日本救急医学会雑誌
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24 巻, 11 号
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総説
  • 亀田 徹, 伊坂 晃, 藤田 正人, 路 昭遠, 一本木 邦治
    2013 年 24 巻 11 号 p. 903-915
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    救急室や集中治療室で超音波検査(ultrasonography: US)は手軽に利用できるようになり,循環動態の評価のため焦点を絞ったUSによる下大静脈(inferior vena cava: IVC)の観察が広く行われるようになってきた。USによるIVC径(IVC diameter: IVCD)の計測では,IVCDに影響を及ぼす因子を事前に理解しておくことが大切である。患者の状態が安定していれば,体位は通常仰臥位にするが,症例により左側臥位による再評価が推奨される。呼吸はsniff(鼻をすする動作)が適切である。計測部位は一般に肝下面で右房入口部から0.5-3cm程度の位置とする。IVCの縦断像でIVCDを計測するが,事前に横断像で形態を確認しておくことは有用である。表示としてBモードもしくはMモードを選択するが,それぞれのモードの特性を考慮して利用する。IVCDの実測の代用として目測による評価も有用で,素早く施行可能なことからとくに重症患者において利用価値が高い。これまで日常臨床ではIVCDとその呼吸性変動の組み合せで右房圧の推定が行われてきたが,近年欧米ではその推定規準が見直された。またIVCDやその呼吸性変動を指標にすれば,非代償性心不全の診断や水分管理,初期蘇生における循環血液量減少の評価,人工呼吸中の輸液反応性の評価にも有用であるという報告がなされている。急性期診療において焦点を絞ったUSによるIVCの観察を加えることで,より非侵襲的で正確な輸液管理が可能になるかもしれないが,その確証を得るには今後標準化された計測方法と評価基準を用いた臨床研究が必要となる。
原著論文
  • 矢野 隆郎, 山内 弘一郎, 河野 太郎, 猪山 佑治, 山下 享芳, 竹智 義臣
    2013 年 24 巻 11 号 p. 916-924
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    【目的】原因不明の院外心肺停止症例の死因の同定には,剖検による方法が推奨されるが,延岡市地域には監察医制度がなくほとんど実施できていない。代りに死亡後CT(postmortem CT: PMCT)撮影を積極的に行っている。今回我々は,PMCT所見の有用性を死因および心肺蘇生(CPR)に伴う合併症の同定に関して両面から評価した。【対象と方法】2009年1月1日から2011年12月31日の3年間の非外傷性院外心肺停止症例222例中臨床所見のみでは死因が同定できず,PMCT撮影を行った180例を対象とした(男/女 99/81, 年齢 0-100:平均 74.4 歳)。前駆症状,既往歴,身体所見,採血結果による臨床所見に加えPMCT所見から死因を同定し,以前に報告された剖検によって同定された死因(神戸市データ)と比較した。さらにPMCT所見にてCPRの合併症(気胸,肋骨骨折,胸骨骨折)の同定を行った。【結果】死因同定の内訳は,心疾患(虚血性心疾患およびその他の心疾患)8.9%,脳血管障害(くも膜下出血など)8.9%,大血管疾患(大動脈瘤破裂など)12.2%,呼吸器疾患13.3%,誤嚥・窒息 3.9%,原因不明 41.1%であった。監察医制度による神戸市の剖検結果との比較では心疾患の同定率が有意に低く(8.9 vs. 44.7%, p<0.001),原因不明率は逆に有意に高く(41.1 vs. 4.7%, p<0.001),その較差は同程度(35.8 vs. 36.4%)であった。心疾患による死因がPMCT所見にて十分同定できなかった可能性があった。脳血管障害,大血管疾患,呼吸器疾患,消化器骨盤部疾患に関しては同程度の頻度であった。PMCT所見のみで死因が同定できた例は 32.2%,臨床所見との併用で死因が同定できた例は26.7%を占め,合計58.9%の例で死因が同定できた。死因別にみると脳血管障害および大血管疾患のほとんどがPMCT所見のみで同定でき,窒息・誤嚥・呼吸器疾患・消化器骨盤部疾患のほとんどが臨床所見との併用で同定できた。CPRの合併症の内訳は,気胸 6.3%,肋骨骨折 14.9%,胸骨骨折 4.5%であった。【結論】剖検ができない場合,PMCTは原因不明の院外心停止例の死因同定および胸骨圧迫に関連した合併症の同定に有用であった。
  • 問田 千晶, 六車 崇
    2013 年 24 巻 11 号 p. 925-932
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】2010年7月の「臓器の移植に関する法律」(以下,臓器移植法)の改正に伴い15歳未満の小児への法的脳死判定および脳死下臓器提供が可能となった。しかし2012年8月現在に至るまで,15歳未満の小児の法的脳死は2例のみにとどまっている。小児脳死の実態は把握されておらず,小児脳死の発生数が少ない原因の検討は不十分である。当施設では,臓器移植法改正前より,神経学的な評価を目的に,「臓器移植にかかわらない一般の脳死判定」(以下,一般の脳死判定)を施行している。当施設における小児脳死の実態から,小児脳死の発生数が少ない原因を検証した。【対象】2008年7月から2012年6月までに当施設pediatric intensive care unit(PICU)へ入室した15歳未満の小児3,721例を対象とした。【方法】臓器移植法改正の前後で2群に分類し,法改正の影響を検討した。また「一般の脳死判定」適応の有無で2群に分類し,適応例の特徴および脳死判定内容について診療録より後方視的に検討した。【結果】PICUへ入室した15歳未満の小児3,721例のうち,前期は1,712例,後期は2,009例であった。「一般の脳死判定」の適応例は,前期16例,後期19例であった。適応例は,心停止蘇生後(前/後期 50/74 %),救急外来からの入室(94/89 %)が多かった。臓器移植法改正後に「法に規定する脳死判定を行ったとしたならば,脳死とされうる状態」と判断した症例は3例であり,同時期にPICUへ入室した15歳未満の小児2,009例の0.1%,死亡43例の7%と寡少であった。【結語】小児専門施設における小児脳死の現状を示した。「小児脳死の判定基準」や「脳死の概念」の違いにより,国内の小児脳死発生数は寡少である可能性が示唆された。遭遇した際の円滑な対応に向けて,全提供施設で小児脳死に対応できる体制を整備しておく必要がある。
  • 廣瀬 智也, 小倉 裕司, 竹川 良介, 松本 寿健, 大西 光雄, 鍬方 安行, 嶋津 岳士
    2013 年 24 巻 11 号 p. 933-940
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    【背景】自転車事故は小児期外傷の要因であるが,小児の自転車ハンドルによる直接外力の危険性は一般的に知られていない。【目的】小児自転車ハンドル外傷の特徴を明らかにすること。【方法と対象】2000年1月1日から2011年12月31日に当センターに来院した自転車関連外傷(15歳以下)を検討し,ハンドル先端により受傷した群(ハンドル外傷群)とそれ以外の自転車乗車中事故例(非ハンドル外傷群)に分けて比較検討した。【結果】ハンドル外傷群9例,非ハンドル外傷群46例。ハンドル外傷群は男児7例,女児2例,平均年齢8.6±3.4歳,平均ISS 8.8±5.3,ICU滞在日数7.4±4.6日,生命予後は全例良好であった。受傷部位は頸部1例(気管損傷:1例),胸部1例(胸部打撲のみ:1例),腹部7例(肝損傷:3例,膵損傷:1例,後腹膜出血:1例,腎損傷:1例,膀胱・腹壁損傷:1例)であった。治療は緊急手術治療1例,待機手術治療1例,緊急TAE1例,保存的治療6例であった。ハンドル外傷群は,非ハンドル外傷群と比べると年齢,性別,ISS,ICU滞在日数,転帰に有意差はなかった。腹部AISスコアはハンドル外傷群で有意に高く,頭部AISスコアは非ハンドル外傷群で有意に高かった。搬送経緯では,現場からの直接救急搬送は非ハンドル外傷群で,転院搬送はハンドル外傷群で有意に多かった。【考察】自転車ハンドル外傷は外力がハンドルの先端に集中するため,外見以上に重篤な深在性内臓損傷を伴うことが多いが,受傷機転などから過小評価されるケースがしばしばある。自転車ハンドル外傷の予防としては,自転車ハンドル先端の形状を工夫する,腹部への防護服を装着するなどが挙げられる。【結語】小児自転車ハンドル外傷は深部臓器の損傷を伴いやすく,初療における慎重な診断が求められる。
症例報告
  • 大槻 郁人, 高桑 一登, 佐藤 順一, 高橋 広巳, 荒川 穣二
    2013 年 24 巻 11 号 p. 941-946
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    症例は慢性血液透析中の83歳の男性。意識消失のため午前2時に当院へ救急搬送された。搬入時の血糖値は22mg/dlと低値であり,50%ブドウ糖を20ml静脈内投与した。血糖値は128mg/dlへ上昇し意識状態の改善を認めた。糖尿病の既往はなく,精査加療目的に入院した。入院後10%ブドウ糖を20ml/hrで持続投与していたが,入院5時間後再度意識障害が出現し血糖値は32mg/dlと低血糖を認めた。内服薬についてかかりつけ医に問い合わせたところ,当院搬入10日前の透析中に心室頻拍が出現したため,透析患者には禁忌と認識していたが,危険な不整脈に対して使用する旨を本人に説明しコハク酸シベンゾリン(以下CZ)100mgを5回分頓用で処方していた。来院時には全て内服しており,CZによる薬剤性低血糖を疑い,より高用量のブドウ糖の持続投与を行った。ブドウ糖投与とともに血糖値は上昇し意識障害は改善した。第8病日に来院時のCZ血中濃度は1,330ng/mlと異常高値であることが判明し,CZによる低血糖と診断した。CZの血中濃度が中毒域を下回り,重篤な低血糖を来さなくなるまで5日間を要した。CZは透析で除去されにくいとされており,本症例も12日間の入院管理が必要であった。慢性血液透析患者におけるCZ中毒は低血糖などの副作用が遷延する可能性があり,入院による厳重な管理を要する。
  • 恩田 秀賢, 渡邊 顕弘, 松本 学, 橋詰 哲広, 金 史英, 布施 明, 横田 裕行
    2013 年 24 巻 11 号 p. 947-953
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    感染性心内膜炎(infective endocarditis: IE)は心内膜に感染巣を有する重症感染症のひとつであり,多彩な全身性合併症を呈する。今回脳出血で発症し,心エコーを繰り返すことで疣贅を認め,敗血症の原因であったため僧帽弁置換術となった1症例と,脳梗塞にて発見されたIEで,開頭術と開心術の順序選択と手術時期について熟慮を要した1症例を経験し,良好な転帰を得たので文献的考察を加えて報告する。症例1は57歳の女性。感冒様症状があり,その後中毒性表皮壊死症を来し,ステロイド大量療法および創処置を行った。その後40度台の発熱,意識障害を認め,頭部CTを施行したところ左頭頂葉に皮質下血腫を認め,開頭血腫除去術を施行した。第8病日に腹壁出血,脾梗塞,腎梗塞および下大静脈血栓症を認めたため下腹壁動脈分枝を塞栓し,下大静脈フィルタを留置した。第24病日に施行した頭部CTにて新たな脳出血を認め,左中大脳動脈末梢部分に脳動脈瘤を認めたが,1週間後に自然消失した。経食道エコーにて僧帽弁に疣贅を認め,感染性心内膜炎の診断が確定した。僧帽弁形成術を施行し,第80病日リハビリ目的に転医した。症例2は50歳の女性。発熱と倦怠感があり,近医に入院加療。意識障害および左片麻痺を認め,MRIにて右中大脳動脈閉塞に伴う広範な梗塞巣を認めた。心エコーにて大動脈弁右冠尖に疣贅を認め,重度心不全を呈したため,手術および全身管理目的に紹介入院となった。大動脈弁置換術を施行したが,翌日の頭部CTで梗塞巣の腫脹と正中偏位を認め,瞳孔不同も出現したため外減圧術を施行した。状態が安定しリハビリ目的に転医した。IEに脳神経系合併症を併発した2症例を経験した。合併症に対する治療を行いつつ,適切な手術時期を判断して,集学的加療を適確に行うことが良好な予後につながると考える。
  • 佐藤 智洋, 七戸 康夫, 硲 光司
    2013 年 24 巻 11 号 p. 954-958
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    深部静脈血栓症は肺動脈塞栓症など重篤な合併症を引き起こす疾患である。今回,深部静脈血栓症に伴う側副血行路破綻が原因と考えられた後腹膜出血を発症した症例を経験したので報告する。症例は75歳の女性。既往歴は脳出血。来院1週間前より左下肢の倦怠感と腫脹を自覚し,来院1日前に左腰背部痛が出現したため近医を受診したが,腰椎症と診断を受け,鎮痛薬を処方されて経過観察となった。翌日に左腰背部痛が増悪したため当院救命救急センターに救急搬送となった。来院時,軽度頻脈と左下肢にうっ血を認めた。CTにて左総腸骨静脈から左膝窩静脈にかけての血栓閉塞と左後腹膜血腫があり,静脈相で造影剤の血管外漏出を認めた。画像所見から左卵巣静脈からの出血が疑われ,経過観察入院となった。第2病日に貧血の進行と造影CTで再度静脈相における造影剤の血管外漏出を認めた。動脈性出血を考慮して血管造影を施行したが,明らかな活動性出血は認めなかった。そのため深部静脈血栓症に対する下大静脈フィルター留置と保存的治療を継続した。その後貧血の進行を認めず,左下肢の症状も改善したため転院となった。本症例では,後腹膜出血を引き起こすような明らかな外傷機転や凝固異常等は認めていない。臨床経過から深部静脈血栓症によって側副血行路の潅流圧が上昇し,左卵巣静脈の破綻により後腹膜出血を来したと考えられる。深部静脈血栓症患者の腰背部痛の鑑別に後腹膜出血を考慮する必要がある。
  • 津田 雅庸, 齊藤 福樹, 長谷川 峻, 原 克子, 小宮山 豊, 中谷 壽男
    2013 年 24 巻 11 号 p. 959-965
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    近年,脱法・合法ドラッグと呼ばれる薬物が若者の間で急速に広まり社会問題となっている。今回,脱法ドラッグ中毒で搬送され多彩な症状を呈したものの,薬物の同定,解析を速やかに行い得たことが治療に寄与した症例を経験したので報告する。症例は30歳の男性。友人らと飲酒し,脱法ドラッグを2-3ml経口摂取した。翌日昼に意識状態が悪化し,当院に搬送された。来院時意識レベル JCS 3であったが,直後に強直間代性痙攣を来したため気管挿管を行った。入院時,creatine kinase(CK),aspartate aminotransferase(AST),lactate dehydrogenase(LDH)の軽度上昇,低Na,低Cl血症を認め,血液ガスデータでは高度acidemia,lactateの上昇,血漿浸透圧の低下を認めた。その後CK,AST,LDHはさらに上昇し,第4病日にそれぞれ70,842 U/l,939 U/l,1,051 U/lと横紋筋融解症を示唆する値となったが,輸液負荷により改善した。摂取したものと同じ薬物の提供を得て,薬物の成分と体内動態をgas chromatography-mass spectrometry(GC/MS)法で解析した。その結果ドラッグの主成分はpyrovaleroneであることが判明した。患者の末梢血,尿中の濃度は搬入時 血中1.73μg/mlであったが第9病日には0.001μg/mlに低下, 尿中濃度も41.9μg/mlから0.108μg/mlに低下した。今回,脱法ドラッグ中毒の症例を経験したが,早期に原因物質を同定できたため中毒症状を類推でき,また血中濃度の低下を知ることで病状の改善を薬物動態的にも把握可能であった。脱法ドラッグ中毒患者でも時に重篤な経過となる可能性があり,慎重な治療が必要である。
  • 山村 英治, 船曵 知弘, 長島 敦, 北野 光秀
    2013 年 24 巻 11 号 p. 966-970
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    症例は4歳の女児。当科搬送2日前から嘔吐を繰り返し,搬送2日前に夜間小児救急外来を受診した。診察の結果,急性胃腸炎の診断で帰宅となった。翌日にも嘔吐を繰り返すため,近医小児科を受診した。同様に急性胃腸炎の診断となり,内服薬を処方されて帰宅となった。搬送当日の朝,意識のない状態を発見され救急要請となった。救急隊現場到着時は心肺停止状態であった。心肺蘇生を施行しながら搬送となった。病院到着時は心静止であった。気管挿管し,左脛骨から輸液路を確保し蘇生を継続した。病院到着後16分で心拍再開した。カテコラミンを使用し,血行動態が安定したところで原因検索のためにCTを撮像した。CTで胃の高度拡張,胃周囲に微小の腹腔内遊離ガス,腹水貯留を認めた。胃軸捻転を疑い,緊急手術の準備を進めていたところ,再度心肺停止となり,蘇生を開始した。しかし,治療に反応せず永眠した。胃軸捻転症が心肺停止の原因と考えられた小児の心肺停止症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 佐藤 孝幸, 仁科 雅良, 須賀 弘泰, 篠原 潤, 増田 崇光, 髙橋 宏之, 磯谷 栄二
    2013 年 24 巻 11 号 p. 971-975
    発行日: 2013/11/15
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    子宮留膿腫は子宮腔内の感染に子宮頸管の狭窄や閉塞が加わり,子宮腔内に膿が貯留する疾患であり,高齢者に多くみられる。今回我々は,子宮留膿腫に起因する敗血症性ショックから心肺停止に至ったが,適切な加療により救命することができた1例を経験したので報告する。症例は76歳の女性。突然の呼吸困難と発汗を認めたのち意識消失したため救急搬送となった。来院後心肺停止状態となり,心肺蘇生術により心拍再開した。心拍再開後,敗血症を呈していたため,腹部,骨盤CT検査による精査を行い,子宮内に膿瘍を認め,子宮留膿腫の診断に至った。子宮留膿腫による敗血症に対して経膣的ドレナージと集中治療を行った結果,後遺症を残すことなく救命することができた。高齢女性においては敗血症性ショックから心肺停止を来す可能性があり,鑑別診断に本疾患も念頭に置く必要があると思われた。
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