日本救急医学会雑誌
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6 巻 , 3 号
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  • 松村 憲太郎, 中瀬 恵美子, 川合 一良, 小河 一夫
    1995 年 6 巻 3 号 p. 211-222
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    心原性および敗血症性ショックで血中甲状腺ホルモンを測定し,視床下部-下垂体-甲状腺系の変化について検討した。また,ショックや慢性心不全を除いた一般心疾患群,急性心筋梗塞群,死戦期を含む慢性消耗性疾患末期群で甲状腺ホルモンを測定し,ショック群と比較することにより,ショック時の甲状腺ホルモン動態の特徴を明らかにした。急性心筋梗塞では低triiodothyronine(以下T3と略す)状態がしばしばみられ,血中thyroxine(以下T4と略す)およびthyroid-stimulating hormone(以下TSHと略す)低下の出現頻度は一般心疾患群に比し有意に高かった。心原性ショックでは血中T3 45±25ng/dl, T4 6.3±2.0μg/dlと著明に低下していた。敗血症性ショックや死戦期を含む慢性消耗性疾患末期も心原性ショック同様に甲状腺ホルモンの異常を示したが,血中T3は敗血症性ショックで25±15ng/dl,慢性消耗性疾患末期で33±25ng/dlと,心原性ショックよりさらに低下し,敗血症性ショックで最も低下していた。T4も敗血症性ショックで3.8±1.8μg/dlと最も低下していた。低T3状態はショックや慢性消耗性疾患末期のほとんどにみられた。敗血症性ショックでは低T4状態の出現頻度が76.7%と心原性ショックの33.3%に比し有意に高く,またTSHの低下も40%にみられ,多臓器不全(multiple organ failure,以下MOFと略す)を伴う敗血症性ショックでの下垂体-甲状腺フィードバック機構の破綻が示唆された。急性心筋梗塞における血中T3およびT4は予後と関係しており,死亡率はT3 50ng/dl未満で76.5%,低T4で70.6%,さらにT4 4.0μg/dl未満では全例死亡し,予後指標としてとくに血中T4値の有用性が示唆された。血中T3やT4は敗血症性ショックで最も低下し,低TSHの頻度も死戦期を含む慢性消耗性疾患の末期より有意に多く,一方,敗血症性ショックの死亡率が80%と高いことより,とくにT4やTSHの低下が死亡率と深く関係していることが推測された。
  • 土田 弘毅, 野々山 真樹, 木島 幹博, 松本 秀一, 渡辺 直彦, 添田 信之, 藤田 俊一
    1995 年 6 巻 3 号 p. 223-232
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    目的:来院時心停止,呼吸不全を伴う心原性ショック症例の心臓カテーテル所見からみた問題点の検討。対象と方法:対象は1989年1月から1993年12月の間の来院時心停止,または来院直後に心停止,呼吸不全を来した心原性ショック(BP 90mmHg以下)症例28例(同時期の心臓カテーテル症例4,299例の0.65%),男性19例:51~78歳(平均65.7±8.3歳),女性9例:61~81歳(平均74.1±6.3歳)であり,冠動脈疾患では梗塞責任冠動脈枝に対し緊急冠動脈内血栓溶解療法(以下PTCRと略す),経皮的冠動脈形成術(以下PTCAと略す),冠動脈バイパス術の治療効果について検討を行った。結果:診断は急性心筋梗塞症20例,心不全2例,急性大動脈解離2例,胸部下行大動脈瘤破裂1例,急性肺動脈塞栓3例(心筋梗塞症の冠動脈造影所見)。(1) 1枝病変2例(LADの閉塞),(2) 2枝病変9例(LAD+RCA: 5例,LAD+LCX: 4例),(3) 3枝病変(LAD+LCX+RCA) 7例であり,これらすべての症例は主要冠動脈起始部に近い部位の完全閉塞あるいは95~99%狭窄であった。(4)スパスム疑い2例(コロナリーインターベンション)。PTCR 11例,PTCA 10例,冠動脈バイパス術(以下CABGと略す)2例,大動脈内バルーンパンピング(以下IABPと略す)挿入は16例で施行。急性心筋梗塞20例の最終TIMI分類は0:9例,1:4例,2:1例,3:6例,TIMI分類0, 1, 2は14例全例病院死亡,TIMI分類3の6例中2例[スパスム疑いの1例とCABG (LAD+LCX)の1例]生存,4例死亡うち3例は多臓器不全と脳死が原因であった。心不全2例,大動脈破裂3例,肺動脈塞栓症3例はすべて病院死亡(全死亡率93%)。結論:冠動脈疾患による来院時心停止,心原性ショックの症例はLAD近位部高度狭窄ないし閉塞を合併している1, 2, 3枝病変が多い。これらに対しては緊急PTCR, PTCAなどにより責任冠動脈の再疎通を行わないかぎり救命は難しく,再疎通が可能であった症例でも心原性ショック,心停止に起因した脳をはじめとする多臓器不全を呈した症例の予後は悪い。
  • 豐田 徳雄, 西本 孝, 加藤 康之, 大野 正博, 福本 仁志, 冨士原 彰, 田嶋 定夫
    1995 年 6 巻 3 号 p. 233-239
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    鼻骨骨折は顔面骨骨折の約半数を占める頻度の高い骨折のひとつとされている。鼻骨骨折による変形は,顔面の中央に位置するため比較的軽微な変形でも患者に与える心理的苦痛は大きく,救急の現場での的確な診断と適切な初期治療が不可欠と思われる。しかしながら,鼻骨整復用に広く使用されているアッシュ型鉗子は平面で作用するため鼻背部湾曲面の整復には適さず,鞍鼻の矯正時にも新たな粘膜損傷を来したり,骨片間に鼻粘膜を嵌頓させて術後変形の原因となることがある。また整復後の内固定として鼻腔内タンポンを挿入するのは多発外傷などで呼吸器系に障害のある症例や顎間固定を行う症例の急性期にはリスクを伴う。目的・方法:われわれはアッシュ型鉗子のこれらの欠点を補う目的で改良を加え,(1)鞍鼻整復時に粘膜損傷を来さないよう一辺を鈍にした鼻中隔整復用鉗子と,(2)作用面を鼻背部の湾曲に添わせた曲面を有する鼻骨整復用鉗子の2種類の鉗子を作成し,鼻骨骨折整復術に使用した。整復術後は鼻呼吸を障害しない方法として,太さ1.2mmのキルシュナー鋼線を鼻背部皮膚外から上顎骨に向かって,鼻骨を裏面から支えるように刺入して内固定とした。結果:鞍鼻の整復に鼻中隔整復用鉗子を用いたところ鼻骨裏面にも作用点が及ぶため,鼻高の再建ばかりでなく鼻稜の形態を整えることも容易であった。鼻骨の整復においては鼻背部曲率に個体差と左右差があるものの,左右の鼻骨に異なる形状をもった鉗子を必要とせず,また症例によっても鉗子の曲率を変える必要はなかった。整復術後のキルシュナー鋼線による内固定は,刺入方向と深さを工夫することにより上顎骨に粉砕骨折があっても2~3本の鋼線で十分な固定性を得ることができ,術後出血がおさまった後に鼻呼吸を障害したと思われる例はなかった。
  • 松田 環
    1995 年 6 巻 3 号 p. 240-252
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    プレホスピタルケアの充実のため救急救命士法が制定され約2年が経過した。しかし,その成果を詳細に評価した報告はない。そこで救急救命士法運用後,当センターに搬送された院外心肺停止例の原因疾患,予後および救急救命士の活動内容を検討し,問題点を明らかにした。対象は1992年7月からの18ヵ月間に当センターに蘇生目的で搬送された院外心肺停止431例である。原因疾患は監察医務院での検死,剖検所見も参考にした。原因疾患は心疾患が47.3%と約半数を占めていた。目撃者は62.2%の例で認められ,その予後は目撃者のない例と比べ有意に良好であった。心肺停止の目撃者および発見者によって行われた初期発見者によるCPRは15.8%の例で行われ,その予後はCPRのなかった例と比べ有意に良好であった。このうち一般人によるbystander CPRは7.4%であった。院外心肺停止431例中,救急救命士対応263例(61.0%),一般救急隊員対応168例(39.0%)であった。予後は救急救命士対応例で来院時心拍再開例が多い傾向にあったが,両群間で有意差は認められなかった。救急救命士による特定行為の検討では約半数に器具を用いた気道確保が行われていた。血管確保は成功例が少なかったが,徐々に増加する傾向があった。除細動は38例に救急現場で施行され,病院到着前に6例(15.8%)が心拍再開し,早期に除細動された1例が社会復帰した。しかし現場到着後,除細動施行までに平均12.3分要していた。また医師への連絡の間に除細動適応が約15%の例でなくなった。早期除細動のために処置の手順や医師の具体的指示を必要とする法的規制の早急な見直しが必要である。その際,特定行為の正確な記録とそのチェック体制,より充実した教育体制の確立が必要である。救命率向上には,早期の119番通報や一次救命処置など一般市民への教育や啓蒙は不可欠である。また,気管内挿管や薬剤投与の処置拡大についても考慮する必要がある。
  • 黒木 一彦, 有田 和徳, 魚住 徹, 中原 章徳, 磯部 尚幸, 栗栖 薫, 大谷 美奈子
    1995 年 6 巻 3 号 p. 253-258
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Electroencephalography is required to make a diagnosis of brain death in Japan, and thus it is possible to differentiate brain stem death from brain death. Brain stem death has been recognized as a transient stage leading to total brain death. However, some authors have insisted that brain stem death has a different etiology from brain death. Brain stem death occurs under restricted conditions, such as when intracranial pressure is controlled, and supratentorial cerebral ischemia is prevented. An apnea test, in which breathing is assessed objectively by visual inspection of chest movement, must be performed to diagnose brain death. Here we report a case of spontaneous breathing detected using a spirometer in spite of brain death criteria being almost completely satisfied. A 68-year-old male was admitted with sudden onset of coma. A computed tomography (CT) scan revealed a large cerebellar hematoma and acute hydrocephalus. Bilateral ventricular drainage and barbiturate therapy were performed, however, since intracranial pressure was maintained under 20mmHg, the patient failed to meet the criteria for comatose on the Japan Coma Scale 300. The authors examined the patient for brain death 8 times before he was pronounced dead on day 137. The EEG was positive until day 45 and the atropine test was positive throughout. Moreover, even though brain death criteria were satisfied on day 117, spontaneous breathing was detected using a spirometer.
  • 上條 吉人, 構木 睦男, 守屋 裕文
    1995 年 6 巻 3 号 p. 259-263
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    A 61-year-old man developed physical signs (fever, headache, fatigue and loss of appetite) and neurological signs (delirium and ataxia) during his stay in a malarial area. Blood smears showed the presence of Plasmodium falciparum. He was treated with antimalarial agents (quinine, chloroquine diphosphate, etc.), and the clinical symptoms except ataxia subsided. As he became negative for malarial parasite, antimalarial agents were discontinued. However, he had a recurrence of delirium and exacerbation of ataxia. Treatment with psychotropic agents (haloperidol and flunitrazepam) induced recovery with no neurological residue. The delay between onset of the clinical signs of falciparum malaria and the second occurrence of delirium was 24 days. Diffuse capillary occlusion caused by parasitized erythrocytes, an effect of the parasite itself, drug effect and other infectious diseases could be excluded as the cause of the second phase of neurological signs. The most likely pathogenic mechanism was a delayed immune reaction, for example, immunologic damage to blood vessels due to immune complex deposition.
  • 内野 正文, 串田 剛, 大塚 隆嗣, 西川 秀人, 黒木 貴夫, 松元 幹郎
    1995 年 6 巻 3 号 p. 264-269
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    A case of eclampsia associated with cerebral vasospasms is reported. A 24-year-old woman experienced a generalized seizure a few minutes after vaginal delivery of an infant. She was immediately tranferred to our hospital. On admission, she was drowsy, and had an obvious right hemiplegia. Computed tomography (CT) revealed increased intracranial pressure and multiple low-density areas in the parietal and occipital lobe and in the basal ganglia. Magnetic resonance imaging (MRI) showed abnormal hyperintense lesions on T2-weighted images in the same areas as the CT findings. Cerebral angiography on day 10 showed multi-segmental vasospasm of both anterior circulation. CT performed on day 30 after delivery and the attack showed that all abnormal findings had resolved. The patient was discharged without any neurological deficits. The mechanisms of the eclampsia remain uncertain, vasospasm and cosequent cerebral ischemia are the main pathogenetic mechanisms of eclampsia.
  • 高桑 徹也, 遠藤 重厚, 中永 士師明, 谷口 繁
    1995 年 6 巻 3 号 p. 270-273
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Three unusual injuries of the cervical spine in wearers of three-point seat belts are reported. In two cases, the presence of bruising under the chin indicated their involvement in the mechanism of the injury. In the remaining one case, a seat belt might have been related to the injury because there was no other complication. The pattern of spinal injury and neck bruising suggest that the responsible flexion force was enhanced in some way by seat belt fixation at the mid-cervical region. We suggest that neck bruising should arouse suspicion of cervical spinal trauma.
  • 田中 裕, 石川 和夫, 西野 正人, 吉岡 敏治, 杉本 侃
    1995 年 6 巻 3 号 p. 274
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 坂井 哲博, 洪 浩彰, 大友 教暁, 工藤 明, 松木 明知
    1995 年 6 巻 3 号 p. 275
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 唐澤 秀治, 内藤 博道, 杉山 健, 上野 淳司, 金 弘, 畠山 郁夫, 井田 喜博
    1995 年 6 巻 3 号 p. 276-277
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 6 巻 3 号 p. 278-281
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 6 巻 3 号 p. 282-284
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 6 巻 3 号 p. 287
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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