高過給ディーゼル機関において, シリンダ内の過大摩耗や腐食の問題が生じており, この原因として, 高過給機関となるにつれて給気中の凝縮水が増加するということがあげられる.水の凝縮を防止しようとする場合, 給気温度を上げなければならないが, 給気中の露点温度は給気圧とともに増加するので, 高過給機関となるほど給気温度を高くしなければならず, 海水温度の制約があるため, 実際上, 露点以上に給気温度はあげることはできないような状態にある.また, 給気温度をあげるとサイクルガス温度が上がってくるという不利な面がでてくる.そこで, 空気冷却器のあとで凝縮した水を積極的に取除くための分離装置を開発することにした.
予備テストを行なってまず衝突形分離装置がディーゼル機関には最適であるとの見通しを得たうえ, 大形のテスト装置を用いて分離装置の諸要素をかえて, 分離効率がどのようになるかをは握した.また, 実験結果を考察する過程を通して, 衝突形分離装置の設計指針が得られた.
これを元にして製作された分離装置を就航中の機関に装備し調査した結果, きわめて良好な補集効率を有するものであり, 凝縮した水はシリンダ内へ運び込まれる前にほとんどの量が外部へ取り出されていることがわかった.なお圧力損失はきわめて小さいものであった.
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