日本救急医学会雑誌
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13 巻 , 12 号
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  • 青木 克憲, 相川 直樹, 島崎 修次, 山本 保博
    2002 年 13 巻 12 号 p. 757-768
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    目的:救急医学卒前教育の現況と問題点を明らかにする。方法:平成12年秋,全国医科大学・医学部80校(国公立51,私立29,回収率100%)に行ったアンケート調査の解析。結果:(1)救急医学の重要性を表明する大学が80%を占め,救急医学講座もこの10年間で29施設開設された(合計39施設)。85%の施設が一定の救急医学カリキュラムを実践し,全国的に必修単位化されほぼ全施設で救急専任医が教育に参加している。以上から,この10年間で,救急医学の卒前教育は体裁を整えたと判断できた。(2)医育機関における救急部門は,国公立・私立大学間のマンパワー格差が解消されていない(国公立3人,私立11人)。(3)救急医学の臨床実習は,80%の施設で,救急部(センター)外来で実施されている。94%の施設で一致している臨床実習の基本的理念は,学生の少人数グループと教員との対話による問題の提示,解釈,解決であるが,クリニカルクラークシップの導入は42%にとどまる。(4)医学生の医行為の拡大に66%の施設が賛意を示しているが,卒前教育の到達目標について80%以上の施設が一致しているものは,basic life support,静脈採血,静脈路の確保,心電図診断,動脈血ガス分析,血液型検査,エックス線画像診断だけで,医学生の医行為水準Iのレベルにとどまる。(5)救急医療の教育技法の研修に関して46%の施設が研修会を開いているに過ぎず,教員と学生間の教育に対する相互評価を卒前の臨床研修にフィードバックしている施設は60%にとどまる。(6)卒後臨床研修の必修化と整合性を持つ卒前研修目標のガイドラインを日本救急医学会主導で作成すべきと考える。
  • 益子 邦洋, 有賀 徹, 上嶋 権兵衛, 山本 修三, 坂本 哲也, 井上 徹英, 鈴木 荘太郎, 梅里 良正, 伊藤 弘人, 前田 幸宏
    2002 年 13 巻 12 号 p. 769-778
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    わが国では医療機能評価機構による第3者評価が広く行われているが,三次救急医療の機能評価に関する臨床評価指標(クリニカルインディケータ)は未だ得られていない。日本救急医学会「診療の質評価指標に関する委員会」では,三次救急医療機関の機能を評価する指標を開発し,その妥当性を検証した。対象は本学会指導医指定施設および救命救急センター159施設であり,平成11年4月~6月に診療した単独頭部外傷,腹部外傷,内因性の来院時心肺停止(CPAOA),急性心筋梗塞,喘息大発作について,予め設定した10の臨床評価指標を回答者に伏せた形で調査を実施した。次に4つの指標を抽出し,特定機能病院の有無,本学会専門医制度資格の有無,専任医師数,有効症例数との関係を分析した。回答施設は80施設(50.3%)で症例数は4,860であり,内訳は,内因性CPAOA 1,607例,単独頭部外傷1,473例,急性心筋梗塞1,122例,腹部外傷458例,喘息大発作200例であった。検討の結果,評価指標の内,単独頭部外傷での来院からCTまでの時間,ショックを伴った腹部外傷での来院から手術までの時間,内因性CPAOAに対する動脈血ガス分析施行率,内因性CPAOAに対する救急外来での一次蘇生率,急性心筋梗塞での来院から血栓融解・再灌流療法までの時間,急性心筋梗塞の死亡率,の6つは適切であったが,JCS30以下の頭部外傷死亡率,収縮期圧70mmHg未満で24時間以内に死亡した腹部外傷の非開腹率,腸管単独損傷の死亡率,CPAOA以外の喘息大発作の死亡率,の4つは不適切と考えられた。施設属性別の検討では,症例数が多い施設ほど,少い施設に比べて,プロセス評価やアウトカム評価が優れていた。以上より,今回開発した指標のいくつかは,三次救急医療機関の機能を評価する上で有用であると考えた。今後の課題は,より有用な評価指標を開発すると共に,疾病登録制度等を整備し,症例データを収集する仕組みを作ることである。
  • 石川 達哉, 上山 博康, 数又 研, 瀧澤 克己, 磯部 正則, 前田 高宏, 牧野 憲一
    2002 年 13 巻 12 号 p. 779-784
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    目的:過去5年間のWFNS grade別のクモ膜下出血(subarachnoid hemorrhage; SAH)の治療成績をまとめ,現時点での治療の到達点と限界について検討した。対象と方法:1996年1月から2000年12月に外科的直達手術を行った315例の動脈瘤破裂によるSAHを対象とした。年齢は19-89歳(平均61.0±13.1)。破裂動脈瘤の部位は前交通98,内頸95,中大脳77,前大脳19,椎骨脳底動脈系26。術前WFNS gradeはI: 112, II・III: 80, IV: 72, V: 51例。GCS 6点以上の症例は全例外科治療,5点以下の最重症例ではマニトールの急速点滴や時間経過により神経症状が改善した症例に手術を行った。手術はできるだけ早期に開頭clipping術を行い,クモ膜下血腫や脳内・脳室内血腫が存在すればその除去を積極的に行った。治療成績は発症3か月後の状態をGlasgow Outcome Scale (GOS)で評価した。結果:WFNS grade Iは98%で転帰良好(GR, MD)となった。Grade IIおよびIIIでは転帰良好例は84%。転帰不良の原因は手術合併症と脳血管攣縮であった。Grade IVでは転帰良好例は61%,死亡率11%。脳内血腫などのinitial brain damageによりSD以下の転帰不良にとどまる例が多いほか,脳血管攣縮が転帰を悪化させる要因になっていた。Grade Vでは転帰良好例は18%,死亡率31%。転帰不良の原因はinitial brain damageによるものが大多数であった。他に80歳以上の超高齢者で転帰が不良であった。結論:開頭直達手術で軽症SAHは問題なく治療できる。しかし脳血管攣縮の発生率や重症例および80歳以上の高齢者では治療成績の限界があり,血管内手術との適当な役割分担をしていくことで成績の向上が望みうる。
  • 鹿野 恒, 杉本 智, 山崎 圭, 佐藤 朝之, 牧瀬 博, 松原 泉, 岡本 征二
    2002 年 13 巻 12 号 p. 785-790
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    救急救命士法が制定され今年で11年目となる。救急救命士には院外心肺停止患者に対する器具を用いた気道確保,乳酸化リンゲル液による静脈路確保,除細動が認められているが,この10年間,まったく処置拡大が行われていないのが現状である。近年,救急救命士による気管挿管の是非が問われているが,国内において院外心肺停止患者に対する気管挿管と他の気道確保の検討はほとんど行われていない。そこで2001年1月から12月までに市立札幌病院救命救急センターに搬入された非外傷性の院外心肺停止患者に対して,救急救命士がesophageal obturator airway (EOA)を挿入した症例とドクターカーで医師がtracheal intubation (TI)を行った症例について,来院時の動脈血ガス分析と胸部X線像の比較検討を行った。EOA group 55例とTI group 71例の搬入時の動脈血酸素分圧は,それぞれ150.0±120.9mmHg, 260.6±173.7mmHgでありTI groupで有意に高かった(p<0.001)。ここでEOA groupの平均動脈血酸素分圧も150mmHgと良好であったが,80mmHg未満の症例が21例(38%)存在した。その原因について搬入時の胸部X線を検討したところ肺うっ血や肺水腫が高率に認められ,これらの症例で搬入後にTIに入れ替えた3分の2の症例で酸素化が改善した。これらの結果は,院外心肺停止患者の気道確保の方法としてEOAよりもTIが優れていることを示唆するものであり,今後,救急救命士にTIを認可するか否かを検討する際に参考になると考えられた。
  • 山口 和将, 岡田 保誠, 石田 順朗, 小島 直樹, 寺田 泰蔵, 稲川 博司, 繁田 正毅
    2002 年 13 巻 12 号 p. 791-795
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    We report a case of a pontomedullary tear presenting as locked-in syndrome. A 38-year-old man injured in a traffic accident while driving a motorcycle was unconscious upon arrival and computed tomography (CT) showed only a small interhemispheric subdural hematoma. He became alert 6 hours later and was found to have locked-in syndrome. His neurologic deficits pointed to a lesion involving the lower pons and magnetic resonance imaging (MR) clarified that the pontomedullary junction was partially torn, leading to a determination of locked-in syndrome resulting from a pontomedullary tear. Pontomedullary lesions may be found in cases of hyperextension injury of the head.
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