日本乳癌検診学会誌
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26 巻, 1 号
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第26回学術総会/シンポジウム1
次世代乳がん検診の夜明け――J-START の結果から個別化検診へ
  • 2017 年 26 巻 1 号 p. 3
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
  • 大内 憲明
    2017 年 26 巻 1 号 p. 4-7
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    乳がん検診の基本はマンモグラフィであるが,高濃度乳房における効果は十分でなく,その限界が指摘されていた。そこで,われわれは2006年度から厚生労働省第3次対がん総合戦略研究事業・がん対策のための戦略研究「超音波検査による乳がん検診の有効性を検証する比較試験(J-START)」を開始した。40歳代女性を対象に,マンモグラフィに超音波を併用する(介入)群と併用しない(非介入)群との間でRCT を行い,プライマリ・エンドポイントを感度・特異度および発見率とし,セカンダリ・エンドポイントを累積進行乳がん罹患率とした。プライマリ・エンドポイントの結果,介入群は非介入群に比較し感度が顕著に高かったが(91.1% vs 77.0%),特異度は低下した(87.7% vs 91.4%)。がん発見率も高く(184[0.50%]vs117[0.32%]),早期がんが多かった(144[71.3%]vs 79[52.0%])。特異度が低下した理由は超音波効果の検証目的に独立判定したためであり,検診への導入にはマンモ+超音波の総合判定が望まれる。 J-START は,超音波検査の有効性を評価した世界で初めての大規模RCTである。最近,デンスブレストに関する報道が盛んであるが,米国でBreast Density Notification Law が半数の州で施行されるなど欧米も同じ状況にある。J-START はデンスブレスト対応として始めた研究であり,その検証は今後も続ける。一方で,高濃度の人に結果をどう伝えるか,伝えた後の受け皿をどうすべきかについて,国や関係学会と検討を行っている。会員の皆様には,日本発・世界初のJ-START 成果を活かし,女性を乳がんから救うために取り組んで戴きたい。
  • 鈴木 昭彦, 石田 孝宣, 多田 寛, 佐藤 章子, 塩野(成川) 洋子, 鄭 迎芳, 大内 憲明
    2017 年 26 巻 1 号 p. 8-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    J-START(乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験)の初回検診に関する結果が2016年1月のThe Lancet に報告された。その結果,がん発見数・発見率は介入群で有意に高く,中間期乳がんは介入群で有意に低かった。乳がん発見感度は介入群で有意に高かった。一方,超音波の導入に伴って特異度が低下する不利益も明らかとなっており,まだ明らかになっていない死亡率減少効果を含めた有用性の評価は今後の課題である。 対策型検診の個別化には,個別化の指標の妥当性や信頼性,運用上の技術的な問題解決が必要であり,さらにモダリティを追加する場合の利益と不利益とのバランスを,エビデンスの有る形で提示できることが求められる。超音波検査はJ-START の結果を見る限りマンモグラフィ検診の弱点を補う有力なオプションであるが,導入へ向けたエビデンスの創出に加えてハード,ソフト両面の社会的基盤整備も進めて行くことが重要である。
  • 難波 清
    2017 年 26 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    乳がん検診で唯一科学的証拠に裏付けられたマンモグラフィ検診は,近年,デンスブレストの問題に直面してきた。最も簡単明瞭な解決法は,マンモグラフィが提供する乳腺密度を正確で再現性のある方法で評価し,密度で個別化し,補助診断法の全乳房超音波検査を適正に実施することである。従来の読影医の目視,コンピュータの二次元画像などによる乳腺密度評価は精度,再現性,客観性に乏しいため個別化ツールとしては不適切だったが,最近,開発された自動式三次元乳腺密度評価ソフトウェア(ボルパラ,VolparaTM)は,デジタルマンモグラフィの時代に入り,すべての難題をクリアし,世界的に広まってきた。 当施設では,2013年に同ソフトを導入し,独自の個別化マンモグラフィ検診システムを構築し実践してきた。本シンポジウムでは,ボルパラとシステムの概要,稼働状況,受診者の反応やデータに基づく乳腺密度の実態や個別化の成果について報告した。
  • 角田 博子
    2017 年 26 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    現在,日本の対策型乳がん検診は40歳以上の女性すべてを対象としている。日本では2000年に50歳以上の女性に対してマンモグラフィが導入され,2004年に対象年齢が40歳以上に引き下げられたが,その際対象年齢に上限を設けず,現在に至っている。海外では多くの国が年齢上限を設けており,WHO のposition paper では乳がん検診の対象者として議論されているのは75歳までである。米国USPTF においても75歳以上の推奨グレードはI とされている。さらに2013年に出されたわが国の有効性評価に基づく乳がん検診ガイドラインにおいても,75歳以上の対象者に対するエビデンスは示されていない。高齢者に検診の利益を享受させないのかという議論ではなく,余命が短く他病死する可能性が高い場合,早期乳癌の検出がかえって受診者の不利益になることを正しく理解する必要がある。また,対策型検診としては集団全体の効率の問題も大きな課題である。今後高齢者が増加していくなかで,乳がん検診の対象として年齢の上限を設けることを再考する必要がある。
  • 藤下 真奈美, 濱島 ちさと, 斎藤 博
    2017 年 26 巻 1 号 p. 26-29
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    わが国のがん検診のうち,対策型検診については,厚生労働省が定める指針に基づいて実施することが推奨されている。この指針におけるがん検診の検診項目や対象年齢等は,有識者で構成される厚生労働省の検討会において,死亡率減少効果等の科学的根拠をはじめとしたさまざまな議論を踏まえ,定められている。 平成27年9月の検討会中間報告書では,「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(J-START)」の結果を踏まえ,40歳代女性の乳がん検診におけるマンモグラフィと乳房超音波検査の併用法の有用性が明記されたが,同時に,乳房超音波検査における実施体制や不利益への対策など,今後の課題が挙げられたところである。 対策型検診においても,ハイリスク者の検診方法などについて今後の研究および科学的根拠を踏まえた検討が必要と考えられる。 これまでの議論を踏まえ,対策型検診における乳房超音波検査の課題と今後の展望について言及する。
  • 大貫 幸二
    2017 年 26 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    J-START によって,40歳代のマンモグラフィ検診に超音波検査を上乗せすると,感度が上昇することが示されたが,特異度は低下した。初回検診の結果という限定的な成績ではあるが,J-STARTの成績を用いて費用効果分析を行い,対策型検診に超音波検査を上乗せすることが妥当であるかについて検討した。分析には10万人の仮想コホートを動かすシミュレーションモデルを用いた。1救命人年あたりの費用はマンモグラフィ検診が118.0万円で,マンモグラフィと超音波検査の併用検診の174.8万円より効率的であった。感度分析を行ったところ,検診費用の増分を押さえ,総合判定などによって特異度を向上させると,超音波検査の併用検診の費用効果比がマンモグラフィ検診より良好となる可能性が示された。また,罹患率が1.36倍以上の集団に超音波併用検診を行うと,平均リスクの集団に対するマンモグラフィ検診の費用効果比より良好となった。日本人でも高濃度乳房(dense breast)は乳癌罹患リスクが高いとされており,高濃度乳房の多い40歳代に対して超音波検査を上乗せすることは,検査精度だけでなく費用効果分析の観点からも妥当であると考えられた。ただし,対策型検診に高濃度乳房対策を盛り込むのであれば,乳房の構成の評価基準や教育体制などを再検討し,それに基づいて日本人における高濃度乳房の診断精度や罹患リスクを再評価する必要がある。
  • 2017 年 26 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
第26回学術総会/特別企画
がん登録と全国集計報告
  • 2017 年 26 巻 1 号 p. 41
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
  • 馬場 紀行, 福田 光枝
    2017 年 26 巻 1 号 p. 42-47
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    電子付録
    平成25年(2013年)がん登録等の推進に関する法律の成立により,がん診療に従事する施設に対して全国がん登録が義務化され,2016年度に新たに診断された患者さんから登録が始められている。登録は主として治療を行った施設によってなされているために,発見されたきっかけが検診であった患者さんについては発見に最も寄与した検診施設の功績が反映されない可能性がある。26の登録項目の中には発見経緯として「がん検診・健診診断・人間ドック」があり,検診施設が登録に関与する余地がある。登録は早い者勝ちである一面があるので,検診施設が登録に参加するチャンスは大いにある。登録協力施設は公的な保健,衛生関係のHP に掲載される可能性があり,多くの民間人やメディアの眼に触れる機会がある。施設の知名度や検診精度をアピールする上でも全国がん登録に参加するべきであると考える。そのためには全国がん登録の項目について知っておくこと,より確実に登録票が受理されるために可能であれば細胞診ないし針生検を行うことが望ましい。今年度から登録データはオンライン提出される方針となっている。
  • 鯉淵 幸生, 笠原 善郎, 辻 一郎, 大貫 幸二, 坂 佳奈子, 古川 順康, 増岡 秀次, 村田 陽子, 森田 孝子, 山川 卓, 吉田 ...
    2017 年 26 巻 1 号 p. 48-57
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    電子付録
    全国集計の趣旨は対策型と任意型両方の,可能な限り多くのデータを収集し,偏りのないサンプルを用いて,受診者の年齢階級別・検査の方法別・検診実施期間別にプロセス指標を算出し比較すること,技術・体制的指標をチェックすることにより検診施設の精度改善を図っていくことである。そのことを踏まえて,第6回全国集計の結果(2013年度分)を報告する。今回の総回答施設数は262施設で,前回の施設数(291)より減少したが,総受診者数は2,249,033人で,登録数は年々増加傾向,特に任意型で増加していた。登録数は,都道府県によるばらつきが大きく,「0」の県(滋賀県,鳥取県)も見られた。検査方法は,若年層では超音波併用が増加し,高齢者では視触診を省略しMG 単独にする傾向が見られた。プロセス指標では,要精検率の低下,精検受診率,陽性反応適中度の上昇が続いていた。今回から精検未受診率の正確な把握のために,精検未受診率と精検未把握率の項目を追加した。未把握率は全体で9.4%と高率で,特に若年者,任意型で高かった。技術体制的指標は,年々精度が向上していたが,受診者への説明,撮影の精度管理,読影の精度管理,システムとしての精度管理,いずれも今回は昨年と同等であった。検診方法が変化していることも踏まえて,項目を見直しながら「技術・体制的指標」を正確にチェックすることにより検診施設の精度改善を図っていくことも全国集計の重要な役割である。
  • 辻 一郎
    2017 年 26 巻 1 号 p. 58-61
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    電子付録
    「がん登録等の推進に関する法律(以下,がん登録推進法)」による全国がん登録システムを用いて,がん検診の精度(感度・特異度)の評価を行う際の法的な手続きと課題について検討した。精度評価を行うには,がん検診受診者の名簿とがん登録データベースの名簿とのリンケージが必須であり,匿名化されていないがん罹患情報を利用する必要がある。その際,実施主体によって,利用手続きや対象者からの同意の要否が異なる。研究者が第二十一条に基づいて実施する場合,対象者から研究利用に関する同意を得ることが条件となる。一方,都道府県が第十八条に基づいて実施する場合,対象者の同意は必須とされない。対象者から研究利用に関する同意を得ることは,事務的な負担が大きく,またセレクション・バイアスが生じる恐れがある。したがって,がん検診の精度評価を行う際は,都道府県が実施主体となって手続きを行い,データ解析などの作業を研究者に委託するという形をとれば,事務的にも学術的にも最大の効果と効率が期待される。その実現に向けて,本学会も都道府県に対して訴えかけていく必要があると思われる。
  • 笠原 善郎
    2017 年 26 巻 1 号 p. 62-65
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    日本乳癌検診学会全国集計委員会は,「全国の乳癌検診の実態を把握することによって,その精度と有効性(アウトカム)のさらなる向上を目指すこと及び検診事業(実施体制,実施手順,精度など)の均てん化を目指すこと」を目的に2010年に発足し,2011年に第1回全国集計(2008年度分)を開始した。今回の第6回実施分では全国262施設から2,249,033人分のデータを収集した。対策型検診の市町村による集計である地域保健・健康増進事業報告とは異なり,検診施設からデータを収集するため,任意型検診や40歳未満の若年者,超音波検診受診者などの実態把握も可能で,これまでに任意型検診施設の精度管理の現状分析や検診未把握率の集計などデータの2次利用による検討も実施してきた。登録各施設へは,当初は感謝状と全国集計報告書のみの提供であったが,その後県別のプロセス指標結果を,昨年度より施設別検診結果報告書を同封し,結果のフィードバックも行っている。今後は登録精度の向上を目指すとともに,プロセス指標の精度管理に有用な許容値や目標値の提示や,当学会独自のプロセスインディケータの提案なども含め活動していく予定である。
原著
  • 大田 浩司, 田中 正樹, 田中 文恵, 前田 浩幸, 笠原 善郎
    2017 年 26 巻 1 号 p. 66-72
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    福井県で行われた対策型検診のデータをもとに,二重読影の検査精度,発見癌の特徴を検索した。05年4月1日から09年3月31日までの受診者を対象とした。地域癌登録を用いて検診真陽性,偽陰性を調査し,一次,二次読影,および二重読影別の感度,特異度を算出し,さらに乳腺濃度別に層別化して二重読影の効果を判定した。一次,二次単独発見癌の特徴も検討した。146例の検診発見癌と35例の偽陰性癌が同定された。一次,二次読影,二重読影の感度はそれぞれ62.4%,74.0%,76.2%,特異度は93.2%,93.1%,89.8%であった。二次読影を追加することで,感度は13.8%上昇し(p<0.01),特異度は3.4%低下した(p<0.01)。脂肪性,散在性,不均一,高濃度では,二次読影を追加したことによる感度の上昇はそれぞれ,8.3%,8.9%,20.6%,0%,特異度の低下はそれぞれ1.7%,3.1%,4.2%,4.2%であり,不均一高濃度でのみ一次読影と二重読影の感度の間に有意差を認めた。一次,二次単独発見癌29例の特徴では,若年例,高濃度乳腺例,その他の所見が多く,診断難易度の高いケースが拾い上げられていた。二重読影により癌の拾い上げに関しては良好に機能していたが,特異度の低下が認められた。不均一高濃度にて感度は最も上昇し,脂肪性や高濃度では感度の上昇はわずかであることから,背景乳腺濃度を個別化指標とした,より効率の良い検診体制を作り上げることが望まれる。
  • 大幡 里奈, 小寺 吉衞
    2017 年 26 巻 1 号 p. 73-84
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    異なるディジタルマンモグラフィシステムで撮影した画像の比較読影において,画像描出の違いにより乳房内の経時的変化の観察に影響が生じる場合があると考え,ファントム画像による観察実験を行い検証した。 間接変換型FPD マンモグラフィ装置(以下System a)とCR マンモグラフィ装置(System b)を使用した。ACR ファントムワックス部をPMMA ファントムで挟んで厚さ30~70mm 計5種類の被写体とし,各システムの臨床撮影条件で元画像と画像処理画像(処理画像)計20枚を作製した。「撮影装置が同じ元画像と処理画像の組合せ」と「撮影装置が異なる元画像同士または処理画像同士の組合せ」計20組を用いて観察実験を実施した。検診マンモグラフィ認定技師5名が5M 高精細モニタで画像を観察し,ファントム内試料の視覚評価と撮影システムの判別を行った。 同じシステムの元画像と処理画像の視覚評価では一部の組合せを除き,模擬試料の検出結果に差はなかった。一方,異なるシステムの比較ではすべての組合せの60%でSystema がSystem b より評価が高くなる傾向を示し,画像処理だけでなく撮影装置固有の物理特性の違いによる描出能の差が点数差として現れたと考えられた。また観察者はすべての組合せの約80%で模擬試料の見え方からシステムの違いを判別し,画像描出の相違が同じ被写体の変化を観察する上で問題となる可能性が示唆された。 読影者と撮影者はシステム間の描出能の差について事前に情報共有する必要があると考える。
  • 染谷 朋子, 向井 理枝, 塚本 徳子, 鵜澤 郁子, 香苗 弓場, 剱 さおり, 河内 伸江, 森下 恵美子, 角田 博子
    2017 年 26 巻 1 号 p. 85-92
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    エラストグラフィを施行する際,検診と精査時で評価に差がないかどうかを検討した。対象は2012年1月から2013年6月までに検診超音波検査(US)を施行し要精査となり,検診から1年以内に病院で精査US を施行した症例である。良性は15例,悪性は検診からさらに4カ月以内に絞り38例を対象とした。検診と精査で同病変のElasticity Score(スコア)を比較し,検診より精査でスコアが高かったものを高,変わらなかったものを不変,低かったものを低と分類した。検査は検診ではUS に習熟した臨床検査技師,精査では医師,診療放射線技師,臨床検査技師が行った。検診・精査のいずれも日立メディコ社製の同じ原理の装置を使用した。良悪性別に検診と精査のスコアを比較した結果,乳癌は38例中,精査時で高く評価したもの30例,不変7例,低かったもの1例と,高く評価したものが79%を占めた。良性15例では,高いものが3例,不変9例,低く評価したもの3例と,検診から精査でスコアはほとんど変化しなかった。乳癌と診断されている病変にエラストグラフィを施行すると,検診時よりもスコアを高く評価していることがわかった。検診時と精査時で判定に差が生じる理由として,検査環境や静止画像の選び方,検査時の心理的影響などが関与しているのではないかと考えられ,あらためて手技の精度管理が重要と考えられた。
  • 松尾 兼幸
    2017 年 26 巻 1 号 p. 93-95
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
    重度心身障害に対する乳癌検診を行う際のマンモグラフィ撮影(MMG)および乳房超音波検査の併用の有用性について現状を報告する。平成26年7月から11月まで当院で乳癌検診を施行した重度心身障害者18名を対象とした。全例に対し,まずMMG を行い,その後乳房超音波検査を施行した。MMG では,全例異常は指摘されなかったが,乳房超音波検査では特に高濃度乳腺を持つ10名中,3名はカテゴリー3と診断された。さらに内1例はリアルタイムエラストグラフィ検査により腫瘤性病変が認められ,精密検査となった。今回の検討により,重度心身障害者に対し乳房超音波検査を併用することで,MMGでは確認が難しかった高濃度乳腺における腫瘤性病変を同定することができた。
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