心肺停止蘇生後患者における,脳波とburst-suppression pattem(以下BSと略す)の意義を見いだすべく,出現率,出現時期や期間,および他の臨床検査との関わりなどについて検討した。対象は,当高度救命救急センターICUに入室した心肺停止蘇生後患者80例(男性46例,女性34例)で,ICU入室直後から経日的に脳波検査を施行した。その結果,(1) BS出現率は15.0% (12例)であり,いずれもその転帰は不良(死亡あるいは植物状態)であった。(2) BS出現12例のうち,1例のみがBS出現後,低振幅徐波を呈したが,その他のものはすべてisoelectric pattern(以下IPと略す)に移行し,BSは蘇生後3日目以降認められなかった。また,BSのうちburst出現時において50% (6例)に顔面を中心とした痙攣を認めた。(3) burstの持続時間とsuppressionの持続時間の比率と転帰との関係は明らかではなかった。(4) BS出現例においては91.7% (11例)が聴性脳幹反応にてI~IV波を認めたものの,66.7% (8例)は潜時が遅延していた。(5) 対光反射はBS出現例において58.3% (7例)に認めた。心肺停止蘇生後患者におけるBSの臨床的意義について種々の面から検討したが,BS出現例の転帰は不良であることは他家の報告と矛盾しない。一方,BSは蘇生直後から出現し,3日目以降は認められないこと,また,そのほとんどがBS出現後,IPに移行することが判明した。
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