日本乳癌検診学会誌
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15 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 林 俊矢
    2006 年 15 巻 3 号 p. 248-253
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    カリフォルニア州の乳がん無料検診プログラムは, 連邦政府 (国立疾病予防センター, Centers for Disease Control and Prevention) の補助金とタバコ税を資金として, 1991年から15年間に渡って低所得者層を中心に延べ178,000人 (2003年現在) の女性に無料検診を提供してきた。この小論では, カリフォルニア乳がん検診プログラムの受診資格, プログラムの組織と機能的役割分担, 財源と支出の概要, カリフォルニア州のマンモグラム受診率と乳がんによる死亡率の推移などについて概説する。
  • 寺田 央
    2006 年 15 巻 3 号 p. 254-259
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィ装置は可能な限り適量の線量で最適な画像が得られるように設計されている。しかし, 基準を満たした撮影装置, 機器を導入したからといって, 直ちに良い画像が得られるわけではない。常に画像を高いレベルで維持するためには, 日常的, 定期的な品質管理が必要である。
    今回, マンモグラフィ検診施設における品質管理の実態と問題点について述べる。
  • 白井 秀明
    2006 年 15 巻 3 号 p. 260-267
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    検診施設における品質管理を, 検者間差がなく, 常に一定レベル以上の異常所見の指摘と, その特徴を捉えた画像の提出ができることと定義し, 当院で行っている乳癌検診に適した超音波診断装置の基準やその画像調整に加え, 再現性の良い検査法の具体的な取り組みについて報告する。
    乳癌検診での超音波検査の目的は, 限られた時間で多くの被検者に対して検査を施行し, 効率よく病変の有無を検索することにより, 画質を多少犠牲にしてもリアルタイム性を確保することが重要であり, 特に1) 探触子の中心周波数, 2) ゲイン, 3) ダイナミックレンジ, AGC, 4) STC, 5) フォーカスの画質設定の効果が高いと考えている。
    また, 探触子を皮膚に対して常に垂直にあたるように操作することが品質管理においては重要なことである。その対策として, 患者の体位を工夫し, 検者が安定した体勢で検査を行うこと, 合わせてエコーゼリーの使い方や探触子の操作スピードについても注意が必要であり, 当院では簡単に垂直にあてられ, 一定速度で検査を行うため探触子にアダプタをつけることで同一品質の画像が得られやすくなったと考える。
    超音波検診における品質管理の実態として, 未だ統一された基準がないのが現状であり, 多くの部分で検者間の熟練度による手技の差が, 職人技の1つとされていたことも否定できないが, このような品質管理を行うシステムの構築は客観性向上に対しても寄与できるものと期待される。
  • 古妻 嘉一, 遠藤 登喜子, 岩瀬 拓士, 宇津野 栄, 大貫 幸二, 東野 英利子, 角田 博子, 大村 峯夫, 笠原 善郎, 川島 博子 ...
    2006 年 15 巻 3 号 p. 268-283
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    教育・研修委員会では, マンモグラフィ検診における読影医の充足を目的にマンモグラフィ読影講習会 (以下, 講習会) を全国で開催してきた。読影医充足のためには, 読影力の精度向上と維持が必要であり, そのためには読影講習会そのものの精度管理が必要である。この目的のためにアンケート調査を, 大阪1講習会 (平成12年3月) から講習会受講者を対象として開始し, 以後の全講習会で実施してきた。さらに, グレイドアップ試験受験者や講習会参加講師に対してもアンケート調査を行い, 講習会や読影試験における精度管理と教育効果を検討し, 報告してきた。
    アンケート調査を行った講習会数は, 平成18年3月31日現在で181講習会に達している。平成15年度31回, 16年度40回, 17年度60回と最近著明に増加している。その反面, 講習会毎の認定取得率が低い講習会も増えている。
    今回の報告では, これまでのアンケート調査を行った全181講習会の精度の概要と, 受講者が本格的に増加しだした平成14年度から平成17年度末までの講習会 (151講習会, 回答総数7,208人) の精度に影響を及ぼす受講者側の要因について検討した。前報の報告 [6] から2年余りが経過したが, この間に, 読影試験での認定取得率低下への対応策, 認定更新制を含めた認定基準の見直し, 二方向マンモグラム読影の試験導入などマンモグラフィ検診の実施状況が変わってきた。講習会開催が急増するとともに, 受講者にはこれまで乳がんの診療に関与して来ず, しかも読影数の多い一次検診機関に勤務する医師が受講するケースが増えるなど, 講習会も多くの問題への対応を迫られている。これらの問題を解消していくにあたり, 今後も講習会や試験における精度管理に有用な調査を行うことを目指したい。
  • マンモグラフィ・超音波検査併用検診例での検討
    藤野 久仁子, 榎本 智子, 寺井 義人, 後山 尚久, 植木 實
    2006 年 15 巻 3 号 p. 284-289
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    ホルモン補充療法 (以下, HRT) は乳癌の危険因子とされており, HRT中患者の検診率は増加傾向にあるが, HRT中の乳癌検診方法は確立されていない。このためHRT中の乳腺変化を検討し, HRT中の至適検診方法を考察した。当科で乳癌検診を施行した6ヶ月以上HRTを施行中の患者46例 (以下, HRT群 : 年齢54.0±1.27歳) を対象とし, 65歳以下のHRT歴のない閉経後患者120例 (以下, 非HRT群 : 年齢53.7±6.72歳) をコントロールとした。HRTはエストリオール単独投与5例, エストラジオール単独投与16例 (以下, E2群), エストラジオールおよびプロゲスチン併用投与25例 (以下, EP群) で, 全例マンモグラフィ (以下, MMG) 二方向撮影と超音波検査 (以下, US) を施行した。HRT群においてMMGで不均一から高濃度乳腺の頻度は85%と非HRT群70%と比較し有意に高く (p=0.004), USでの嚢胞性腫瘤の出現頻度は, 非HRT群と比較しそれぞれ26%, 13%とHRT群で有意に高かった (p=0.03)。またMMGで不均一から高濃度乳腺の頻度はE2群69%, EP群96%とEP群が有意に高かった (p=0.05)。以上より画像で描出されうる乳腺変化は存在し, プロゲスチン併用投与で乳腺変化がより顕著になると考えられた。乳腺の変化を早期に察知するためには, MMGだけではなくUSの併用が必要であり, 通常検診よりも短期間での検診を施行する必要があると思われた。
  • 中務 克彦, 中嶋 啓雄, 沢井 清司, 藤原 郁也, 水田 成彦, 阪口 晃一, 鉢嶺 泰司, 小林 文, 小西 英一, 柳沢 昭夫
    2006 年 15 巻 3 号 p. 290-293
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は36歳女性。主訴は左乳房A領域の腫瘤。触診上は可動性のある表面不整な腫瘤であった。マンモグラフィでは左A領域にspicula tedmassを認め, カテゴリー5と判定した。超音波検査では, D/W比が1.0, 前方境界線の断裂を認め, 充実腺管癌を疑った。乳房MRIでは, 辺縁微細鋸歯状の造影効果が早期に出現し, 浸潤癌と診断された。しかし, 超音波下針生検の結果, 顆粒細胞腫と診断された。画像診断上は浸潤癌を強く疑うため, 鏡視下左乳腺腫瘤摘出術を施行した。乳腺顆粒細胞腫は種々の画像診断上, 乳癌と誤診されることが多いが, 針生検を行えば正確な術前診断が可能である。
    乳腺顆粒細胞腫は基本的には良性腫瘍であるが, 悪性化したとの報告も散見される。したがって, 顆粒細胞腫の診断のもと腫瘤摘出を行っても, その後の慎重な経過観察は必要である。
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