日本救急医学会雑誌
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6 巻 , 4 号
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  • 山本 保博
    1995 年 6 巻 4 号 p. 295-308
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    「災害医療」と「救急医療」との決定的な相違点は,前者が限られた人的,物的資源のなかで,一時的かつ多数発生した傷病者を,一人でも多く救命しなければならないことにある。これには確実なトリアージが不可欠となる。限られた医療従事者に対して多数の患者が殺到し,周囲の状況が刻々と変化するなかで治療の中心となる救急医は,柔軟な対応が強く望まれる。大災害では,負傷者が同時に多数発生するため,単に各地域ごとに救急病院があるということだけでは対処しきれない。各省庁などの国レベルと都道府県,市町村レベルとの縦割り行政や消防署間などとのネットワークを円滑に機能させることが必須である。また,救出救助期では1分遅れると死者一人が増え,1分早ければ一人助かるといわれている。阪神・淡路大震災では県庁,市役所が被害を受け,そのうえ情報の混乱や交通渋滞も加わり,災害の初動における教訓は多かった。今回の大震災発生以降は,これまでほとんど顧みられることのなかった災害医学・災害医療について真剣な議論がなされ,具体的な取り組みの必要性が認識されるようになってきた。筆者はこれまでの多くの災害派遣経験を踏まえて災害医学の考え方,災害医療のあり方について述べてみた。
  • 森田 大, 河野 龍而, 黒岩 敏彦, 冨士原 彰
    1995 年 6 巻 4 号 p. 309-319
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage,以下SAHと略す)発症時の多彩な心電図変化はよく知られている。このうち,ST上昇を呈する症例の冠動脈所見ならびに左室壁運動に注目した報告はない。1988年10月から1994年2月に経験したSAH226例のうち21例(9.3%)に入院時心電図でST上昇が認められ,このなかの8例に検討を加えた(ST群)。対象は頭部CTにてFisherのgroup分類がST群のそれに類似し,入院時にST上昇を認めない5症例とした(C群)。冠動脈造影と左室造影は破裂脳動脈瘤確認造影時に引き続き,ST群はST上昇の持続している入院9.3±6.4時間に,C群は入院9.1±4.5時間後に行った。左室局所壁運動の解析にはcenterline法を用いた。ST上昇はST群全例にV4からV6誘導にみられた。ST群の冠動脈には攣縮や器質的病変による閉塞所見は認めなかった。ST群の左室心尖部の局所壁運動はC群に比べ有意に低下していた(-2.58±1.03 vs -0.45±1.61, p<0.04)。ST群の1例は入院2日目に死亡した。経過中の心超音波検査にて壁運動は回復傾向にあった。ST群のうち3例に発症3週後の慢性期冠動脈,左室造影を行ったところ,局所壁運動は急性期のそれに比べ改善していた(-3.15±0.10 vs -1.22±0.72, pp<0.05)。発症3週後の心電図ではST群5例にT波の陰性化と,その5例のうち3例に新たな異常Q波が認められた。C群ではT波の陰性化やQ波の出現はなかった。ST上昇を伴うSAH症例にみられた一過性の左室心尖部における壁運動低下は気絶心筋といえるが,その機序は不明である。
  • 石井 邦英, 坂本 照夫, 加来 信雄, 古賀 郁利子, 古寺 重喜, 神代 龍吉, 谷川 久一
    1995 年 6 巻 4 号 p. 320-328
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    C型肝炎ウィルス関連抗体検査(以下HCV抗体と略す)が導入されるまでの1977年から1989年10月までの間に,当センターおよび第2内科において経験した劇症肝炎急性型44例,同亜急性型13例,亜急性肝炎5例の合計62症例のなかで救命し得た症例は16例(救命率26%)である。そのうちで経過観察が行えた14症例(劇症肝炎急性型11例,同亜急性型1例,亜急性肝炎2例)について,諸種の肝機能検査やHCV抗体の測定などを実施し,現在の肝障害の有無などを検討した。対象とした14症例の発症から現在までの経過期間は3~15年で平均9.1年であった。現在のHCV抗体は14症例中10例(71%)と高率に陽性であり,HCV抗体が陽性の10症例中7例はHCV-RNAも陽性であった。慢性肝障害の存在は14症例中9例(64%)で認められ,そのうち8例はC型肝炎ウィルスが原因と考えられた。また,生化学検査や超音波検査と合わせて定期的に経過観察が必要と思われた症例は14例中11例で73%と高率であった。さらに総輸血量とHCV抗体との関連を調べると,3,500ml以上の血液製剤が使用された10症例中9例(90%)で非常に高率にHCV抗体が認められたが,3,500ml未満の4症例でHCV抗体が陽性を呈したものは1例(25%)のみで,総輸血量が多いほどC型肝炎ウィルス感染の危険性が高いことが示唆された。以上の結果より,C型肝炎ウィルス関連抗体検査が導入される1989年10月までに治療された劇症肝炎および亜急性肝炎の救命例は,長期的にみると高率に慢性肝障害を来しており,その原因は使用された血液製剤からのC型肝炎ウィルスの感染によるものと思われた。
  • 片岡 祐一, 相馬 一亥, 大和田 隆
    1995 年 6 巻 4 号 p. 329-336
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    近年,増加傾向にある気管支喘息発作による発作死患者の病態を知る目的で,気管支喘息により来院時心肺停止状態であった患者26人(心肺停止群)を,重症気管支喘息のため人工呼吸管理を必要とした患者25人(対照群)と比較し,背景因子や臨床経過,病態生理などの差異について検討した。両群間で性比,年齢,通院治療歴,大発作入院歴,24時間以内の緩解発作の既往などの背景因子に差は認められなかった。来院までの経過は,心肺停止群では通報時12人(46.2%)が意識清明であったにもかかわらず,救急隊現場到着時20人(76.9%)の患者が心肺停止状態となっていた。一方対照群では,来院時22人(88.0%)に意識障害を認めたが,全例血圧は維持されていた。気管内挿管時の動脈血ガス所見では,心肺停止群は高度の混合性アシドーシスであったのに対し,対照群は呼吸性アシドーシスのみであった。症状出現から人工呼吸開始までの時間および治療開始後,気管内挿管時のPaCO2が半減するまでの時間は,心肺停止群でそれぞれ106±31min, 132±34minで,対照群の322±62min, 591±173minに比べ,ともに有意に短時間であった(p<0.01)。また症状出現から人工呼吸開始までの時間の分布も,心肺停止群は1時間以内が17人(65.4%)を占めていたが,対照群は1時間以上が17人(68.0%)占めていた。以上より心肺停止群は症状出現後急速に増悪し,きわめて短時間のうちに心肺停止に陥っているが,治療開始後の換気の改善もきわめて速い。心肺停止となる気管支喘息発作は,病態生理学的に発症機序が異なることが考えられ,わが国において急速に心肺停止に至る気管支喘息発作患者を減少させるためには,発症機序の解明とともに病院に来院するまでの対策が重要と考えられる。
  • 中西 加寿也, 平澤 博之, 織田 成人
    1995 年 6 巻 4 号 p. 337-348
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    目的:種々の侵襲に対する過剰な生体反応が組織酸素代謝の失調を来し,細胞障害に続いてさまざまな臓器に障害を引き起こすことが知られている。そこでわれわれは胃粘膜内pH (gastric intramucosal pH,以下gastric pHiと略す)を測定,既存の指標と比較し,重症患者における組織酸素代謝について検討を加え,その失調に対する対策についても若干の検討を加えた。対象と方法:対象は1992年9月より1994年9月までに当救急部ICUに入室した症例の38例である。gastric pHiの他に,酸素供給量係数(以下DOIと略す),酸素消費量係数,血中lactate濃度,動脈血中ケトン体比,osmolality gap, cellular injury score(以下CISと略す)を測定し比較検討した。結果と考察:gastric pHiはlactate, CISと有意の負の相関を示し,組織での酸素の需給バランスがくずれoxygen debtが存在した場合lactate上昇とともにpHiも低下し,続いて細胞障害が発生している可能性が示唆された。一方gastric pHiはDOIが高値を示す領域では有意の負の相関を示した。その理由として以下の二点が考えられた。すなわち第一点としてhyperdynamic stateであるほど細胞のoxygen demandもより増大しているため,それを満たすだけのoxygen uptakeがhumoral mediatorなどのために不可能となっているのではないかということと,第二点として既に不可逆的な細胞障害を生じているためではないかということである。以上より組織酸素代謝の状態を評価するためにはDOIの測定のみならず,組織でのoxygen debtの有無とその結果としての細胞障害の有無を監視することが重要である。gastric pHiは細胞でのoxygen debtを表す指標として有用で,経時的に測定することで組織酸素代謝の変化を早期に発見することが可能となることが示唆された。また組織酸素代謝失調の治療にあたっては,治療効果を判定する指標および最終目標としてgastric pHiは適切であると考えられた。
  • 横田 裕行, 川井 真, 加藤 一良, 益子 邦洋, 山本 保博, 辺見 弘, 大塚 敏文
    1995 年 6 巻 4 号 p. 349-354
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    受傷後24時間以内の脊髄外傷症例38例を対象として,受傷後2週間での神経学的な変化に注目し,MPSS大量療法の効果について検討した。MPSS投与群16例,非投与群22例に対し,画像診断と神経学的徴候を考慮して外科的あるいは保存的治療の選択を行うとともに,MPSS投与群の症例にはNASCIS IIの方法に準じたMPSSの大量療法を実施した。運動機能と知覚機能の評価はNASCIS IIの方法に準じて行い,両側14筋群に関する運動機能とC-2からS-5までの両側29髄節におけるピン痛覚,触覚に関する知覚機能を判定した。その結果,運動機能に関しては,受傷後2週間時において,MPSS投与群16例中3例にスコア2点ないし6点の改善が認められ,悪化例はなかったのに対し,MPSS非投与群22例では改善例はなく,2例においてそれぞれスコア15点および20点の悪化がみられた。知覚機能に関しても同様に,MPSS投与群でスコア1点ないし13点の間で5例に改善が認められ,悪化例はなかったのに対し,MPSS非投与群では,1例にスコア2点の改善が認められた一方,スコア1点ないし25点の間で5例に悪化がみられた。両群におけるこれら神経学的所見の改善に関する差は有意であり,今回の検討の結果から,神経学的所見の悪化に対応すると考えられている二次的脊髄損傷を最小限に止める目的で,MPSSを受傷後可能な限り早期に大量に使用することは有用であることが示唆された。
  • 森山 忠良, 寺本 成美, 米倉 正大, 藤井 秀治
    1995 年 6 巻 4 号 p. 355-361
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Skull restoration after decompressive craniectomy, in the past, employed primarily various plastics and metals. Autogenous calvaria have less often been preserved for delayed reimplantation. It is generally agreed that the autogenous bone flap would be superior to any artificial materials available if it could be used in cranioplasty. Therefore, we conducted cranioplasty in 5 cases using cryo-preserved autogenous bone. We assessed several factors, including histological changes, postoperative changes in skull morphology and the incidence of infection. Autogenous bone fragments removed aseptically at craniotomy were stored for 1 to 3 months at -85°C, an ultralow temperature, and returned to room temperature before use. We were able to follow-up the postoperative behavior of the transplanted bone roentgenographically. In addition, histopathological evaluations were conducted on bone flaps. In the roentgenographical observations, most cases showed mild bone resorption. In the histological deviations of the bone flaps, mild osteocyte changes were noted. No post-operative infections occurred. Therefore, we consider the method reported herein to be a simple procedure and cryo-preserved autogenous bone to be satisfactory for cranioplasty.
  • 石田 岳史, 松田 昌三, 小山 隆司, 栗栖 茂, 大藪 久則, 柴田 正樹
    1995 年 6 巻 4 号 p. 362-365
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    We report an unusual case of a 63-year-old man supposedly bitten by a mamushi, who developed shock, bleeding diathesis and serious hematemesis at an early stage. About 10 minutes after the mamushi bite, he fell into shock transiently, and 2 hours later, continious bleeding from the bite wound and an injection site was observed. This platelet count decreased markedly to 1.3×104/mm3 resulting in serious hematemesis. Four hours after the bite, we injected Agkistrodon halys antivenin (6, 000U) with methylpredonisolone sodium succinate 500mg and the bleeding from the bite wound and hematemesis improved remarkably. Twelve hours after the bite, the platelet count had increased to 27.1×104/mm3, and the patient had recovered from the bleeding diathesis. Mamushi bites are sometimes complicated by DIC (disseminated intravascular coagulation) as a result of massive tissue necrosis, however, there was severe thrombocytopenia and bleeding diathesis in this case, even though the local swelling and muscle necrosis were not serious. It is very important to closely monitor patients after mamushi bites, and mamushi antivenin should be used early without hesitation when these complications are observed.
  • 菊地 充, 遠藤 重厚, 荒川 直志, 山田 裕彦, 鈴木 智之, 谷口 繁, 葛西 猛
    1995 年 6 巻 4 号 p. 366-367
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 6 巻 4 号 p. 370-372
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 6 巻 4 号 p. 373-376
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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