日本救急医学会雑誌
Online ISSN : 1883-3772
Print ISSN : 0915-924X
ISSN-L : 0915-924X
3 巻 , 6 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 呉 教東
    1992 年 3 巻 6 号 p. 415-427
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    頭部外傷に伴う凝固線溶異常の病態を明らかにするため,新しい凝固線溶系の分子マーカーを含む広範囲な検査を行った。対象は単独頭部外傷31例であり重症度に応じて3群に分けて検討した。来院時の重症度の指標として来院直後のGCSとICPを脳損傷の定量的指標としてCK-BBとNSEの血中濃度を,凝血学的検査としてPLT, PT, APTT, FDP, AT III, PLG, FBG, α2PI, DD, TAT, PICを測定し以下の結果を得た。(1)従来の凝血学的検査では異常値を示さなかった軽症から中等症の頭部外傷例においても,新しい凝固線溶系の分子マーカーであるTAT, PIC, DDでは明らかな異常値を示した。(2)凝固線溶系の活性化の程度は頭部外傷の重症度や臨床経過とよく一致した。とくに凝固系活性化の鋭敏な指標であるTATは来院時の重症度や転帰ともつともよく相関した。(3)脳損傷の定量的指標である血中NSE濃度とTAT, PIC, DDとの間に高い相関関係を認めた。(4)受傷直後は爆発的な凝固線溶亢進を示すものの,AT IIIやα2PIの減少は軽度であり凝固線溶系の破錠を来すことはなかった。(5)きわめて高度な凝固線溶系の亢進状態も第1病日以降急速に自然寛解した。以上より,頭部外傷に伴う凝固線溶異常はまず急激な凝固亢進が起こり,それに二次線溶の亢進が伴ったものであることが明らかになった。そのトリガーとして脳組織損傷に伴い組織トロンボプラスチンが血管内に流入することが考えられた。またこれらの凝固線溶系の活性化は頭部外傷の軽症例においても認められ,重症例では爆発的な凝固線溶亢進状態にあるにもかかわらず凝固線溶系の破錠を来すことはなく,その後急速に自然寛解するものであることが明らかになった。
  • 赤堀 道也, 石倉 宏恭, 谷口 智行, 北澤 康秀, 武山 直志, 田中 孝也
    1992 年 3 巻 6 号 p. 428-436
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    各種疾患によりその凝固線溶異常病態は異なる。今回代表的な疾患別にとくにthrombinantithrombin III complex(以下TATと略す),plasmin-alpha 2-antiplasmin complex(以下PICと略す)について,その他の凝血学的検査値として血小板,prothrombin time(以下PTと略す),antithrombin III(以下AT IIIと略す),alpha 2-plasmin inhibitor(以下α2-PIと略す),プラスミノーゲン,フィブリノーゲン,fibrin/fibrinogen degradation products E monomer(以下FDP-Eと略す),D-dimerを経日的に測定し各検査値間および重症度指数のAPACHE II scoreとの相関関係,それぞれの病態での特徴,差異について検討を行った。症例はmultiple organ failure(以下MOFと略す)7例,肝不全(重症型)8例,劇症肝炎6例,敗血症14例,血栓症6例,動脈瘤破裂6例,産科疾患3例,熱傷7例,外傷27例,acute promyelocytic leukemia(以下APLと略す)2例,その他28例の114症例で,disseminated intravascular coagulation(以下DICと略す)の合併は38症例に認めた。相関の検討では,TATとD-dimer以外は有意な相関はなく,また重症度指数のAPACHE II scoreとTAT, PICの間にも相関は認められなかった。各種疾患でのTAT, PICの平均値はそれぞれMOF 11.0ug/l, 0.8ug/ml,肝不全11.5, 3.1,劇症肝炎26.6, 6.3,敗血症15.0, 1.6,血栓症25.3, 7.1,動脈瘤破裂29.3, 2.6,産科疾患43.1, 5.7,熱傷23.8, 1.3,外傷36.0, 2.7, APL 162.9, 10.9,その他13.6, 1.8であり,DICの合併にかかわらず各種疾患において5型の凝固線溶異常状態に分類しえた。各種重症疾患では,すでに異なったさまざまな凝固線溶異常状態が存在しており,一つの包括したカテゴリーの凝固線溶異常としてDICをとらえるのではなく,各種疾患での凝固線溶異常病態の延長上にDICを位置づけ,病態の把握をしていくことが重要と考えられた。
  • 奥 憲一, Peter Safar, Fritz Sterz, Yuval Leonov, Samuel Tisherman, Walter ...
    1992 年 3 巻 6 号 p. 437-447
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    心停止後の脳および全身の代謝の変化は,複雑で不明瞭な部分も少なくない。われわれは,心停止後の蘇生に心肺バイパス装置(CPB)を採用した理想的な蘇生モデルを用い,動脈血(A)および全身と脳の混合静脈血〔肺動脈血(PA)と矢状静脈洞血(SS)〕における酸素(O2),糖(G),乳酸(L)を経時的に観察し,蘇生後の代謝変化を明確にするとともに,これら代謝産物の連続定量の臨床的意義を検討した。同一血統coonhound成犬8頭を対象に心室細動(VF)による12.5分の血流停止状態を作成し,短期間(2~3分間)のCPBによる蘇生後,24時間の集中管理を施行した。心拍出量(CO),頭蓋内圧(ICP)をはじめとした心脳血管系の圧変数をモニターし,A, PA, SSのO2およびA, SSのG, Lを経時的に定量した。心肺機能の変数では,COが蘇生後4時間目に約30%の減少が認められた以外は全経過を通じて安定していた。ICPは蘇生直後に軽度の上昇が認められただけであった。全身および脳における代謝の変数では全身の動静脈酸素含量較差はわずかの増加にとどまったのに対し,脳では蘇生後4時間目において最大で約2倍にまで上昇し脳酸素代謝/脳血流の不均衡が明確にされた。脳酸素抽出率(CeOER)は心停止前は0.34であったが,蘇生直後の血流増加期には0.06にまで一過性に低下し,ついで血流低下期には0.74と上昇し,蘇生後4時間目の脳における酸素供給の著しい低下が示唆された。嫌気性解糖反応の評価を目的とした酸素糖指標(OGI)や乳酸糖指標(LGI)は,糖の定量の著しい正確さが要求されるため,必ずしも汎用し得るものではなかった。その点,乳酸酸素指標(LOI)は算出が容易で,これを用いた検討では,蘇生後の脳血流増加期を含め2時間の上昇が認められた。以上の結果より,心肺蘇生後は,脳におけるOERは頭蓋外臓器のそれと比較して著しく高値を示し,脳への酸素供給が低下していることを示唆しており,LOIの変化もそのことを示唆していた。
  • 石川 隆一
    1992 年 3 巻 6 号 p. 448-455
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    外傷患者に発生する呼吸不全はどのような因子がその発生に関与するかを検討した。1984年より6年間に千葉県救急医療センターで治療を受けた外傷患者393例を対象に四肢骨盤外傷群(I群)144例,腹部外傷群(II群)71例,胸部外傷群(III群)98例,頭部外傷群(IV群)80例に分類し,損傷形態,重症度スコア,ショック持続時間,輸血量等を検討し,次のような結果を得た。(1)呼吸不全発生率はI群18.1%, II群26.8%, III群46.9%, IV群10%であった。(2) ISS,外傷指数APACHE IIはI群,II群,III群の呼吸不全例で有意差のある高値を示した。(3) I群とII群ではショック指数は呼吸不全例で有意差のある高値を示した。(4) I群,II群,III群ではショック持続時間が2時間を越えると呼吸不全発生率は著しく増加した。(5) I群では輸血量の増量とともに呼吸不全発生率は有意に増加した。(6) I群ではGCSの点数の下降とともに呼吸不全発生率は有意に増加した。(7) IV群における呼吸不全発生はいずれの因子とも関連がみられなかった。
  • 山下 雅知, 大城 直人, 慶田 喜信, 比嘉 司, 武島 正則, 平安山 英義, 当山 勝徳
    1992 年 3 巻 6 号 p. 456-460
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    1982年4月から1991年12月までに経験した胆石手術症例2,115例中,胆嚢結石急性胆嚢炎174例について,retrospectiveに臨床的検討を加えた。発症より手術までの期間により次の3群に分け,年齢,性別,臨床検査所見,手術時間,出血量,術後入院期間,総入院期間,合併症を比較検討した。(1)早期手術群:発症より3日以内に手術施行(65例),(2)中間期手術群:発症より4日以後29日以内に手術施行(93例),(3)待期手術群:発症より30日以後に手術施行(16例)。3群で年齢,性別,臨床検査所見,手術時間,出血量,合併症,術後入院期間に有意差は認められず,総入院期間のみ(1)群は(2)群よりも有意に短く,(2)群は(3)群よりも有意に短かった。急性胆嚢炎に対する早期手術は,安全に施行でき,総入院期間を短縮できると考えられた。
  • 村上 成之, 中村 紀夫, 谷 諭
    1992 年 3 巻 6 号 p. 461-470
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    二輪車交通事故における頭部外傷のメカニズムを検討する目的で,臨床情報をふまえて事故後回収したヘルメット120例について分析を加えた。臨床データから頭部外傷の程度によって負傷者を軽症,重症,死亡に分類した。また,障害の内容も細分しそれぞれの延べ数を求めた。ヘルメットは外表の観察にとどめず,切断して衝撃吸収ライナーとして使用されている発泡スチロールの状態も検査した。この方法によりヘルメットの損傷部位と程度を評価した。ヘルメットが事故に際し脱落したもの(脱落例)では脱落しなかったもの(非脱落例)に比べ障害が重症となる傾向を示した。局所性脳損傷は脱落例で多いのに対し,びまん性脳損傷は脱落例,非脱落例で明らかな差はみられなかった。ヘルメットの分析結果から衝撃の強さと方向を推定し頭部外傷の傷害内容と比較したところ,急性硬膜下血腫ではヘルメットの辺縁部に前後方向から衝撃を受けた場合に生じやすく,びまん性軸索損傷は円蓋部に横方向から衝撃を受けた場合に生じやすかった。脳組織の損傷メカニズムとして,実験的に回転外力でびまん性脳損傷が生じやすいことが証明されている。ヘルメットの円蓋部を打ったときにびまん性軸索損傷が多かったのは,ヘルメットの円蓋部への衝撃では頭部の重心より上部に外力が加わり,辺縁部への衝撃に比べ回転外力が生じやすいためと考えられた。急性硬膜下血腫,脳挫創,びまん性軸索損傷などの重症の脳外傷はヘルメットの損傷の強い場合が多かった。ヘルメットにそのような損傷を来す外力がヘルメットを着用せず直接頭部に加わっていたならば,さらに重篤な脳損傷を来して死亡していた可能性が強いと推定された。したがって,重症度の軽減の面からはヘルメットは十分に脳保護作用を発揮していると考えられる。
  • 長野 隆行, 金谷 春之, 古川 公一郎, 谷口 繁, 星 秀逸
    1992 年 3 巻 6 号 p. 471-475
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    生来健康でありながら,突然の発症で始まり24時間以内に死亡する突然死例を,中枢神経系疾患によるものについて検討した。当救急センターで10年間に中枢神経系疾患による突然死は85例であったが,その内訳は脳出血34例,くも膜下出血47例,脳梗塞4例とすべて血管性障害であった。突然死はその性質上,循環器系疾患に多くみられ,またその報告も多いが,中枢神経系によるものの報告は少なく,その特徴について検討した。
  • 森田 大, 中島 伯, 加藤 洋二, 福本 仁志, 西本 孝, 田邊 治之, 玄 武司
    1992 年 3 巻 6 号 p. 476-480
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    A 49-year-old man with pulmonary edema and cardiogenic shock due to acute inferior myocardial infarction was successfully treated with percutaneous transluminal coronary angioplasty supported by percutaneous cardiopulmonary bypass. Emergency diagnostic coronary angiography revealed nearly complete obstruction in segment (seg) 2 of the right coronary artery (RCA), 99% stenosis with delayed filling of contrast medium in seg 6 of the left anterior descending artery (LAD), and hypoplasty of the circumflex artery except in seg 12 with 75% stenosis. Both the LAD and seg 12 arteries provided fairly good collateral circulation to segs 3 and 4, while the septal branches of the LAD were poorly perfused by the conus branch of the RCA. The shock in this case was pathophysiologically characterized as pump failure of the functioning heart due to multivessel disease, which affected the infarcted but stunned inferior myocardium and the severely acute ischemic anterior myocardium. Percutaneous cardiopulmonary bypass support was instituted because of poor left ventricular function revealed by echocardiogram (ejection fraction≤30%) and the high risk of hemodynamic collapse during angioplasty in segs 2 and 6 even with the combined use of intraaortic balloon counterpulsation and administration of cathecholamine. It is concluded that cardiopulmonary bypass can safely be instituted percutaneously to hemodynamically stabilize a patient in cardiogenic shock and facilitate potentially life-saving emergency complex coronary angioplasty.
  • 吉田 一彦, 寺沢 秀一, 柏原 謙悟, 圓角 文英, 瀧波 賢治, 瀬戸 陽, 村田 秀秋
    1992 年 3 巻 6 号 p. 481-485
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Three patients with clinical and investigative features suggestive of septic cavernous sinus thrombosis are reported. Case 1: A 53-year-old woman developed headache, severe edema of the conjunctiva, proptosis and ophthalmoplegia with high fever following respiratory tract infection. CSF examination showed pleocytosis (11, 842/cmm; 49% polymorphs) and its culture revealed Streptococcus milleri. In spite of vigorous antibiotic treatment, she had hemiparesis and personality change as a sequela. Case 2: A 37-year-old man with a three-month history of dental infection developed high fever, proptosis and severe edema of the conjunctiva, and fell into coma. The spinal fluid contained 13, 672 white cells/cmm (91% polymorphs) with no sugar. He died on the 5th hospital day. Carotid angiograms of cases 1 and 2 demonstrated narrowing of the intracavernous portion of the internal carotid artery. Case 3: A 42-year-old man with a history of paranasal sinusitis developed headache, high fever, blephaloptosis and ophthalmoplegia. Plain skull radiograph showed opacity of the sphenoid sinus. The spinal fluid contained 764 white cells/cmm (49% polymorphs). In spite of antibiotic treatment, he died on the 13th hospital day. At autopsy the brain showed severe edema and the cavernous sinus contained pus. Culture of the pus revealed α-Streptococcus. We propose early diagnosis and aggressive antibiotic treatment of this disease.
  • 辻 英彦, 奥地 一夫, 金 永進, 朴 永銖, 飯田 淳一, 井上 恵介, 宮本 誠司
    1992 年 3 巻 6 号 p. 486-490
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    We present a case of traumatic dissecting aneurysm of the vertebral artery associated with fracture of the cervical spine. The patient was a 73-year-old man who received head and neck injuries in an automobile accident. He was immediately brought to our hospital by ambulance following a short period of unconsciousness. The patient became alert and was orientated at the time of admission. Slight swelling on the left side of the neck was noted. Neurological examination revealed left Wallenberg's syndrome and swallowing disturbance. Roentgenograms and cervical CT confirmed transverse fracture of the axis. CT scan showed no intracranial lesion and angiography demonstrated a dissection of the left vertebral artery. T2-weighted MRI indicated a high intensity area in the left lateral medulla. Ten days later, angiography was carried out again and showed complete occlusion of the left vertebral artery at the origin of the dissection. The patient's condition was stable during observation and anticoagulation therapy was carried out. He became asymptomatic after a few weeks. Traumatic dissecting aneurysm of the vertebral artery is rare, and its diagnosis is quite difficult. When cerebrovascular disorder is suspected after trauma, early diagnosis and proper treatment should be conducted prior to the onset of semi permanent neuro-deciduation.
  • 小笠原 英敬, 有田 和徳, 魚住 徹, 三上 貴司, 大谷 美奈子, 飯田 幸治, 河野 宏明
    1992 年 3 巻 6 号 p. 491-494
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    We describe a case of acute subdural hematoma, successfully treated by burr-hole opening and subdural tapping. The patient was a 55-year-old man who fell from the third floor of his house and suffered a head injury. On admission, he was semicomatose, and a computed tomography (CT) scan showed a right acute subdural hematoma and brain contusion. During preparation for the craniotomy, the patient's neurological state deteriorated. Transcranial Doppler (TCD) examination showed a decrease in mean flow velocity (MFV) in the right middle cerebral artery (MCA) and an increase in the pulsatility index (PI), which means an increase in intracranial pressure and a decrease in cerebral perfusion pressure. The patient was therefore subjected to burr-hole opening and subdural tapping in the right parietal region on the spot, and about 100ml of semiliquid subdural hematoma was drained off. At this time, the both MFV and PI according to TCD had improved. A craniotomy was then performed, and the subdural hematoma was totally evacuated. A postoperative CT scan revealed a contralateral epidural hematoma. Therefore a second craniotomy was performed, and the epidural hematoma was totally evacuated. After surgery, the patient's neurological condition improved to a confused state. Our experience in this case suggests that assessment of intracranial pressure by TCD and subdural tapping in the emergency room prior to craniotomy in the operating room, are beneficial in emergency cases of acute subdural hematoma.
  • 1992 年 3 巻 6 号 p. 496
    発行日: 1992年
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
feedback
Top