日本乳癌検診学会誌
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13 巻, 1 号
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  • 石田 常博
    2004 年 13 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 大内 憲明
    2004 年 13 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    数ある癌検診の中で, 国際的に厳しく評価を受けながら, その有効性が示されてきたのは乳癌検診といえる。1960年代後半から, 無作為化割付比較対照試験 (RCT) 等の科学的根拠に基づく検証が多く実施されて, 現在, 世界の乳癌検診の基本はマンモグラフィによる検診となっている。しかし, 国際的には50歳以上がマンモグラフィ検診の対象とされ, 49歳以下における有効性は確立されたとはいえない。本講演では, 世界の乳癌検診の現状を国際乳癌検診ネットワークのデータを基に示し, 米国における最近の乳癌死亡率減少効果を示した。
    罹患率は, 欧米では60~70歳代にピークがある一方で, 日本では40歳代が最も高く, 50歳未満女性への適切な導入が急がれる。40歳代は乳腺密度が高く, この年代に精度の高いマンモグラフィ検診を実施するには, 検診施設のみならず撮影技師, 読影医師の個人の評価が欠かせない。
  • 古妻 嘉一, 遠藤 登喜子
    2004 年 13 巻 1 号 p. 18-19
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 郷地 英二, 福田 護, 中島 康雄, 八十島 唯一, 久保内 光一, 萩原 明
    2004 年 13 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    【目的】横浜市では平成13年10月よりマンモグラフィ併用検診を開始した。平成15年3月31日までの受診者は18,417人である。今回われわれはこの検診成績を報告する。
    【対象と方法】満50歳以上の偶数年齢の女性を対象に, 触診とマンモグラフィ (内外斜位像一方向) を併用した。視触診を先行し, 視触診で異常所見を認める場合は検診マンモグラフィを撮らずに医療へ移行することとした。マンモグラフィの読影は二重読影とした。
    【結果】検診における要精検率は12.6%, 乳癌発見率は0.28%であった。要精検率・再撮率は平成13年度後期に比し, 平成14年度は低下していた。乳癌が発見された53例のうち, 視触診で異常なしとされていた例は17/53例 (32.1%), 一次読影で良性とされていた例が11/53例 (20.8%) あった。
    【考察】視触診で異常がない受診者から乳癌が17例見つかっており, マンモグラフィ併用検診の有用性が示された。二次読影で乳癌の20.8%が発見され, 二重読影が有用であった。経時的に検討すると, 乳癌発見率が変わらないのに比し, 要精検率・再撮率が減り, 検診の質が向上したと考えられた。
  • 前田 基一, 澤崎 邦廣, 荒川 文敬, 島多 勝夫, 清水 哲朗, 石庭 敦子, 原 慶子, 大倉 敬子, 森田 修行, 前田 昭治
    2004 年 13 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    富山県は, これまでの超音波 (US) 併用検診に代わり, 平成13年度よりマンモグラフィ (MMG) 併用集団検診を開始した。富山県35市町村すべてが参加し, MMG装置5基を3台の検診車に搭載して, 30歳以上の女性を対象とし, 40歳以上の受診者は全員MMG併用検診を行った。今回, その成績と精度管理上の問題点を検討した。それまで減少していた受診者数は平成13年度36,278人, 平成14年度39,122人に増加し, 年度別の要精検率は5.9%, 4.8%, 発見癌数は88人, 75人, 癌発見率は0.24%, 0.19%であった。癌発見率は50歳以上では0.26%と高率で, 40歳代も0.17%でUS併用検診 (0.08%) よりも高率であった。早期癌の比率はUS併用検診62.8%に対し, MMG併用検診が67.3%と高く, とくに非浸潤癌の比率が飛躍的に増加し, MMG併用検診はきわめて有効な検診方法であった。平成14年度の発見癌のうち18人 (24%) は前年度のMMGでチェックされておらず, 原因として読影者の見逃しや撮影条件の不備などがあった。当センターの読影は20組のダブルチェック方式で行っているが, 要精検率が2.7~24.6%, 癌的中率が0.6~13.3%と読影医問でかなり差を認めた。年に2回の読影医, 放射線技師など関係者ほぼ全員が参加する検討会を開催し改善をみたが, 良質の画像に基づいた正確な読影を維持するために絶えず精度管理の見直しが必要である。
  • 笠原 善郎, 田中 文恵, 市橋 匠, 広瀬 真紀, 城崎 彦一郎
    2004 年 13 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    福井県では平成13年11月よりマンモグラフィ併用検診を開始し, 平成14年度のマンモグラフィ併用検診受診者総数2,314名, 発見乳癌数11例, 乳癌発見率0.48%と良好な成績であったが, 要精検率が16.1%と高率であり, 精度管理上の大きな問題点として指摘された。
    福井県のマンモグラフィ検診は検診バスによる分離併用A方式で, 読影は比較的経験の少ない第一読影医16名と, 経験豊富な第二読影医6名がダブルチェックし, 独立して判定しているが, 一人当たりの読影数が少ないこと, 第一読影医へのフィードバックがないこと, 症例検討や再読影システムがないことが原因として推測された。この対策として, (1) マンモグラム読影勉強会の開催, (2) 第一読影医へのフィードバックシステムの整備, (3) 読影医個人別の読影結果の通知公表などの取り組みを行い, 要精検率の低下を見た (16.1%から11.5%) 。これらの取り組みを組織的に継続施行することで, 診断精度の向上に努めたい。
  • マンモグラフィ併用検診における視触診の精度管理について
    岡崎 邦泰, 山本 泰久, 園尾 博司, 小谷 秀成
    2004 年 13 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    乳癌検診には早急に解決しなくてはならない2つの大きな問題がある。検診の精度管理と受診率の向上の問題である。
    マンモグラフィと視触診の併用検診 (マンモ併用検診) では, マンモグラフィと視触診それぞれの精度管理が必要になる。マンモグラフィの精度管理はマンモグラフィ検診精度管理中央委員会 (The Central Committee on Quality Control of Mammographic Screening) の講習会ならびに資格試験により, 多くの認定医が誕生し, 全国で活躍している。一方, 視触診の精度管理は放置されたままであった。2000年から岡山県医師会では医師会会員を対象にした視触診検診の精度向上を目標にした3回, 計6時間の基礎講習会を開始した。現在までに講習受講者は1, 2回を含め約1,000名に達した。
    2001年から基礎講習会終了者による視触診検診が始まった。癌発見率は岡山県全体では0.05から0.13%にアップし, 岡山市では0.05から0.17%にアップした。医師会会員に対する基礎講習会は重要で, その効果は大きいと考えられた。
    今後, 受診率の向上には地域の医療を担当する, かかりつけ医を中心にした検診のシステムを構築することが必要である。そのためには地域の医師会会員の乳癌検診に対する努力が必要である。
  • 飯沼 武, 大貫 幸二, 大内 憲明, 遠藤 登喜子
    2004 年 13 巻 1 号 p. 47-57
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    [目的] 40-49歳の日本人女性における2年間隔マンモグラフィ併用検診が乳癌死亡にどのくらい寄与するか定量的に評価すること。
    [対象と方法] 3つの同一の集団が存在すると仮定し, 各群は10万人の日本人女性40-49歳で構成されているとする。第一群は2年間隔のマンモグラフィ検診を受診, 第二群は1年間隔のマンモグラフィ検診を受診し, 第三群には検診を実施しない。この3つの集団における乳癌死亡数を飯沼が開発した癌検診の数学モデルを適用して求め, 第一群と第三群間, 第二群と第三群間の乳癌死亡に対する相対リスク (RR) とリスク差 (RD) を算出し, この検診の有効性を評価する。
    [結果] 第一群/第三群のRRは0.66, RDは10.6人/10万人, 第二群/第三群のRRは0.57, RDは14.8人/10万人であった。1年間隔検診は2年間隔検診に比して, 有効性は高いが, 2年間隔検診も十分な有効性を保持していると考えられる。
    [結論] 40歳代の日本人女性に対する2年間隔マンモグラフィ併用検診は検診不実施群と比較して, 乳癌死亡における相対リスク (RR) が0.66, すなわち34%の死亡率減少を達成しえることを示した。1年間隔検診はより有効である可能性があるが, 今後は費用効果分析などの別の観点からの評価が必要である。
  • 大貫 幸二, 石田 孝宣, 武田 元博, 椎葉 健一, 松野 正紀, 川名 聡, 菊地 敦子, 渋谷 大助, 大内 憲明
    2004 年 13 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    乳癌検診を行うに際しては精度管理が必須である。検診のアウトカムの指標として, 乳癌発見率が有用であるかにつき検討した。
    対象は, 平成11年から14年の宮城県対がん協会における50~69歳の受診者延べ37,758名。受診歴別に検診成績を把握し, 宮城県がん登録における罹患率と比較した。
    マンモグラフィ併用検診の初回受診者における乳癌発見率は0.31%, 隔年受診者の乳癌発見率は0.17%であった。隔年受診発見乳癌数を2年間の罹患予想数で割ると94.3%となり, これは, 以前報告した本検診の感度95.0%とほぼ同程度であった。
    繰り返し受診者においては, 乳癌発見率から検診の感度推定が可能である。発見率や早期乳癌比率を, 初回受診者と繰り返し受診者に分けて検討することが, その検診の精度を評価する上で重要であると考える。
  • 古妻 嘉一, 遠藤 登喜子, 岩瀬 拓士, 大貫 幸二, 永井 宏, 東野 英利子, 角田 博子, 大村 峯夫, 増田 慎三, 中谷 守一, ...
    2004 年 13 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィ (MMG) 読影講習会でのアンケート調査より, MMG検診の精度管理を検討し報告してきた。調査は, 平成12年3月 (大阪1) から開始し, 平成15年3月末 (秋田2) までに, 49講習会にて実施した。講師に対するアンケート調査は, 平成13年2月から始め, 29講習会にて行った。今回は, 平成14年1月から平成15年3月末までの, 26講習会での調査を基に, 講習会を企画する際の注意点について解析した。講習会ランク分け, 精度管理クリアの基準, 講習会精度クリアの判定も従来通り, 試験評価A+B取得率にて行った。26講習会のランク内訳は, α講習会11, β講習会15で, γは0であった。精度クリア率は, α講習会64% (7/11), β講習会67% (10/15) で, 合計では65%であった。
    前回の報告では, 平成13年9月から平成14年3月末までの, 11講習会での精度クリア率は82%であったのに比し, 著明に悪化していた。講習会受講前の読影勉強などを十分に行った場合は, 講習会により読影力の向上が見られること, 受講医師の施設の技師が, マンモグラフィ技術講習会を受講している場合には, 受講医師の用語とカテゴリー理解への戸惑いが解消されやすく, 戸惑いがあっても試験評価良いとの結果であった。アンケートのコメントには, 直接読影試験に反映しない講義は不要との回答が多く見られるようになっている。企画者には, 講習会は試験の認定資格を得るためではなく, 検診の精度管理上必要で, 講習会前の準備読影会や, 講習会後の勉強会も設定し, 有効な乳がん検診につながる講習会を企画してくれることを希望する。
  • 古妻 嘉一, 遠藤 登喜子
    2004 年 13 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 霞 富士雄, 福田 護, 野末 悦子, 島田 菜穂子
    2004 年 13 巻 1 号 p. 75-82
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 角田 博子
    2004 年 13 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • Contrast-Detailファントムによる研究
    高木 理恵, 東田 善治, 坂本 祐二, 畑農 博英, 野田 由比子, 桑原 里依, 井出口 忠光, 豊永 真紀子, 田中 勇, 熊澤 誠志 ...
    2004 年 13 巻 1 号 p. 88-96
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    アモルファスシリコンを検出器に用いた平面検出器と増感紙ーフィルム系を用いて, 同一線量でC-Dファントムを撮影した。撮影したC-Dファントムを8名で観察した。観察者には, 50%の確信レベルで, ファントムに含まれる信号を検出するよう依頼した。観察結果から8名の平均のC-D曲線を作成した。また, C-D曲線から画質指数を計算して, ディジタル画像とフィルム画像の信号検出能を比較した。C-D曲線とIQFの結果から, フルディジタルマンモグラフィはフィルム画像にくらべて優れていることが明らかになった。
  • 山崎 美樹, 那須 繁, 山崎 昌典, 田中 勇, 野村 純恵, 森 寿治, 古賀 淳
    2004 年 13 巻 1 号 p. 97-104
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィ (MMG) と超音波検査 (US) を併用した乳癌検診において, 両側乳癌2例を含む87症例の乳癌が発見され, うちMMGで検出できなかった20例, USにて検出できなかった13例について検討した。MMG非検出20例中11例は精検時のMMGでもまったく描出できず, 描出できた9例中3例も病変部位をスポット撮影することにより, ようやく描出できたもので, 検診時のMMGでの検出は困難と考えられた。残りの6例は, ポジショニングや充分な圧迫に注意することにより, 検診時のMMGでも検出可能であったと考えられた。一方, 精検時USが実施されなかった1例を除く, US非検出12例中5例は精検時のUSでもまったく描出できず, 描出できた7例中5例も病変部位を把握した上で走査することにより, ようやく高輝度点状エコーを検出できた非浸潤癌ないし一部のみ浸潤した乳頭腺管癌症例で, 検診時のUSでの検出は困難と考えられた。残りの2例は検診時のUSでも検出可能と考えられた腫瘤を呈した浸潤癌症例であった。
    以上の結果から, 検診時MMGにて検出困難と考えられた症例は14例 (全発見癌病変の16.1%), 検診時にUSにて検出困難と考えられた症例は10例 (同11.5%) であった。
  • 土屋 十次, 浅野 雅嘉, 立花 進, 川越 肇, 熊澤 伊和生, 名和 正人, 右納 隆, 下川 邦泰
    2004 年 13 巻 1 号 p. 105-113
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    15年間のUS併用検診において, 集検例は50歳未満の群でも50歳以上の群と同様に, 外来例に比して有意に良好な累積生存率を示した。また, 集検例の50歳未満と50歳以上で見ると, 乳癌発見率, 感度, 特異度はほぼ同率であるが, 50歳未満では50歳以上に比して, 要精検率, 有自覚症状率が有意に高く, 陽性予知度が有意に低かった。
    集検例は外来例に比して有意に腫瘤非触知が多く, 有意に小腫瘤径で, n因子, tnm病期が有意に早期を示した。組織型については, 集検例は外来例に比して非浸潤癌症例が有意に多いものの, 浸潤性乳管癌と非浸潤癌組織亜型の比率で有意差を認めなかった。これらの結果から, US併用検診が良好な生存率を示すのは乳癌を早期に検出するためであり, 悪性度の低い乳癌ばかり検出しているからではないことが示唆された。
    US併用検診ではUS所見のみで検出された非触知乳癌症例が26.6%を占めていた。50歳未満はその乳腺の硬さから非触知乳癌症例が30.2%を占め50歳以上に比して多く, その69.2%が浸潤癌症例であった。視触診検診のみの検診ではこれらはすべて見落とし例となるので, 厚生労働省が推奨する乳房撮影併用検診において視触診検診のみの対応とされている50歳未満の若年受診群に対して, 安全で有効なUS併用検診を導入することを提言する。
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