日本救急医学会雑誌
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6 巻 , 6 号
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  • 大友 康裕, 益子 邦洋, 加藤 一良, 横田 裕行, 辺見 弘, 山本 保博, 大塚 敏文
    1995 年 6 巻 6 号 p. 631-640
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    目的および方法:外傷性大腸穿孔に対して,一期的に修復するか人工肛門を造設するか,その選択に関してはなお議論の多いところである。今回過去18年間に当救命救急センターで大腸全層の修復を施行した49例を前期(1975~1984年)22例および後期(1985~1993年)27例に分け,retrospectiveに分析し,一期的修復の適応拡大の可能性および各risk factorの転帰に与える影響について検討した。結果:1) 前期,後期の平均ISSは,それぞれ23.1±11.7, 23.4±10.1であり,ほぼ同等の重症度であった。また受傷機転も鈍的損傷・刺創が,それぞれ前期11・10(銃創1),後期13・14であり,この点においてもほぼ同様の傾向にあった。2) 人工肛門造設症例は,前期12/22(55%),後期4/27(15%)と有意な(p<0.005)減少を示した。一方,一期的修復症例も,前期10/22(45%)から後期22/27(81%)に著増(p<0.01)した。3) 死亡率,合併症発生率は,前期から後期でそれぞれ3/22 (14%)→2/27(7.4%), 14/22(64%)→10/27(37%)と改善を示した。4) 前期,後期を通して死亡症例はすべて人工肛門造設症例であり,とくに後期の2死亡例はいずれも開放性骨盤骨折合併直腸損傷であった。5) 後期一期的修復22症例のうちショック合併6例・膵損傷合併2例・左半結腸損傷7例・開腹遅延(24時間以上)3例・大量輸血(10単位以上)5例が含まれていたが死亡症例はなく,また縫合不全などの重篤な合併症も認めなかった。これらの各risk factorのうち,合併症併発群・非併発群に有意な差を認めたのは大量輸血(p<0.01)のみであった。結語:以上の結果から,従来人工肛門造設の適応と考えられていた上記risk factor合併症例においても,安全に一期的修復が施行されており,術式選択に際してこれらを考慮する必要はないと考える。今後の人工肛門造設の適応としては,低位直腸損傷や開放性骨盤骨折合併例に限られるが,大量輸血症例では感染性合併症の発生頻度が高い傾向にあるので術後注意を要すると思われた。
  • 呉 教東, 鵜飼 勲, 多田 正知, 桑 敏之, 鴻野 公伸, 杉野 達也, 小林 久
    1995 年 6 巻 6 号 p. 641-652
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    これまで脳挫傷を伴う重症急性硬膜下血腫に対しては減圧開頭術が積極的に行われてきたが,術後の急激な脳腫脹,遅発性脳内血腫の発生などのため,その治療成績は未だ不良である。今回われわれは,特徴的な凝固線溶動態を含めた頭部外傷後の病態から新たな治療指針(積極的待機的減圧開頭術:受傷直後は穿頭血腫除去術と脳室ドレナージ術に留め,術後保存的な頭蓋内圧の調節が不可能になった時点で減圧開頭術を施行する)を提唱し,その有用性と問題点につき検討した。対象は来院時GCS8以下の脳挫傷合併硬膜下血腫症例のうち来院直後に開頭術または穿頭術を施行した23例である。来院直後に開頭術を施行した13例(I群)は減圧開頭術例10例(I a)と開頭術例3例(I b)に,来院直後は穿頭術のみに留めた10例(II群)は待機的減圧開頭術例6例(II a)と穿頭術のみの4例(II b)に分類し,凝固線溶検査,遅発性外傷性脳内血腫(DTICH)の有無,転帰につき比較検討した。来院時GCS, DTICH合併率は2群間に有意差を認めなかったが,II群の方がDTICHの合併は少なく,軽症に留まる傾向を示した。転帰をみると,I群は13例全例予後不良であり,I a群8例,I b群3例が死亡した。一方II a群は,DTICHを合併した4例中2例とDTICH非合併例2例は予後良好であった。II a群で予後不良であった2例はともに,DTICHとそれに伴う脳浮腫のため受傷後第2病日までに減圧開頭術を施行しており,術後脳腫脹は高度であった。来院時凝固線溶系検査とDTICH合併の有無との間に有意差は認めなかったが,α2プラスミンインヒビターはDTICH合併群でより低値をとる傾向を示した。以上の結果,脳挫傷を合併した重症急性硬膜下血腫に対する積極的待機的減圧開頭術は頭部外傷後の脳循環の変動,凝固線溶動態,DTICHの発生,脳浮腫の時期などからみて,安全で有用な治療指針であると思われた。
  • 瀧野 昌也, 藤野 和浩, 岡田 芳明
    1995 年 6 巻 6 号 p. 653-661
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    背景と目的:日本の「DOA」の治療成績は,bystander CPRの施行率の低さや病院到着前救急体制の立ち遅れのために,外国に比べて悪いといわれる。著者らは,それら以外にも内外の成績差を生じる原因があると考え,それを検証するために文献的研究を行った。対象と方法:1983年から1991年までに発表された院外心肺機能停止(OHCPA)または来院時心肺機能停止(CPAOA)に関する文献のうち,十分な症例数と情報のある国内14,外国23の論文を対象とし,bystander CPRの有無と病院到着前救急体制以外の予後因子,および生存退院に関する情報について国内外で比較した。治療成績の指標は生存退院率とした。結果:日本の文献では主にCPAOAを,外国ではOHCPAを扱っていた。原因疾患では,日本ではすべての疾患を含め,外国では大半で心疾患に限定していた。年齢は日本で若く,目撃者のある割合や,来院時の心室細動の割合に差はなかった。平均生存退院率は,日本のOHCPAで4%,CPAOAで3%,外国でそれぞれ9%と1%であった。外国ではOHCPA後に生存退院した例の93%は来院時に心拍が再開していた。日本では心疾患による心肺機能停止の生存退院率は6%であった。考察:CPAOAは,OHCPAから,その生存退院の大半を占める来院時に心拍が再開していた例を除いたものにほぼ相当する。ゆえに,CPAOAの生存退院率がOHCPAより悪いのは当然である。また,日本では予後のとくに悪い鈍的外傷や脳血管障害などをも対象としているので,心疾患が大部分を占める外国よりも,治療成績は悪い方に偏る。年齢の差は原因疾患の違いで説明できるが,治療成績の差の原因とは考えにくい。結論:日本の「DOA」の治療成績が,外国の急性心肺機能停止の治療成績よりも悪いのは,来院時心肺機能停止を対象とし,原因疾患を限定していないことにも一因がある。
  • 北村 伸哉, 平澤 博之
    1995 年 6 巻 6 号 p. 662-672
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    目的:SIRSの概念および診断基準が臓器不全発症のearly warningとなると考え,SIRSの予後と病態につき検討を加えた。対像と方法:1990年より1993年までに当ICUに入室した922症例を対像にSIRS発症率,MOF合併率,転帰につきretrospectiveに検討し,またSIRS持続日数とMOF発症までの日数を検討した。つぎにSIRSの病態生理を検討するために,消化器外科術後患者においてresting energy expenditure/basal energy expenditure (EE/BEE), cellular injury score (CIS), interleukin 6 (IL-6),過酸化脂質(LPO)血中濃度を測定し,SIRSおよびnon-SIRSにおいて各parameterの術後第一日目の数値を比較した。さらにSIRSから臓器不全へと進展する病態を解明すべくnon-SIRS, SIRS生存例,SRIS死亡例において入室後のIL-6血中濃度の推移を比較した。結果:対象922例のうちSIRSは63.7%を占め,このうち14.3%にMOFが合併,SIRSの14.0%が死亡した。一方non-SIRSではMOF合併例は1.2%,死亡例は1.2%であり,SIRSはnon-SIRSに比しMOFの合併率,死亡率ともに有意に高かった。non-MOFにおけるSIRS持続日数は平均4.0日であったが,MOF発症までのSIRS持続日数は8.2日であった。non-SIRSおよびSIRSおいて入室時の各parameterを比較するとCIS, LPOでは各群とも低値を示したが,EE/BEE, IL-6の比較ではnon-SIRSに比しSIRSは有意に高値を示した。さらにIL-6の推移の比較ではnon-SIRSはICU退室まで低値をとり続けた。SIRS生存例では速やかに低下しSIRSは鎮静化した。一方,死亡例ではIL-6高値が遷延し,SIRSから離脱することはなかった。考察:SIRSは過剰に産生されたhumoral mediatorにより引き起こされ,細胞障害を起こすほどではないが,今後,臓器不全に陥る危険性を秘めた状態にあると考えられた。また臓器不全の予防の見地から,持続するSIRS症例ではcytokineを含むhumoral mediator対策の重要性が示唆された。
  • 平田 一仁, 久島 昌弘, 安里 浩亮, 本竹 秀光, 平安山 英盛, 眞栄城 優夫, 仲本 昌一
    1995 年 6 巻 6 号 p. 673-682
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    目的:発症直後(6時間以内)の急性大動脈解離の臨床像を明らかにし,診断を困難にする要因について検討する。対象:過去13年間の90症例(A型50例,平均年齢67歳,男/女=16/34,B型40例,62.6歳,23/17)のretrospective study。結果:最も重要な背景因子は高血圧症でA型33例(66%),B型28例(70.3%)に認められた。来院時主訴はB型では39例(97.5%,胸背部痛30例)が痛みを主訴としていたのに対し,A型では36例(72%,胸背部31例)にすぎず,17例は突然のcollapseを主訴としていた。来院時収縮期血圧はA型で有意に低く(93.5±30.1 vs 167±36.1mmHg),25例(50%)は90mmHg未満のショック状態であった。合併症はA型45例(90%,タンポナーデ23,大動脈弁閉鎖不全19,末梢動脈閉塞15,冠閉塞8他)に対し,B型9例(末梢動脈閉塞5,腎虚血3他)であった。心電図上,急性ST-T変化はA型の27例(55.1%),B型の9例(22.5%)に認めた。CT,エコーでの確診はA型32/37(86.5%),29/44(65.9%),B型37/39(94.9%),12/24(50%)であった。全体としてCTまたはエコーでA型の90%,B型の100%で確定診断を得た。A型の39%,B型の22.4%に急性期診断の問題を認め,心疾患,消化器疾患,脳血管障害などとの鑑別を要した。診断問題群における年齢,性,来院時血圧,四肢動脈閉塞,縦隔拡大,心電図変化,心不全,意識障害,タンポナーデ,大動脈弁閉鎖不全,痛みの有無の頻度は,診断に問題がなかった群と有意な差を認めなかった。結論:初期診断の問題とは,最初に診断に携わった医師が大動脈解離を疑うか否かの問題である。きわめて多彩な臨床像が初期診断を困難にしているが,突然の胸痛,意識障害,原因不明のショックなどでは必ず大動脈解離を念頭に置くべきである。
  • 黒木 一彦, 有田 和徳, 栗栖 薫, 中原 章徳, 大庭 信二, 大谷 美奈子, 魚住 徹
    1995 年 6 巻 6 号 p. 683-688
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Acute brain swelling often occurs following external decompression but only rarely following drainage of cerebrospinal fluid (CSF). How can we predict acute brain swelling before external decompression or CSF drainage? It has been suggested that the mechanism of acute brain swelling involves an increase in cerebral blood volume (CBV) but this remains uncertain. A patient with acute brain swelling following head injury in whom intracranial pressure (ICP), jugular venous oxygen saturation (SjO2), and transcranial Doppler sonography (TCD) were serially monitored is presented, and the mechanism is discussed. A 17-year-old man was admitted to the emergency room following a traffic accident on a motorcycle. He was comatose with a score of 6 on the Glasgow coma scale. Pupils were anisocoric, and brain stem reflexes were absent except for the cough reflex. Computed tomography showed traumatic subarachnoid hemorrhage and acute hydrocephalus. Initial TCD showed that the brain was hyperemic. The ICP had increased to 50mmHg, despite barbiturate therapy. Therefore ventricular drainage was implemented via the anterior lateral ventricle to decrease ICP. Ventricular drainage was opened while ICP, SjO2, TCD were being serially monitored. At 4 minutes 30 seconds after opening the drainage, ICP suddenly increased, and SjO2 simultaneously decreased rapidly. There were no changes in TCD waveform during the first 4 minutes, change, indicating the absence of any significant increase in CBV. At that point ICP suddenly increased to 60mmHg, and the TCD waveform changed to systolic flow. Subsequent CT clearly revealed brain swelling. After that the ICP continued at 60∼70mmHg, but the SjO2 increased from 20% to 80%, and then decreased to 20% again. During the next stage, the SjO2 continued at 80∼90%. These changes were explained in terms of alternating periods of relative brain ischemia and brain hyperemia. Hyperemia and intracrnial hypertension were suspected prior to drainage, based on serial monitoring of TCD, ICP, and SjO2 upon admission. Presumably the sudden increase in cerebral perfusion pressure under these conditions caused the acute brain swelling. When brain hyperemia is suspected, it is important to control ICP gradually.
  • 今泉 均, 金子 正光, 丹野 克俊, 曽ヶ端 克哉, 杉山 善朗, 西風 脩, 古屋 悦子
    1995 年 6 巻 6 号 p. 689-694
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    There have been few studies on mental stress caused by natural disasters from a neuroendocrinological viewpoint. In this study we examined five patients with physical injures as a result of the Hokkaido Nansei-oki earthquake and tsunami and evaluated stress over a two-week period after the disaster. Blood cortisol and catecholamines (epinephrine, norepinephrine, and dopamine) were measured as indices of acute stress reaction, and urine 17-OHCS, 17-KS-S and 17-KS-S/17-OHCS ratio, often used to evaluate psychosocial stress, were also measured as indices of “wear and tear”, “repair and recovery”and “distortion of adaptation”, respectively (the former two expressed as creatinine ratio, all three expressed as percentages of the mean values in a healthy 25-year-old group). Serum cortisol was increased in two of the five patients only on the 4th day after the disaster, while plasma catecholamines remained within normal limits. 17-OHCS increased (over 100%), 17-KS-S clearly decreased (below 50%), and the 17-KS-S/17-OHCS ratio markedly decreased (far below 50%) during the observation period in all of the patients, who experienced continuous mental and physical distress throughout the period. This reveals that disasters create intensive mental stress in which long-term care is indispensable to mental and psychological recovery, as well as physical recovery.
  • 川股 知之, 今泉 均, 本田 亮一, 田宮 幸彦, 佐藤 守仁, 浦 信行, 金子 正光
    1995 年 6 巻 6 号 p. 695-700
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    A 49-year-old woman with severe shock and metabolic acidosis was transferred to our hospital. She had no cardiac disease. The patient had been treated with salazopirine, steroid and parenteral hyperalimentation at a local hospital for ulcerative colitis for 3 years. One week ago, she experienced bilateral abductor paralysis. When the steroid dosage was decreased 2 days ago, she developed sudden shock and consciousness disturbance. Large-dose steroid therapy was administered, but her hemodynamic state failed to improve. On admission, her hemodynamics and metabolic acidosis deteriorated despite administration of large-dose catecholamines, sodium bicarbonate and fluid resuscitation. The patient showed characteristic clinical signs of shoshin beriberi, such as abductor paralysis, malnutrition and low output syndrome (LOS), and the cause of the shock was suspected to be shosin beriberi due to long-term parenteral hyperalimentation without vitamins. The patient was therefore put on assisted circulation by intra-aortic balloon pumping (IABP) and vitamin B1 (thiamine) therapy. Immediately after starting IABP, her hemodynamics, metabolic state, oxygenation and level of consciousness improved dramatically. Six hours later, her hemodynamics had stabilized, and administration of adrenaline was discontinued. The next day, she was weaned from IABP, and five days later, the patient was discharged from the ICU without any complications. It is concluded that IABP is useful in patients with catecholamine-resistant LOS such as shoshin beriberi until efficiency of the fundamental therapy.
  • 松島 康, 藤田 明, 鈴木 光, 山本 弘, 大塚 十九郎, 渡辺 明, 加藤 治文
    1995 年 6 巻 6 号 p. 701-702
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 6 巻 6 号 p. 721-726
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 6 巻 6 号 p. 727-735
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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