観光研究
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最新号
Vol.37 特集号
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論文
  • ―日本における展開の課題と可能性―
    山口 和宣
    2025 年37 巻3 号 p. 1-10
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー

    イングランド、スコットランド、アイルランド、イタリア、ドイツをはじめとする欧州において、先祖ツーリズムが盛んとなっており、経済効果の面でも注目されている。主に米国から自身の先祖を調べ訪れる場所が、有名観光地ではなく、農村地域を中心とした場所となること、自身の先祖に敬意を持った旅行者が訪問することから、オーバーツーリズムになりにくいと考えられる。しかし、日本では欧州ほどの先祖ツーリズムの盛り上がりは確認出来ていない。一部自治体を中心に取り組みがされているものの、全国的な盛り上がりとはなっていない。本研究は、海外と日本の先祖ツーリズムの違いから、日本での展開の課題と可能性について考察する。

  • ―訪問地、宿泊地としての都道府県別来訪状況―
    楠本 誠志
    2025 年37 巻3 号 p. 11-20
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー

    本稿は、新型コロナウイルス流行以前のデータを使用し、訪日外国人旅行者の来訪状況を分析したものである。分析結果から、外国人旅行者が日本のどの地域を訪問地、宿泊地としているのかを国・地域別に明らかにしている。また、外国人旅行者の訪問地と宿泊地は、外国人旅行者全体でも国・地域別でも特定の地域に集中しているが、台湾と香港では他の国・地域と比較して分散化が進んでおり、台湾では主に東北地方、香港では主に福島県や茨城県の周辺を訪問地、宿泊地として選択する旅行者が増加していることが明らかになった。

  • 久保 暁子, 山本 清龍
    2025 年37 巻3 号 p. 21-26
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー

    日本の山岳高原型リゾートの代表例である軽井沢を事例として取り上げて,研究資料として絵葉書を用いて,①景観構成要素による山岳高原型リゾートの風景の特徴を把握,整理すること,②絵葉書と現在の風景の比較から,山岳高原型リゾートの楽しみ方の変遷とその価値の継承について考察すること,の2点を研究目的とした。その結果,絵葉書の軽井沢の風景は自然と人工が融合する景観であり,その風景を「旧軽井沢銀座の風景」,「自然の風景」,「高原の風景」,「森林と建築の風景」,「鉄道の風景」に代表される風景,の 5 つに類型区分できた。

  • ―業種構成と敷地内配置の分析を中心に―
    山崎 隆之
    2025 年37 巻3 号 p. 27-36
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー

    本研究は、スキーリゾートの国際化が進展する地域の商店街である倶知安駅前通り商店街における 1998 年と2020 年を比較し、その間の変化(店舗の業種、建物の形状や配置など)を明らかにすることを目的とする。1998 年と 2020 年の住宅地図と写真を分析した結果、倶知安駅前通り商店街は新規出店も多くあり商業エリアとしての機能が失われるような衰退状況ではないものの、建物が櫛比していたかつての姿とは異なり、個々の店舗が周囲に駐車場を設けて点在するようなこれまでとは異なる空間的特徴の商店街に移行しつつあり、また、観光客利用を見込んだ店舗を中心とする業種構成に移行していることがわかった。

  • ―ワーク・エンゲイジメントの独自規定要因について―
    原田 進歩, 木原 将吾
    2025 年37 巻3 号 p. 37-46
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー

    自治体職員の観光担当者の地域の観光振興における重要性に着目し、彼・彼女らのやる気をどのようにすれば高めることができるのかについて、ワーク・エンゲイジメントの指標を用いて分析、考察した。その結果、彼・彼女らのやる気の源泉には、地域への貢献意識や配属への満足度など、既存のワーク・エンゲイジメント規定要因だけでは説明ができない、独自の規定要因があることがわかった。

  • ―岩手県遠野市を事例に―
    石川 美澄
    2025 年37 巻3 号 p. 47-56
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、岩手県遠野市を事例に、ホップ生産地におけるビアツーリズムの展開について考察することである。具体的には、遠野市のビアツーリズムの経緯ならびにホップ・ビール関連の観光商品造成過程の分析を通じて、ビアツーリズムの観光パターンと社会的効果を検討した。その結果、ブルワリーの集積がみられない農村部のホップ生産地域では、農家民宿や駅を起点にホップ畑等を巡る観光パターンが確認された。ビアツーリズムは農業振興や観光振興の手段として活用されており、事業者間連携の促進や観光のストーリー開発にも寄与していたことが明らかになった。

  • ―神奈川県真鶴町における旅行者と住民のつながりに着目して―
    大川 朝子
    2025 年37 巻3 号 p. 57-65
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー

    本研究は、移住に関心のある旅行者が地域を訪れる段階において、地域住民との関係構築の可能性ならびに両者が出会う機会(接点)を検証したものである。事例調査では、ゲストハウスや地域の店舗といった日常的に開かれた場を介して地域住民との接点が生まれ、短期間で人的なつながりが広がっていく様子や信頼関係の形成過程が観察された。さらにこうした信頼関係を基盤に、移住前の段階にもかかわらず、従来は移住後に得られる空き家の情報や地元住民との人的ネットワークを獲得していた。制度支援に依らない、地域住民主体の偶発的接点による受け入れの仕組みが、移住プロセスの早期化に貢献していた。

  • ―シビックプライドにもとづく「関係定着人口」形成の検討―
    藤井 善仁
    2025 年37 巻3 号 p. 66-75
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー

    本研究は、過疎地域における高校生の地域定住意向(物理的な居住継続)と定着意向(地域外からの継続的な関与)を区別して分析し、地域認識と愛着、シビックプライドなどの要因がそれぞれにどのように影響するかを明らかにすることを目的とする。また、地域外への進学・就職を希望する高校生が将来的に「元住民」として関係人口となる可能性である関係定着人口(定住はしないが、地域外から出身地に何らかの関わりをもつ関係人口)の検討を目指す。

  • ―2005 年から 20 年間に見る日本特有の観光研究概念―
    齋藤 千恵
    2025 年37 巻3 号 p. 76-85
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー

    本論は、過去 20 年間の日本の観光研究の特色を論ずるものである。国際的な観光学の学術雑誌と日本の観光研究誌や論文集を比較することで、本研究は、日本の観光研究に特有ないくつかの概念を特定する。それらは、観光まちづくりや交流人口、関係人口、復興ツーリズムという概念である。これらは日本の社会状況を反映した概念であり、正確に英語に翻訳することは困難である。こうした概念を用いた研究の大部分は、大規模自然災害にしばしば見舞われ、人口減少に直面している日本社会の現状や将来の方向性を示そうとする研究である。

  • ―ブーアスティンの歴史観の検討を通じて―
    田中 勇太
    2025 年37 巻3 号 p. 86-95
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー

    本研究は、アメリカの歴史家ダニエル・J・ブーアスティンが提唱した擬似イベント論を、彼の歴史観の検討を通じて再解釈することを目的とする。これまでブーアスティンの理論は観光の擬似性を指摘したマスツーリズム批判として解釈されてきた。ブーアスティンが歴史家として捉えてきたアメリカ史における民主主義や技術革新といった要因を踏まえた再検討によって、擬似イベント論が単なるマスツーリズム批判には留まらない議論であることを明らかにする。

  • ―日本における観光活用の類型を手掛かりに―
    李 江龍
    2025 年37 巻3 号 p. 96-105
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー

    本論は、一般的に抱かれる悪鬼のイメージを相対化し、鬼の観光資源化を自明視する通念に対して批判的視点を導入し、鬼に関する観光活用と、その背後にある社会的要因を明らかにすることを目的とする。かつて恐怖や排除の象徴とされていた鬼は、戦後以降、観光の文脈で親しみやすい存在へと再構築されている。現代において、鬼の観光活用は、地域の行事を観光資源に活用する「祭礼型」と、鬼の説話に基づく「物語型」に分類される。これらの地域の多くは非大都市圏地域に位置し、地域活性化の手段として機能している。また、消費社会における文化的象徴としての鬼の価値の高まりが、観光資源化をさらに促進している。

  • ―セクションの整備と利用に着目した全国調査を通じて―
    平島 知佳, 川原 晋
    2025 年37 巻3 号 p. 106-115
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー

    公共スケートボードパークは東京オリンピック新種目に選定されたことを契機に自治体によって整備されているが、利用マナーの悪さやストリート・スケートに由来する遊びの自由度を理解しない運営に課題があるとされている。本研究ではこうした課題に、ローカルスケーター自治による解決策を見出せると考え、自治体へのアンケート調査から全国の公共スケートボードパークでの活動を分析した。その結果、利用マナーの改善や自由度の高いセクション設置等の活動が確認され、自由度向上及び課題解決には利用者と自治体等管理者が共に維持管理を行うためにローカルスケーター有志団体の組織化が重要なことがわかった。

訂正記事
  • 原稿種別: 訂正記事
    2025 年37 巻3 号 p. e1-
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー

    平島知佳・川原晋(2025)

    「スケーターの自治的活動がもたらす公共スケートボードパークの自由度向上と課題解決―セクションの整備と利用に着目した全国調査を通じて―」,

    『観光研究』,37(3),pp.106-115


     上記論文のp.108~p.110におきまして,行のズレが生じており,その結果,本来2つに分かれている図が重なって表示されておりました.

     正しい図を含めた,同ページの訂正版(p.e_108~p.e_110)を添付いたします.差し替えをお願いいたします.(日本観光研究学会大会学術委員会)

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