日本乳癌検診学会誌
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4 巻, 1 号
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  • 木戸 長一郎, 渡辺 弘
    1995 年 4 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 森本 忠興, 黒石 哲生
    1995 年 4 巻 1 号 p. 18-20
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 栃木県乳癌検診より
    森久保 寛, 伊藤 勇, 藤田 満, 高田 悦雄, 中村 裕恵, 福田 知子, 手塚 桂子, 山根 則幸
    1995 年 4 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1987年より栃木県保健衛生事業団が実施している超音波併用乳癌住民検診を紹介し, さらに1992年度より導入した超音波画像の静止画記録による読影システムの精度評価を行った。われわれが行っている栃木県内の乳癌検診は医師による触診と続いてこの医師の指示により検査技師が行う超音波検査で, 画像は静止画としてディジタル光磁気ディスクに記録され読影医に送られ, 検査技師立ち合いのもと読影されて要精検者が判定される。
    過去6年間の総受診者は105,845名で発見乳癌は70例, 乳癌発見率は0.07%である。要精検率は超音波検査による絞り込み効果により低率で, 平均2.1%, 1993年度では1.7%であった。また発見乳癌のうち早期乳癌は46.4%であり, 特に継年受診者の中では73.3%であった。超音波静止画記録読影法を採用した1992年度と1993年度の要精検者の超音波診断と精検調査票の結果との照合から超音波検査システムのROCカーブを作成すると, カーブ特性は良好で検査感度をかなり維持しながら要精検率をさらに低下できる可能性が示唆された。存在診断に徹した視・触診と質的診断を重視した超音波検査の組合せによる本検診システムは比較的少ない設備とスタッフにより充分な検診効率を持つことが示された。
  • 田中 真紀, 磯辺 真, 柳瀬 晃, 篠崎 広嗣, 亀井 英樹, 枝国 節雄
    1995 年 4 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1991年以来, 一次検診にマンモグラフィ (以下, MMG) を併用した乳癌の集団検診を行ってきた。受診者数は延べ6,001例でその内86.2% (5,175例) がMMGを併用していた。撮影方法は時間的・経済的配慮から側面一方向で行った。MMGの画像を年齢別にみて読みやすかったかどうかの評価では, 50歳以上では約90%が判読しやすいとしていた。要精査率は6.3%で, 乳癌をMMG併用群から11例 (0.21%) 発見し, 早期癌が54.5%と従来の視・触診法と比較すると良好であった。年齢は40歳代が5例 (0.19%), 50歳代が6例 (0.39%) と50歳以上で高率だったが, 早期癌は40歳代が80.0%, 50歳代が33.3%と40歳代で高く, TO乳癌の2例は40歳代からであった。したがってMMG併用の乳癌検診は40歳以上に有効と考えられた。またこの検診の精度は, 感度90.0%, 特異度93.8%, 予知度3.1%と満足できる結果であった。症例を検討すると, 腫瘤を撮影範囲内にとらえていなかったり, 過去にMMGの経験のある症例があり, 今後は撮影方向の検討, 訓練された技師の育成, 前回のフィルムと容易に比較できる体制づくりが必要と思われた。
  • 横江 隆夫, 飯野 佑一, 青柳 秀忠, 菅又 徳孝, 高井 良樹, 武井 寛幸, 鯉渕 幸生, 安東 立正, 森下 靖雄, 村田 広美
    1995 年 4 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    群馬県では1980年から乳癌・甲状腺癌の同時集団検診 (乳甲検診) を, 1983年からは子宮癌検診 (子宮検診) も同時に併せて行ってきた。受診対象は30歳以上の女性で, 乳甲検診はおもに視・触診法で, 子宮検診は内診・細胞診で行った。1994年3月までに, 乳甲検診では延べ444,176名の受診者中, 乳癌310名 (0.07%), 甲状腺癌311名 (0.07%) が発見された。子宮検診では延べ628,575名中, 頸癌709名 (0.07%), 体癌37名 (0.005%), 卵巣癌10名 (0.002%) が発見された。集検発見乳癌はTis, I期が46%を占め, 外来例 (N=925) の29%よりも有意に早期例が多かった。甲状腺癌は, 長径2cm以下のものは, 外来例の29%に比べ集検例が58%と有意に多かった。子宮頸癌の上皮内癌は外来例の11%に比べ, 集検例では63%と多かった。集検甲状腺癌では, 反回神経麻痺, 気管浸潤の頻度は外来例に比べ有意に少なかった。
    同時集団検診により, 早期癌が多く発見できるとともに検診費用および受診者の時間的負担が軽減できた。検診精度を保つためには, 一次, 二次検診医の養成が重要である。
  • 福井県癌登録乳癌の解析ならびに老健法視触診検診での要精検率の分析を通じて
    田中 猛夫
    1995 年 4 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    県癌登録資料の解析 (日乳癌検診学会誌, 3 : 237-245, 1994) ならびに老健法検診実績の分析を通じて, 乳癌および検診の実情を追求した。癌登録乳癌の92.4%が症状を自覚しており, 未だこの自覚が遅れて癌が進展し生存率を低めている集団があるのを確認した (高齢者, 無職者, 町村部居住者) 。検診によってdown-staging効果は得られていたが, 地域の死亡率低下に寄与し得るには至っていない。低カバー率・視触診法の現況の中でより有効な検診にするための方策を検討した。1) 適切な対象に焦点を合わせ実施する : 先の低生存率群, 特に家庭婦人に手厚く。年齢階層では, 30歳代は低罹患率のため検出効率は低くなり, また70歳以上は他病死率が高く効用は低い。2) 要精検の基準を見直し, 画像診断併用の機会として拡大する : 検診精検率は地区によって差があった。高率地区 (6.92%) と低率地区 (3.25%) と二分して比較した。40歳代は理学的所見が得難く他階層よりも高くなるが, さらに増率し10%程度まで高めると癌検出率も上がり, 触知不能癌検出にもつながり得ると示唆された。3) 生物学的特性への配慮 : 登録癌n0症例の5年生存率は, 54歳迄群は55~69歳群よりも低い傾向を示した (92、8%vs97.8%) 。特にこの年代はsubclinical stageで検出し得るよう配慮が求められる。
    検診問題は多面的であり, 経済効率のみでなく, 腫瘍の生物学的悪性度や社会的要因など, より広い観点での討議が望まれる。
  • 飯沼 武, 松本 徹, 木戸 長一郎
    1995 年 4 巻 1 号 p. 49-57
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    筆者らは前報において日本の乳癌検診に乳房撮影を導入する場合の被曝によるリスクと検診から生ずる利益との比較を行い, 30歳以上で問題がないことを明らかにした。今回は乳房撮影を用いる検診の評価の第2ステップとして, この新しい検診がどの位の費用効果で実施できるかを検討する。費用効果のモデルは筆者らが開発した方法を用いる。その前提条件は或る集団全員が毎年検診を受診しており, その1回当りの費用と効果を求めるものである。まず効果としては集団全員が乳房撮影と視触診によるスクリーニング検査を受け, 要精検とされた者が精密検査を受診, 最終的に乳癌と確定した者が治療され, 一部が生存するという流れを想定した。ただし, スクリーニング検査での見逃し, 精検不受診者からの癌の発生も考慮した。一方, コストはスクリーニング検査と精密検査のコストおよび治療を受けた者の費用も含めた。
    最終的な結果は救命人・年当りの費用という形で費用効果比を算出し, 年齢階級の関数として表した。費用効果比は45歳~49歳代で最も安く250万円/人・年となった。その前後の年齢ではいずれも増加した。ただし, この値は他の胃癌や大腸癌に比して約3倍高かった。すなわち乳癌検診は費用効果的には割高であることが明らかとなった。しかし, これでも現行の視触診による検診に比べると良いことも判明した。今後さらに精度のよい数値データの推定が急務である。
  • 森本 忠興, 黒石 哲生
    1995 年 4 巻 1 号 p. 58-66
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 清田 敦子
    1995 年 4 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1994年2月2日より3月29日まで, フィンランドで全国規模で実施されているマンモグラフィによる乳癌検診システムと乳房撮影の研修に派遣された。
    フィンランドでは, 1987年にマンモグラフィによる乳癌検診が全国規模で開始され, 50~59歳の女性を対象に個人個人への案内状が郵送され2方向撮影 (頭尾方向と内外斜位) が唯一検診として実施されている。検診間隔は2年おきで実施されている。
    マンモグラフィ装置と画質の品質管理は, 法律で指導されており, 少なくとも5年に1回放射線と核の安全センターから派遣された医療物理士により監査が行われている。
  • 角田 博子
    1995 年 4 巻 1 号 p. 73-79
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    平成6年2月および3月の2カ月間, 日本放射線科専門医会の派遣医として, 西南フィンランドがん協会においてマンモグラフィ検診に参加研修する機会を得たので報告する。フィンランドでは女性の癌の中で乳癌は最も多い癌であり, その罹患率は日本の2倍にも達する。1987年に乳癌検診が開始されて以来, 参加率は毎年約89%を保ち, 1992年乳癌発見率は0.33%, 発見乳癌のうちStage Iは78%を占めている。読影は2人の放射線科医によりdouble readingで行われ, 追加検査から細胞診に至るまで受診者無料の制度が整えられている。フィンランドと日本の乳癌を取りまく状況はかなり異なったものであるが, それでもなお検診に対する情報の普及, 女性たちが検診を受診しやすい環境の確保など見習うべき点は少なくない。そして最も大切なのは, 検診のハード, ソフト両面における量, 質の確保と維持であろう。フィンランドでは, 国として強制力のある品質管理を行っている。今後日本に画像診断による検診をとり入れるとすれば, 他国のすぐれた点をとりいれると同時に日本の現在の検診状況を把握して, 今後日本に合ったよりよい形での検診をめざす必要があると思われた。
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