日本乳癌検診学会誌
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7 巻, 1 号
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  • 伊藤 末喜
    1998 年 7 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 森本 忠興, 大内 憲明
    1998 年 7 巻 1 号 p. 11
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 欧米における臨床試験のレビュー
    大内 憲明, 飯沼 武, 森本 忠興, 大貫 幸二, 黒石 哲生
    1998 年 7 巻 1 号 p. 13-23
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    欧米ではマンモグラフィを用いた乳癌検診が一般的であり, RCTと症例対照研究により50歳以上では有効であると言えるが, 49歳以下についての有効性評価は定まっていない。今回, 欧米で実施された主なRCTと症例対照研究を, とくに49歳以下に絞ってレビューし, マンモグラフィ検診による死亡リスク減少効果について検討を加えた。40-49歳における死亡リスク減少効果は7つのRCTの平均で18%とある程度の有効性は期待されるが, 50歳以上に比して限界があるといわざるを得ない。ただし, スウェーデンの最近の研究報告では23%の死亡リスク減少効果が認められており, 有効性が強く示唆される。
    わが国では現在, マンモグラフィの導入について検討が重ねられているが, 49歳以下への導入については, 50歳以上に比較して, 乳腺実質による乳癌発見感度の低下, 累積検診による被曝リスクの上昇を考慮しなければならない。しかし, 40歳代の乳癌罹患率ならびに死亡率は高いことから, 今後, 49歳以下女性に対するマンモグラフィ検診の有効性評価が欠かせない。
  • 笹 三徳, 森本 忠興, 山口 哲央, 相良 安信, 近藤 弘幸
    1998 年 7 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    平成7年4月から平成9年9月までの施設方式マンモグラフィ併用検診受診者4,294名の内40歳代1,667名 (全体の38.8%) の結果を検討した。要精検率は10.1%, マンモグラフィで9.7%, 視触診で4.3%, 両方では3.9%であった。精検受診率は89.3%, 6例の乳癌が発見され, その発見率は0.36%であった。また, 全例早期乳癌であった。乳癌の発見動機はマンモグラフィのみ4例, 視触診とマンモグラフィ両者でチェックされた症例が2例で, 視触診のみでの乳癌発見はなかった。マンモグラフィ, 視触診でのfalse negative症例が各々1例あった。40歳代での視触診の乳癌発見率は0.12%, マンモグラフィでは0.36%であった。40歳代での乳癌に対する視触診の感度は28.6% (2/7), マンモグラフィでは85.7% (6/7) であった。癌発見率, 感度, 早期癌比率などから見て, 本邦女性に対するマンモグラフィ併用検診は40歳代においても有効であることが示唆された。
  • 乳癌症例より
    新井 敏子, 武井 宏行, 磯 昌宏, 町田 利彦, 星野 欽一郎, 南雲 尭生, 角田 尚士
    1998 年 7 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    乳癌の罹患率の最も高い年代である40歳代の乳癌検診において, 現行の視触診に加えマンモグラフィを併用することにより, 乳癌の発見率を高めることができると考えるが, そのためにはより質の高いマンモグラムが要求される。そこでわれわれは, 会員の所属する4施設の40歳代の乳癌患者52名 (うち両側乳癌2名, 全54症例) のマンモグラムについて, 病変の描出能について検討を加えた。
    54症例のうち, dense と思われる乳房は31で, このうち2cm以下の乳癌症例が14例あり, 13例がマンモグラフィで描出されていた。また, 54症例のうち, 超音波検査を同時に行った33症例では, それぞれ1例ずつ描出されていなかった。マンモグラフィで見えなかったものは, 1.7cm の大きさの乳癌で, 乳腺と重なったために判別不能となっていた。また, 超音波で描出されなかったものは2.5cm の大きさの乳癌で, マンモグラフィでは腫瘤影の判別はできないものの, 無数の微小石灰化像で乳癌の判別ができたものである。以上のことより, 40歳代の乳癌症例において, その描出能にマンモグラフィが超音波検査に劣ることはなかった。しかし, dense breastの画像においては写真のコントラストや濃度など至適観察域が狭くなり, 撮影上のむずかしさもあるため, 検診においてマンモグラフィを併用するにあたっては, 装置, 撮影システム, 撮影技術など, 適正な精度管理が行われ, high quality マンモグラムが提供されることが肝要であると思われる。
  • 植野 映, 植木 浜一, 角田 博子, 花松 正寛, 石井 宏, 堀口 由利子, 田代 昭男
    1998 年 7 巻 1 号 p. 37
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    [目的]
    40歳代の乳癌検診にどのmodalityが最適かを探る。
    [対象と方法]
    1985年11月より1996年3月まで約10年の間に茨城県メディカルセンターにて施行された視触診, マンモグラフィ, 超音波検査の三種併用検診者を対象とし, 40歳代での各検査法の検出率を算出し, 他の年代と比較検討した。
    [結果]
    総受診者は延べ29,917名であり, 検出率は0.19%で, 病期0および1の割合は86.0%であった。年齢階級別に検出率 (%) をみると, 30~34歳 : 0.15, 35~39歳 : 0.18, 40~44歳 : 0.20, 45~49歳 : 0.26, 50~54歳 : 0.26, 55~59歳 : 0.11, 60~64歳 : 0.15, 65歳以上 : 0.66であり, 閉経直前の群に高率に癌が検出された。それぞれの検出法の検出率を比較すると, 40歳代の群では視触診57.1%, マンモグラフィ32.1%, 超音波82.1%と超音波の検出率が優れており, それに対して50歳以上の群では視触診31.8%, マンモグラフィ72.7%, 超音波50.0%とマンモグラフィによる検出が優位であった。本邦においては, 40歳代の検診には超音波の導入が必要と考えられる。
  • 武部 晃司, 中村 光次, 山本 洋介
    1998 年 7 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    リアルタイム超音波検査により全乳房を探査するwhole breast scanning (WBS) を用いた乳癌検診の成績を年齢別に検討した。対象は老健法による高松市住民乳癌検診にて香川県立がん検診センターを受診した19,592名 (初回受診者9,264名) である。全例に視触診に加え, 医師がWBSを施行した。受診者の平均年齢は47歳, 初回受診者の年齢構成は30歳代28%, 40歳代33%, 50歳代22%, 60歳以上17%であり, 30~40歳代が60%以上を占めていた。発見乳癌は42例, 内訳は触知不能乳癌15例, 径2cm以下17例, 2cm以上10例であった。年齢別の発見率は30歳代初回受診者で0.08%, 総受診者で0.08%, 40歳代初回受診者0.39%, 総受診者0.22%, 50歳代初回受診者0.25%, 総受診者で0.22%, 60歳代以上初回受診者0.71%, 総受診者0.37%であった。年齢別の比較では40歳代での発見率は50歳代よりも高かった。WBSによる非触知乳癌の検出が高い発見率につながった。30歳代および40歳代では, 発見された非触知乳癌は6例であった。そのうち4例はMMGで異常を認めず, 超音波検査でのみ検出可能であった。MMGで描出された2例の組織型は非浸潤性乳管癌および微小浸潤を伴う乳頭腺管癌で, 比較的予後の良好な組織型であった。一方, 超音波検査でのみ描出された4例は硬癌2例, 充実腺管癌1例, 非浸潤性乳管癌1例であり, 前者と比較し予後不良な組織型が多かった。
    乳癌検診におけるWBSはMMGと比較して, (1) 高い発見率が期待できる, (2) 予後不良な乳癌をより早期に発見できる, (3) 低コストで処理能力が高い, 等の利点を有する有用なmodalityである。特に欧米女性に比して小さくかつdenseな乳房を有する若年日本女性においては, whole breast scanningの有用性がさらに強調されると考えている。
  • 阿部 文子, 中込 誠, 大須賀 由美子, 小倉 正幸, 平山 現生, 辻 浩史, 玉城 繁, 北浜 博之, 山中 昭良
    1998 年 7 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    江戸川区では30歳以上の女性を対象に, 公費無料乳癌一次検診として超音波検査士によるリアルタイム方式の超音波検査 (以下, US) を全例に施行している。最近5年間の成績をもとにして40歳代を中心に検討した。5年間の総受診者は26,042名で, 40歳代では8,988名 (34.5%) であった。乳癌は144名で乳癌発見率0.55%であった。その内訳は30歳代8名 (5.6%), 40歳代61名 (42.4%), 50歳代40名 (27.8%), 60歳代29名 (20.1%), 70歳以上6名 (4.2%) で, 40歳代がもっとも多かった。40歳代の乳癌発見率は0.68%の高い検出率で, 早期乳癌率は59.0%であった。乳癌が増加傾向にある現状においては若年層の早期乳癌を発見することが重要である。USは受診者に苦痛を与えることもなく, また装置の簡便性から普及率も高く, 超音波検査士も年々増加してきた。これらの状況から, 40歳代の乳癌一次検診には高い検出率を示すUSを年に1度超音波検査士が施行することがきわめて有用であると考えられた。
  • 森本 忠興, 大内 憲明
    1998 年 7 巻 1 号 p. 50
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 遠藤 登喜子, 岩瀬 拓士, 大貫 幸二, 小田切 邦雄, 角田 博子, 東野 英利子, 大内 憲明
    1998 年 7 巻 1 号 p. 63-70
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 遠藤 登喜子, 岩瀬 拓士, 大貫 幸二, 小田切 邦雄, 角田 博子, 東野 英利子, 松本 満臣, 横江 隆夫, 大内 憲明
    1998 年 7 巻 1 号 p. 71-73
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 春日井市健康管理センターにおけるマンモグラフィを併用した乳癌検診の成績
    稲垣 朝子, 岩瀬 克己, 神保 慎, 小林 尚美, 三浦 馥, 小川 弘俊, 大橋 功男, 祖父江 功
    1998 年 7 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    乳癌検診では画像診断の併用が勧められており, とくにマンモグラフィの併用について検討されているが問題点も多い。春日井市健康管理センターでマンモグラフィを併用した乳癌検診を導入して3年を経過し, その結果を検討した。当施設では30歳以上の女性を対象に視触診とマンモグラフィを併用し, 有所見者やマンモグラフィが読影困難なものには超音波検査を行っている。乳癌は16例 (0.51%) 発見され, そのうち11例が触知可能で, マンモグラフィでは14例に異常所見が, 超音波検査では15例に腫瘤所見が認められた。検診時に癌を疑ったものは12例, 病期は0~I期が11例でそのうち5例に乳房温存手術が行われた。良性腫瘤性病変の代表である線維腺腫は要精検121例中16例で, マンモグラフィで捉えられた13例中7例は非触知であった。検診時には8例が悪性疑いまたは診断困難とされ, 8例は線維腺腫と診断された。一方, 検診時に良性病変の診断であったが要精検とした41例中癌は1例 (2.4%) のみで, 後期は要精検の判定基準から良性病変を除外し, 癌発見率を低下させることなく, 要精検例中の非癌例の割合を減少させ得た。視触診とマンモグラフィを併用した検診は乳癌の早期発見に有用で, 見逃し例の減少と有所見者の性状診断のためには超音波検査が有用と考えられた。画像診断の併用は, 要精検率を増大させ, 受診者や医療側の負担を増加させる可能性があるが, 検診の精度を高くすることにより改善可能と考えられた。
  • 40歳代のマンモグラフィ撮影の工夫
    近藤 博之, 山口 哲央, 黒田 怜子, 笹 三徳, 森本 忠興
    1998 年 7 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    徳島県ではマンモグラフィを併用した乳癌検診を行っている。平成4年10月から平成8年3月までの受診者は2,500名であり, その中から15例 (0.6%) の乳癌が発見された。そのうち14例がマンモグラフィで描出されており, 早期乳癌は12例であった。
    平成4年度から平成6年度までは対象を原則として50歳以上としたのに対し, 平成7年度からは40歳以上とした。このためマンモグラフィ像のWolfe分類でP2・DY対象者に対応するために, 高コントラストタイプのフィルムを使用し, フィルム濃度の変更等を行った。その結果, 平成4年度から平成6年度と平成7年度のみの40歳代の乳腺実質分類を比較すると, DYの頻度が14.3%から7.9%と減少した。また平成7年度の受診者929名のうち, 40歳代のマンモグラフィ像の63.9%がP2に分類された。40歳代のマンモグラフィ導入時には比較的乳腺密度の高いP2での腫瘤陰影の描出が重要であり, より高い精度が要求されることがわかった。
    さらにMLO, CCのマンモグラフィ像の検討から, 乳腺組織が限局的高密度を呈する部分は中央部, または中央から外側上部にかけて分布することが多かった。したがって, ポジショニングに際し, フォトタイマー受光部の位置はMLOでは中央部を含めやや上部に, CCでは中央部を含めやや外側が適当と思われた。
  • 腫瘤陰影の自動検出における低濃度領域抽出法の改善
    松原 友子, 笠井 聡, 関 和泰, 藤田 広志, 原 武史, 遠藤 登喜子
    1998 年 7 巻 1 号 p. 87-101
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    乳房X線写真におけるしきい値法に基づく腫瘤陰影検出アルゴリズムを開発しているが, 実験に用いる症例数が約520枚にまで増加することにより検出性能の低下が見られるようになった。検出もれとなる主な原因は, 腫瘤陰影候補領域の抽出段階で腫瘤陰影が候補から外れてしまうことによる。そこで, 本研究ではこの点に関連する処理を改善することによる真陽性率の向上を目的とする。まず, 胸筋領域抽出処理を新たに追加する。次に, 従来法の画像の3分類を, 「マンモグラム診断に適さない画像」を加えた画像の4分類とする。また, 厚い乳腺領域の抽出処理を, ヒストグラムを用いた2値化から低濃度領域を探索する2値化に変更した。乳房内の領域に応じたしきい値を用いた2値化による低濃度領域抽出処理では, 乳房内の領域に「乳腺領域周辺」を新たに加えた。さらに, 再検討処理に関してはしきい値と行う回数を変更した。その結果, 従来法の真陽性率は最大70%であったが, 改善後のアルゴリズムでは97%まで向上し, 改善点の有効性が確認された。今後の課題として, 偽陽性候補の削除があげられる。
  • 第2報 : デジタル化とACRファントムの諸問題
    今村 恵子, 福田 護, 塚本 浩, 小山 内司郎, 中島 康雄, 稲田 陽一, 堀田 勝平, 東田 善治, 松本 徹, 石川 徹
    1998 年 7 巻 1 号 p. 103-112
    発行日: 1998/03/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    ファントム画像の画質評価は撮影法を総合的に評価するものであり, 撮影技術面と臨床の画質との橋渡しともなる, 重要な精度管理の項目である。本稿では, 画質を客観的に評価する基礎として, 画像のデジタル化とファントムのもつ問題点を検討し, ファントム間でのテスト物質の不均一性を考慮に入れた評価方法を提案した。
    画像読みとりにはVXR-12, 画像処理にはNIH Image, IPLab Spectrumを用いた。対象はRMI 156型ファントム5個とNA18-220型の1個である。 (1) 濃度分解能 : 10枚の画像について8-bitと12-bitデジタル化を行ったが, 石灰化と腫瘤のコントラスト, SNRはよく一致した。 (2) 空間分解能 : 同一画像を空間分解能300,150, 75 DPIの3条件で読みとった。石灰化第3群 (320μm) については85μmでデジタル化した場合, 信号の低下は8%前後と推定された。 (3) 再現性 : 同一のファントム画像を25日間に10回読みとったが, ベースの画素値, テスト物質の計測値の標準偏差は1.0~3.5% (変動係数) であった。 (4) ファントム間でのテスト物質の均質性 : 石灰化, 腫瘤ともファントム間に有意の差があり (p<0.01), 特に石灰化第1群で差があった。
    以上から, 濃度範囲と計測項目が限定されたファントム画像の画質を評価するには, 8bits, 85μmのデジタル化で足りると考えられる。また, テスト物質の特性がファントム間で異なることは, 計測値の規格化により解決できる。具体的には, 個々のファントムについて高品位な画像を撮影し, その「基準画像」に対する相対的な画質を評価するものである。それは画質の到達度 (performance) と考えることができ, 複数の施設の画質の評価にあたって連続性のある物差しとなる。
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