本稿では,1970年代末から始まった中国古典籍のデジタル化の流れをまとめた上で,中国の古典籍史上最大の叢書である『四庫全書』のデジタル化について紹介し,最後に『四庫全書』のデジタル化が学術研究に与える影響について考察した.この考察を通じて,『四庫全書』のデジタル化は中国古典籍の保存,整理および利用に大きな役割を果たすのみならず,今後の中国古典籍のデジタル化,例えば,漢字処理技術の開発などにおいても非常に参考になるものであることを明らかにした.さらに,『四庫全書』のデジタル化により,膨大な量の古典籍の本文を加工して利用しやすくなり,これの検索ももれなく行なうことができ,さらに,数量的分析も行ないやすくなるので,古典籍の学術研究に大きな刺激を与えることができることをも指摘した.
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