鶏骨スープストック調製の加熱過程に超音波照射の有無の熱水抽出法を試み, 鶏骨スープ中の9種の無機成分含有量の動向を調べた. 更に鶏骨スープの無機成分と呈味成分の関連を調べ,好適調製条件について検討した.
1) 超音波照射有りのスープは,照射無しのスープに比べ,9種の無機成分が比較的多く含有され,天然食材料として有効であることが示唆された.
2) 無機成分の溶出量の増加ではカルシウム, マグネシウム, ナトリウムは温度依存性が, リン, カリウム, 亜鉛では時間依存性が共に高く, 無機質により相違が見られた.
3) 官能評価での好適な調製条件の98℃設定の照射30分間処理は照射無し90分間処理に比べ, カルシウム, マグネシウム, リン, ナトリウム, 鉄の溶出量が5~43%多く,カリウム, マンガン, 亜鉛, 銅はほぼ同等値を示し, しかもスープ中の呈味成分では旨味に関する遊離アミノ酸が多くグルタミン酸と5'-IMPとの相乗効果もあり, 官能評価成績との一致を認めた. 以上の結果より超音波照射併用の本調製法は, 抽出時間が短縮でき, 呈味・無機成分の含量にも関与し有利であることが考えられる.
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