日本救急医学会雑誌
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23 巻 , 2 号
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総説
  • Shigeatsu Endo, Gaku Takahashi, Tatsuyori Shozushima, Naoya Matsumoto, ...
    2012 年 23 巻 2 号 p. 27-38
    発行日: 2012/02/15
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル フリー
    The treatment of sepsis continues to be a major problem in emergency and intensive care, and that is another reason why there has been a desire for the development of a simple diagnostic method that would yield results in the early stage. CD14 is present intracellularly and in the cell membrane of macrophages, monocytes, and granulocytes, and is recognized to be responsible for endotoxin-induced intracellular signaling. CD14 is also known to be present in the blood in the form of a soluble protein. We discovered a soluble CD14 molecule that differs from conventional CD14, i.e., a soluble CD14 subtype (sCD14-ST, 13 kD), and named it “Presepsin”. We also developed a quantitative method of determining Presepsin by an enzyme-linked immunosorbent assay, and we concluded that measuring Presepsin values of sepsis patients by this method is currently the best way to diagnose sepsis from the standpoint of diagnostic power. We have also developed a rapid semiquantitative method of measurement by a simple point of care test. In addition, at present, results can be obtained in approximately 15 min by performing a chemiluminescence enzyme immunoassay on whole blood. In the future it is expected to be widely used as a rapid diagnostic method for sepsis in clinical settings.
原著論文
  • 松嶋 麻子, 小川 尚子, 小倉 裕司, 嶋津 岳士, 霜田 求, 田中 裕, 杉本 壽
    2012 年 23 巻 2 号 p. 39-50
    発行日: 2012/02/15
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル フリー
    【目的と方法】大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターでは,2003年より救急医療の現場で生じる倫理的問題に対し,臨床倫理検討を行ってきた。今回,臨床倫理的視点から終末期医療の現状と課題を示すことを目的に後方視的検討を行った。【結果】日本救急医学会の「救急医療における終末期医療に関する提言」で示された「終末期の定義」に該当したのは15症例あり,臨床的脳死状態または癌の終末期状態と診断されていた7症例では終末期の判断に異論はなかったが,重症心不全や呼吸不全では臓器の不可逆性や数日以内の死亡予測に関して意見の相違があり,終末期と判断して積極的な治療を控えることに医療者の強い抵抗感が生まれる症例がみられた。終末期について,患者自身の意向を知ることができたのは2例のみであり,他の13症例では患者家族と医師・看護師・臨床心理士などが協力して患者の意向を把握するように努めた。離脱困難なPCPS(percutaneous cardiopulmonary support),ECMO(extracorporeal membrane oxygenation)治療については,社会的公平性の観点からも検討を行い,心移植や補助人工心臓の適応にならない5症例においては,治療を継続することの妥当性が論点となった。終末期と判断した症例ではend-of-life careは救命救急センター内で行われ,ICUのベッドをend-of-life careに使用することに関して,医療者間で意見の相違がみられた。【結語】救命救急センターにおける終末期医療には,早急に解決することが困難な倫理的問題が数多く存在する。症例ごとに多職種を交えて医学的視点,患者の視点,社会的視点から検討を行い,終末期医療の課題を医療者と患者家族が具体的に認識・共有することにより,施設の状況や患者の意向を重視した柔軟な対応が可能になると考える。
  • 小山 徹, 許 勝英, 上條 剛志, 山本 基佳, 菅沼 和樹, 朱田 博聖, 橋本 隆男
    2012 年 23 巻 2 号 p. 51-58
    発行日: 2012/02/15
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル フリー
    【目的】しびれを主訴に救急外来を受診する患者について,危険な責任病変に対する診断の的確性に関して検討する。【対象・方法】2009年1月1日から2011年3月31日までの2年3か月間で,当院の救急外来受診患者数は95,514人あり, そのうち電子カルテの検索ソフトを利用し,しびれの記載のある約7,500人の電子カルテを調べ,「症状が1か月以内に発生し,外傷に関係ない,主訴がおよそしびれ単独の症例」を抽出した。【結果】抽出した対象症例は433例で受診後および入院後に危険な責任病変が診断できたものは57例(13.2%)あった。内訳は脳出血2例,硬膜動静脈瘻による硬膜外血腫1例,脳幹出血3例,脳梗塞26例,脳幹梗塞14例,多発性硬化症1例,頸椎症3例,頸椎椎間板ヘルニア1例,頸髄腫瘍1例,脊髄炎1例,脊髄梗塞1例,急性下肢動脈閉塞1例,高カリウム血症1例,ギランバレー症候群1例だった。しびれの部位と危険な責任病変の診断率に関して検討すると,A群(片側上下肢,片側上肢または下肢+顔面,顔面単独)125例,B群(片側上肢,片側下肢)181例,およびC群(両上肢,両下肢,四肢)116例において,もし頭部CTを先に行った場合,それぞれ37例(A群125例中29.6%),9例(B群181例中5.0%),4例(C群116例中3.4%)において危険な責任病変を診断できないものと推測された。引き続き頭部MRIを施行すると,それぞれ3例(2.4%),2例(1.1%),4例(3.4%)において危険な責任病変を診断できないものと推測された。【結語】とくにしびれの分布が片側上下肢の場合,脳出血や脳梗塞はしびれの危険な責任病変として最も重要である。しかし,緊急で頭部CTと拡散強調画像を含む頭部MRIを施行しても,1.1%から3.4%において危険な責任病変を診断できない可能性があるものと推測された。
症例報告
  • 細見 早苗, 山下 好人, 森本 純也, 林下 浩士, 池原 照幸
    2012 年 23 巻 2 号 p. 59-64
    発行日: 2012/02/15
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル フリー
    鈍的外傷による食道穿孔は稀であり,受傷直後では特異的な症状・所見を認めることは少ない。今回,ウォータースポーツ中の転倒による受傷で食道穿孔を起こし,食道亜全摘にまで至った1例を経験したので報告する。症例は30代の女性。ウォータースポーツ中に前胸部を水面に強打した。近医に救急搬送されたが明らかな異常所見はなく全身打撲の診断で帰宅となった。受傷後2日目から3日目にかけて喉の違和感を認めたため自身の指で催吐を繰り返した。受傷5日目から頸部・背部痛の悪化を主訴に前医を受診した。受傷6日目に撮影した胸部CTにて上縦隔気腫と右膿胸を認め,当センターに紹介となった。来院時,頸部に全周性の発赤,圧痛および著しい腫脹を認めた。咽後膿瘍,上縦隔膿瘍による敗血症と診断し,胸腔鏡下縦隔ドレナージ術および気管切開術を施行した。術後,ドレーン排液の改善が認められないため,消化器外科にコンサルトし,受傷9日目に上部消化管内視鏡を施行した。胸部上部食道に数か所のpin holeの瘻孔を認めたため,食道穿孔の診断にて緊急手術を施行した。穿孔部周囲の食道は全層で壊死しており頸部食道にも感染が拡がっていたため,食道亜全摘術および食道瘻造設を行うことになった。術後は上行性の咽後膿瘍を来したもののドレナージ術にて軽快し,受傷20日目にリハビリ目的に転院となった。気切チューブを抜去したのち,受傷83日目に胃管による食道再建術を行った。鈍的外傷による食道穿孔は縦隔炎となるまで症状に乏しいが,治療が遅れると重篤な転帰をとるため,早期発見および早期診断が極めて重要となる。急激な食道内圧の上昇が起こるような胸部外傷の際には食道穿孔を鑑別診断におくべきと考えられた。
特別寄稿
  • 山田 至康, 市川 光太郎, 伊藤 泰雄, 長村 敏生, 岩佐 充二, 許 勝栄, 羽鳥 文麿, 箕輪 良行, 野口 宏
    2012 年 23 巻 2 号 p. 65-81
    発行日: 2012/02/15
    公開日: 2012/03/20
    ジャーナル フリー
    小児救急医療においては初期・2次救急への対応策が取られてきたが,平成21年度からは厚生労働省による検討会が持たれ,3次救急への対応が検討されるようになった。今回の調査では9割近くの救命救急センターは,常に小児救急医療に対応していたが,施設の特徴により受診数や入院数,入院病名には差異が見られた。小児の年間ICU入院数は平均19.3名で,CPA数平均4.0名,死亡退院数平均2.7名が示すように重篤患者は少なかった。小児の利用可能なICUは20.3%にあったが,そのうちで救命救急センター内にあるものが7.2% で,病床数は平均1.6床であった。時間外における小児科医の対応は72%で可能であったが,救命救急センターの常勤小児科医によるものは15%であった。救命救急センターは施設間に偏りがあるものの小児の3次救急に可能な範囲で対応していた。小児の内因性疾患に対応可能な施設は,小児科医と救急医が協力し,重篤小児の超急性期の治療を進めていく必要がある。
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