関連をは握した.
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