当院では, 1999年4月マンモグラフィ併用乳癌検診が導入されたが, 導入当時, 独自の判定基準を用いていたことなどもあり, 要精検率が高く問題があったため, 2002年4月よりシステムを改革した。すなわち, (1) 判定基準をマンモグラフィガイドラインに準じたものに改訂, (2) 精度管理中央委員会の定める資格をもった放射線科読影医によるダブルチェックシステムの導入, が主な改革点である。その効果を知るために, 2001年度 (旧システム) にマンモグラフィ検診を行った4,709人と, 2002年度 (新システム) に行った4,555人を対象に, Breast Imaging Reporting and Data System;BI-RADSの示すマンモグラフィ検診精度管理の目標数値を算出し, 比較検討したところ, 要精査者中の陽性反応適中率 (旧 : 新=1.5% : 10%), 細胞診・針生検施行者中の陽性反応適中率 (旧 : 新=13.3% : 60.5%), 1,000人中癌発見数 (旧 : 新=2.1人 : 5.6人), 要精検率 (旧 : 新=14% : 5.5%) が, システム改革後, 有意差をもって改善し, stage0 またはstage I乳癌症例およびmini-mal cancerの発見率も上昇した。
判定基準が正しく改定され, 乳腺専門放射線医が参画しチェックシステムが改革されたことにより, マンモグラフィ検診の精度が向上した。検診上の精度管理の重要性が再認識された。
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