日本乳癌検診学会誌
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9 巻, 2 号
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  • 福田 護
    2000 年 9 巻 2 号 p. 129-138
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 大貫 幸二, 大内 憲明, 木村 道夫, 大内 明夫, 椎葉 健一, 菅原 暢, 原田 雄功, 松野 正紀, 里見 進
    2000 年 9 巻 2 号 p. 139-145
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    欧米の40歳代のマンモグラフィを用いた乳癌検診の研究結果は, 撮影技術が進歩した現在にはそぐわない可能性がある。40歳代のマンモグラフィ併用検診の有効性を50歳以上の成績と比較することにより推察した。
    対象は, 1995年から1918年に宮城県対がん協会のマンモグラフィ併用検診を受診した女性のうち, 40歳代の15,271名と, 50~61歳の17,755名である。うち, 高危険群に対するマンモグラフィ併用検診受診者は, 40歳代2,213名, 50~61歳5,671名である。
    40歳代の要精検率は10.4%, 乳癌発見率0.20%, 感度13.8%であるのに対し, 50~61歳では要精検率7.2%, 乳癌発見率0.21%, 感度15.0%であった。要精検率は40歳代が高いものの, 乳癌発見率と感度に関しては両年代間で差がなかった。高危険群の乳癌発見率は40歳代で0.41%, 50~61歳では0.35%と高率であった。発見乳癌の臨床病理学的検討では, 40歳代の早期乳癌比率は80%であるのに対し, 50~61歳では74%であった。また, nO比率も, 40歳代で80%, 50~61歳で84%と, 年代間にそれほど差を認めなかった。
    今回の検討からは, 40歳代のマンモグラフィ併用検診の精度は50~69歳と比較し同等であった。よって, 40歳代のマンモグラフィ併用検診の救命効果は, 年代間に予後の差がなければ50~61歳と同等であると考えられ, 40歳代にもマンモグラフィ併用検診の導入を検討すべきであると思われた。
  • 笹 三徳, 森本 忠興, 山口 哲央, 近藤 弘之, 相良 安信, 黒田 怜子
    2000 年 9 巻 2 号 p. 147-150
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    徳島県でのマンモグラフィ併用乳癌検診成績を49歳以下と50歳以上に分けて検討した。全受診者13,982名から43例の乳癌が発見された。全体での乳癌発見率0.31%, 感度93.5%, また, 50歳以上ではそれぞれ0.39%, 97.0%で, 視触診法と比較し有意に良好な結果であった。49歳以下では発見率0.19%, 感度84.6%と視触診法より良好な結果であったが, 有意差はなかった。49歳以下の発見乳癌は全例早期例であった。今後, 撮影機器やシステムの改善により.49歳以下でも有効な成績が得られる可能性が示唆された。
  • 東野 英利子, 植野 映, 角田 博子, 森島 勇
    2000 年 9 巻 2 号 p. 151-153
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    乳癌検診へのマンモグラフィの導入は50歳以上において広がりつつあるが, 40歳代に対する乳癌検診法としては超音波検査も有用と考えられる。それは40歳代はdense breastが多く, 乳癌が検出できない可能性があること, 超音波検査はすでにかなり普及していること, 超音波を用いることにより非触知乳癌が発見できるという報告があることなどの理由による。一方, 超音波検診による乳癌発見率には差があり, どのような装置を用いてどのように行うか, その要精査基準をどうするか, などまだ解決すべき問題も多い。しかし, 40歳代の乳癌の早期発見はこれからの課題であり, 超音波検査を用いた方法を推進していくべきと考えられる。
  • 武部 晃司, 中村 光次, 三竿 貴彦
    2000 年 9 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    視触診に引き続き, 医師がreal-time方式の超音波検査でwhole breast scanning (以下, WBSと略) を行う乳癌検診の成績を年齢別に比較検討し, 30~40歳代の若年女性における同検診の有用性について述べる。対象は高松市住民を対象とした施設での集団検診で, 上記2施設を受診した29,072名である。受診者の年齢構成は30歳代6,872名, 40歳代9,789名, 50歳代6,732名, 60歳以上5,679名であり, 30~40歳代が57%を占めていた。発見乳癌は75例で発見率は全体で0.26%であった。年齢別の発見率は30歳代0.19%, 40歳代0.23%, 50歳代0.22%, 60歳代以上0.42%であった。発見乳癌の内訳は非触知乳癌28例, 径2cm以下30例, 径2cm以上17例であり, WBSによる非触知乳癌の検出が高い発見率につながった。30~40歳代では, 発見された非触知乳癌は11例で, そのうち5例はMMGで病変部が描出され, 6例はMMGで異常を認めなかった。MMGで描出された5例の組織型は予後の良好なlow risk乳癌であった。一方, MMGで描出されなかった6例は予後不良なhigh risk乳癌が多かった。現時点では, われわれの検診の成績は長期予後が判明していないことから, その有効性を直接証明することはできない。しかしWBS検診はMMG検診と比較して予後不良な組織型の乳癌をより早期に発見できることから, 乳癌死亡を減少させる有効な検診方法である可能性が高いと考えている。特に欧米女性に比して小さく固いdenseなbreastを持つ若年日本女性においては, whole breast scanningの有用性がさらに強調されると考えている。また超音波検査装置は広く普及しており, 新たに画像装置を用いた検診を始める際にもコストを低く押さえることができる。またランニングコストもMMGに比してはるかに低いことから, 現状のわが国の財政状況を考えるに, MMG検診よりも実現可能な検診方法であると考える。WBSをMMGと同列なmodalityとして考えるのではなく, WBSは触診の延長として考えるべきである。WBS検診はいますぐにでも導入可能な方法である。
  • 丸山 勝, 大場 忍, 内田 賢, 神谷 憲太郎, 有冨 寛
    2000 年 9 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    当施設における検診成績を検討し, 40歳代の乳癌検診のモダリティとして, MMG, USが有効であるか評価した。総受診者6,556名, 実受診者3,397名のうち乳癌発見率0.73%, 初回受診発見率1.09%であった。年代ごとの発見率は, 30歳3例 (0.82%), 40歳代12例 (0.92%), 50歳代16例 (0.64%), 60歳以上17例 (0.73%) であった。40歳代の乳癌12例のうち, モダリティごとの発見率は, MMGのみ41.7%, USのみ17.6%, MMG, USの2法ともに発見41.7%であった。このことにより, 40歳代においてもMMGは有用である。発見された乳癌発見のうち早期癌が79.2%を占め, 40歳代では早期癌が75%を占めた。発見率, 早期癌率ともに高いのは, MMG, USの併用による効果と考えられ, 特に40歳代において最も併用の効果が大きい。したがって, 40歳代の乳癌検診には, MMG, USの併用が望ましい。
  • 栗原 照昌, 石田 常博, 徳峰 雅彦, 草場 輝雄
    2000 年 9 巻 2 号 p. 167-173
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    乳癌症例における視触診, マンモグラフィ (MMG), 超音波検査 (US), それぞれの感度と組合せによる検出率の向上を年齢層別に比較することにより, 40歳代の乳癌検診に有用なモダリティを検討した。最近5年間に同一の診断プロセスを経て乳癌と診断された30歳以上60歳未満の原発乳癌患者173例を解析対象とした。診断時年齢が30~39歳をA群 (n=20), 40~49歳をB群 (n=84), 50~59歳をC群 (n=69) とし, 3群に分けた。各種診断法の判定基準は悪性, 悪性疑い, 良性, 異常なしの4段階とし, 悪性と疑い例を陽性とした。3群問のT因子, Stage, 組織型分布に差はなかった。A, B, C群それぞれの診断感度は視触診では85%, 87%, 88%, MMGでは85%, 69%, 88%であったが, 異常所見なしがA群15%, C群4%に比べB群では25%と高率であった。一方, USの感度は94%, 91%, 92%とすべての年齢層でMMGに優り, 3群間で差はみられなかった。組合せによる検出率は視触診+MMG (91%) よりも視触診+US (96%) が高率で, A群, B群でUS併用による向上がみられた。また, 視触診診断が良性例のMMG検出率は32%と低率であるのに対し, USでは65%であった。年齢層別にみるとMMGの併用効果はC群で高く, A, B群ではMMGよりもUSの併用効果が高かった。この傾向は触診腫瘤径2.5cm以下に限っても同様であった。50歳代乳癌ではMMGが検出に有効であったが, 40歳代乳癌は30歳代, 50歳代と比べるとMMGの感度が低く, USが検出率に優っていた。
  • 藤田 広志
    2000 年 9 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    われわれの研究グループでは, 特に日本人の女性の乳腺を対象とした「コンピュータ支援診断 (CAD) システム」の開発に取り組んでいる。本稿では, 乳腺実質濃度の評価に基づくマンモグラムの自動分類法, マンモグラムの読影のためのCADシステム, 3D乳腺超音波画像の読影のためのCADシステムの3つのテーマについて, それぞれの研究開発の現状と問題点などを記述し, 40歳代の乳癌検診に関してコンピュータ解析の観点から考察する。
  • 遠藤 登喜子, 沢井 清司
    2000 年 9 巻 2 号 p. 182-189
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 角田 博子, 大貫 幸二, 遠藤 登喜子, 市原 周, 岩瀬 拓士, 東野 英利子
    2000 年 9 巻 2 号 p. 191-198
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    第9回日本乳癌検診学会総会 (1999年11月16, 17日) の教育セミナーでは, 1日目に50症例のマンモグラムの読影試験が行われ, 2日目にその結果の発表と代表例5例の症例検討が行われた。読影試験はマンモグラフィ検診精度管理中央・研修委員会が準備した50症例100乳房のMLO撮影マンモグラムに対して, それぞれ5段階のカテゴリー分類で解答する方法をとった。カテゴリー分類はマンモグラフィガイドラインで提唱されているものを用いた1, 2) 。症例は, あらかじめ研修・教育委員会の5人のメンバーがカテゴリー分類を行い, 意見の一致したもののみを使用した。採点は100乳房各々についてカテゴリーが3以上の要精査症例を要求されるカテゴリーに正しく判定できた場合5点, カテゴリー2以下の症例を正しく判定できた場合2点を加点する方式で行った。満点は272点である。もう1つの評価基準として, 50症例を正しく精査要不要と判断できたかどうかを症例正解率として解析した。ここでは, 全体の結果と2日目に解説した代表症例について紹介する。
  • 雷 哲明, 江見 泰徳, 甲斐 成一郎, 狩野 〓, 木村 昭子, 古賀 夕美子
    2000 年 9 巻 2 号 p. 199-203
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    昭和52年より平成8年度までの20年間に福岡県対ガン協会では延べ749,283人の視触診による乳癌検診を行い, 610人の乳癌が発見され, 発見率は0.08%であった。一方, 同期間内に26例の中間期乳癌が協会に報告された。中間期乳癌の発見率は0.003%であり, 同期間内の発見全乳癌に対する割合は4.09%であった。中間期乳癌の65%は検診後6カ月以内に発見され, 患者は30歳代と40歳代および肥満者が多い傾向がみられた。中間期乳癌発見のきっかけは集団検診後の自己検診によることが多く, 視触診による乳癌検診の限界はあるものの, 集団検診時の保健婦による啓蒙活動は中間期乳癌の発見に寄与すると思われた。
  • 伊藤 末喜, 安芸 史典
    2000 年 9 巻 2 号 p. 205-209
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    視触診検診の効果をみるため, 1982年から1998年に手術を行った原発性乳癌1,275例について, 乳癌検診歴, 病期分類, 予後について調査を行った。過去に検診歴のなかったもの796例 (62.4%), 検診歴のあったもの479例 (37.6%) であった。早期乳癌の割合は, 前者が342例 (43.0%), 後者が281例 (58.7%) で有意差がみられた (p<0.001) 。次に検診歴を有する479例を検診発見癌183例, 過去に検診歴1~2回で自己発見のもの185例, 3回以上のもの111例の3群に分け早期率をみると, それぞれ56.8%, 57.3%, 64.0%であり差異がみられなかった。検診歴の内容により進行度に差がみられなかったので, 検診歴のある症例とない症例の2群に分け, 累積生存率をみた。5年では, 検診歴のあるもの96.3%, ないもの85.4%であり, 10年ではそれぞれ90.1%, 77.0%であり, 5年・10年ともに有意差がみられた (p<0.001) 。
    以上により, 啓蒙活動を併用した視触診による集団検診を長年続けることにより, 検診で早期乳癌を発見する効果だけでなく, 検診歴をもつものからの自己発見による早期発見が可能となり, 地域における乳癌死亡の減少に役立つものと思われた。
  • 東田 善治, 萩原 明, 朝原 正喜, 今村 惠子, 寺田 央, 堀田 勝平, 鈴木 隆二, 加藤 二久, 畑田 俊和, 田中 勇, 野村 ...
    2000 年 9 巻 2 号 p. 211-218
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィを実施している施設の中から, 全国104施設の画質調査を行った。調査はACR規格に準拠したファントム (RMI-156型), 蛍光ガラス線量計および調査用紙を各施設に送付し, ファントム画像 (フィルム), 照射済み線量計, 記入済み調査用紙を返送してもらう方式をとった。調査の目的は, 撮影時の平均乳腺線量, 画質の水準を把握することであるが, 同時に撮影装置, 撮影機器, 現像条件, フィルムー増感紙系などの選択についても調査を行った。送付されたファントム画像を4名の放射線技師で観察し, ファントム画像に含まれる模擬線維, 石灰化および模擬腫瘤の検出について視覚評価を行った。各施設で撮影されたファントム画像 (101施設) のうち, 10点以上の合格基準に達したものは77施設 (76.2%), ほぼ合格基準のものが10施設 (9.9%) であった。残り14施設 (13.9%) の画質評価は9.25以下であり, このうちの3施設が6点台であり画質の面で問題があった。今回の調査結果は, これまでと比べると大きく改善した。高品質の画像を得るためには, 適切な撮影器具や現像処理条件の選択あるいはマンモグラフィに関する教育を十分に行うことが重要である。
  • 白和 ひとみ, 服部 寿史, Yasuaki Arai, 冨樫 健二, 岩瀬 拓士, 中島 地康, 原 武史, 藤田 広志
    2000 年 9 巻 2 号 p. 219-224
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    現在開発中のコンピュータ診断支援 (CAD) システムを実際の臨床現場で使用し, その性能を検討した。愛知県がんセンターを訪れた患者202人のマンモグラフィに対し, 乳腺外科医の読影結果とCADシステムの計算結果を比較し, システムの評価実験を行った。その結果, 画像単位の評価では, 腫瘤, 集簇石灰化ともに検出の真陽性率 (TP) は80%以上となり, 比較的高い値を示したが, 画像1枚当たりの偽陽性数は1以上となった。また, 症例単位で評価すると, 腫瘤と集簇石灰化のTPは約95%と良好な結果になった。しかしながら, 本格的な実用化のためには, さらに偽陽性数を減少させることができるようなCADアルゴリズムの改良が望まれる。また, これらの検出率はマンモグラフィの画質やポジショニングによって大きく左右されるため, 撮影者側の技術の向上と画質の管理が必要と考える。
  • 先田 功, 玉木 康博, 増田 慎三, 和久田 祐子, 長尾 顕一, 堀本 葉子, 久保 満明, 門田 守人
    2000 年 9 巻 2 号 p. 225-230
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    乳癌検診における超音波検査の有用性について検討した。住友生命総合健診システムで, 乳癌検診に超音波検査を導入した平成10年5月から平成11年4月までの1年間 (導入後) とそれ以前の平成9年5月から平成10年4月までの1年間 (導入前) の検診実績を比較検討した。
    導入前の乳癌検診受診者は5,113名, 導入後は視触診のみ2,142名, 超音波と視触診併用2,413名の合計5,355名であった。各群間の背景因子に差異はなかった。有所見率は導入前30%に対し, 超音波併用群では57%と有意に上昇した。その内訳は乳腺症が20%から30%に, 腫瘤, 硬結が6.2%から13.3%に, 嚢胞が0.5%から28%にそれぞれ上昇した。また検診後の紹介率も4.2%から11.3%に上昇した。精密検査の結果, 導入後は導入前に比べて嚢胞が4.3%から15.8%に, 良性腫瘤が17.3%から20.5%に, そして乳癌が5名から10名に上昇した。さらに発見乳癌の長径をみると, 導入前は5例中3例が2.1cm以上であったのに対し, 導入後は10例中7例が2cm以下で, しかもその内4例は導入前には認められなかった1cm以下の乳癌であった。
    以上より乳癌検診に超音波検査を併用することにより, より多くの, そしてより小さな乳癌が発見され, 乳癌検診において超音波検査は有用であると考えられた。
  • 東野 英利子, 井出 早百合, 柴田 喜美江, 鯨岡 結賀, 小関 暎子
    2000 年 9 巻 2 号 p. 231-235
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    超音波検査を乳癌検診に導入するには感度が高く, しかも普遍的な所見を要精査基準とする必要がある。そこですべての腫瘤性病変を取り上げた場合, どのような頻度になるかを調べることを目的とした。
    超音波検査を含む乳癌検診受診者200名において, 超音波検査で嚢胞を含む腫瘤性病変が検出されたのは48例 (24%) であった。内部エコーがないものを嚢胞と判定して除いても, 20例 (10%) は内部エコーを有する低エコー病変であった。病変の大きさは嚢胞では20mm以上の大きなものもあったが, 低エコー病変では15mm以下の小さなもののみであった。すべての腫瘤性病変を要精査とした場合の24%, 単純性嚢胞を除いた低エコー病変を要精査とした場合の10%は検診としては高すぎ, 効率のよい検診とならない。そこで超音波検査を乳癌検診に用いるには, どのような所見のものを要精査とするかの基準を定める必要があると考えられた。
  • 朝原 正喜, 星川 敦司, 東田 善治, 三木 章弘, 門田 敏秀, 加藤 二久, 萩原 明, 寺田 央, 堀田 勝平, 鈴木 隆二, 今村 ...
    2000 年 9 巻 2 号 p. 237-245
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    増感紙フィルムシステムを利用した乳房撮影で使用されるフィルムについて, 現像条件がフィルムの感度, コントラスト (平均階調度), かぶり濃度などの諸特性に及ぼす影響を検討した。コダックMin-R, Min-R2000, 富士UM MA-HC, コニカCM-Hの4種類の乳房撮影用片面乳剤フィルムを使用し, 現像温度を7種類, 処理時間を5種類に変化させて現像した。コダック TM-G/RAと富士UR-2の2種類の一般撮影用両面乳剤フィルムも同様に現像し, 比較した。片面乳剤と両面乳剤のいずれも現像温度の上昇に伴い, 相対感度とコントラストは上昇した。一般に片面乳剤フィルムは, 両面乳剤フィルムに比べ現像条件の影響を受けやすいことが認められた。現像温度を2℃高く設定することにより, 片面乳剤フィルムの感度はおよそ13~23%上昇するが, 両面乳剤フィルムでは10%であった。しかし片面乳剤フィルムは, 現像温度34℃, 現像処理時間が90秒から110秒のとき, かぶり濃度の上昇を伴うことなく最適なコントラストを呈した。最近の高コントラストタイプの乳房撮影用フィルムでは長時間現像処理を行わなくても, 最適なコントラストと感度が得られた。
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