生活大学研究
Online ISSN : 2189-6933
ISSN-L : 2189-6933
3 巻 , 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 林 美帆
    2017 年 3 巻 1 号 p. 1-19
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/21
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    日本近代女性史の中で大きく取り上げられる、与謝野晶子と平塚らいてうが中心となって行われた大正期の母性保護論争は、女性が母となることで国家から金銭的援助を得ることの可否を問うものであった。羽仁もと子はこの論争に直接的には関わらず、どちらかの主張を指示する言説は発表していない。しかしながら、羽仁は家計簿をはじめとした家庭論や職業論など、独自の視点を『婦人之友』誌上で展開し、多くの女性の支持を集めていた。本稿では、与謝野と平塚の母性保護論争における主張を整理し、羽仁の家庭論および職業論と対比することで、同時代の女性がおかれている状況を明らかにする。その上、二人と羽仁との共通点および差異を考察し、羽仁が示した解決策の一つが「女性の組織化」であったことを論じる。
  • 菅原 然子
    2017 年 3 巻 1 号 p. 20-42
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/21
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    幼児生活団は、これまで幼稚園史及び保育史で歴史的位置づけがほとんどなされてこなかった。そのため、その教育内容の、他の教育形態との関係性が論じられることがなかった。本論文では、主に創設当初の教育内容について、英国発祥のナースリースクールとの比較を通してその影響を明らかにすることを目的とする。1921年に自由学園を創立した羽仁もと子は、1939年、長女説子と共に、未就学児対象の幼児教育組織、幼児生活団を創設した。生活団は、前年に開催した、幼児の心身の健康的発達に着目した「幼児生活展覧会」における発表内容を、具現化するための実験施設としての要素を持っていた。当時、生活団は幼稚園でも保育所でもない運営形態をとっていたため、その教育内容や運営形態における、他施設との関係もわかっていない。しかし、1930年代の説子の幼児への関心をたどっていくと、ナースリースクールへの言及が見られる。1911年に英国で、マクミラン姉妹によって創設されたナースリースクールは、第一次大戦中、母親も労働市場へ参入していく過程で、家に残された子どもたちの生活環境を保障する措置として生まれた。子どもの心身の健康を第一に考え、よい生活習慣を身に付けることで、子ども自身が自分で健康を獲得できることを目指し、生活そのものを教育内容としたが、その教育的効果の高さに注目が集まった。後に米国にも伝わり、主に大学付属の研究・実験的施設として発展、宣教師によって日本にも紹介された。説子は1930年、雑誌『婦人之友』誌上でカナダのナースリースクールを紹介したのを始め、1936 年には、自由学園卒業生をカナダ、アメリカのナースリースクール視察に派遣。他にもいくつか、説子と、このスクールとの関係性が見られる。説子自身は生活団設立の際に、ナースリースクールを参考にしたとは明示していない。しかし、実際に生活団とナースリースクールの教育内容を比較すると、影響を受けている部分と、そうではない部分が見られた。
  • 二井 彬緒
    2017 年 3 巻 1 号 p. 43-58
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/21
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    イスラエル国家を思考することは、ショアーの亡霊を呼び起こし、「国民国家nation-state」を思考することである。H・アーレントによれば、ショアーとは、近代ヨーロッパ式国民国家がその発展上の限界点に達した際におこった、「『国民』ならざる存在」の排除である。近代において、「『国民』ならざる者」、すなわちユダヤ人たちは、ある場所(ある国家)に居住しながらも「ホームランド」を喪失した者たちと目され、国家の内部にいながらその構成員にはなり得ない存在、G・アガンベンの言葉を使えば「ホモ・サケルHomo sacer」となったのである。イスラエルとは、そうした歴史の文脈の上で、シオニストたちによってユダヤ人の「ホームランド」として生まれた国民国家である。国民国家は、人びとのあいだに「国民」と「『国民』ならざる存在」といった想像上の境界線を引く。それは、個々人がみずからを「国民」として自己同一化するidentifyことであり、これもまた虚構でしかない。しかし、この虚構が強い効力を持つとき、言い換えれば、ナショナリズムが生まれるとき、「『国民』ならざる存在」の排除が起こるのだ。さて、近年、ニュースや新聞、またイスラエルに関する話題が持ち上がるあらゆる場において、「イスラエル批判は反ユダヤ主義である」といったレトリックを見かける。このレトリックは、「ユダヤ人」「イスラエル人」「シオニスト」を、あたかも同義語として見なすような効果を持っている。本稿では、現代思想と国民国家論の視点から、このレトリックを国民国家の表象として批判する。その中で、「国民」というアイデンティティという枠から脱し、個々人の生を語ること、そこにどのような可能性が存するのかを論じる。
  • 遠藤 敏喜, 千原 正子, 石川 章代, 成田 孝子
    2017 年 3 巻 1 号 p. 59-68
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/21
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    After the establishment of the Basic Law on Food Education (2005), one of the main tenets of school education in Japan has been to nurture individuals to lead a healthy dietary life, through the promotion of dietary education as a foundation for learning about nutrition and a healthy lifestyle in children. Moreover, the handbook on food guidance (2007) stipulates that food education should be incorporated into all aspects of school education. Accordingly, food education, which until then had been taught mainly through in "Home Economics", is now being recognized as a topic to be considered in every conceivable situation. This paper reports on the comprehensive and structured practical education of “food” at Jiyu Gakuen, wherein students from preschool to college each tend a plot of land for farming, and high school students take turns daily to prepare lunch for 300 students, including their own, and participate in the cleaning up after each meal. The environment for "food education" at Jiyu Gakuen is its nature-rich campus. In fields within the campus, students plow the land, sow the seeds, and grow food with utmost care. The food from nature’s bounty is processed and cooked, and enjoyed with gratitude in their meals at the dining table among peers. Students learn about the complete practical process as remnants after each meal are carefully collected and recycled back into the soil. Students realize that human life is sustained by plant and animal life, through their learning of this cycle of growing (farming), arranging (cooking), savoring (eating), and disposing (discarding). The students also learn about maintaining a healthy dietary life through realization of the importance of food as they engage in the process of growing and sacrificing plants and animals for food.
  • 吉川 慎平
    2017 年 3 巻 1 号 p. 69-80
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/21
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    立野川橋梁(西武鉄道呼称:大沢開渠)は,西武池袋線ひばりヶ丘~東久留米駅間(所在地:東京都東久留米市)に位置する,径間数メートル程の複線の小橋梁(溝橋)である.この立野川橋梁の下部工は上下線で異なり,上り線はコンクリート橋台であるのに対し,下り線はレンガ積み橋台となっていることが大きな特徴である.同路線におけるレンガ積み橋台は,旧・入間川橋梁(現存)や旧・山手跨線橋(撤去)にも見られ,これらは共に,西武鉄道池袋線の前身である武蔵野鉄道武蔵野線が開業した1915(大正4)年当時に建設されたとする文献の存在から,立野川橋梁も同時期のものと推定される.また,上り線コンクリート橋台は,当該区間が複線化された1953(昭和28)年当時に建設されたものと考えられる.即ち立野川橋梁の橋台は,大正期の武蔵野鉄道による単線での開業と,昭和期の西武鉄道による複線化という2つの歴史的要素を伺い知ることができる現役の遺構と言える.しかしながら,立野川橋梁下部工の存在実態については,現場の立地的制約からほとんど知られておらず,文化財指定等もされていないのが現状である.本稿では,立野川橋梁の現状を紹介するとともに,100年前の遺構と考えられるレンガ積み橋台に注目し,同路線の全橋梁を対象とした遺構の残存状況調査の結果から,所在地である東久留米市をはじめ,沿線地域における同橋台の歴史的価値と保存の意義について考察した.
  • 大塚 ちか子, 下野 明子, 松田 こずえ
    2017 年 3 巻 1 号 p. 81-93
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/21
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    自由学園最高学部(大学部)前期課程1・2年生のカリキュラムには、「生活即教育」を掲げる自由学園の自治生活に即した教育プログラムとして「学園特別実習」がある。その1グループである『自然誌・環境』グループは長い歴史を持つ。1967年秋に「自然誌」の勉強が始まり、翌春に当時の自由学園最高学部第二部(女子短期大学部)2年のカリキュラムである「グループ勉強」のなかの『自然誌』グループとして発足した。自由学園は、武蔵野台地のほぼ中央に位置する東京都東久留米市に10 haの南沢キャンパスをもつ。自然誌グループは、この「武蔵野南沢」で活動し、観察調査による自然誌資料を作成し、その資料にもとづいて自由学園南沢キャンパスの自然環境保全に取り組んできた。本稿ではその半世紀の歩みの予報として、1921年の創立から1967年のグループ発足までの自由学園の自然誌教育の一端を紹介する。
  • 野口 大介
    2017 年 3 巻 1 号 p. 94-103
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/21
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    2008年から2016年まで筆者が長崎県内において勤務した3つの長崎県立高等学校(諫早高等学校,長崎北陽台高等学校および猶興館高等学校)において実践した理数科課題研究指導や,自然科学部(部活動)などで指導した生徒化学課題研究の内容についてまとめた。筆者は,生徒一人ひとりの実態にあわせて研究テーマを設定し,粘り強く指導しながら探究を深め,対外的に目に見える成果を上げることを常に心がけ,生徒の自信と向上心を育む実践に取り組んできた。各校での実践から,生徒たちは研究を通じてさまざまな困難を克服しながら最終的には専門性の高い成果を上げ,その内容が学術誌に取り上げられたり,受賞論文が書籍に掲載されたりするなどした。こうしたことにより生徒たちの科学的思考力や表現力の育成に貢献するとともに,生徒たちは自信を育み,視野を大きく広げ,その後の進路実現を含む高い目標に向かって努力する向上心を持たせたことに結びついた。
  • 神 明久
    2017 年 3 巻 1 号 p. 104-105
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/21
    ジャーナル オープンアクセス
    2016年度の自由学園最高学部4年課程( 大学部) の卒業研究は、19本の論文(うち6本は共著)が提出され、その成果は、2017 年3 月4日に行われた4年課程卒業研究報告会にて発表された。本稿では、卒業研究の論文タイトルと報告会の様子を紹介する。
  • 奈良 忠寿
    2017 年 3 巻 1 号 p. 106-107
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/21
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は2017 年3 月10日に開催された2016年度自由学園最高学部学園特別実習報告会についての報告である。学園特別実習は、カリキュラム改定に伴い、2016年度1年生から生活経営研究実習と名称が変更されたが、報告会は1・2年合同で開催されるため、従来の学園特別実習の名称で行われた。報告会では、1・2年生全員が所属するグループごとに、1年間の活動内容と考察を口頭発表した。本稿では、グループごとの発表内容を当日の要旨集をもとに抄録する。
  • 石川 章代
    2017 年 3 巻 1 号 p. 108-111
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/21
    ジャーナル オープンアクセス
    2017 年5 月18日から23日までの6日間、新宿高島屋で開催された第10回「大学は美味しい!!」フェアに自由学園最高学部(大学部)は初参加し、このために開発したオリジナルフーズを出展した。オリジナルフーズは、自由学園内あるいは学校活動で交流のある地域の食材を用いて、卒業生の経営する食産業の協力のもと開発した。本稿ではそれらの詳細と背景を紹介する。
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