ステレオガイド下組織生検(ST―VAB)にて異型病変とされた症例を検討し,今後の的確な対応を探ることを目的とした。2003年から2011年に当院でST―VAB を施行した1,153名のうち,組織学的に異型病変と診断された70名(平均48.7歳)を対象に,チャートレビューを行い,受診契機,経過,マンモグラフィ所見,最終診断を検討した。受診契機は検診異常63名,他部位検索時偶発検出6名,分泌1名であった。すべて石灰化症例でカテゴリー3が50例,4が19例,5が1例であった。病理所見からの推奨,他部位治療のため同時切除などで判明した乳癌は17例(non―comedo DCIS 14, comedo DCIS2, T1a 1)で,浸潤癌1例は4mm 浸潤径のホルモン受容体陽性乳癌でリンパ節転移はなかった。切除で良性と判明した2症例を除き,経過観察中変化なく(観察期間中央値26ヵ月),非癌と見なしている症例は53例であった。マンモグラフィ検診が普及すると,長期にわたり経過観察せざるを得ない異型症例が今後も一定の割合で存在する。このような症例を経過観察した場合,超音波所見が陰性であれば,乳癌であったとしても低悪性度の非浸潤癌の可能性がきわめて高く,経過観察で対応できるものと考えられた。
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