日本乳癌検診学会誌
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13 巻, 3 号
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  • 城下 尚, 小山 徹也, 石井 英昭, 伊藤 秀明, 清水 和彦
    2004 年 13 巻 3 号 p. 243-248
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 野末 悦子, 島田 菜穂子, 沢井 清司, 福田 護, 霞 富士雄
    2004 年 13 巻 3 号 p. 249-257
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    わが国では残念なことに乳癌患者およびその死亡率が依然として増加し続けている。一般女性が乳癌についてどう考え, どう行動しているかを探り, 乳癌死亡率を下げるには今何が必要かを見出す目的で, われわれは乳房健康研究会としてアンケート調査を行った。
    調査対象は首都圏30km圏内および愛媛県内の30~60歳代の女性680名で, 2002年10月から2003年2月にかけて郵送により行い, 回収率は95.9%で, 首都圏325名, 愛媛327名の計652名から回答を得た。
    乳癌に対する意識の高いのは若い世代, 30歳代から40歳代で, 50歳代から60歳代では低かった。周囲に乳癌体験者がいるものは6割近くに及んでいる。早期発見の重要性についての認知度は高い。乳癌検診のために受診する科は産婦人科が1位である。
    自己検診についての認知率は90%を超えるほど高いが, 実際に行っているものは36.3%と低く, 中でも毎月実施しているのはわずかに15.8%という低さである。しない理由は「さわってもわからない」「やりかたがわからない」などである。乳癌情報を得るルートは友人やマスコミなどからが多く, 医師からは少ない。
    乳癌死亡を減少させるには, 乳癌に関する情報を一層積極的に流通させ, 正しい検診方法についても熟知徹底させる必要がある。
  • 熊倉 香, 角田 博子, 負門 克典, 中村 清吾, 櫻井 健司, 堀 三郎
    2004 年 13 巻 3 号 p. 258-264
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    当院では, 1999年4月マンモグラフィ併用乳癌検診が導入されたが, 導入当時, 独自の判定基準を用いていたことなどもあり, 要精検率が高く問題があったため, 2002年4月よりシステムを改革した。すなわち, (1) 判定基準をマンモグラフィガイドラインに準じたものに改訂, (2) 精度管理中央委員会の定める資格をもった放射線科読影医によるダブルチェックシステムの導入, が主な改革点である。その効果を知るために, 2001年度 (旧システム) にマンモグラフィ検診を行った4,709人と, 2002年度 (新システム) に行った4,555人を対象に, Breast Imaging Reporting and Data System;BI-RADSの示すマンモグラフィ検診精度管理の目標数値を算出し, 比較検討したところ, 要精査者中の陽性反応適中率 (旧 : 新=1.5% : 10%), 細胞診・針生検施行者中の陽性反応適中率 (旧 : 新=13.3% : 60.5%), 1,000人中癌発見数 (旧 : 新=2.1人 : 5.6人), 要精検率 (旧 : 新=14% : 5.5%) が, システム改革後, 有意差をもって改善し, stage0 またはstage I乳癌症例およびmini-mal cancerの発見率も上昇した。
    判定基準が正しく改定され, 乳腺専門放射線医が参画しチェックシステムが改革されたことにより, マンモグラフィ検診の精度が向上した。検診上の精度管理の重要性が再認識された。
  • 小田原 記子, 大貫 幸二, 原田 雄功, 斉藤 千晴, 針生 一恵, 高橋 久子, 鈴木 昭彦, 島田 剛延, 西野 善一, 松野 正紀, ...
    2004 年 13 巻 3 号 p. 265-271
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィ併用検診において, マンモグラフィ読影結果で精密検査が必要となり呼び出される場合がある。今回, そのような受診者における心理的影響や社会的影響を調査し, 看護職としての役割を考えた。
    平成14年2月から7月までにダブルチェックのマンモグラフィ読影結果により, 当協会の乳腺クリニックへ精密検査のため呼び出された受診群146名 (呼び出し群) と初回の経過観察群72名を対象として, 診察前後にアンケート調査を行い両群問を比較した。
    精密検査を告知されてから睡眠障害および仕事や家事の効率の落ちた人の割合は, 呼び出し群で有意に多かった。不安などの変化に関してはSTAI (state-trait anxiety inven-tory, 状態-特性不安尺度) のうち, 状態不安尺度を用いて診察前後の心境をスコア化した。診察前の不安は呼び出し群でより強かったが, 診察後は両群とも有意に不安が減少し, 両群間で差はなくなった。呼び出し群が検査のために犠牲にしたこととして「仕事を休んだ」「検査へ来るために家族が送ってくれた」「不安な毎日を過ごした」等の回答を得た。また, 呼び出し群が当協会を往復するために176分, 当協会で119分の計295分 (約5時間) を費やしていることが判明した。
    看護職は, マンモグラフィ読影結果により精密検査のため呼び出された受診者の心理的, 社会的負担を理解するとともに, その負担を少しでも軽減できるように受診者に接することが必要である。
  • 森島 勇, 角田 博子, 東野 英利子, 鯨岡 結賀, 太田 代紀子, 植木 浜一, 田枝 督教, 村上 穆
    2004 年 13 巻 3 号 p. 272-278
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィ併用検診の読影判定においては, 原則として比較読影を行うべきであるとされているが, 各自治体において必ずしも全例に比較読影ができる環境が整っているとは限らないのが現状である。今回, 茨城県総合健診協会で行われている分離併用, 異時二重読影のシステムにおいて, 比較読影が必要としたもののみに対してフィルムをとりよせ比較する方式で, 2001年7月からの6ヶ月間に読影した2,890人を対象に比較読影の頻度・内容・結果についての検討を行った。要精査は115例, 4.0%, 乳癌検出は12例, 0.42%であった。比較読影を依頼したのは57例であり, 経年受診者1,317人の4.3%に相当した。比較を行うことにより, 要精査の候補146例 (5.1%) から実際の要精査115例 (4.0%) に絞込みがなされていた。比較して要精査とした26例中2例の癌が検出されていた。比較して精査不要とした31症例の中から2年間の経過中に癌発生の報告はない。比較読影を必要とした症例の所見別検討では, 局所的非対称陰影が一番多く約2/3を占めていた。比較読影で経時的変化をみることにより, 要精査を減らす効果と的確により強く癌を拾い上げる効果とが認められ, その有用性が検証された。実施の現場では全例の比較読影は困難なことも多く, 必要最低限の比較を行う本システムでの方式は, 一つのあり方となりうると示唆された。
  • 渡邉 清, 白石 嘉博, 柳田 幸恵, 林 裕人, 岩波 洋
    2004 年 13 巻 3 号 p. 279-288
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    【目的】「乳房撮影精度管理マニュアル」叢書を基に, 定期の品質管理マニュアル (手順書) を作成し, 本業務の時間短縮を図る。
    【対象・方法】対象 : 定期の品質管理チェックリスト (約18項目) とした。方法 : 各項目のマニュアルの作成にはエクセルを使い, その検索にはアクセス入力フォーム (アクセス) を用いた。
    【結果】エクセル (エクセル関数) は式の計算と合否判定から試験者を開放し, アクセス入力フォームは各マニュアルの検索を容易にした。さらに定期の品質管理に要する時間を大幅に短縮した。
  • 小野 治子, 甲斐 倫明
    2004 年 13 巻 3 号 p. 289-297
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    【目的】乳癌腫瘍の成長数理モデルを用いてマンモグラフィによる乳癌検診のシミュレーションを行い, 検診開始年齢および検診間隔の違いによる乳癌罹患者の平均余命延長効果への影響を調べ, 相対リスクについて計算し比較検討した。
    【方法】シミュレーションにはHart (1998) らの乳癌腫瘍成長モデル, Fournier (1980) らが測定したダブリングタイム (腫瘍倍増時間) の値を使用し, 乳癌腫瘍成長モデルにおける個人差や年齢の違いを考慮した。ある年齢集団における潜在的乳癌罹患者の腫瘍サイズ分布は乳癌腫瘍成長モデルから理論的に導かれる確率分布モデルを用いて, 検診対象者の腫瘍サイズをサンプリングし, 検診対象者を受診率, 正診率, 生存率に応じて確率的に分類し, 生存すれば平均余命, 生存しなければ乳癌腫瘍成長モデルに従い増大し, 腫瘍がある大きさになるまでの年数を計算した。
    【結果・考察】平均余命延長効果は, 検診開始年齢40歳および検診間隔1年が最も大きかったが, その効果は受診率に最も影響を受け, 正診率には影響を受けにくいことが明らかとなった。検診間隔が2年に比べ1年がより効果があるためには受診率が80%以上と高くなる必要があることを示した。相対リスクの計算結果は, 正診率・受診率が80%の高率の場合で0.56となり, 欧米での無作為割り付け対照試験 (0.69-0.87) と同様に, 50歳以上を対象とする場合の死亡率減少効果が高かった。
  • 秋田 富二代
    2004 年 13 巻 3 号 p. 298-304
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    フィルム/スクリーンが主流であったマンモグラフィでも, デジタルマンモグラフィにおいてソフトコピーを用いた診断が臨床に使用され始めている。今回, FPDデジタルマンモグラフィにおけるソフトコピーとハードコピーという観察手段の違いおよび画像処理の有無によるファントム画像の視覚評価について研究した。ハードコピーと比較して, ソフトコピーは観察時の自由度が高いために高い視覚評価となり, 画像処理することで乳房厚の不均等が補正され, 視覚評価の結果が向上する。
  • 和田 博司, 池上 淳, 山崎 弘資, 北田 正博, 笹嶋 唯博
    2004 年 13 巻 3 号 p. 305-311
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Hormone replacement therapy (HRT) 中の乳癌検診法についてretrospectiveに検討した。
    方法 : 2001年3月から2004年3月までの間に開始されたHRT482例について定期乳癌検診を実施した。方法はHRT開始前に視診, 触診, ultrasonography (US), mammography (MMG) のmediolateral oblique (MLO) 一方向撮影, 開始後6カ月でUS検査および視・触診, 1年後にはMMG二方向撮影, US検査および視・触診を行った。
    結果 : 482例中5例に乳癌が発見され;診断後はHRTを中止した。全例stage Iの乳頭腺管癌で, いずれも乳房温存術が可能であり, 全例1年後検診で発見された。しかし, その中の2例はUSを含めた読影技術, 2例は撮影技術, また1例は穿刺細胞診技術向上によってはより早期に発見できた可能性が高いと思われた。
    結論 : MMG読影が未使用者に比し難しくなるといわれるHRT中の乳癌検診においては診断医と施設の技術向上がより一層望まれる。
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