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―サイクル・ツーリズムの視点から―
藤井 秀登
p.
1-6
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本稿は、鉄道の廃線跡をトレイルとして再活用したレール・トレイルを、政策や制度の主体と市場の行為者との相互作用という視点から考察していく。鉄道の線路跡は概ね平坦で直線部分も多く、トレイルに適している。駅舎跡や信号機などが保存されている場合、ヘリテージ・ツーリズムが成立する。また、レール・トレイルで約 20 ㎞を 2 時間程度で移動するならば自転車を利用することになる。このため、サイクル・ツーリズムにもなりうる。その際、鉄道遺産を含む沿線のヘリテージに対する文化的解釈が鍵となる。政策や制度の主体として、サストランズとユーロヴェロに着目し、イギリスのブリストル・バース・レールウェイ・パスを事例に、レール・トレイルの文化的解釈の意義を検討していく。
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―漁港におけるブルーツーリズムを促進する法的仕組み―
渡部 友一郎
p.
7-10
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
我が国の水産業は、国民一人当たりの水産物消費量が 20 年間で約 42%減少し過去最低を記録した。国は、漁業を揺るがす危機と捉え、水産物の消費喚起や漁業への理解の醸成を喫緊の政策課題と設定した。国は、水揚げの本拠地であり消費者がアクセス可能な「漁港」内の漁港施設の利活用に着目した。従来、漁港漁場整備法は、漁港の「漁業の拠点」を主眼とし、漁港施設において、民間事業者のノウハウを活用して水産食堂(レストラン)やレジャー用釣り堀を設置することが困難であった。そこで、令和 5 年改正漁港法は、新たな観光体験を実現する法的仕組みを創設した。本稿は、今後観光学が必要とする法改正を整理し、法的考察を加える。
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―X(旧Twitter)上の情報発信に着目して―
柴田 海斗, 野津 喬
p.
11-16
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
情報通信技術(ICT)の急速な発展により、観光情報を入手する上で SNS を用いる人が増加している。本研究では、X(Twitter)の地方自治体の観光に関する情報を発信するアカウントのツイートの数や内容を地方自治体間で比較分析した。フォロワー数を多く獲得するアカウントは、フォローや RT を応募条件とするキャンペーンを行うことでフォロワーを獲得していること、また、X でツイートされている内容と施策で掲げている情報発信の内容が合致していることが明らかになった。
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―A-DMO の研究を起点として―
高橋 一夫, 室岡 祐司
p.
17-22
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本論は、「観光まちづくり途上地域」に所在する A-DMO をケースに、マネジメント・コンサインメントの流れがなぜできあがってきたのかについて、アクションリサーチを用いて、組織マネジメント上の問題点や経緯を明らかにし、第 3 セクターによる DMO 運営の課題を提示することを目的とする。結果、個人・組織の成長・発展へ向けたインセンティブが働きにくい組織設計や風土にあり、その主な要因は、恣意的な人事や採用の弊害、人事評価及び評価反映の仕組みがないことの弊害、公金を基盤とした組織運営がもたらす弊害にあることが窺えた。特に、存続を前提とした構造的な責任の曖昧さが生じ易い点も、第 3 セクター経営特有の課題と考える。
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―都道府県を軸にした観光推進の仕組み―
田部井 正次郎
p.
23-26
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
2007年施行の観光立国推進基本法により、国は観光施策の総合的な策定と実施の責務を有し、地方公共団体は国との適切な役割分担を踏まえ、自主的かつ主体的に地域の特性を活かした施策の策定と実施をする責務がある。しかし、両者の具体的な責任分担は明確でない。また推進基本法の付帯決議で国は「地方自治体の自主性及び主体性を尊重しつつ、やる気のある地域による知恵と工夫にあふれた観光振興を支援する」としているが、施策の基準がないため、結果的には各自治体の任意の取組みとなっている。対策として第 37 回全国研究大会で地方自治体の施策実施の責任を明確にするための立法化を提案したが、さらに論じたい1)。
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―世界三大雪祭り開催都市(札幌市、ハルビン市、ケベック市)を例に―
張 春輝, 石黒 侑介
p.
27-32
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本研究では、都市における観光政策とイベントの関連性を明らかにすることを目的とし、世界三大雪祭りの開催都市を対象に政策文書の計量テキスト分析を行った。結論としては、ハルビン市は「芸能的行事」に関する記述が多い一方で、札幌市は「商用」イベントに関する記述が多く、またハルビン市がイベントを文化的特性との関係性の中で位置づけている可能性が高いことが明らかになった。同種のイベントによるブランディングに取り組む都市であってもイベントの政策的位置づけに一定の多様性があることが示唆された。
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―宿泊業外国人材の日本という国での長期定着のために―
原野 恵子
p.
33-38
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本稿は、地方の温泉旅館での参与観察とインタビューをもとに、「公共領域」と「私的領域」の観点から外国人従業員の活動をとらえ、受け入れ寄り添う日本人の視点も含めて宿泊施設という空間の今を考察した。主体的な目的を持ち来日した外国人従業員は、境界の固定されない「公共領域」と「私的領域」を生きている。更に、インターネットを介する「公共的空間」を通して、外国人従業員の意識は自由に「親密圏」を形成していた。最後に、宿泊業人材の特性である流動性は変えようがなくとも、居心地の良い「親密圏」の形成につながる空間(職場)を増やすことが、人材不足という課題解決への可能性を含むという示唆につなげた。
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―群馬県渋川市伊香保温泉を事例として―
西川 亮, 若佐 栞
p.
39-44
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本研究は、観光庁による廃屋撤去と景観整備に対する補助金を活用した伊香保温泉の取り組みの実態を明らかにすることを目的とするものである。コロナ禍に始まった観光庁事業「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」及びその継続事業を渋川市は活用して、これまでに 7 軒の廃屋撤去等に取り組んできた。廃屋撤去は、補助金があっても負担は大きく、一部の事業者にしかできないことや、後の跡地利用にあたっては、地形的制約を受けたり再開発費用の負担が大きいことが課題である。また、外観整備については、各事業者の負担可能な範囲での整備になるため、大きく景観向上に貢献するものとそうではないものが含まれることが明らかになった。
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崔 明姫, 渋澤 博幸
p.
45-48
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
新型コロナウィルスの感染拡大は、人の生活や移動に大きな影響を与えた。政府は感染拡大を防止するための行動制限策を実施するとともに、コロナ禍による経済的影響を緩和するための観光需要喚起策を実施した。本研究では、V-RESAS に公開されている Agoop 会社の流動人口データを用いて、大都市の駅周辺の流動人口に着目し、緊急事態宣言やまん延防止重点措置などの感染拡大防止策、および Go To トラベルキャンペーンや全国旅行支援などの観光需要喚起策が、大都市の人流変動にどのような影響を与えたかを明らかにするとともに、関連政策の効果について考察を行う。
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鈴木 美樹, 仁平 尊明
p.
49-54
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
COVID-19 の大流行により旅行が困難となり、リアル旅行をメインとする日本の様々な会社などがオンラインツアーを新たなサービスとして始めた。2021 年当時オンラインツアーはどのように説明されていたのか、また参加者はどのようにオンラインツアーを評価したかを明らかにするために、オンラインツアーの説明文や参加者が投稿したレビューのテキストマイニング分析を行った。その結果説明文では「気軽」「安い」「安全」といった言葉で紹介されていることが多く、参加者のレビューでは「楽しい」「疑似体験」「友人や家族」といった言葉が多く抽出された。説明文とレビューでの評価の違いについても検証した。
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李 根煕, 蛯谷 憲治
p.
55-58
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
新型コロナウイルスの影響や少子高齢化により労働環境が急変し、サービス業界、特にバス業界で人材不足が深刻化している。本研究は、バス運転手の職務選択・継続に関する動機要因を明らかにし、人材募集に役立つプロモーション戦略と労働環境の改善策を提案することを目的とする。バス運転手へのインタビュー調査を通じて運転手の立場からの情報を収集し、業界の人材不足解消のあり方について考察したい。
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―ミュージアム評価において妥当な属性を把握するためのテキストマイニング―
北川 有美子, 原田 魁成, 佐無田 光
p.
59-64
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本研究では、ミュージアムの地域的価値を測るために顧客レビューデータのテキストマイニング分析を行った。集客の上で地域的成功をおさめていると言える金沢 21 世紀美術館を事例として検討した結果、「展示」や「プール」など美術館を評価する普遍的な属性や個性的な属性のコメントが出現していた。この結果から金沢 21 世紀美術館の地域的価値は普遍的な特徴と個性的な特徴の両方にあると考えられる。
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―鉄輪温泉地区の事例―
堀 桂子
p.
65-70
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本研究では、インバウンド観光振興における別府市鉄輪温泉地区の湯治の継承状況を明らかにし、ホテル・旅館 との比較を通して幅広い観光商品創出への示唆を得ることを目的とした。分析の結果、素泊まり・貸間旅館、長期滞在、改装した宿による現代版湯治の提案、日本固有の宿の資源、女将と情緒あふれる建物、精神療養が、現代の湯治の特徴として挙げられた。ホテルでは、外国人ツアー客の誘客が見られるが、外国人観光客の需要は多岐に渡り、販売方法によっては貸間旅館でも海外からの宿泊客が主な客層となっており、海外への販売と受け入れの姿勢次第で外国人観光客を誘致できることが示唆された。
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-新潟市・長岡市・上越市の観光まちづくりを事例として-
近藤 政幸
p.
71-76
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて 10 年が経過した。この間、和食文化は外客訪日目的の上位であり続け、その基盤となるのが味噌醤油など発酵食であり、コロナ禍その健康効果が明らかになって以来、地域発酵文化に国際的関心があつまる。当研究は地域発酵文化を観光まちづくりの視点から発酵ツーリズムの経験価値を明らかにすることにある。具体的には夏の高温多湿、冬季の豪雪多湿により発酵醸造業が集中する新潟にてすすむ発酵まちづくり事業が経験価値づくりに深く関係していることがわかる。
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-京都市を事例として-
山下 裕明
p.
81-86
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
2023 年に入り訪日外国人観光客数が急激に増加した。増加に伴い、オーバーツーリズムの問題が俎上に載せられるようになった。本論文では、未だ決定的に解決していないオーバーツーリズムの対応策について考察する。オーバーツーリズムは、観光地のキャパシティを超えて観光客が訪れることにより起こる。観光地のキャパシティは、ホテル数や面積等で決まる「都市キャパシティ」より、住民の感情等により決まる「住民キャパシティ」の方が小さく、後者を拡大させることが対応策のひとつになる。「住民キャパシティ」を拡大させるには、ピグー税・ロードプライシング等による直接的な分配、経済効果の見える化が有効である。
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―水産加工事業におけるオープンファクトリーへの展開の可能性をさぐる―
稲葉 雅子
p.
87-90
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
観光を地域活性につなげようとしている我が国で、産業文化財等を資源とする産業観光の事例が増えている。なかでも「オープンファクトリー」とよばれる地域内の複数工場を一斉に公開するイベントが全国的に増えている。しかし、モノづくり産業を中心とするものが多く、第 1 次産業の事例がない。本稿では、東北地区における水産加工事業者の工場見学の状況を調査し、「オープンファクトリー」に展開するための課題について考察をした。
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鈴木 美穂, 日原 勝也
p.
91-96
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
観光消費が地域間経済差異に与える効果を計測するため、先行研究に従い全国を 10 地域に区分し、地域毎の総生産額(GDP)、就業者数、民間投資、各地域の宿泊観光消費額 (国内・インバウンド客別) を変数としたベクトル自己回帰 (VAR) モデルを設定し、宿泊観光消費額の 1%増加によるショックが GDP、就業者数と民間投資及び地域間の経済差異へ与える影響を推計した。インバウンドと国内客で違いがあり、インバウンド客の観光消費額増の域内 GDP への効果は、関東・関西地域が比較的小さく北海道・南九州地域が比較的大きいため地域間差異を縮小する可能性がある等各経済変数による各地域の影響が把握され実務的にも有用な結果を得た。
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―コロナ禍による影響に着目して―
丸山 宗志, 古川 智史
p.
97-100
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本稿の目的は、松本市の中心市街地に位置する中町通りと日の出町通りを取り上げ、2019・2021・2023 年の土地利用の変化を明らかにすることである。ゼンリン住宅地図および現地調査をもとに土地利用状況を分析した結果得られた知見は、①中町通りと日の出町通りに共通して、従来の商業店舗が経営を継続しているのみならず、コロナ禍の過程で転出した店舗を新規出店が補うことで商業機能が維持されていること、②中町通りでは商業店舗の退出後に空き店舗になるケースが、日の出町通りでは住宅が更地になるケースが目立ち、既存物件の転出後の土地利用変化に形態的な差異がみられること、に集約される。
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―大学生を対象とした潜在連合テスト(IAT)による検証―
ムニラ テムル, 花井 友美, 金 振晩
p.
101-105
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
従来の観光地イメージの研究では、質問紙などで消費者に対して直接的に観光地イメージ(顕在的イメージ)を尋ねる手法が用いられるてきた。本研究では「北海道」に対する季節イメージを取り上げ、IAT の手法を用いて、北海道に対する潜在的イメージの測定を試みた。その上で、潜在的なイメージと顕在的なイメージの関連性及び違い、北海道への旅行経験が潜在的・顕在的イメージに与える影響について検討した。大学生 246 名を対象とした実験調査の結果、北海道に対するイメージは潜在的・顕在的ともに冬イメージであったが、北海道への旅行経験が有無による違いが示された。
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―ロケ地を訪れるファンのトランスメディア的な消費について―
金 千
p.
107-112
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本稿では、パフォーマンス論的アプローチから、北海道・小樽の天狗山を訪れたメディア・コンテンツのファンの行動を考察することで、コンテンツツーリズムにおける複数のメディア・コンテンツが構築された場所でのファンのトランスメディア的な消費の実態を明らかにする。コンテンツツーリズムにおけるファンの観光地での行動は演技的な側面と身体的な側面があり、メディア・コンテンツや観光地との相互作用から生まれている。こうした複数のコンテンツによる誘発したファンの観光客パフォーマンスは、コンテンツツーリズムのコンヴァージェンス的な展開の新たな可能性を提示する。
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―訪都外国人旅行者を対象としたアンケートデータの分析に基づく考察―
目代 凪, 東原 実咲, 小笠原 悠, 清水 哲夫
p.
113-117
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
観光地のブランドロゴマークの開発はデスティネーション・ブランディングの主要なプロセスの一つである一方で,旅行者がロゴマークを認知することがどのような意味を持つのかは未だ検証の余地がある.本研究は訪都外国人旅行者を対象としたアンケート調査のデータを用い,旅行者を取り巻く様々な要因とブランドロゴマークの認知の関係性の検証を試みたものである.分析の結果,ブランドロゴマークの認知は観光地に対するイメージや現地で体験した活動によってある程度決定づけられることや,認知にブランドコンセプトや観光施策の方針が反映される可能性などが示唆された
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中俣 良太, 河田 浩昭
p.
119-123
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
昨今のテレワークの推進により、ワーケーションが広く注目を集めている。本研究では、ワーケーションがもたらす効果とその要因について探索的に研究を行った。その結果、一般的な旅行と比べて、ワーケーションの方が、ワーク・エンゲイジメントの高まりは強く、ワーケーションがワーク・エンゲイジメントの向上に有効であることが示唆された。また、ワーク・エンゲイジメントに対しては、経験中の自己拡大の要素がプラスの影響を与えていた。さらに、経験中の知識獲得や健康回復の要素がワーク・エンゲイジメントにもたらすプラスの影響は、ワーケーション固有の傾向である可能性が示唆された。
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河田 浩昭, 中俣 良太
p.
125-130
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
ワーケーションの利点の 1 つとして滞在中の偶発的体験がもたらす効果について議論されている。本研究では、ワーケーション中の偶発的体験と、ワーケーションの経験および効果との関係性について探索的に研究を行った。その結果、ワーケーション中に偶発的体験が生じた場合は生じない場合と比較して、ワーク・エンゲイジメントの高まりが強く、各経験評価が高いことが示された。また、ワーケーション中に偶発的体験が生じた場合では、ワーク・エンゲイジメントに対し、経験中の要素は自己拡大、知識獲得、関係強化、健康回復の順にプラスの影響を与え、知識獲得や関係強化の影響は偶発的体験が生じた場合に固有の傾向である可能性が示唆された。
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―テキストマイニングによる検討―
中島 実穂, 小口 孝司
p.
131-134
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
変革的旅行経験とは、旅行を契機に自身の価値観や世界観に変化が起こる経験のことである。海外では変革的旅行経験に関する研究が既に多く行われている。一方、我が国ではまだ変革的旅行経験に関する研究がなく、日本人がどのように変革的旅行経験を体験しているかについては、検討されていなかった。そこで本研究では、変革的旅行経験を体験したことのある日本人を対象とし、変革的旅行経験の契機とそれによってもたらされた変化の内容に関する自由記述回答を収集した。分析の結果、日本人の変革的旅行経験のあり方は概ね海外研究と一致していたが、「謙虚さの獲得」という変化については、日本人特有の形でなされている可能性が示唆された。
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木村 竜也, 羽生 冬佳
p.
135-138
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本研究は旧宿場町としての町並みが保存されている妻籠宿、奈良井宿、海野宿を対象に、各地区についての旅行サイトにおける口コミのテキストマイニングを通じて、観光者が歴史的町並みをどのような要素から認識・評価しているかについて分析するとともに、観光者が楽しみのために行う諸活動の差異について検討した。分析の結果、歴史的町並みに対する観光者の認識・評価の要素は、散策に代表される当地での行動・体験が中心となっており、歴史性や建造物といった町並み自体に関する要素からの認識・評価は必ずしも多くなかった。
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―北海道を旅する人々の調査から―
林 幸史
p.
139-142
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本研究では、ヘドニア(快楽主義的)、ユーダイモニア(持続幸福主義的)それぞれのウェルビーイング(WB)をもたらす観光(者)の要因を明らかにすることを目的とした。2023 年夏の北海道を旅行中の観光者 80 名から調査協力を得た。「喜び」、「幸せ」といった肯定的感情の経験頻度は高く、「悲しみ」、「憂うつ」といった否定的感情の経験頻度は低かった。肯定的感情の経験頻度が高いほど、両 WB の得点も高かった。ヘドニアな WB が相対的に低い群にはライダーが多く、ヘドニア、ユーダイモニア両 WB が最も高い群には、鉄道旅の人が多かった。利用交通手段での相違が示唆されたが、結果の一般化のためには、データの蓄積が必要である。
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Shuk Chong FONG
p.
143-147
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
Distance is a global phenomenon which forms the frictional effect on tourism movements and tourist behaviours. The impact of physical distance has been widely discussed, but cultural distance also affects tourist behaviours and satisfaction. This paper focuses on the inbound source markets and examines how cultural distance plays a key role in determining visitor arrivals and tourist behaviours in Hong Kong. The analyses focused on the overnight vacation visitors segment who visited Hong Kong in 2019 before the COVID-19 pandemic.
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韓 豊遠, 栗原 剛
p.
149-152
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
訪日旅行市場で大きなシェアを占める中国の今後を展望するとき、観光体験の充実を通じて量から質への転換を図りながら、オーバーツーリズムへの対応を検討することが有益である。他方、旅行者個人の行動変容を促す方策として、観光支援アプリの活用がひとつの方法であると考えられる。近年の観光支援アプリには、ユーザー自身の経験を共有し、他のユーザーとの交流を通じてコミュニティを形成することができる UGC 機能の重要性が指摘されている。本研究は、UGC 機能をもつ観光支援アプリ RED を対象として、RED 利用者の観光体験を把握するとともに、混雑情報により行動変容を促すことができるかという点に検証を加えることを目的とする。
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―東京ディズニーランド、東京ディズニーシー、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを事例に―
二重作 昌満
p.
153-157
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本研究では観光学研究の視点から、国内における既存のフィルムツーリズムの定義の広域化を実施した。当研究において東京ディズニーランド、東京ディズニーシー、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの 3 つのテーマパークを対象に調査検証を実施した結果、これら 3 つのパークは、映画の世界を追体験できる点等の共通する要素を有している傍ら、個々に異なる特徴も持っていることが明らかとなった。よって本研究の仮説「フィルムツーリズムは、観光者や制作者に対するロケ地への誘致から多様化を遂げてきた」は、多種多様な来訪目的の創出等が各パークにおいて確認可能であったことから立証可能であった。
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小林 昭裕
p.
159-164
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本研究では、山岳信仰地・観光地である戸隠が有する文化景観を保全、発展するための基礎的知見を得ることを目的に、地理的・地形的・水文的特性に対する価値づけ、戸隠縁起等に見る地形の解釈及び立地選択の観点から検討した。その結果、山岳信仰地として、立地する自然環境の視認特性に対する意味の付与と同時に、山岳修験という行動を媒介とした価値の共有化、対象地の環境に対する縁起を基にした解釈や働きかけの往還関係が山岳修験を基軸として展開されたことが読み取れた。同時に、その往還関係が埋め込まれた文脈や見方が、戸隠信仰という文化的生態系サービスを享受・提供する仕組みを構築し、文化景観を形作ったと考えられた。
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―ユネスコ無形文化遺産登録の動向と課題―
内田 彩
p.
165-170
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本研究では、「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産申請に向けての状況を整理したうえで、登録に向けての課題について考察した。2010 年代以降、国内で「生活文化」が文化財として明示されたこと、国外でフィンランドのサウナ文化が無形文化遺産に登録されたことに加え、COVID-19 等で温泉地の疲弊が進み、温泉文化保護を目的に活動が本格化した。一方で、温泉文化の定義や法律的な保護など課題も少なくない。しかし、温泉地の固有性を理解するのために、学際的研究の深化と共に、「温泉文化の定義およびその共有化」は欠かせず、それを広く国民と共有していくプロセスこそが、温泉文化の持続的継承において重要であると指摘した。
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小嶋 菜保, 浜 泰一, 町田 怜子
p.
171-176
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
推し活の一環としてファン自らが企画主催するイベントの開催とこれに伴う形の観光行動の増加傾向が見られ、この観光形態のことをファンツーリズムと呼ぶ。本研究はファンイベントの開催地域特性およびファンツーリズムにおける地域とファンの相互関係を分析した。その結果、2020 年 3 月から 2022 年 1 月で 400 件以上のファンイベントの開催が全国約 8 割で確認でき、その開催地は都市の規模やアイドルとの関連性に囚われず様々であった。また、開催地でのアンケート調査より、地域とファンの双方にファンイベントに対する前向きな姿勢がある一方で、相互の衝突を回避することが今後のファンツーリズムの課題として考えられた。
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郭 倩
p.
177-181
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
近年、北海道において、「北海道・北東北縄文遺跡群」の世界遺産登録によって、道民の地元に対する誇りや愛着が一層深まるとともに、国内外からの来訪者の増加を目指している。こうした地域固有ストーリーや外国語にない文脈と概念が多く含まれている歴史文化資源に対して、その多言語対応に関する考察が重要であり、来訪者の行動や各遺跡の理解度・満足度を把握するための手掛かりにもなる。そこで、本稿では、中国人観光客の視点から、縄文遺跡群における多言語対応の現状と課題を考察することを通して、インバウンド観光における日本の源流を訪ねる歴史文化観光の発展に寄与することを目的とする。
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―施設機能、駐車場台数、登録年の分析から―
山崎 隆之
p.
183-188
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
本研究では、全国の道の駅について、都道府県別での道の駅の整備状況を明らかにした。具体的には、ゼンリン発行の『道の駅旅案内全国地図(2019 年度版)』に掲載されている道の駅を対象に、それぞれの施設機能と駐車場台数、登録年について都道府県別に集計して比較を行った。その結果、道の駅の施設機能、駐車場台数、登録年の傾向は、都道府県ごとに違いが見られ、他県との比較で自県の道の駅の特徴を知るための資料を提示できた。
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-箱根町におけるペット同伴可能な施設の立地・サービスの分析-
ト テンショウ, 杉本 興運
p.
189-193
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
フリー
日本におけるペット同伴旅行市場の拡大により、観光地においてもペット同伴旅行者を受け入れる体制づくりを模索することが必要になってきている。本研究では、箱根町を事例とし、ペット同伴可能な観光関連スポットの特徴を検討することを目的とする。具体的には、ペット同伴旅行者が利用できる観光施設、飲食店、宿泊施設の立地やサービスを調査・分析し、ペット同伴旅行者の受入環境としての特徴を明らかにする。
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辛 承憲, 小野 良平
p.
195-200
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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能代市街地を対象に、近世から現在までに形成された空間構造と賑わいの場の特性を分析した。その結果、自然環境条件を反映した空間構造が、時代を経る中でその性格を継承しながら変化してきたことを明らかにした。また、賑わいの場は港町の成長および社会環境条件によって移動する傾向が窺われた。その上で、対象地の空間構造の特性が日和山と山王社を結ぶ「東西の境界軸」を中心に表れた点を指摘した。
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―日本のグリーン・ツーリズムに対する中国人の意識調査の視点から―
汪 暁東, 宍戸 学
p.
201-206
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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新型コロナウィルス感染症(以下、COVID-19)の全世界への拡大により、自然志向の観光スタイルが求められる傾向にあり、その対応としてグリーン・ツーリズムの可能性があると考えられる。本研究では、日本と中国のグリーン・ツーリズムの比較研究を通して、両国のグリーン・ツーリズム理論、形態、運営手法および現状を整理した。次いで、中国在住の観光客を対象にアンケート調査を実施し、日本のグリーン・ツーリズムに対する意識を明らかにし、中国のインバウンド誘致を促進するための手法を考察し、3 つの視点を提起した。
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―仙台市中心部商店街の事例―
柳津 英敬
p.
207-212
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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仙台市は東北の中心都市であり、ビジネスやショッピングなど観光目的以外で多くの人が訪れる。中心部商店街はこうした来街者の消費によって支えられてきたが、コロナ禍により人々の購買行動にも変化が生じた。本研究では、仙台市の中心部商店街のうち一番町四丁目商店街を対象とし、感染拡大前からの人流の量的・質的変化を分析した。その結果、2022 年の来街者数は 2019 年に比べ 6 割程度と低迷し、特に東北域内からの来街者が減少していることがわかった。一方、イベント開催時には来街者が増加することも確認された。今後も人々のニーズや意識は変化すると考えられるが、商店街の持続的な発展に向け、変化に対応した新たな取組みが求められる。
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―東京タワーの Facebook 公式アカウントを事例として―
範 鈺錦, 杜 国慶, 佐藤 大祐
p.
213-218
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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本研究は、観光スポット公式SNS アカウントによる情報発信と拡散について、東京タワーの Facebook 公式アカウントを研究対象として、投稿内容と投稿に対するユーザーのエンゲージメントを収集して分析し、観光スポット側の公式アカウントによる情報の発信とユーザーによるエンゲージメントを分析する。そして、投稿内容の分類とユーザーのエンゲージメントに基づいて情報拡散(シェア)の分析対象となる投稿を選定し、これらの投稿を拡散したユーザーの基本情報を収集して整理し、地理情報システム(GIS)で情報の拡散を可視化し、ユーザーによる情報拡散を解明する。
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―バック通りを事例に―
羽生 敦子
p.
219-223
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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パリ 7 区にあるRue de Bac(バック通り)はボン・マルシェ百貨店のあるシックな観光地,さらには奇蹟のメダル教会を訪れる巡礼地としてガイドブックでも紹介される.幕末から長崎で布教活動を行ったフランス人神父を送り出したパリ外国宣教会もまたこの通りに立地する.日本人観光客も多く,宗教的というよりもスピリチュアル系巡礼者が多いのではないか.バック通りの巡礼について考察を行う.
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―「あるっこ」の活動を事例として―
山口 太郎
p.
225-230
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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本研究では、一人の若者が「散歩」に注目し、社会貢献を意識して設立したまち歩き組織「あるっこ」を紹介する。既存のまち歩き組織では、まち歩きで見る主な対象が地域の歴史的資源であることや、組織のメンバーが高齢であることなどが一般的である。「あるっこ」では、散歩もしくはまち歩きを、だれでも気軽にでき、心身ともに日常を豊かにするものと捉えた。そのため、限定的な地域資源ではなく、路上観察という視点でまち歩きを楽しむ。視覚的効果の大きいインスタグラムを有効活用している。構成員間でまち歩きの関心や社会貢献に対する意識が共有されていること、イベントなどの効率化、健康増進への潜在意識があることも特徴的である。
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―北海道への来訪者を対象とした Web 調査に基づく分析―
高久 聡司, 大西 律子, 富澤 浩樹
p.
231-236
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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本研究の目的は、観光者の訪問地での地域や地域の人々との交流意識を構造的に把握し、その意識の規定要因を明らかにすることである。北海道観光振興機構との協働の下、Web 調査を設計、実施し、旅前・旅後の交流意識、その意識と旅中の行動、旅後の振り返り等の関連を分析した結果、観光者の交流意識は旅前よりも旅後において高まること、旅前に交流意識が低い層であっても、旅中での地元の人たちとの触れ合いの機会が「思い出」と位置づくことで、交流意識が高まることを論証し、そこから、地域の特色を問わず、地域の観光者への向き合い方が観光者の「交流意識」の涵養に関わっていることが示唆された。
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―浅草・新仲見世商店街の事例―
稲本 恵子
p.
237-242
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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浅草は、都市部にある観光地として国内外から観光客を集めるが、雷門から仲見世、浅草寺といった観光スポット周辺には、多種多様な業種の商店が連なる商店街が存在する。浅草は歴史的文化的行事、祭事を含む季節毎に催行される年中行事が多く、それらに合せて来訪する観光客も多い。さまざまな主体やコミュニティが行事に合せて行政支援を受けながら、または独自でイベントを企画運営している。浅草の中心を東西に横断する浅草新仲見世商店街は、時代の流れとともに賑わいの盛衰を経験し、復興や活性化に際して振興組合が積極的に活動を行っている。年中行事イベントの開催は観光客の回遊を促進し都市観光地で、それによるレジリエンスがみられる。
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―奈良とニュージーランドの地域の食文化体験に着目して―
中野 宏幸, 高梨 博子
p.
243-248
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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本研究は、バフチンの対話原理におけるカーニバルの視点から地域のガストロノミーツーリズムをとらえ、奈良とニュージーランドの地域の比較を通じ、食を巡る文化や舞台の演出並びに交流進化の枠組みについて考察したものである。外国人訪問者との対話の観察、自治体や公共企業へのインタビューにより、対話での多様性に対する共愉や笑いといったカーニバル的な要素の所在を確認するとともに、食の伝統と文化を踏まえた自治体や国が主体となった取り組み、地元の積極的な活動による地域振興の可能性を提示した。
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―歴史的価値から価値共創へ―
尾家 建生
p.
249-254
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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本論は酒蔵、味噌蔵、醤油蔵などの日本の伝統的な発酵醸造業が宿場町に比較的多く継承され現存していることに着目し、宿場町の文化を形成してきた場所性とガストロノミー(食文化)に焦点を当て、その現代的意味を探ろうとするものである。宿場の多くは江戸時代に確立され、産業革命後の鉄道の敷設によりその社会経済的役割を終えたが、明治以降はその多くが在郷町として生き残って来た。地理的には大都市圏から遠く離れ、衰退の一途をたどる環境にあるとはいえ、時代の転換期にある今日、宿場町を形成してきた豊かな自然環境、水資源、農業と林業、伝統産業により宿場町の新たな可能性と再生をそこに見ることができる。
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―函館西部地区バル街の事例研究―
松下 元則
p.
255-260
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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本研究の目的は、函館市西部地区のイメージ改善に、函館西部地区バル街がどのように影響を及ぼしたのかを検討することである。そのために、バル街に参加する飲食店を、町並みを構成する歴史的建造物などを使用する伝歴参加店とそれ以外の非伝歴参加店に分類して、軒数と来店者数を比較した。その結果、参加店の 5 軒に 1 軒は伝歴参加店であったことと、参加者が訪れた店の 4 軒に 1 軒は伝歴参加店であったこと、伝歴参加店の来店者数が非伝歴参加店よりも多かったことなどが確認された。分析結果からは、函館市西部地区のイメージ改善の背後で、「町並みを構成する建物の魅力を函館市民が知る機会」をバル街が創出していたことが明らかになった。
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―「遠野ホップ収穫祭 2023」来場者アンケート調査を基に―
石川 美澄
p.
261-266
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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本稿の目的は、2023 年 8 月に岩手県遠野市で開催された「遠野ホップ収穫祭 2023」の来場者に対するアンケート調査を基に、ホップ生産地におけるビアフェスティバルならびにその来場者の特徴を明らかにするとともに、来場者のビアツーリズム経験と今後の意向を把握することである。本調査の結果、回答者の年代や性別、同行者について目立った偏りはない点、約 8 割は遠野市外から来場していた点、総合満足度が高い点、来場目的はビールを味わったり場の雰囲気を楽しんだりするためである点等が明らかになった。また、ホップやビールに関連した体験については、ホップ栽培育成からビール醸造・飲料まで多岐にわたる参加意向が認められた。
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原田 弘之
p.
267-270
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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本研究は、地方において、おもに檀家に支えられてきた寺院を対象に、寺院と連携した観光まちづくりを検討するための準備段階にあたる研究である。先行研究と関連動向等の整理により以下の知見を抽出した。①人口減少社会における地方寺院を取り巻く状況は厳しいが、枠を超えた新しい役割が期待されていること、②寺院を取り巻く追い風と向かい風の状況を踏まえ、寺院自身が変わろうとしている事例もあり、国は「寺泊」を推進していること、③今後の寺院への誘客マーケットとしてライト層がポイントであること、④寺院宿坊に関する研究は蓄積があり、そのさらなる分析が必要なこと。これらの知見を今後の研究に役立てていく。
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―札幌フィルムコミッションの発足、役割と課題に関する考察―
崔 鵬
p.
271-276
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
会議録・要旨集
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本研究は観光産業と映画産業の間に橋をかけ、情報社会において、地域の活性化を図る札幌フィルムコミッション(以下、札幌FC)に注目し、「北海道への憧れ」はフィルムツーリズムの発展の原動力であることを論じ、その憧れを形成させた 3 本の映画を時系列の形で挙げた。また、札幌FC の佐藤氏へのインタビュー調査により、札幌 FC の役割を徐々に解明していき、先行研究と一致した 4 点の役割を挙げたほか、本研究では 4 点の新しい役割を提示した。最後に、本研究は「スタジオツーリズム」や「ケータリングツーリズム」という新たな観光行動の提案を試みた。
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―ギリシャ・ロードス島とクレタ島における事例報告―
石本 東生
p.
277-282
発行日: 2023年
公開日: 2024/08/13
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1991 年に EU 加盟国内でスタートした「LEADER」と呼ばれる資金助成プログラムは、EU 諸国における農山漁村地域開発ツールの一つとして、特に注目に値するものである。本稿の目的は、南欧ギリシャ・エーゲ海地域で最もポピュラーな観光地とされるロードス島とクレタ島において、各々 LEADER 助成プログラムの実施管理を担当する組織、「ドデカネス開発会社」と「イラクリオン開発会社」の地域開発ポリシーについて、また LEADER 受益事業者の事業内容および同プログラムの具体的な恩恵について報告することである。
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