日本応用動物昆虫学会誌
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1 巻, 1 号
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  • 佐々 学, 真貝 春男
    1957 年 1 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    A species of tarsonemid mites has been found to be widely breeding in stored food products (dried red pepper, dried fish, mushrooms, etc.) and in various drug samples (lactose, albumini tannas, gentiana pulverata, etc.). Its male and female were described and figured, Taxonomic accounts for the previously described four species of the genus Tarsonemus from Japan were given in detail. The present authors came to the conclusion that because of the incomplete and inadequate descriptions by the original authors, it was difficult to identify the present species to any of the four Japanese ones. By reviewing foreign papers dealing with the group of mites, we attained to a decision that the present species shared many of the important morphological characters in common with Tarsonemus floricolis CANESTRINI et FANZAGO, 1876 as was redescribed by EWING (1939), and should tentatively be identified so.
  • II. 貯穀の種類と害虫の種類相
    桐谷 圭治
    1957 年 1 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    (1) 近畿地方の7地域をえらび,1953年8月初旬より11月中旬,1955年5月の期間に農家,消費者家庭,製粉所,米穀配給所などを含めた210箇所より米,小麦,大麦,小麦粉,ヌカよりなる319のサンプルを採集し,貯穀の種類による害虫相の違いを調べた。
    (2) 害虫相の比較の基準として発見頻度指数(I)を次式により計算して用いた。
    I=問題とする種が発見されたサンプル数/全調査サンプル数×100
    この報告の各表とも発見頻度および括弧内に指数(I)を示した。
    (3) 種類相の特徴を示す指標としてS.P. ratioを用いた。S.P. ratioとは,2次性害虫の発見頻度の総計を1次性害虫の発見頻度の総計で割った値である。
    (4) S.P. ratioは鞘翅,鱗翅目ともに粉では穀粒の約3倍の値を示す(第1表)。種類では,コクゾウ,コナマダラメイガは両者共に多く,穀粒ではこれ以外にオオコクヌスト,ノシメコクガが高い頻度を示した(第2表)。
    (5) S.P. ratioは鞘翅,鱗翅目ともに米のほうが麦に比して高い。これは米では精白されたものが多く含まれた為と考えられる。第3, 4表で1956年7月の京都市内を中心とした調査にもとづいて,玄米と精白米との害虫相の違いを示した。S.P. ratioは後者では前者の2倍以上を示した。種類数でも,同様に後者ではより多くの2次性害虫が発見された。米麦ではともにコクゾウ,オオコクヌストが1, 2位の発見頻度を示した。米でコクヌストモドキ,ノコギリコクヌストの頻度が高いのは精白米が大部分を占めた為と思われる。鱗翅目ではノシメコクガは米で,バクガは麦で高い頻度を示した。
    (6) ヌカでは,コクヌストモドキ,コナマダラメイガが代表的な種類であった。
    (7) 本調査中に発見された昆虫の種類の目録をその食性とともに示した(第5表)。鱗翅目の同定不可能だっ1957年3月 桐谷:貯穀害虫の種類構成の調査II 13たもの,ダニを含めると更に上廻ると考えられる。
    (8) 全体として頻度の高い種類をその順に並べると,鞘翅目ではコクゾウ,オオコクヌスト,コメノケシキスイ,ヒメマルカツオブシムシ,コクヌストモドキ,ノコギリコクヌスト。鱗翅目では,コナマダラメイガ,コメノシマメイガ,ノシメコクガ,バクガ,イッテンコクガであった。
    (9) ナガシンクイは1回少数個体が発見されたのみで,近年米穀の貯蔵期が短くなってきたことによると思われる。
    (10) ヒラタコクヌストモドキ,Laetheticus oryzaeが見出されたが,特に前者は小麦粉の大害虫でわが国に定着しうる可能性がある。
    (11) コクヌストモドキは農村より都会地に多い。
  • X.食餌水稲の生育程度のちがいがニカメイチュウ幼虫のパラチオン感受性に及ぼす影響について
    橋爪 文次, 山科 裕郎
    1957 年 1 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    筆者らはさきに化期の異なるニカメイチュウ幼虫は孵化当時すでにパラチオンに対する感受性に差が認められ,その差は幼虫の生育にともなって増大することを報告した。
    この実験では食餌水稲の生育程度のちがいがニカメイチュウ幼虫のパラチオン感受性にどのような影響を及ぼすかを検討した。
    分けつ期の水稲でおおむね3令まで飼育した第1化期および第2化期幼虫と幼穗形成期以後の水稲で同令期まで飼育した第2化期幼虫に,それぞれパラチオン混合餌料を与え,三つの異なった幼虫個体群についてパラチオン濃度と致死時間との関係を調べた。
    その結果を要約すると,分けつ期の水稲を与えておおむね3令まで育てた第1化期および第2化期の幼虫のパチオランに対する感受性の差は,孵化当時の幼虫に見られるそれとほとんど変りなく,第1化期幼虫と第2化期幼虫の中央致死濃度の比は1:1.42を示した。
    しかしながら幼穗形成期以後の水稲でおおむね同令期まで育てた第2化期幼虫のパラチオンに対する感受性は著しく低下し,分けつ期の水稲で飼育した第1化期幼虫との中央致死濃度の比は3.62:1,同じ分けつ期の水稲で飼育した第2化期幼虫との比は2.55:1を示した。
    すなわち食餌水稲の生育程度のちがいはニカメイチュウ幼虫のパラチオン感受性に著しい影響を与えるひとつの要因であると考える。
  • I. 活動性について
    蓮子 栄吉
    1957 年 1 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    (1) 本報告では,昭和30年に行った,ヤノハモグリバエ成虫並に幼虫の産卵・摂食活動の日週性を検討し,活動におよぼす気象要因の影響および3分に1°Cの割合で上昇する温度環境下における活動についての実験結果を取り扱った。
    (2) 温度と活動との関係では,成虫の微動開始5.13°C,正位5.31°C,歩行開始7.90°C,飛翔開始15.33°C,興奮28.90°C,熱死42.66°Cで,正常活動範囲は7.90∼28.90°C,におよぶものと思われる。幼虫は微動開始4.89°C,匍匐開始6.71°C,興奮25.57°C,熱による不正位の姿勢36.22°C,熱死41.55°Cで,正常活動範囲は,6.71∼25.57°Cにおよぶものと思われる。
    成虫は幼虫よりも正常活動範囲が広く,且それが高温部に偏する傾向があるように思われる。
    本種はムギクロハモグリバエに比し,成虫・幼虫共に,低温および高温のいずれにも活動適温の範囲がせまい。
    (3) 成虫の産卵・摂食活動の日週性をみると,明らかに昼間活動性で,日出後しばらくして歩行飛翔から産卵・摂食活動に移り,日中盛んに活動し日没前後より活動を停止する。すなわち朝の活動開始は,低照度および低温抑制の解消によって始まり,夕刻の活動停止は低照度によって支配されると思われる。したがって朝夕の天気が良い程活動が早く始まり遅くまで続く傾向がある。日中の活動は,気温,日射および照度の増加と共に盛んとなるが,葉上気温が約25°Cを越す場合は高温抑制をうけてかえって活動が弱る。したがって葉上気温が約25°Cを越えない場合は単峰型,25°Cを越す場合は双峰型の活動を示し,前者は春期発生の初期に起ることが多く,後者は発生の中期以後の無風快晴の時に出現することが多い。秒速5m以上の強風は,産卵・摂食活動に対し機械的阻止作用を示すようである。
    (4) 幼虫の摂食活動は,日中最も盛んであるが夜間も活動は続けられる。気象環境の中で,活動と最も密接なものは気温および日射で,それらの増加と共に活発になるけれども葉上気温約25°Cを越す場合は高温抑制作用が見られる。したがって幼虫の摂食活動も成虫の場合と同様な活動型が現われる。照度および風速は摂食活動に対して大きな影響はないと考えられる。
  • XVII. 高槻系マイマイガの幼虫期における脱皮回数について
    長沢 純夫
    1957 年 1 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    高槻系マイマイガの幼虫期における脱皮回数を,温度25°C,関係湿度89%の環境条件下で,個体別飼育の方法によりケヤキの葉をあたえてしらべた。高槻系マイマイガの雌は,幼虫期において6または7回,雄は5または6回の脱皮をくりかえした。これはさきにGoldschmidtによって報告された結果より,1あるいは2回多いが,高槻系がとくにそうした脱皮回数の多い系統であるかどうかはさらに本邦各地の系統についてしらべた上でなければわからない。頭蓋の脱皮殼について,令期間における成長様相を検討し,いづれも第3令と4令の間をさかいにして,おおむねふたつの異った直線関係をしめすことをしった。幼虫の発育過程において,このあたりにひとつの生理的な変曲点があるものと考えられよう。頭幅の瀕度分布曲線は,3令まではいずれも大体同じ位置にあって,頭幅による令期の決定は可能であるが,4令以後は重複部を生じ,頭幅の測定結果よりする令期の決定は不可能となってくる。
  • 腰原 達雄, 岡本 大二郎
    1957 年 1 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    移植直前,水田土壤中にBHCおよびリンデン3%粉剤を混入し,ニカメイチュウの被害状況ならびに水稲の生育および収量につき調査した。
    その結果,BHC粉剤,リンデン粉剤とも反当9∼18kg以上の土壤施用により第1化期被害を防除できるようである。しかし,第2化期被害の防除効果は相当多量施用しても期待できない。BHC粉剤は反当72kg以上,リンデン粉剤は反当180kg以上で水稲に異常を認めたが,それ以下の場合には薬害の懸念はない。生育および収量はニカメイチュウの被害ならびに薬害のみられなかった試験区が良好であった。
    すなわち,BHCの土壤施用により第1化期ニカメイチュウはもとより,その他の水稲害虫をも防除しうる可能性もあるように思われる。
  • II. イネクロカメムシのBHCに対する抵抗性について
    小林 尚, 野口 義弘
    1957 年 1 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    イネクロカメムシのBHCに対する濃度-死虫率回帰直線および抵抗性を示す諸恒数を,室温および25°∼27°C恒温下で,本種の発育期および季節別に求めて比較検討した。
    抵抗性は卵期が最も強く,LC-50は1.055%, LC-95は2.157%で,0.32%(原液の約1/31)以下では全然斃死しなかった。幼虫は第1令期(LC-50: 0.014%)が最も弱く令を重ねるに従って強くなり,第3令幼虫(LC-50: 0.041%)は産卵期前後の越冬成虫(LC-50: 0.036%∼0.019%)よりも明らかに強かった。秋期新成虫の抵抗力(LC-50: 0.141%)は極めて強く産卵期前後の越冬成虫の3.9∼7.4倍に達した。越冬成虫では2月頃のもの(LC-50: 0.089%)が最も強く,月が進むにつれて漸減し,7月下旬の産卵末期に最も弱く第2令幼虫(LC-50: 0.019%)とほぼ同じ程度であった。
    この試験では処理24時間後の死虫率を取扱って抵抗性を比較したが,更に長い時間後の死虫率を取扱えば,致死濃度が低下すると考えられ,その傾向は低温時期ほど著しいと想像される。
  • 杉本 渥, 畑井 直樹
    1957 年 1 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Though parathion has become widely used in controlling rice stem borer, Chilo suppressalis WALKER, which is one of the most important pests of rice plant, the improvements of the applicator and the method of application still remain to be studied. UEJIMA et al (1954), YAMASHINA (1954) and FUKUDA (1955) have studied on the adhesion, systemic action and residuality of parathion on rice plant and proposed the necessity of the improvement of the applicator and the method of application.
    The authors have studied the effects of the physical properties and the method of application of parathion to control the rice stem borer. The results are summarized as follows:
    1. Insecticides used:
    a. Parathion 47 percent emulsifiable concentrate diluted to 0.002-0.06 percent.
    b. Triton X-100 added to above as a wetting agent.
    c. Diazinon 60 and 20 percent emulsifiable concentrates diluted to the same concentrations as parathion.
    2. Quantity of spray liquid applied:
    5cc, 10cc, 20cc and 40cc.
    3. Methods of aplication.
    a. Sprayed only on the leaf surfaces of rice plant.
    b. Sprayed only on the leaf sheaths of the rice plant where larvae are bored in.
    4. Results:
    The effect of controlling the first brood rice stem borer was small in case of spraying a large amount of liquid on the leaf sheaths of the plant when the wetting power of the spray liquid is strengthened because a large part of the spray liquid runs off the plant. The effect of controlling the second brood rice stem borer, however, was greater in case of spraying on leaf surfaces because the spray liquid runs down into the leaf sheaths where larvae are bored in. But the effect of changing the physical properties of the spray liquid was not definite when a small amount of liquid was applied and this means that there was no definite difference of the killing effect observed between parathion and diazinon.
    In consequence, the effect of controlling rice stem borer differed greatly when the wetting power of the spray liquid of parathion to the rice plant is strengthened by changing its physical properties owing to the changes of adhesion and the running off of the spray liquid. The effect of the control also seems to be affected by the method of application and the growth of the rice plant. Therefore, not only the systemic aetion of parathion but also its running into the leaf sheaths seems to play an important role in the control of the rice stem borer.
  • 内田 俊郎
    1957 年 1 巻 1 号 p. 46-53
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Published data are collected here on the developmental zero point of various species of insects, which was obtained from the relation between temperature and the duration of development applying it to the theory of total effective temperature. Many collected values are listed in Table 1, where insects are listed in alphabetical order.
    Frequency distribution of the developmental zero point is like a normal curve (Fig. 1), the mean of which falls at about 11°C. Maximum temperature obtained was 19.5°C and minimum one was -1.1°C. The zero points in the species of Lepidoptera or Hemiptera are somewhat lower than those of Hymenoptera or Diptera (Fig. 2 and Table 2). Even in the same species, the different value of it is shown by the differences of ecological race, sex, developmental stage and environmental condition.
    Comparative magnitude of the developmental zero in each successive developmental stage is not constant and takes various combinations as shown in Table 3.
    This is also true in each instar of the larval stage.
    Interesting ecological implications are shown in the comparison between the developmental zero points in both species of prey and predator or host and parasite (Table 4) and in the comparison of it among closely allied species.
  • 和田 義人
    1957 年 1 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    黄〓病菌の発芽,発育にとっての最適温度は28°C前後にあり,接種試験の結果とよい一致を示した。
    関係湿度が93%以上では胞子の発芽が見られたが,81%以下では全く発芽していなかった。
    福岡地方では黄〓病菌が春や夏よりも秋に多く発生するという報告があるが,西宮地方では春の終から夏の初めにかけて多く見られる。このちがいが地方による黄〓病菌の病原性のちがいによるのかと思って,接種試験を行ったが相違は見られなかった。
    接種に用いた胞子の浮遊液の濃度の対数と,死亡率のprobitとの間には大体直線関係が認められた。
    高濃度の胞子の浮遊液を幼虫に接種すると死亡率が高くなるが,それに伴って幼虫の死亡前期間の平均が短く,その歪度が大きくなる傾向が認められた。
  • 平田 貞雄
    1957 年 1 巻 1 号 p. 60-61
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 立川 哲三郎
    1957 年 1 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 岩田 俊一, 岸野 賢一, 鈴木 忠夫
    1957 年 1 巻 1 号 p. 65-66
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 浅川 勝, 諏訪内 正名
    1957 年 1 巻 1 号 p. 67-68
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 小池 久義
    1957 年 1 巻 1 号 p. 68-70
    発行日: 1957/03/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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