乳癌集団検診 (集検) 受診者の変化と発見乳癌の特徴を比較するために, 1980-1984年 (A群;85例), 1985-1989年 (B群;137例), 1990-1994年 (C群;106例) の期間の繰返し受診率および集検発見乳癌患者の自覚症状 (腫瘤等) 保有率, 自己検診率等を比較した。また, これらと1980-1994年の外来乳癌 (D群;588例) との病期や予後についても比較した。全集検受診者中の繰返し受診者率は各年代毎に (以下同様) 41, 71, 87%と増加し, 乳癌発見率は0.10, 0.07, 0.05%と減少した。集検乳癌患者の自覚症状保有率は55, 41, 33%と減少し, 自己検診率は13, 28, 48%と増加した。最大腫瘤径はA, B, C, D群の順に (以下同順) 2.8, 2.2, 2.3, 3.3cm, リンパ節転移率は40, 25, 30, 40%で, A, D群に進行癌が多かった。健存率はD群に比べ, B, C群が良かった。初回受診での癌発見患者の特徴をA, B, C群で比べると, 自覚症状保有率は60, 41, 52%で, それらの患者の腫瘤径は3.3, 2.5, 3.1cmで, 腫瘤自覚が集検受診の動機となる場合が近年でも少なくないことが示唆された。
[結語] 当初に比較して, 早期例が増加したが, 近年の発見乳癌の平均腫瘤径には差がない。腫瘤自覚が集検受診の動機になる場合も見られ, 腫瘤自覚の際には即座に医療機関を受診するよう啓蒙が必要である。
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