日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
Print ISSN : 0918-0729
ISSN-L : 0918-0729
15 巻, 1 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 光山 昌珠, 土屋 隆
    2006 年 15 巻 1 号 p. 3
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 森本 忠興, 福田 護, 岡崎 正敏, 遠藤 登喜子, 大内 憲明, 光山 昌珠, 佐野 宗明, 東野 英利子, 永井 宏, 土橋 一慶, ...
    2006 年 15 巻 1 号 p. 4-11
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    マンモグラフイ検診精度管理中央委員会 (以下, 精中委) は, 厚労省研究班で検討されたマンモグラフィ検診の精度管理システムを実践したものであり, 平成9年11月日本乳癌検診学会理事会で設置が決定され, 以後, 検診関連6学会の協力のもとにそのシステム作りがなされてきた。精中委には, 教育研修委員会と施設画像評価委員会の小委員会が設置された。平成11年3月から教育研修委員会, 平成13年4月から施設画像評価委員会が各々の活動を開始した。平成16年6月には内閣府からのNPO法人認証後, NPO法人登録を行い, 現在に至っている。
    NPO法人精中委定款では, 特定非営利活動に係わる事業として, (1) 医師・技師に対する教育研修・評価認定事業, (2) 検診実施機関・精密検査実施機関に対する評価認定事業, (3) 検診マンモグラムのコンサルテーション事業, (4) 検診啓発事業, (5) 患者団体との連携事業等がある。評価認定事業を行う教育・研修委員会および施設・画像評価委員会の活動状況をみると, 平成17年10月31日現在, マンモグラム読影医師, マンモグラフィ撮影技師, 各々5,589名, 4,731名が認定されている。また, 施設・画像認定施設は521施設 (548台) である。また平成17年10月には, 検診マンモグラムのコンサルテーション事業として, マンモグラム・レビュー委員会を設置した。
    今後の精中委の課題は, NPO法人格取得後のシステム整備はもちろんのこと, 都道府県の「精度管理システム」乳がん部会との連携を図ることが必要である。また, ワーキンググループで検討中である読影試験の認定基準の見直し, 読影部門・技術部門の5年更新の方法についての課題は, 早期の解決が必要である。精中委の特定非営利活動に係わる事業拡大, 特に検診マンモグラム判定に関する委員会として設置されたマンモグラムレビュー委員会の活動を開始したい。その他, 乳癌検診啓発事業や患者団体との連携事業の推進等を行う必要がある。今後, 本邦におけるマンモグラフィ検診の普及が図られ, 早い時期に本邦の乳癌死亡率減少の報告を期待したい。
  • 遠藤 登喜子, 岩瀬 拓士, 宇津野 栄, 大貫 幸二, 大村 峯夫, 木村 千明, 古妻 嘉一, 角田 博子, 寺田 央, 東野 英利子, ...
    2006 年 15 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    教育・研修委員会はマンモグラフィ検診の精度向上および維持のため, マンモグラフィの読影および技術講習会, 指導者研修会, 試験, フィルムリーディング, 技術セミナーを開催, 共催講習会には, プログラム, 運営などへの助言, 教材の貸与, 講師資格者の紹介, 委員参加による質の担保を行っている。平成17年度は, 読影講習会59回, 読影グレードアップ試験4回, 指導者研修会1回, フィルムリーディング4回, 技術講習会63回, 技術グレードアップ試験10回, 技術セミナーを開催, 受講者は2005年末現在, 読影部門7,711名, 技術部門8,006名, 修了認定者は各5,963名, 5,064名で, 仮に40歳以上の女性に2年に1回, カバー率50%の検診を講習修了者のみで行っても, 1人当り約3,000例の読影・1,800名の撮影と計算され, 医師・技師とも充足してきている。
    問題点には, 1) 過密な講習会による委員の時間的・精神的・体力的余裕の減少, 2) 進化し続けるマンモグラフィ技術および診断学の再教育・継続教育制度の停止, 3) 事務局機能の分散がある。委員会では, 読影部門には, 1) 5年毎の更新は必要で, 2時間程度の講義と100症例の読影および答合せを行う, 2) 評価が上がれば, 上がった評価を認定, 3) 評価は下げない, 4) 参加資格は評価B以上, 5) 5年毎の講習を受講しなかった医師はHPより削除, 6) 講師・準講師としての講習会参加の1回は自己チェック1回と同等, との提案事項を決議している。継続教育には, 二方向撮影フィルムの読影法やデジタルマンモグラフィに関する研修等があり, 検討ワーキンググループの早急な立ち上げを期待している。
  • 岡崎 正敏, 今村 惠子, 遠藤 登喜子, 大貫 幸二, 王丸 明子, 木村 千明, 篠原 範充, 寺田 央, 東野 英利子, 土橋 一慶, ...
    2006 年 15 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    施設画像評価委員会のこれまでの活動状況と今後の問題点について述べる。同委員会が書類審査, 画像評価 (ファントム画像評価, 臨床画像評価), 線量測定の総合評価により施設画像評価認定書を初めて発行したのは2001年7月31日であった。その後, 2005年10月までの4年4ヶ月間に施設画像評価は596台 (1施設複数台もあり, 評価後3年目の更新76台も含む) に施行された。当初の3年間はスクリーン・フィルムシステムのみの評価であったが, 2004年4月より一部ガイドライン改訂下で, 新たにデジタルマンモグラフィの施設画像評価およびスクリーン・フィルムシステムの再評価が開始された。デジタルマンモグラフィの評価は106台に施行され, うち評価Aが17台, Bが78台 (合格率89.7%) であった。スクリーンシステムの合格率は92%であった。問題点としては, 再評価施設では評価AがB, BがCへと低下した施設数がかなり認められる。再評価を含めて新規申込み施設数の伸び悩み, 技術講習会の講師への負担増加, 個人情報保護法への対応, 画像評価申込みの煩雑性, 等が挙げられる。
  • 佐野 宗明, 苛原 稔, 中島 康雄, 鈴木 隆二, 八木 浩史
    2006 年 15 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 光山 昌珠, 土屋 隆
    2006 年 15 巻 1 号 p. 31-42
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 大内 憲明, 辻 一郎
    2006 年 15 巻 1 号 p. 43
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 前田 彰久
    2006 年 15 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 2025年の定量的な予測
    飯沼 武
    2006 年 15 巻 1 号 p. 48-49
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    日本では2004年から40歳以上の女性に対する2年間隔マンモグラフィ併用検診が開始され, 本格的な乳癌検診がスタートした。しかし, その受診率はまだ低く, とても乳癌死亡率を減少させることにインパクトを与えるには至っていない。一方, 欧米諸国におけるマンモグラフィ検診は対象女性の70%を超える受診率を誇り, すでに乳癌死亡の減少という形で検診の効果が表れている。
    本研究では, 20年後の2025年までに日本人女性40~84歳の50%以上に2年間隔マンモグラフィ検診が普及すると仮定した場合に, わが国の乳癌死亡がどの程度減少するかを定量的に予測することを試みた。まず, 2025年の女性の人口と1998年の年齢別乳癌罹患率を使って求めた乳癌罹患数は全年齢で38,037人, 40~84歳で32,967人である。これに対し, 検診を実施しなかった場合には不介入群の死亡率として30%を仮定すると, 全年齢で11,411人の乳癌死亡が予想される。これに対し, 2年間隔のマンモグラフィ検診を40~84歳の女性に対して実施した場合の乳癌死亡を求めた。検診群の死亡率を17%と推定し, 対象の女性の100%と50%が受診したときの乳癌死亡数は, それぞれ5,070人と9,375人であった。不介入群に対する相対リスク (RR) は0.64と0.82, リスク差 (RD) は4,071人と2,036人となった。2025年までに厚労省の目標である受診率50%を達成する精度の高い検診を行えば, 乳癌死亡を18%減少させることが可能であることを示した。
  • 笠原 善郎, 広瀬 真紀, 市橋 匠, 田中 文恵, 城崎 彦一郎
    2006 年 15 巻 1 号 p. 50-55
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    乳がん検診の最終目標は乳がん死の減少であり, この目標達成のために必要なことは, 1) 明確な目標設定, 2) 資源 (人, 物, 金, 情報) の適正配置, 3) よいシステム構築, 4) 計画・実行・評価・改善 (PDCAサイクル), の継続的施行にある。さらに, 精度の高い撮影と読影はもちろんのこと, 適正な集団を対象として設定し, 地域性を勘案したよい検診システムを構築すること, データを高い精度で管理し評価して, 精度の高い癌登録と照合することなどが重要な問題である。
    福井県の現状を分析すると, 資源配分の面で精検段階の配置は適正であるものの, 一次検診における技師と機器の配分が不均等であった。情報に関しては, 集検データは高い精度で県下一元管理され, 評価されていた。また, バス検診方式による検診システムは地域的および経済的面で効率的に機能していると判断された。癌登録の精度も高く, PDCAサイクルは適正に機能することが示唆された。ただし, 最終目標に至るには, 受診率向上に対する取組みが必須で, 受診率50%に対応するシステム作りと職域検診との連携が課題であった。
  • 伊藤 末喜, 安藝 史典, 金子 昭, 山川 卓, 杉本 健樹
    2006 年 15 巻 1 号 p. 56-62
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    過去に続けてきた視触診検診の経験, データ分析から, 増加が続いている乳癌死亡をどうすれば減少させることができるかを検討した。
    県下30歳以上の対象婦人の延べ987,200名, 実人数163,538名の検診を行った。これは対象婦人の55%の者が, 1人平均6回の検診を受けたことになる。発見乳癌711名 (発見率0.08%) の早期率は56.8%であった。また, 検診では余波効果も見られた。
    検診開始前の高知県乳癌のSMRは90~95であったが, 受診率が15%に達すると, 80に低下し推移している。1980年から2000年に期間を区切った検討から, 受診率が20%になるとSMRは70に低下し, 乳癌死の増加が食い止められるものと思われた。
    2003年度で視触診検診を中止し, 集団方式ではマンモグラフィ二方向単独検診とし, 個別方式では基準を満たした撮影装置と資格のある技師, 医師のいる施設に於いて, マンモグラフィと視触診の併用検診を開始した。
    この検診のすべり出しは順調であり, 早い時期に受診率20%を達成し, 25%を目標にして前進したいと考えている。
  • 増岡 秀次, 森 満, 野村 直弘, 桜井 美紀, 吉田 佳代, 岩渕 由希子, 青木 典子, 白井 秀明, 下川原 出, 浅石 和昭
    2006 年 15 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    日本女性の乳癌死を減少させるために, 症例対照研究によるリスク因子解析により検診推奨者を選定した。当院で手術を施行した原発乳癌2,103例を症例とし, 当院受診者で受診時乳腺疾患のない3,131例を対照とした。
    解析結果より, 次のとおり検診推奨者を選定した。 (1) 35歳以下のhigh risk group : 1.初潮が11歳以下と早い者, 2.良性乳腺疾患の既往がある者, 3.癌の既往がある者, (2) 閉経前 : 1.初潮が早い者, 特に11歳以下の者, 2.肥満度 (BMI) が18.5未満と痩せの者, 3.既婚者で未産の者, 4.出産しても授乳をしていない者, 5.独身者, 6.第1度近親者あるいは第2度近親者に乳癌の家族歴のある者, (3) 閉経後 : 1.肥満度 (BMI) が18.5未満と痩せの者および25.0以上の肥満の者, 2.体重が58kg以上の者, 3.既婚者で未産の者, 4.出産しても授乳をしていない者, 5.独身者
    検診は癌の発生の予防ではなく, 早期発見により癌による死亡を減少させるためのものである。厚生労働省は「健康日本21」において, 2010年の受診率目標を1997年の50%増の約39%を掲げている。しかし目標が達成されたとしても対象者の半分以上が依然として検診を受けていない状況になっている。
    以上を踏まえ, われわれは症例対照研究によりリスク要因を特定し, 効率のよい検診を進めるため検診推奨者を選定した。
  • 小林 志津子, 斉藤 繭子, 片岡 明美, 大野 真司, 中村 清吾, 福井 次矢, 小山 弘, 新保 卓郎
    2006 年 15 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    【目的】日本人女性の乳癌検診受診の促進因子と阻害因子を解明し, 受診率向上のための対策を提言する。
    【研究デザイン】半構造化面接による質的研究。
    【施設】聖路加国際病院, 国立病院機構九州がんセンター。
    【対象】上記施設の女性乳癌患者。
    【調査方法】平均30分の個別インタビューを音声記録資料で記録。
    【解析方法】コード化した記録資料を, 回答者の体験による受診の阻害因子と促進因子, 回答者が予想する阻害因子と促進因子の4項目に分類。
    【結果】21名に参加を依頼し, 17名が承諾した。13名の調査で理論的飽和に達した。回答者の体験による受診の阻害因子は, 自分とは無縁の疾患という思い込み, 知識不足, 多忙, 医療への不信感, 検査への差恥や嫌悪, 罹病への恐怖であり, 促進因子は乳腺症の既往歴, 乳癌の家族歴, 家族の勧めだった。回答者が予想する阻害因子は, 検査の痛み, 通知方法, 費用, 受診時間であり, 促進因子は, 女性の医師と検査技師の担当, 乳癌の発症率や経過や治療費用に関する知識の普及だった。
    【結語】多くの患者に共通した阻害因子は自分が乳癌に罹患するはずがないという思い込みだった。受診率向上のために乳癌の知識と早期発見の有効性を広く普及する必要がある。
  • 検診意識の変化-乳房健康研究会のアンケート調査から, 2003年と2005年の比較
    野末 悦子, 島田 菜穂子, 沢井 清司, 福田 護, 霞 富士雄
    2006 年 15 巻 1 号 p. 75-82
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    著者らは第13回日本乳癌検診学会総会で「一般女性の乳癌意識と自己検診実態」というタイトルで, 2002年10月から2003年1月の間に行ったアンケートについて発表した。その後, 厚生労働省からの乳癌検診にマンモグラフィを導入する指針が出され, マスコミでも乳癌についての報道が多く見られた。この間, 一般女性の乳癌検診に対する意識や行動がどう変化したかを探る目的で, 2005年7月に前回と略同様のアンケートを行い, 検討した。乳癌の死亡が年々増加し続けていること, 定期的に画像診断 (マンモグラフィ) を受けることで乳癌の発見率を高めることなどの認識率は, 前回よりも明らかに増加しており, 3/4 (74.3%) が認知している。しかし, 実際のマンモグラフィ受診率の増加は, 残念ながら5.8%から12.4%へ変化したに止まっている。どうすれば, さらに受診率を高めることができるかについて考察した。
  • 体験者のメッセージが若い母親たちを救う
    片岡 明美, 内田 陽子, 山口 博志, 井上 博道, 大野 真司, 竹中 由美子, 鶴崎 紀代子, 西田 桂子, 在津 久美子
    2006 年 15 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    わが国では30~40歳代女性の乳癌罹患率が高いにも関わらず, 検診受診率は低く, 乳癌死亡数も増加している。乳癌検診受診率の向上と乳癌死亡率の減少を目的として, われわれが行っている小中学校のPTAの母親を対象にした乳癌啓発活動について報告する。事後のアンケートでは, 乳癌体験者からのメッセージによって母親たちは乳癌をより身近なものとして捉え, 検診の重要性を理解できていた。乳癌に対してまったく無関心かつ無知な女性の検診受診率の向上には医療者からの講演だけでは困難であるが, 体験者との交流は強い動機付けになると考えられた。
  • 大内 憲明, 辻 一郎
    2006 年 15 巻 1 号 p. 88-95
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 小山 智美, 角田 博子, 菊池 真理, 森谷 朋子, 平松 園枝
    2006 年 15 巻 1 号 p. 96-99
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    乳癌検診の読影は医師による二重読影が推奨されているが, 検診マンモグラフィにおけるスクリーニングとして, 技師によるチェック機構が有効であるかを検討することを目的とした。聖路加国際病院附属クリニック・予防医療センター人間ドックの一環として, 2004年1月より8月までにスクリーニングマンモグラフィを受けた3,470名に対し, A評価技師を含む複数技師によるスクリーニングが行われた。また, これとは別にB評価以上の医師により単独で一次読影を, その後, A評価の医師により医師による一次読影を参考にした二次読影が行われ, それぞれの結果を比較した。撮影はGE社製セノグラフ2000D, 読影は高精細モニターにて行った。その結果, 一次読影医師と二次読影医師では93件 (2.68%), 一次読影技師と二次読影医師では101件 (2.91%) にカテゴリー判定の違いがみられた。そのうち, 二次読影医師との要精査率の違いは, 一次読影医師が21件 (0.61%), 技師は19件 (0.55%) であった。ある一定の評価を持つ技師による一次読影は十分なチェック機能を果たしていることが示された。このシステムは撮影技術向上にも役立つものと考えられ, 有効な評価システムであると考えられる。
  • 栗山 進一, 大貫 幸二, 鈴木 昭彦, 宮本 彰, 辻 一郎, 大内 憲明
    2006 年 15 巻 1 号 p. 100-105
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    40歳代女性に対する, より救命効果の高い乳がん検診方法を検討する目的で, 超音波検査に関する感度・特異度等のアンケート調査を実施した。
    調査対象は, 平成16年度.厚生労働省がん研究助成金による「乳がん検診の精度及び効率の向上に関する研究」班の分担研究者・研究協力者が所属するすべての施設, および平成10年以降に日本乳癌検診学会誌に超音波乳がん検診に関する報告を行った施設である。
    調査は郵送法によった。調査対象施設31施設のうち, 18施設から有効回答があり (有効回答率58%), このうち超音波検査を乳がん検診に用いていると回答した施設は7施設 (全体の23%) であった。いずれも逐年検診のみで, 当初から隔年検診を実施している施設はなかった。感度・特異度の回答があつた施設は2施設であり, この2施設ともに中間期癌の把握は「地域がん登録」以外の方法により行われていた。この2施設の感度・特異度には大きな違いがみられ, 逐年視触診・超音波併用の感度はそれぞれ75.0%, 93.5%, 特異度はそれぞれ99.8%, 92.9%であった。
    40歳代女性に対する超音波乳がん検診の救命効果や効率を検討するためには, 同検診に関するさらなる基礎的データの蓄積が必要であり, 今後, 超音波乳がん検診を大規模に実施している施設との共同研究により, 地域がん登録データとの照合などを通してその感度・特異度を算出する予定である。
  • 鎌田 収一, 工藤 保, 西成 忍, 菅 一徳, 村田 純治, 小玉 雅志, 佐志 隆士, 大山 則昭, 片寄 喜久
    2006 年 15 巻 1 号 p. 106-112
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    平成12年3月, 老健第65号の一部改訂でマンモグラフィ併用検診の指針が示されたにもかかわらず, 秋田県における乳がん検診は, 平成15年度までは視触診方式が大部分で, マンモグラフィ併用検診は5市町村のみであった。そのため乳がん発見率は0.08%と低く, 早急な改善を迫られていた。秋田県乳がん検診委員会は, 平成13年度から3年連続でマンモグラフィ読影講習会を開き, また行政にも働きかけた結果, 平成15年度にMMG撮影機器を搭載した検診車を2台購入した。そして平成16年度から本格的にマンモグラフィ併用検診を開始し, 29市町村がマンモグラフィ併用検診を導入した。平成17年度はさらに検診車を2台購入し, 全市町村で併用検診を行うことを目標にしている。現在, 自動現像器が車載できない状況であり, 分離併用A検診を行っているが, 平成17年度から一部でCRを用いた同時併用A検診を考えている。また秋田県の検診受診率は約24%であり, 他県と比べ受診率は低くはないが, さらなる受診率の向上を目指し, 各市町村の乳がん検診担当者に検診の問題点に関するアンケートを依頼した。そのアンケートの結果は, 乳がん検診の受診率の向上のためには検診が有効であることを積極的に啓発することが重要であり, また受診者は検診時間の工夫やプライバシーの保護, 待ち時間の短縮といったきめこまかな配慮を望んでいた。
  • 新田 敏勝, 小林 稔弘, 菅 敬治, 木原 直貴, 吉中 亮二, 茅野 新, 木下 隆, 森田 眞照
    2006 年 15 巻 1 号 p. 113-117
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    枚方市の乳癌検診は, 2002年度より医師自らが受診者全員に視触診と超音波検査を併用した検診を施行してきた。2004年6月に日本乳腺甲状腺超音波診断会議により乳腺超音波所見に関するガイドラインが示され, これに基づいて枚方市でも2004年7月よりガイドラインによる要精査基準に従い, 受診者全員の超音波所見を分類した。要精査率は8.4%から5.0%と有意に低下し, さらに乳癌の発見の精度も上昇し, ガイドラインの有効性が証明された。現在, わが国においては, 40歳以上を対象としたマンモグラフィ併用検診の導入が推奨されているが, 今回のわれわれの検討では, 超音波併用検診におけるガイドラインに基づく要精査基準の有効性を確認でき, 本法も乳癌検診に有用であり, マンモグラフィ併用検診がとりだされているが, 超音波併用検診も無視できない乳癌検診の一つと考える。
  • 鎌田 正晴, 苛原 稔, 寺本 勝寛, 森本 紀, 柏村 正道, 大村 峯夫, 永井 宏, 植木 實
    2006 年 15 巻 1 号 p. 118-124
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    欧米における乳癌死亡率の減少はマンモグラフィ (MMG) 検診の導入と, 60~80%という検診率の高さが寄与している。本邦でも平成16年に本格的にMMG併用検診が導入され, さらに行政に対し, 精度管理と検診率の向上が求められている。
    産婦人科医は, 乳がん検診事業のスタート時 (昭和62年) から参加しており, MMG検診の導入にも積極的に関わってきた。産婦人科医会では, 平成11年の検診精度管理中央委員会によるMMG読影講習会開始と同時に, 会員を対象とした講習会を年2~3回主催し, 350名に上る読影医を養成してきた。平成14年には産婦人科乳癌研究会が組織され, 平成18年には乳癌検診に十分な技術と知識を有する産婦人科医の認定制度が発足する。さらに産婦人科学会の研修目標に「乳房疾患」が加えられ, すべての産婦人科医が乳癌を学ぶよう義務付けられている。
    現在乳腺専門医・認定医の数に比し乳癌検診の対象者はきわめて多く, 乳癌検診の知識と技術を持った婦人科医の参加は必須である。しかも女性は, 婦人科医による乳癌検診を望んでおり, 婦人科医が積極的に乳癌検診に参加している地域では70~80%が婦人科を受診する。欧米でも, 産婦人科を受診する患者は乳癌検診を受ける率が有意に高いことが証明されており, 現在10%程度に過ぎない受診率向上のためには, 産婦人科医の検診あるいは啓蒙活動への参加は不可欠である。
  • 画質改善への創意工夫
    中山 崇, 寺田 央, 古妻 嘉一
    2006 年 15 巻 1 号 p. 125-131
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    有効なマンモグラフィ検診を推進するためには, 開業医の検診への参加が必須である。技師不在の施設では, 医師が撮影, 機器管理をしなければならず, マンモグラムの良質な画像を維持するのに難渋する点が多い。しかし, 当院では創意工夫により, マンモグラフィ検診精度管理中央委員会 (精中委) の施設画像評価A認定を取得できた。その経緯から生じた種々の問題点とその解決法について報告する。
    撮影装置はSEPIOスタンダード, 自動現像機はTCX-202, スクリーン/フィルムシステムはMD-100/CM-Hにて撮影している。
    1) 左右非対称, 乳腺後隙と乳房下部欠像は, ブッキーテーブルにAECセンサー位置, フィルムの両端と中央位置のそれぞれにマークを入れることにより改善された。2) 煩雑なマーカーを簡素化した。3) カセッテ内枠とスクリーンの大きさとの差による画像欠損をなくすよう工夫した。4) 毎週1回, 診療放射線技師も参加のマンモグラフィ勉強会に参加し, マンモグラフィ検診精度管理中央委員会委員などの方々からアドバイスを得てマンモグラム読影と画質の向上に努めた。5) スクリーン異常による無数の石灰化様障害陰影発現の原因究明に対するメーカー側の対応の遅れを感じる。
    有効なマンモグラフィ検診に必要な精度管理されたマンモグラムを得るためには, 施設側の創意工夫と弛まぬ努力は必須である。しかし, 装置や感光材料メーカー側の精度管理と迅速な対応も不可欠と思われる。
feedback
Top