本実験結果から,和船について次のことが言える。1.実験を行なった範囲から判断すると実船の3〜5knotsの低速部分では,5γ_Tは0.04〜0.07とかなり抵抗が小さい船型であったまた,高速部分におけるlast hump付近では,抵抗が比較的大きい数例を除くと,おおむね満載で0.17,半載で0.15までであった。2.喫水を変えた満載状態と半載状態とでは,5γ_Tは,半載の方が浸水面積が小さいためか,last hump付近では0.03〜0.05小さい。3.トリムを変えた場合,等喫水と比べて船首トリムでは相対的に5γ_Tは小さく,船尾トリムでは大きい。4.抵抗と船型要素の関係は,一般にL/Bが大きく肥せき係数が小さいと抵抗値は小さい。また,逆にL/Bが小さく,肥せき係数が大きいと抵抗値は大きいが,特殊の場合やその関係が明確でない場合もあって,簡単に結論できない。以上本実験においては,今後更に検討すべき点も多いが,今回実験した22隻について通常の使用速度範囲内において比較し,その船型の抵抗に及ぼす影響の傾向を見る場合,実用的には十分使用に耐えると判断される。
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