脛骨複雑骨折ではしばしば骨露出を合併することがあり,それに対する処置として外科的処置として皮弁形成が行われることが多い。われわれは,脛骨開放性骨折後創部が壊死となり,骨露出を来した症例に対して,bFGFスプレーとPGE1軟膏を用いて肉芽組織により骨露出部を被覆せしめ,保存的に治療を行った症例を経験したので報告する。症例は59歳の男性で,トラック荷台より墜落し受傷した。左脛骨開放性骨折(Gustilo Type II)を伴い,当日,緊急手術にて洗浄,デブリードマン,直達牽引を行った。受傷後7日目に受傷時の開放創に皮膚欠損を生じた。患者は,既往症に慢性動脈閉塞症があったため,骨露出を認める部位に対し,bFGFスプレーの撒布とPGE1軟膏の塗布により保存的治療を行った。受傷後78日目には,骨露出部は骨髄炎などの感染症を伴うことなく肉芽組織により被覆された。骨露出症例に対し保存的治療を行い治療できたので,若干の考察を加え報告する。
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