日本救急医学会雑誌
Online ISSN : 1883-3772
Print ISSN : 0915-924X
ISSN-L : 0915-924X
17 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 鹿野 恒, 大宮 かおり, 山崎 圭, 佐藤 朝之, 佐藤 真澄, 牧瀬 博, 小野 美和子
    2006 年 17 巻 4 号 p. 129-136
    発行日: 2006/04/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    救命救急の臨床では積極的治療にもかかわらず,脳死状態に陥る患者が少なくない。1997年に臓器移植法が成立し脳死下で心臓・肺・肝臓・膵臓・小腸などの臓器提供も可能となったが,現在でも臓器移植を希望する患者に対して,臓器提供が圧倒的に少ないのが現状である。これらの臓器提供には患者側の申し出,あるいは医療側の臓器提供の選択肢提示が必要であるが,たとえ患者本人に臓器提供の意思があったとしても,医療側が臓器提供の選択肢提示を行わなければ,本人および家族の尊い意思は生かされない。そこで2004年1月から2005年11月の間に重篤な脳損傷で救命救急センターに搬送され,ICU入室後24時間以上生存し,脳死状態の疑われた13例に対して臨床的脳死診断を行い,その後,患者家族に対して臓器提供の選択肢提示を行った。その結果,12例の家族が臓器提供に関心を示し,9例の家族が移植コーディネーターとの面談を希望した。そして,9例全ての家族が臓器・組織提供を承諾され,腎臓17件,膵臓1件(膵臓・腎臓同時提供),心臓弁・大動脈4件,角膜12件,皮膚4件の臓器・組織提供となった。救命救急の終末期において,脳死状態となった患者の家族の臓器提供への関心は高く,とくに血縁の家族が臓器提供に同意する傾向にあった。そして移植コーディネーターとの連携により約7割の患者家族より臓器・組織提供を得ることができた。今後,救急医や脳神経外科医が積極的に臓器提供の選択肢提示を行うことにより臓器提供は増加すると思われた。
  • 中西 員茂, 永井 洋子, 秋元 達雄, 加藤 博人, 原 規子, 吉原 克則, 杉本 元信
    2006 年 17 巻 4 号 p. 137-141
    発行日: 2006/04/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    2003年9月より2005年8月までの2年間に東邦大学医療センター大森病院に2次救急搬送され,入院加療を行ったアナフィラキシー症例26例に臨床的検討を加えた。アナフィラキシーを引き起こしたと考えられる誘因物質は,食物12例,薬物11例,その他3例(ハチ,ラット,ハムスター)であった。食物では魚介類が7例,肉類1例,そば1例,かんきつ類1例,その他2例であった。このうち特異的radioallergosorbent test (RAST)の陽性例は5例であった。薬物は全て内服薬であり,非ステロイド系消炎鎮痛剤が8例,抗生物質が3例であった。このうちdrug lymphocyte stimulation試験(DSLT)の陽性例は2例であった。症状は皮膚症状および呼吸器症状は全例に認められた。意識障害は7例,ショックは9例に認められ,そのうち5例が薬剤性,4例が食事性であり,特に有意差は認めなかった。アレルギー歴は26例中19例に認められ,一般に比べ有意に高率であるが,ショックを呈した症例のうち3例はアレルギー歴を認めない薬剤性であった。薬剤性アナフィラキシー様反応は過去にアレルギー歴がなく,突然のショック状態になることがあり,特に注意が必要であることが再認識される。治療はエピネフリン投与(0.5±0.4mg)が13例,ステロイド投与は24例であった。予後は全例良好であり,遅発性反応は認められなかった。ステロイドの投与は第一選択薬ではないが遅発相予防としては有益と考えられる。
  • 伊藤 史生, 萩原 章嘉, 小泉 健雄, 村田 厚夫, 島崎 修次
    2006 年 17 巻 4 号 p. 142-146
    発行日: 2006/04/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Reversible posterior leukoencephalopathy syndrome (RPLS)は,頭痛,意識障害,痙攣などの神経学的症状を呈し,MRI, CT検査で後頭及び頭頂葉領域を中心に広範囲な浮腫性病変を認めるが,基礎疾患の是正により,臨床所見,画像所見が可逆的に消失する疾患群である。悪性高血圧症により生じた高血圧性脳症に対して,急性期のMRI拡散強調画像にてRPLSと診断し,白質浮腫の消退をMRIにて経時的に観察し得た症例を経験した。患者は47歳の男性,意識障害にて当院へ搬送された。来院時患者は傾眠状態,血圧260/170mmHg,神経学的局所所見は,瞳孔不同を認めた他異常所見は認めなかった。また眼底所見では,高血圧性眼底出血を認めた。CTで脳幹,後頭部白質を中心に広範な低吸収域,MRIのT2WI, FLAIRで同部位に高信号を認めたが,拡散強調画像ではこれらは異常所見を示さず,その病変は血管原性の浮腫と診断された。著明な高血圧と脳浮腫に対して血管拡張薬と脳圧降下薬にて治療を開始したところ,3病日には意識が改善し始め,約2週間後には入院時に認められた臨床症状,画像上の浮腫性病変が消失した。臨床経過,画像所見と後日施行した腎生検にてこの症例を悪性高血圧症に合併したRPLSと診断した。今回初診時にMRI (T2WI, FLAIRと拡散強調画像)を撮影することで,可逆性である血管原性浮腫の診断が可能であった。急性期の拡散強調画像は,RPLSの診断につながり,治療方針の決定に有用と考えられる。
  • 予後規定因子としてのflow phaseの重要性
    水島 靖明, 上野 正人, 石川 和男, 松岡 哲也, 横田 順一朗
    2006 年 17 巻 4 号 p. 147-149
    発行日: 2006/04/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 17 巻 4 号 p. 163
    発行日: 2006/04/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
feedback
Top