近年, 比較的大出力のディーゼル船においては, 燃費低減のため主機排ガス利用のターボ発電機をとう載するのが一般である.
本稿は, 当社が経験した排ガス利用発電機タービンの事故の状況, 原因, 対策などについて総合的に行なった調査・研究の結果を紹介するものである.
事故の状況はタービンロータの1段ディスクが根元より破損しており, 翼ならびにディスクに多量のボイラコンパウンドが付着していた.
事故発生当時推定された事故原因として
1.材料欠陥
2.ボイラのキャリーオーバーによるアルカリぜい化
3.設計不良
基などが考えられたため, 損傷ローターについて材料試験, ボイラコンパウンドの分析, アルカリぜい化試験, 熱疲労試験などを行なった.
さらに, 事故修復後の海上運転時に主機の急増減速を行ない, 補助がまドラムの水位変動試験を行なった.
結論として, 事故の原因は主機の急増速に起因する, いわゆる, 膨出によるキャリーオーバーにより
1.ボイラコンパウンドがディスクに付着したことによるアルカリぜい・化と
2.ドレンァタ.1クによる熱衝撃
の組合せが繰返されたことによるものであるζとがわかった.
かかる事故を防止するためには, 膨出によるキャリーオーバーを防ぐため, 補助がまドラムをできるだけ大きくすると同時に, 取扱いについても十分注意することが肝要である.
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