日本救急医学会雑誌
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17 巻 , 5 号
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  • 黒田 泰弘, 山下 進, 中村 丈洋, 河北 賢哉, 西山 佳宏, 河井 信行, 内野 博之
    2006 年 17 巻 5 号 p. 167-176
    発行日: 2006/05/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    ヒト蘇生後脳症においてKety-Schmidt法,washout法,positron emission tomographyにより測定された脳循環代謝量と,Safarの蘇生後脳循環障害の時間的stageをまとめ,予後との関係を述べる。臨床では,蘇生直後-1時間後における脳循環代謝量を測定できないので,stage I (no reflow)およびstage II (early postischemic hyperemia)の存在は不明である。蘇生後24時間以内のstage III (delayed postischemic hypoperfusion)では脳血流量は正常もしくは低下する。しかし,「hypoperfusionにもかかわらず脳酸素消費量の増加状態」を特徴とするSafarの報告と異なり,とくに予後不良の症例においては,実際に脳酸素消費量は低値で,脳酸素消費量の低下が脳血流量の低下よりも相対的に著明である。蘇生後24時間以後のstage IVでは,一過性のsecondary hyperemiaを呈する場合,持続するhypoperfusionを呈する場合,極度の脳代謝量低値が持続する場合,は予後不良と関係する可能性がある。意識回復例では蘇生後7日以降に脳酸素代謝が回復してくるので,蘇生後7日以内では予後を脳酸素消費量の値から推定することは難しい。
  • 田熊 清継, 堀 進悟, 小池 薫, 佐々木 淳一, 北野 光秀, 吉井 宏, 相川 直樹
    2006 年 17 巻 5 号 p. 177-182
    発行日: 2006/05/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    目的:内因性疾患による交通事故は,従来は主として死亡例を対象に検討され,系統的研究の対象となることが少なかった。本研究の目的は,生存例を含め,交通事故の原因となる内因性疾患について,発生率,診断,転帰などを明らかにすることである。対象と方法:1998年10月から30か月の期間に,済生会神奈川県病院へ救急搬送された交通事故患者2,560人を対象とした。救急隊の観察記録と医療記録とを照合し,内因性疾患のために発生した交通事故の頻度,診断,転帰などを検討した。結果:交通事故患者2,560人(運転者1,571人)中,事故発生時に受傷機転にはよらない意識障害が医療記録で確認された例は65人(全体では2.54%,運転者あたり4.14%),このうち飲酒運転は49人(同1.91%及び3.12%),居眠り運転は2人(同0.08%及び0.13%),内因性疾患による意識障害と判定された運転者は14人(運転者の0.89%)であった。原因疾患は,心室細動4人,てんかん3人,クモ膜下出血2人,低血糖1人,肝不全1人,胸部大動脈瘤破裂1人,血管迷走神経性失神1人,気管支喘息1人と多岐にわたった。運転者の内因性疾患による交通外傷14人中7人に心肺停止が発生し,5人は職業運転手であった。心肺停止7人中4人は救急室で死亡し,心拍再開した心肺停止3人中1人は入院後に死亡,2人は他病院に転送された。心肺停止以外の7人中3人は入院治療後に生存退院し,4人は救急受診後に帰宅した。結論:医療記録と救急隊記録とを用いて,運転の内因性疾患が交通事故の誘因となった割合を検討すると,交通外傷全体の0.55%,運転手あたり0.89%が該当した。
  • 井戸口 孝二, 溝端 康光, 松岡 哲也, 水島 靖明, 石川 和男, 山村 仁, 横田 順一朗
    2006 年 17 巻 5 号 p. 183-191
    発行日: 2006/05/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    わが国では,1996年にトリアージタッグが標準化され,消防庁書式タッグが本邦のタッグとして広く用いられている。しかし,実際に訓練で使用すると,煩雑さのために記入漏れが多く,必ずしも満足のいく結果が得られていない。そこで,まずトリアージ方法の標準化を図り,一次トリアージはSTART (simple triage and rapid treatment)変法を,二次トリアージは「緊急度・重症度評価と病院選定基準」に基づいたトリアージ方法を採用したうえで,標準化タッグの自由裁量部分に改良を加えた新書式タッグを作製した。表面には,START変法による手順と判定基準を明記した。裏面には,生理学的指標,解剖学的指標と処置内容を時系列で記載できる欄を設け,さらに赤と判定すべき指標を明記した。今回われわれは,新書式タッグの有用性を検証するために救急救命士養成学校の学生80名を対象としたトリアージ訓練を行い,新書式タッグ群と消防庁書式タッグ群において,タッグへの記載内容,記載頻度,トリアージの正確性および訓練後のアンケート結果について比較検討した。一次トリアージでは,トリアージの判断根拠となった所見の記載率が,新書式タッグ群では高率であった。一方,二次トリアージでは,バイタルサインや意識レベルの記載が新書式タッグ群では全例行われていたが,消防庁書式タッグ群では低頻度であった。トリアージの正確性については,一次トリアージでは新書式タッグ群のほうがより高頻度に正答していたが,二次トリアージでは有意な差は認めなかった。訓練後のアンケートでは,新書式タッグの使用感の評価が高かった。今回の検討から,トリアージ方法を標準化したうえで新書式タッグを使用することによって,消防庁書式タッグに比べてより的確な重症度評価ができるようになり,さらにバイタルサインなどの傷病者情報の把握が容易となることが明らかとなった。
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