情報メディア研究
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7 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著論文
  • —トランジションの効果について—
    藤田 良治, 山口 由衣, 椎名 健
    2008 年 7 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/17
    ジャーナル フリー
    同一の映像素材に異なるトランジションを使用するとき,視聴者の印象がどのように変化するか心理学的実験により測定した.実験映像は,1)4種類の映像素材,2)4種類のフレームサイズ(画面に対する比率),3)4パターンのトランジション「ディゾルブ」「ワイプ」「カット」「ズーム」,を組み合わせて,合計64種類の映像を製作した.この映像を52名の実験参加者に呈示し,24尺度からなるSD法による印象評価を求めた.得られた評価値の因子分析により,3因子「好感度」「インパクト度」「明晰度」を抽出した.次に,各因子それぞれにおいて,トランジション(4)×フレームサイズ(4)×カテゴリー(4)の因子得点を用いて,3要因分散分析を行った.その結果,同一の映像素材においても,異なるトランジションを使用することにより,視聴者の印象が大きく変わることが明らかになった.本研究の結果,映像編集においてトランジションを適切に選択することの重要性が示され,視聴者に好感度やインパクトを与える映像を作成するための指標の一端を示した.
  • 久保 順子, 杉本 重雄
    2008 年 7 巻 1 号 p. 15-31
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/14
    ジャーナル フリー
    本研究は,国内121館の公共図書館のWebサイトから約5,000件の情報資源(リソース)を収集し,そのメタデータを作成し情報資源の特徴を分析した.メタデータはDublin Coreのエレメントを基礎に定義した.はじめにリソース単位でのメタデータを作成し,その分析結果を基に,Webサイトごとに情報資源の集まり(コレクション)を対象とするメタデータを作成した.このコレクションメタデータ194件について情報資源の主題やタイプのばらつきを調査した.主題分野に関しては学問,自然科学,社会科学などの学術的な情報資源が少なかった.また地域の歴史や文化に関係した情報資源が多く,かつ江戸時代以降のものが大半を占めることがわかった.電子化の有無に関しては原資料を完全に電子化した情報資源よりも,原資料の一部を電子化し説明を加えて作ったものが多いということがわかった.
  • 岡野 裕行
    2007 年 7 巻 1 号 p. 41-61
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2008/12/01
    ジャーナル フリー
    文学館という機関は日本近代文学研究者に対する専門図書館としての役割を担っている.しかし文学館ではオンライン検索の普及が遅れており,検索システムを実現化している例はそれほど多くはない.12館の文学館において公式サイトでのオンライン検索システムの提供が行われているが,それらは例外的なものであり,(1)所蔵資料の特殊性,(2)孤立したシステム,などの問題を抱えているのが現状である.文学館のオンライン検索の課題としては,(1)公式機関としての信頼性,(2)存在情報の公開,(3)所在情報の公開,(4)詳細な解説の付与,などに注意を払う必要がある.オンライン検索システムの発達を含め,文学館は日本近代文学研究に関する専門図書館としての機能を充実させていくことが求められる.
  • 天野 晃, 児玉 閲
    2007 年 7 巻 1 号 p. 63-73
    発行日: 2008/12/26
    公開日: 2008/12/26
    ジャーナル フリー
    目的:本稿では,雑誌を引用に基づき各学術分野ごとにクラスタリングするための新しい手法を提案する.対象:JCR2004 Science Edition CD-ROM版に収録されている5964誌の被引用データより,各誌の被引用比率ベクトルを作成し解析を行なった.方法:k-meansに基づく,独自に開発したクラスタリングツールを利用した.距離にはコサイン距離(1-cosθ)を用いてクラスタリングを行なった.結果:被引用比率ベクトル空間において各学術分野が形成すると見られるスパイク状の領域が確認された.クラスタリングの結果,安定的に22クラスタが同定された.これらは,ほぼ,スパイク状領域に対応しており,それらのクラスタを個々の学術分野に対応付けることができた.著名な総合科学誌は分子生物学関連のクラスタに分類され,これらは被引用傾向において,分子生物学分野の雑誌と同様の特徴を有することが解った.
解説·資料論文
  • 中戸川 陽子
    2008 年 7 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/18
    ジャーナル フリー
    相模女子大学附属図書館に貴重書として保存されている『賦何舩連歌』は,『國書総目録』『古典籍総合目録』及び『連歌総目録』においても未載である.国文学研究資料館の連歌·演能·雅楽データベースにも当該作品はみあたらない.したがって『賦何舩連歌』は,公には他に伝本が知られておらず,個人が所蔵していることはありうるが,現存する唯一の作品である可能性が高い.今後,他に原本が発見されたとしても,巻子本に仕立てた「原懐紙」として貴重なものであることは確かである.また,「もの」としての希少価値の他に,近世初期の相良氏の文事をうかがいしることができるという点で,「賦何舩連歌」は貴重な資料と評価できる.
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