日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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24 巻 , 2 号
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第24回学術総会/ワークショップ1
検診発見乳癌の生物学的特性
  • 24 巻 (2015) 2 号 p. 165
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
  • 田中 文恵, 大田 浩司, 田中 正樹, 前田 浩幸, 岡田 香織, 笠原 善郎
    24 巻 (2015) 2 号 p. 166-170
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    福井県対策型MMG 併用乳癌検診発見癌を,検診歴や年齢階層別で病理組織学的特徴を検討した。対象は2004~2012年度の発見癌564例中,病理結果のわかる549例。同期間の総受診者数は延べ133,864名で,がん発見率は0.42%,2年度以内の繰返し受診率は38.1%だった。年齢階層別では,40代から70代の繰返し受診率は27.9%,37.8%,44.0%,46.3%と増加するが,発見率は0.41%,0.34%,0.43%,0.55%と50代が低かった。DCIS 率も50代が低く27.5%,21.6%,27.1%,14.8%,浸潤癌のER 陽性率も同様で87.1%,75.3%,86.7%,90.6%だった。病期分類での検討では,病期0―1期割合は40代が低く63.3%,77.9%,68.8%,74.7%と続き,50代は高かった。浸潤癌ER 陰性率は13%だが,1期の50代では24.6%と高かった。日本乳癌学会2008年度統計と比較すると40~50代のER 陽性率は著変ないが,60~70代は検診発見癌が高かった。また初回受診でのDCIS 率は40代から26.1%,21.5%,19.3%,14.5%と低下し,初回浸潤癌ER 陽性率は84.9%で,全体と同様50代が75.3%と低かった。それに対し,繰返し受診ではDCIS 率は26.7%,浸潤癌ER 陽性率は88.5%と,より早期でER 陽性の高いものが占めていた。
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  • 入駒 麻希, 吉田 雅行
    24 巻 (2015) 2 号 p. 171-175
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    乳がん検診の第一の目的は「乳がん死亡率の低下」である。近年乳がんの治療戦略は,従来の解剖学的な腫瘤径や腋窩リンパ節転移の有無などのリスク因子で検討するのではなく,生物学的特性であるサブタイプによるホルモン感受性や分子標的タンパクの有無により選択され,予後が異なることが明らかとなっている。「乳がん死亡率の低下」を目指すためには,治療抵抗性のサブタイプ乳がんの早期発見の向上も重要であると考え,現行の乳がん検診体制でのサブタイプ別の検診発見時の病期分類を検討し,乳がん検診の現状把握と今後の課題を検討する。(対象と方法)2006年4月~2014年3月までの検診発見乳がん385例のうち,関連病院で手術を施行し病理結果が明らかな浸潤性乳管癌211例を対象とした。サブタイプ別に検診受診時の自覚症状の有無に分け,検診発見時の病期と前回受診歴について検討した。(結果)Luminal A(以下LA):35.6%,Luminal B(以下LB):34.1%,LuminalB(Her2陽性)(以下LB―H):17.5%,Her2(以下HER):7.1%,Triple negative(以下TN):5.7%。全体の28%が自覚あり(自己検診率47%)。無自覚症例で検診間隔が1年であってもLB,LB―H,TNタイプではStage Ⅱ以上の症例を15~20%認めた。(考察)LB―H,TN タイプの乳がんは無自覚症例でもStage Ⅱ以上の進行期で見つかる割合が多かった。増殖能が高いこれらのがんの早期発見を目指すには,検診と検診の間の自己検診による自己発見も重要と考えられ,自己検診の啓発も軽視できないと思われた。
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  • 渡辺 絵美, 伊藤 和子, 川瀬 麻衣
    24 巻 (2015) 2 号 p. 176-180
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    当院の中間期乳癌(検診で異常なしとされたがその後2年以内になんらかの自覚症状で外来を受診し,癌と診断された乳癌)を把握することで検診の問題点を考察した。2007年から2013年の7年間の検診で発見され,詳細のわかった乳癌91例(検診群)と中間期癌9例(中間期群)を比較検討した。平均年齢は中間期群42±6.9歳,検診群55±9.1歳で中間期群の年齢が低かった。乳腺濃度は中間期群の8割が高濃度・不均一高濃度,検診群では6割で,中間期群の乳腺濃度が高かった。病期分類では,中間期群が0期1例(11.1%),期3例(33.3%),期4例(44.4%),期1例(11.1%),検診群が0期23例(25%),期64例(70.3%),期4例(4%)と中間期群のほうがより進行していた。浸潤癌のsubtype 分類でみると中間期群ではHR 陽性は4例(50%),HR 陰性4例(50%),検診群ではHR陽性59例(87.7%),HR 陰性9例(12.3%)であった。検診検出限界を5mm とし中間期群の腫瘍倍加時間を試算すると,平均71日と検診群平均197日の半分以下であった。以上のことから中間期癌の特徴は年齢が60歳未満,乳腺濃度が高く画像診断上不利がある,ホルモン陰性・HER2陽性の割合が高く,短期間に大きくなっている可能性があった。中間期癌は検診発見癌より生物学的悪性度が高いものが多く,現状の検診では早期発見が難しい乳癌であることが示唆された。
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  • 森田 孝子, 須田 波子, 大岩 幹直, 森谷 鈴子, 佐藤 康幸, 林 孝子, 加藤 彩, 市原 周, 遠藤 登喜子
    24 巻 (2015) 2 号 p. 181-186
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    日本でマンモグラフィ検診がはじまり,10年以上経過した。乳癌検診によって,乳癌死亡減少が認められないという批判もある。いまだ受診率が30%程度と低迷している中ではあるが,日本でのマンモグラフィ検診の評価をしていくことが求められている。一精査施設での2004年から2013年までの10年間で生物学的特性別乳癌例を検診の有無別,浸潤癌,非浸潤癌別に層別し,症例数の推移,リンパ節陰性度,腫瘤径を比較し,検討した。Luminal A タイプは,DCIS,IDC ともに増加しており,諸家の報告と同様,マンモグラフィ検診により検出が増加する。すべてのタイプでMIB―1rate は,検診発見例と診療例で差は認められなかったことより,検診で予後の良い乳癌ばかりを検出しているわけではない。リンパ節転移陰性率はすべてのサブタイプで検診例が高く,特に悪性度の高いTriplenegative タイプやHER2陽性タイプで差があった。すべてのサブタイプで検診契機例のほうが小さく検出されている。これらは,検診発見例の予後向上が見込まれる結果である。Triple negative タイプは10mm 未満のIDC での検出,DCIS 例が少なく,通常の検診間隔では早期に検出することが難しいのではないかと考えられた。われわれ読影医に課せられた宿題はまだ多いが,生物学的特性別の早期乳癌マンモグラフィ所見の掌握とともに,overdiagnosis とされる乳癌がいったいどういうものであるのか確定していくことが必須である。
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  • 玉城 研太朗, 玉城 信光, 鎌田 義彦, 上原 協, 宮下 穣, 石田 孝宣, 大内 憲明
    24 巻 (2015) 2 号 p. 187-190
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    検診発見と自己発見で乳癌の生物学的特性に違いがあるか,那覇西クリニックで治療を行った432人を対象に検討を行った。その結果,検診発見群では非浸潤癌やStage I の乳癌の割合が有意に高く,また生物学的特性ではLuminal A や低Ki67が統計学的有意差をもって多く認められた。一方,自己発見群では高ステージで,かつLuminal B,高Ki67の乳癌が多く認められた。腫瘍増殖のスピードに伴う腫瘍構造の特性,腫瘍中心部の低酸素状況などによりマンモグラフィで所見としてとらえられにくい腫瘍があることや,また高悪性度腫瘍のdoubling time の問題で急速増殖を来すことなどで,2年に1度の検診でとらえることができない腫瘍があることが示唆された。この結果を踏まえて,2年に1度の検診を基本とし,加えて定期的な自己触診の推奨と,異常所見を自覚した際にはできるだけ早い段階での乳腺専門施設の受診勧奨を行うことが重要であると考えられた。
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  • 堀米 香世子, 磯谷 正敏, 原田 徹, 金岡 祐次, 亀井 桂太郎, 前田 敦行, 高山 祐一, 深見 保之, 尾上 俊介, 川勝 章司, ...
    24 巻 (2015) 2 号 p. 191-195
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    2010年1月~2014年4月に当院で施行した乳癌手術症例のうち,トリプルネガティブ乳癌(TN乳癌)の占める割合は検診で5.7%,非検診で15.2%と検診群で有意に少なく(p=0.0004),TN 乳癌は検診で発見しづらいと考えられる。そこで,検診発見TN 乳癌の特徴を明らかにし,TN 乳癌の検診発見率向上に努めることを目的に,2010年1月~2014年4月に当院で施行した乳癌手術症例のうち,検診発見TN 乳癌(検診群)12例と非検診発見TN 乳癌(非検診群)57例を比較検討した。自覚症状は検診群の8.3%のみで認めた。病理学的浸潤径10mm 以下の割合は検診群(66.7%)で,非検診群(21.1%)より有意に高かった。過去2年以内に検診受診歴がある症例が検診群では75%であったのに対し,非検診群では8.8%のみであった。検診内容は67%で視触診,MMG の他にUS が併用されていた。 TN 乳癌は増殖スピードが速いため通常の検診間隔では指摘が困難であるかもしれないが,2年以内の繰返し検診により発見率を向上させることが期待できる。検診で発見されたTN 乳癌はTN 乳癌の中でも予後の良いタイプである可能性があり,今後は繰返し検診をしていたにも関わらず検診で指摘できなかったTN 乳癌の特徴をさらに追求していく必要がある。
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  • 安藝 史典, 伊藤 末喜, 山川 卓, 杉本 健樹, 藤島 則明, 甫喜本 憲弘, 高畠 大典, 福山 充俊, 川村 貴範, 尾崎 信三, ...
    24 巻 (2015) 2 号 p. 196-202
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    (はじめに)マンモグラフィ検診で発見された乳癌の生物学的特性を明らかにするために,高知県における対策型マンモグラフィ検診発見乳癌と外来発見乳癌について比較し検討を行った。 (対象・方法)2004年から2006年までの高知県の対策型検診発見乳癌179例のうち自覚所見のなかった浸潤性乳管癌(以下,対策型発見乳癌)96例と,高知県内8医療機関で診断治療された原発乳癌から,任意型検診で発見されたものを除いた40歳以上の浸潤性乳管癌(以下,外来発見乳癌)506例について比較検討した。病理組織学的診断は乳癌取扱い規約第17版を用いた。有意差検定は,Fisher 検定,χ2検定にて行った。 (結果)対策型発見乳癌と外来発見乳癌を比較すると,臨床病期のI 期は72例(75.0%)と239例(47.2%)で有意に対策型発見乳癌が早期であった(p=0.00010972)。病理学的浸潤径の平均は1.4cmと2.2cm,リンパ節転移率は17例(17.7%)と142例(28.1%)で対策型発見乳癌が早期の傾向であった。ER 陽性率とHER2陽性率には差がみられなかったが,核グレード3は17例(17.7%)と126例(24.9%)であり,対策型発見乳癌で有意に少なかった(p=0.0137353)。再発率は6.2%と16.2%であり,対策型発見乳癌で有意に低かった(p=0.00486888)。 (まとめ)対策型発見乳癌は外来発見乳癌と比較して,病理学的浸潤径の平均が小さく,リンパ節転移率は低い傾向であった。ER,PgR,HER2の陽性率には差がないものの,核グレード3は対策型発見癌で有意に少なかった。対策型発見乳癌は外来発見乳癌よりやや早期に発見され,その生物学的特性には差異がある可能性が示唆された。
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  • 萩尾 加奈子, 五十嵐 麻由子, 馬場 基, 佐藤 雅子, 富岡 伸元, 渡邊 健一, 高橋 將人
    24 巻 (2015) 2 号 p. 203-206
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    【目的】当院における乳癌再発症例について,発見状況を含め臨床的特徴などについて検討した。【方法】2002年から2011年までに当院で手術を行った2,196例(stage0~IIIC)中,進行乳癌を除いた2,023例(stage0~IIB)から再発した症例156例について検討した。【結果】再発と無再発で発見状況を比較したところ,再発症例では検診17例(10.8%),自己発見130例(83.3%),その他8例(5.1%),不明1例(0.6%)であり,無再発症例(1867例)では検診560例(29.9%),自己発見1,172例(62.7%),その他127例(6.8%),不明8例(0.4%)となり,無再発症例では検診発見率が高かった(p<0.0001)。再発症例におけるstage 分類,術式,腋窩リンパ節郭清の有無,組織型,ER,HER2,転移部位(リンパ節,骨,肺,温存乳房,局所胸壁,肝臓,脳,その他)について,検診群(17例)と自己発見群(130例)に分けて比較したところ,検診群の再発症例では浸潤性小葉癌の割合が有意に高かった(p=0.006)。それ以外の臨床病理学的因子に差は認められなかった。【結語】検診発見症例は自己発見症例に比較して再発率は低かった。ただし浸潤性小葉癌については,その生物学的特性から検診発見症例でも再発について注意深くフォローアップする必要がある。
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  • 24 巻 (2015) 2 号 p. 207-213
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
第24回学術総会/ワークショップ2
ハイリスク女性に対する検診をどうするか
  • 24 巻 (2015) 2 号 p. 214
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
  • 増岡 秀次, 九冨 五郎, 三神 俊彦, 藤澤 純子, 桜井 美紀, 吉田 佳代, 白井 秀明, 下川原 出, 浅石 和昭, 島 宏彰, 前 ...
    24 巻 (2015) 2 号 p. 215-222
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    国立がん研究センターは日本でがんの罹患数と死亡数の当年予測を発表した。2014年の女性乳癌罹患数は86,700人,死亡数は13,400人と予測した。罹患数は以前の予測をはるかに超えて増加している。女性乳癌のhigh risk group を同定し,検診の勧奨と予防に寄与すべく症例対照研究を行った。 2014年3月までに当院で手術を施行した原発乳癌4,070例(閉経前1,703例,閉経後2,367例)をcase,乳腺疾患のない当院外来受診者4,711例(閉経前2,604例,閉経後2,107例)をcontrol としてcase-control study を行った。また家族性乳癌の特徴の1つとして若年発症が挙げられており,35歳未満(case:155例,control:816例)についても検討した。解析はSAS9.2(SAS Institute. Inc.)を使用し,年齢matching によるconditional logistic regression 法により行った。 有意のあった項目についてStepwise 法による多変量解析を施行し,high risk group を選定した。検診推奨者は以下のとおりである。 (1)35歳未満のhigh risk group:1.良性乳腺疾患の既往がある者,2.初潮が11歳以下と早い者,3.乳癌の家族歴がある者,4.独身 (2)閉経前:1.未産の者,2.乳癌の家族歴がある者,3.良性乳腺疾患の既往がある者,4.初潮が11歳以下と早い者,5.痩せの者 (3)閉経後:1.未産の者,2.初潮が11歳以下と早い者,3.身長が160cm 以上と高い者,4.乳癌の家族歴がある者,5.BMI が18.5未満と痩せの者および25.0以上の肥満者 肥満および痩せは改善可能であるが,初潮年齢などの宿主要因は変更できないものが多く,乳癌の予防は困難である。したがって,検診による早期発見により,癌による死亡を減少させる必要がある。
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  • 佐藤 馨, 古田 昭彦, 安田 友理
    24 巻 (2015) 2 号 p. 223
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    [背景]乳癌の約5~10%は遺伝性と推定される。特に遺伝性乳癌卵巣癌症候群(以下HBOC)が重要であるが,わが国の乳癌検診においてはHBOC という高リスク群を想定した体制はとられていない。 [目的]当施設では,既往歴,家族歴などからHBOC を拾い上げる体制構築を開始した。 [方法](1)外来問診票を用いた既往歴,家族歴の聴取を徹底,(2)NCCN ガイドラインに準拠した拾い上げ,(3)認定遺伝カウンセラーによる詳細な家族歴聴取・リスク評価・遺伝カウンセリング,(4)希望者に対する遺伝子(BRCA1/2)検査,(5)BRCA 遺伝子変異保有者に対する検診プログラムの作成。 [結果]2012年4月から2013年12月の期間で4,320名の外来受診者から問診を施行した。当科での拾い上げ基準該当者は約10%,約2%に対し詳細な家族歴聴取を行い,16例にBRCA 遺伝子検査を実施した。最終的に6名の発端者にBRCA 遺伝子変異を認めた。 [考察]HBOC による乳癌発症は若年者に多く,通常の検診体制での対応は不十分である。漫然とした病歴聴取ではなく,HBOC を念頭に置いた問診・病歴聴取と遺伝カウンセリング体制の整備が必要と考える。 [結語]HBOC を念頭に置いた乳癌検診体制整備が急務である。 (プログラム・予稿集より)
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  • 高橋 將人, 池田 由加利, 櫻井 晃洋, 萩尾 加奈子, 五十嵐 麻由子, 馬場 基, 佐藤 雅子, 富岡 伸元, 渡邊 健一
    24 巻 (2015) 2 号 p. 224-228
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    2010年の北海道での乳癌検診受診率は28%であった。全国平均を大きく下回っており,北海道の乳癌死亡率減少にはまず対策型検診の充実が重要である。一方,検診発見乳癌の内訳で40歳未満の症例は1.6%であり,その全例が触診にて腫瘤が確認されていた。日本乳癌学会全国患者登録調査報告によると,40歳未満の症例は全体の6.6%を占め,多くの症例は検診で発見されていない。この年代への対策型検診の有効性は確認されず,若年者への対応は別立てで考える必要がある。 遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)は,その浸透率の高さから乳癌罹患ハイリスクとして知られているが,最近本邦でも遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査の体制が整ってきた。北海道がんセンターでも2010年11月より遺伝子・先端医療外来を開設し,2014年6月まで31人に遺伝カウンセリングを行い,22人に遺伝子検査を行った。7家系8名にBRCA1 またはBRCA2 の変異を認め,乳癌家族歴のない症例も2例含まれていた。2014年より診療科横断的かつ地域包括的情報共有を目標に,北海道HBOC ネットワークが開設された。 40歳以上には対策型検診を充実させる必要がある。一方,若年発症乳癌死亡率減少には従来の対策型検診ではなく,HBOC およびその家系に対するサーベイランス体制の構築が必須である。
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  • 矢形 寛, 山内 英子, 角田 博子
    24 巻 (2015) 2 号 p. 229-234
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    遺伝性乳癌・卵巣癌症候群(HBOC)の拾い上げには,医療者がその重要性を認識し,患者に対して適切に情報を提供できる体制作りが不可欠である。聖路加国際病院では,本邦における多施設共同試験の結果に基づき,2006年より遺伝診療部を立ち上げ,遺伝カウンセリングから予防戦略までの流れを確立してきた。その上で,乳腺科にてNCCN ガイドラインの検査基準に適合する乳癌患者に対し,遺伝カウンセリングにつなげる努力をしている。できるだけ適切に拾い出しを行うため,オリジナルの問診票を作成して,詳細な家族歴を限られた時間で有効に収集し,患者に手渡す乳癌診療のための説明書にもHBOC に関する内容を盛り込んで,その理解を促す。乳腺科医師には,なぜ遺伝が大切か,それを知ることで何が変わるかについて,要点を簡潔に説明できる医学的知識力を身につける教育を行い,新患患者の情報を皆で共有しながら漏れを防ぐようにしている。さまざまな工夫により,最近では多くの適応患者が遺伝カウンセリングを受けるようになっている。BRCA1/2 遺伝子検査を受けた方のうち,変異が約20%の頻度で同定され,卵巣・卵管,または乳房のリスク低減手術によりoccult cancer も発見されていることから,本邦においてもより積極的な拾い上げを行っていくことが求められる。
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  • 大住 省三, 清藤 佐知子, 高橋 三奈, 青儀 健二郎, 杉本 奈央, 金子 景香
    24 巻 (2015) 2 号 p. 235-240
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    遺伝性乳癌・卵巣癌(HBOC)は乳癌症例全体の3~5%程度を占めると思われる。この疾患はBRCA1 あるいは2の生殖細胞系列での病的変異が原因である。HBOC の診療は乳癌あるいは卵巣癌を発症した人の発症年齢,その癌のサブタイプや組織型,既往歴,家族歴などからHBOC である可能性を絞り込むことから始まる。HBOC の可能性の高い患者,そのご家族に病気が遺伝的体質で起こった可能性が高いことをお伝えし,遺伝カウンセリングを行う。遺伝カウンセリングではHBOCという病気の説明,HBOC であるかどうかを調べる方法としての遺伝子検査の説明,遺伝子検査を受けて変異がある場合とない場合での意味合いについての説明とその対処法の説明,遺伝子検査を受けない場合の対処法の説明などをご本人ならびに(可能な限り)ご家族と一緒に聞いていただき,今後の対処法を相談する。HBOC での乳癌高リスクへの対処法の第一選択は,25歳から半年ごとの視触診と1年ごとの造影MRI での乳房のサーベイランスを実施することである。現実的にこれらを実施するには多くのハードルがあり,病院全体として取り組む必要がある。その中でも遺伝カウンセラー等のパラメディカルの存在は特に重要である。当院での遺伝カウンセラーを中心とした家族歴聴取からサーベイランスまでの診療体制の紹介ならびに世界的なサーベイランスの有効性に関するエビデンスを紹介する。
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  • 馬場 信一
    24 巻 (2015) 2 号 p. 241-246
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    乳がんは,罹患率・死亡率ともに年々増加傾向にある。その中で,最もリスクが高いのは遺伝性乳がんであり,全乳がんの5~10%程度,生涯乳がん発症率は約80%と高率である。しかし,日本ではこのようなハイリスク群の女性に対する検診指針,発症予防を目的とした取組みは未だ不十分である。 大切なことは,BRCA1 およびBRCA2 変異陽性症例を同定し,乳がん予防法(サーベイランス,リスク低減手術,化学的予防)を受けてもらうことである。当院では乳がんハイリスクグループに対し,アルゴリズムを作成し,対応している。サーベイランスとしては自己触診,医師による視触診,マンモグラフィ,超音波,MRI を状況に応じて行っている。特に高濃度乳腺や若年者に対するマンモグラフィの有効性は低く,MRI でのみ描出可能な乳がんもある。また,欧米では,BRCA 変異陽性者におけるMRI スクリーニングの有用性を示すデータもある。今回,当院におけるHBOC 診療の現状と取組みについて述べる。
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  • 松嵜 正實, 野水 整, 片方 直人, 喜古 雄一郎
    24 巻 (2015) 2 号 p. 247-253
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    当院の過去5年間における検診発見乳癌のうち家族歴濃厚(野水分類あるいはMyriad 分類に合致する)例10症例(11乳房)の臨床・画像・病理学的および遺伝子学的検討を行った。全例非触知乳癌であり,全例T1以下でStage I 以下であった。9例がMMG の石灰化所見で検出されていた。8例がホルモン感受性陽性乳癌であった。8例に遺伝子検査が施行されBRCA2 の病的胚細胞変異を3例に認めた。この3例は,すべてホルモン感受性陽性乳癌であった。 BRCA2 変異陽性乳癌は,散発性乳癌とほぼ生物学的特性が同じであり,石灰化所見として見つかることが多く,家族歴に注目すれば,検診においても拾い上げることが可能と考えられた。
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  • 戸崎 光宏
    24 巻 (2015) 2 号 p. 254-259
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    乳癌検出における乳房MRI の感度は,マンモグラフィおよび超音波検査よりも圧倒的に優れている。しかし,コストおよび造影剤使用のリスクを考慮すると,MRI での検診は現実的ではない。一方,欧米ではハイリスクグループにおけるMRI 検診に関して多くの研究がなされ,MRI の感度が圧倒的に高いことが報告されてきた。このような現状を踏まえ,2012年に日本乳癌検診学会から「乳がん発症ハイリスクグループに対する乳房MRI スクリーニングに関するガイドライン」が発表された。これから増えると予測される乳房MRI の精度管理を念頭に入れたものである。また,厚生労働科学研究費を用いた「わが国における遺伝性乳癌卵巣癌の臨床遺伝学的特徴の解明と遺伝子情報を用いた生命予後の改善に関する研究」がスタートした。その中には「BRCA1/2変異陽性者のMRI 検診の有用性」を検討する項目があり,国内初の乳房MRI に関する前向き試験が組み込まれている。今回,やっと動き出そうとしている「ハイリスクグループのMRI 乳癌検診」について,これまでの経緯と今後の展望について言及したい。
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第24回学術総会/ディベート
中間期乳癌は一般検診発見乳癌と生物学的性質は同じか
原著
  • 向井 理枝, 塚本 徳子, 和田 朋子, 鈴木 咲子, 秋山 忍, 大出 幸子, 森下 恵美子, 本田 聡, 鈴木 高祐, 矢形 寛, 山内 ...
    24 巻 (2015) 2 号 p. 285-292
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    生命予後に大きく関与すると考えられるサブタイプ分類に着目し,超音波(US)検診を行うことで悪性度の高いNon―luminal 乳癌を検出できるかを探る。2009年1月から2011年12月の3年間に当施設の検診延べ受診者はUS:28,691名,マンモグラフィ(MMG):40,282名である。要精査率は各々4.8%と3.0%,検出乳癌は112名(0.39%)124病変と97名(0.24%)101病変である。このうち,US 検出浸潤癌71名74病変(年齢中央値49歳)とMMG 検出浸潤癌59名59病変(年齢中央値58歳)を対象にサブタイプを検討した。その結果,US 群はLuminal A(LA):25病変(33.8%),Luminal B(LB):38病変(51.4%),LA/B:6病変(8.1%),HER2:2病変(2.7%),Triple Negative(TN):3病変(4.1%)。MMG群はLA:13病変(22.0%),LB:32病変(54.2%),LA/B:3病変(5.1%),HER2:6病変(10.2%),TN:4病変(6.8%),HER2/TN:1病変(1.7%)であった。MMG に比較してUS で有意にLuminal 乳癌の割合が多かった(p<0.001)。US とMMG を同時併用した延べ受診者数は11,938名であった。このうち,いずれかで検出した浸潤癌は37病変であり,Non―luminal 乳癌は3病変であった。この3病変は両方のモダリティで検出しており,MMG にUS を加えて検出できる浸潤癌にNon―luminal 乳癌はなかった。US は高濃度乳房から腫瘤を形成する小さい浸潤癌,特にTN 乳癌を効率よく検出できる可能性を考えていたが,実際にはER(+)乳癌が多く,ER(-)乳癌検出は少なかった。単施設の結果ではあるが,Non―luminal 乳癌はUS を加えても検診検出は難しいタイプの乳癌である可能性が示された。
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  • 大岩 幹直, 遠藤 登喜子, 森田 孝子, 須田 波子, 佐藤 康幸, 林 孝子, 加藤 彩, 宇佐美 寿志, 太田 康宣, 市原 周, 森 ...
    24 巻 (2015) 2 号 p. 293-303
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィ(MG)と超音波(US)検査の併用検診における総合判定基準では,局所的非対称性陰影・FAD はUS で正常乳腺と確認できれば要精査としないとされるが,Uの検出力が明らかでない。今回われわれはMG 検診要精査例のFAD の特徴,US の所見や検出力を解析することにより,FAD の総合判定を特異度向上の観点から検討した。対象は2011年度に当院でMG を再撮影したMG 検診要精査445人のうち,所見にFAD が含まれていた138人141例。当院再評価で94例にFAD が確認された。当院FAD に対応する所見がUS で検出できたのは68%であり,このうち約半数の31%が正常乳腺にあたる乳腺の飛び地や局所肥厚であった。US で部位が特定できなかった32%にも経過観察できた限りでは癌は発見されなかった。当院FAD で乳癌と診断されたのは8例(9%)で,6例が浸潤癌,MG 径の中央値は23mm,US 径は22mm,病理腫瘍径は31mm であった。FAD から発見された乳癌は比較的大きな浸潤癌が多く,US では1例がカテゴリー3,残りはすべて4以上と判定されていることから,US での検出はさほど困難ではないと推察された。よって本研究からは,同時併用方式であれば,FAD の推定される部位に病変が特定できない場合にも精査不要にできる可能性が示唆された。すべての当院FAD においてUS 所見を優先した総合判定を行うと,MG 単独判定に比べてFAD 要精査を70%減らすことができる。ただし,背景乳腺によっては検出の難しいタイプの乳癌があり,この取扱いが今後の検討課題である。
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  • 川崎 あいか, 田中 佳和子, 井上 謙一, 合田 杏子, 佐々木 毅, 土井 卓子
    24 巻 (2015) 2 号 p. 304-310
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    ステレオガイド下吸引式乳房組織生検(マンモトーム生検;ST―MMT 生検)において,機器の操作を担当する放射線技師の責任は大きい。平成21年2月から平成25年4月間に当院でST―MMT 生検および生検後の経過観察,手術を施行した264症例(良性172例,要経過観察22例,悪性70例)を見直し,どの程度適正な採取が行われていたのか検査精度を検証した。 生検結果が良性であった症例中6例は経過観察期間中に石灰化の増加を認め,再生検を施行した。うち2例は乳管上皮の一部に異型を認め,慎重に経過観察しているが,悪性所見の出現は認めていない。要経過観察症例中初回生検の結果が平坦上皮異型であった1例は2年後に石灰化の増加を認め,再生検でDCIS との診断を得た。経時的な癌化が示唆された。悪性例について,ST―MMT 生検と手術後の病理結果での浸潤の有無は87%(61/70)一致した。他施設と比較して遜色ない結果であり,適正な採取が行えていると言えた。多形性の石灰化はST―MMT 生検によってDCIS か浸潤癌かを正しく診断できる割合が高かった。ST―MMT 生検と手術後の病理結果が異なっていた症例には,石灰化が淡い・輝度差や大小のばらつきが乏しい・分布が区域性などの特徴があった。ST―MMT 生検は身体的負担を伴う検査であるが,診断精度は高い。放射線技師が技術研磨に努めることで,被検者により有益な検査を提供することができると思われた。
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  • 田中 佳和子, 川崎 あいか, 井上 謙一, 合田 杏子, 土井 卓子
    24 巻 (2015) 2 号 p. 311-317
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル フリー
    乳房内の石灰化病変に対する検査法であるステレオガイド下吸引式乳房組織生検(マンモトーム,以下STMMT 生検)において,放射線技師が担う役割は大きい。当院では検査経過の情報の伝達と共有を目的として,放射線技師が症例ごとに技術報告書を作成している。技術報告書には石灰化の採取状況に関連する事項,検査の手技に関連する事項,検査の進行状況に関連する事項を記載している。今回,2009年2月から2013年9月までにSTMMT 生検を施行した479例の技術報告書を対象に,報告書を外来担当医師および生検施行医師がどのように活用し,診療に役立てているかを検討した。 医師は全員がそれぞれ技術報告書を確認しており,画像所見と病理結果が矛盾していないかの検討,患者の不安や不満への対応,手術時の切除範囲の決定,検査の手技上達を目的に活用していた。放射線技師が作成する技術報告書は円滑な診療,経過観察,手術,検査の質の向上に有用であった。放射線技師がSTMMT 生検に携わったことに責任を持ち,検査の経過を詳細に報告することで,検査に対する信頼度が増し,質の高いチーム医療に繋がるであろうと考える。
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