日本救急医学会雑誌
Online ISSN : 1883-3772
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8 巻 , 12 号
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  • 定光 大海, 前川 剛志
    1997 年 8 巻 12 号 p. 637-649
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    内頸静脈血酸素飽和度(internal jugular venous oxygen saturation; SjvO2)の測定は,脳循環・代謝の総和を反映する持続モニターであり,(1)動脈血酸素飽和度(SaO2), (2)脳酸素消費量(cerebral metabolic rate for oxygen; CMRO2), (3)脳血流量(cerebral blood flow; CBF), (4)ヘモグロビン(Hb)により変化する。SjvO2の持続モニタリングにはオキシメトリーシステム,すなわち光ファイバーを利用した分光光度法を用いる。超音波ドプラー法や胸鎖乳突筋三角部アプローチにより,血液酸素飽和度の連続測定が可能なカテーテルの先端を内頸静脈球部に留置して測定する。正確な連続測定のためには6~8時間毎に採血してCO-oxymeterで酸素飽和度を測定し,オキシメトリーの測定値を修正するin vivo較正を行う。カテーテルは,一般に優位灌流側とされる右内頸静脈に留置するが,優位灌流側は個体差や病態により変わり得る。SjvO2の正常値は55~75%(成人)で脳低酸素の閾値は50%とされるが,過換気によるCBF低下,内頸静脈球部血と脳静脈洞血との較差,SjvO2低下の持続時間などを考慮する必要がある。SjvO2の有用性を検討するため,脳循環・代謝に関係する指標や因子であるcerebral circulatory index (CCI), CMRO2, CBF, PaCO2,動脈血pH (pHa), cerebral perfusion pressure (CPP),およびcerebral vascular resistance (CVR)との相関を正常人において検討した。その結果,SjvO2はCCIとよく相関(r=0.95)し,CMRO2 (r=0.68), CBF (r=0.56), PaCO2 (r=0.51)ともある程度の相関関係がみられた。一方,pHa, CVRとの相関はよくなく,CPPとの相関(r=0.26)が最も低く,これは脳血流に自己調節能が存在するためである。また,SjvO2と近赤外分光法による脳組織ヘモグロビン量との比較では脳循環のCO2反応性でよい相関を示した。種々の病態におけるSjvO2の変化は貧血,低体温,麻酔薬,人工心肺時,頭部外傷,その他の頭蓋内病変,蘇生後脳症などで検討されている。SjvO2は重症頭部外傷患者で最もよく研究され,血圧上昇に応じてSjvO2が上昇する症例では脳循環の自己調節能が消失している。また,び漫性脳損傷後6時間以内にSjvO2が50%以下を示した症例は予後不良であり,SjvO2によりある程度の予後予測が可能である。以上の知見から,脳指向型患者管理における治療方針をSjvO2と頭蓋内圧で分類した。SjvO2は全脳におけるCMRO2とCBFのバランスの指標であり,その変化の原因となる脳循環・脳代謝の生理学的背景や病態生理を把握できれば,持続SjvO2測定は脳指向型集中治療において有用なベッドサイドモニターとなる。
  • 射場 敏明, 八木 義弘, 木所 昭夫, 福永 正氣, 永仮 邦彦, 工廣紀 斗司
    1997 年 8 巻 12 号 p. 650-658
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    敗血症では比較的早期から過凝固状態が存在するが,これには単球/マクロファージや血管内皮細胞におけるtissue factor (TF)の表出による外因系凝固の活性化が考えられている。今回敗血症症例において血中のTFおよびその阻害作用を持つtissue factor pathway inhibitor (TFPI)の測定を行い,臓器障害やDICとの関連性を検討した。さらにインターロイキン6 (IL-6),好中球エラスターゼ(PMN-E),トロンボモジュリン(TM),エンドセリン1 (ET-1), thrombin antithrombin III complex (AT III), plasmin-α2 plasmin inhibitor complex (PIC)とTF, TFPIとの関係も検討した。対象はSIRSの基準を3日間以上連続して満たした敗血症38例で,このうち20例では臓器障害はみとめられず(SIRS群),10例はDIC以外の臓器障害を合併し(MODS群),8例はDICを含む多臓器障害を合併した(DIC群)。結果:DIC群におけるTFレベルは254.2±144.1pg/mlでMODS群やSIRS群よりも有意に高値であった。DIC群におけるTFPIも同様に,その他の群に比し有意に高値をとっていた。そして,TFは血管内皮の障害の指標であるTMやET-1と比較的高い相関を示したが,IL-6やPMN-E, TAT, PICとの間には相関はみられなかった。一方,TFPIではTMやET-1に加えIL-6やPMN-Eとの正相関もみられた。TF, TFPIとも凝固・線溶の指標したTAT, PICとの相関はみられなかった。結語:TFやTFPIは敗血症時に血管内皮の障害に伴って血中に放出され,DICのような内皮障害が高度である状態で高値を示すものと考えられた。しかしTFの分布はばらつきが大きく,TFPIは変動が軽度であるため重症度指標としての有用性には疑問が残った。
  • 広瀬 保夫, 岩松 宏, 本多 拓, 高橋 直也, 田村 紀子, 百都 健
    1997 年 8 巻 12 号 p. 659-664
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    We describe magnetic resonance imaging (MRI) findings of the syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone (SIADH). A 48 year-old man had been involved in a traffic accident and was admitted to our hospital. He was diagnosed as having a slight cerebral contusion and bone fractures in his bilateral lower extremities. His head injury was treated conservatively and his course was uneventful. Eight days after admission his consciousness deteriorated although the computed tomography was markedly improved. His laboratory data showed hyponatremia associated with continued urinary sodium loss and persistent secretion of vasopressin with markedly low plasma osmolality. The patient was diagnosed with SIADH and was treated with fluid restriction, sodium infusion and demeclocycline. T1-weighted MRI of his pituitary gland showed the absence of the high intensity signal of the posterior lobe. The high intensity signal appeared narrowly when his symptoms and hyponatermia improved, and disappeared when his symptoms and hyponatremia deteriorated. The high intensity signal observed with T1-weighted MRI of the normal posterior pituitary reflects an intact and functional neurohypophyseal system. This case suggested that neurosecretory vesicles were decreased despite high plasma vasopressin levels in SIADH patients.
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