船舶の高度集中制御化の推進に伴い, 主機関および関連機器の信頼性を確立することが重要な課題になってきた.信頼性を確立するための手法として, 信頼性設計法, 耐久試験法, 異常検知システム, 保守管理システムなどが開発されつつあるが, その前提条件として, また, それらを進歩・発展させるためには, 船舶の運航中における機関, 機器の挙動, すなわち, 実船運転状態のは握, 解析が必要である.
そこで, 日本~南米または豪州航路の鉱石運搬船 (110, 000DWt) を対象にして, その就航から約2年間, 船舶の運航状態, ディーゼル主機関の運転状態を表わす各種状態量を連続に計測・記録し, 実船の航海状態における主機関の負荷状態, 運転状態, 経時変化などの解析を行なった.その結果, 航海条件, 経時変化, 四囲条件などいろいろの条件によって複雑に変化する主機関の負荷状態, 運転状態などの実態の一部を明らかにすることができ, また, それらから負荷状態のパターンの設定, 経時変化の推定を行なうことができた.
このようにして得られた結果は, 信頼性設計法, 耐久試験法に対する基礎データとして, また, 機関の監視, 異常検知, 保守管理システムにおける基準を設定するためのデータとして広く活用され, 機関の信頼性向上に役立つものと考えている.
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