情報メディア研究
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13 巻, 1 号
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論文
  • - 教育委員会等を対象とした調査から -
    野口 久美子, 大作 光子, 横山 寿美代, 野口 武悟
    2014 年 13 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2014/07/28
    公開日: 2014/07/28
    ジャーナル フリー
    学校図書館運営マニュアルの作成状況を調査し,内容分析を行い,全体的な特徴及びマニュアルが想定する対象者によって内容にどのような違いがあるのかを明らかにした.調査は都道府県教育委員会,東京都内自治体の教育委員会,都道府県学校図書館協議会を対象に行い,70 自治体・団体から回答を得た(回収率:45.4%).分析の結果,多くの学校図書館運営マニュアルから学校図書館運営を活性化するためのアイディアを提供する意図が窺えた.また,想定する対象者によって重視する内容が異なることが分かった.司書教諭・図書館係教諭向けのマニュアルは学校図書館活用教育を行うための指導の手引きとしての性格が強い.一方,広範な対象者を想定したマニュアルは,どのような立場や経験を持った人が読んでも活用可能な内容になるよう工夫されていた.
  • ~ テレビ視聴に活用される動画共有サイトと家庭用録画機器 ~
    河田 隆, 永田 治樹
    2014 年 13 巻 1 号 p. 15-31
    発行日: 2014/11/26
    公開日: 2014/11/26
    ジャーナル フリー
     多くの家庭に録画機器が普及し,テレビ番組を録画して自分の好きな時間に視聴する,いわゆるタイムシフト視聴が容易になった.その上,近年動画共有サイトを通じてテレビ放送の関連動画を視聴できるようになり,テレビ番組の視聴形態が多様化している.本研究では,動画共有サイトの利用者が増えている環境下において,これまで多く利用されてきた家庭用録画機器が人々にどのように捉えられているかを確認する調査票調査を実施した.
     その結果,動画共有サイトを利用しているグループはそうでないグループと比べ,録画機器を用いて番組録画を行う頻度が高く,また録画した番組をダビング保存しようとするなど家庭用録画機器をより積極的に利用する傾向にあった.さらに,先行論文で明らかにした五つのテレビ視聴の態度と家庭用録画機器の利用状況との関わりについて,テレビ番組に対して高関与な人々は放送番組の録画や再生の頻度が高いことが確認された.
  • 児玉 閲, 小野寺 夏生
    2014 年 13 巻 1 号 p. 32-49
    発行日: 2014/12/05
    公開日: 2014/12/05
    ジャーナル フリー
     目的: 分野を超えた雑誌インパクトの比較を可能とするため,引用元雑誌の引用傾向(論文あたり参考文献数)の違いを考慮したソース規格化指標 SCJIF を提案し,その規格化の効果を検証した.方法:近縁しているが雑誌インパクトファクター(JIF) に差のある分野として Clinical Neurology(CN) と Neurosciences(NS) を選び,Journal Citation Report Science Edition 2009 のデータを使って,これらの分野に属する雑誌の SCJIF を算出した.結果と考察: NS に属する雑誌の JIF は CN より高い傾向があるが,これは NS の方が論文あたり参考文献数が多いためであり,これを考慮した SCJIF ではその格差が縮小した.また CN と NS の各分野内においても,SCJIF における雑誌間格差は JIF より縮小した.これは,同一分野内にも引用傾向の異なる細分領域が存在するためと考えられる.結論: SCJIF は分野間及び分野内の引用傾向の違いを考慮した指標であるため,JIF とは異なる雑誌の側面を捉えることができる.
  • 小竹 諒, 平久江 祐司
    2014 年 13 巻 1 号 p. 50-59
    発行日: 2014/12/17
    公開日: 2014/12/17
    ジャーナル フリー
    本研究は,教員研修機関における教員に対する著作権研修の運営に関する現状と課題を明らかにし,そのあり方を考察することを目的に,全国の都道府県,政令指定都市,中核市の教員研修機関の研修担当者を対象にアンケート調査を行った.その結果,教員の著作権知識の格差を解消することができるような研修を行うことが課題となっていること,研修担当者は,教員に対する著作権研修の必要性を明確に認識していること,著作権に関する知識を多く持つ教員ほど著作権遵守の意識は高いが,それが著作権侵害行動の防止に必ずしも結びついていないと認識していることが明らかになった.この結果を受けて研修の改善策として 5 点を提示するとともに,研修担当者の認識の改善の必要性を指摘した.
  • 情報技術環境における生命システムの条件についてのネオサイバネティクス的考察
    原島 大輔
    2015 年 13 巻 1 号 p. 60-80
    発行日: 2015/03/05
    公開日: 2015/03/16
    ジャーナル フリー
    本稿で提示する《閉鎖かつ開放》の概念は,他律性ないし物質的な開放性と,自律性ないし情報的な閉鎖性との,共立である.それは,システムの主観性にとっては事故的-事後的な失敗として経験される拘束としての現実のなかで,そのシステムが自己準拠的/自律的に作動している状態である,と記述できる.この閉鎖かつ開放について,ネオサイバネティクスとりわけ西垣通の HACS モデルを参照しながら説明する.閉鎖と開放の共立が生命システムの条件であるから,閉鎖と開放のいずれか一方のみの徹底はシステムの生命性を失わせるが,現行の情報技術環境にはその傾向がある.本稿は,そのような環境における生命システムにとって,固有の閉鎖かつ開放を受け入れることの重要性を主張する.また,そのために閉鎖と開放を媒介する作法としてのメディア・アートのひとつの解釈を,主に三輪眞弘の「逆シミュレーション音楽」を参照しながら提案する.
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