日本応用動物昆虫学会誌
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13 巻, 4 号
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  • 岡田 利承
    1969 年 13 巻 4 号 p. 167-173
    発行日: 1969/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    生育初期のダイズにダイズシストセンチュウとダイズコンリュウキンを,接種時期を変えて,単独あるいはいろいろに組み合わせて接種し,線虫の寄生と根粒菌の着生の相互関係およびダイズの生育におよぼす両者の影響について検討した。
    1) ダイズシストセンチュウ2期幼虫の侵入数は,ダイズ播種時に根粒菌を接種した株で,根粒菌無接種の株よりも多くなる傾向を示した。
    2) 根粒の着生は線虫が高密度に寄生した株で,線虫無接種の株よりも遅れ,着生根粒の総体積が小さかった。特に根粒菌と同時に線虫を接種した場合に影響が大きかった。
    根粒着生の遅れは,線虫が寄生してから一時的にダイズの根が根粒菌の侵入に都合の悪い条件になるためと考えられ,線虫が高密度に寄生した株では,根粒数が遅れて増加し,着生部位が広がる傾向を示した。
    3) ダイズ地上部の全窒素量は,線虫無接種の場合,根粒体積の増加後約2週間遅れて増加したが,線虫が高密度に寄生した株ではこれよりもさらに1∼2週間遅れて推移した。
    葉色は地上部の全窒素含有率を反映して変化し,根粒菌のみを接種した株では接種6週間後から緑色に向ったが,線虫の寄生密度が高い株では回復が遅れ,根粒菌の接種が遅い場合には黄化が特にひどくなった。
    4) ダイズの生育におよぼした根粒菌の影響は大きく,早く接種した場合ほどダイズの生育は良くなり,線虫の被害は軽くなった。これに対し線虫の影響は主として根粒菌の効果をその出現初期に抑制することで,根粒菌と同時に接種した場合に最も被害が大きくなった。しかし地下部では褐変や根系の縮少などの線虫による直接的被害がみられた。
  • 平野 千里, 湯嶋 健
    1969 年 13 巻 4 号 p. 174-184
    発行日: 1969/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. 32P標識ダイアジノンを含むダイアジノン粒剤を調製し,イネを栽培したコンクリート框水田およびポットに水面施用あるいは土中施用して,標識化合物の灌漑水中への溶出や,イネ体への移行を追跡した。
    2. 水面施用区では,灌漑水中への放射活性の溶出は急速に進行し,水中濃度は施用後2∼4日で最高となり,以後低下する。一方水中での加水分解も直線的に進行し,灌漑水中の殺虫性成分濃度は施用後3日目にピークを示す。なお土中施用した場合には,放射活性は灌漑水中にはほとんど認められない。
    3. 水面施用した場合,灌漑水中に溶出した放射性物質は葉鞘部から吸収され,一部は徐々に根部や葉身部へも移行するが,多くは葉鞘部に残る。
    4. 土中施用区では,放射性物質の吸収は根部でおこなわれる。吸収された放射性物質はすみやかに葉身部へ移行蓄積し,葉鞘部への分布量はあまり多くない。
    5. イネ体内の放射性物質のうち,殺虫性成分の占める割合は経時的に急速に低下する。その速度は葉鞘部でよりも葉身部ではるかに大きく,葉身部に分布する放射性物質の大部分は殺虫力をもたない分解生成物である。一方葉鞘部では,施用後5日間ぐらいは,全放射活性にたいする殺虫性成分放射活性の比率がかなり高い。
    6. これらの理由から,ニカメイガ幼虫の加害対象である葉鞘部の殺虫性成分濃度は,土中施用区にくらべて水面施用区ではるかに高い。ダイアジノン粒剤の水面施用により,約1週間にわたり,ニカメイガ幼虫にたいする高い殺虫効果が期待される。なお,効果を大きくするために,施用後数日間は灌漑水の出入を止めることが望ましい。
  • 小原 隆三
    1969 年 13 巻 4 号 p. 185-190
    発行日: 1969/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    野外より採集したアメリカシロヒトリの卵から孵化した幼虫を全令12種の食餌植物で飼育して,終令幼虫の体液蛋白質をアガロース電気泳動法によって分離し,泳動像を比較した。
    体液蛋白質の電気泳動像はA, BおよびCの主泳動帯よりなるが,これらの泳動帯が明瞭に現われるのはクワ,ノヤナギ,クルミおよびネグンドカエデを食餌植物とした幼虫においてであり,その他の植物で飼育した場合にはB泳動帯がほとんど認められなかった。また,これらの泳動帯がはっきり認められる場合の食餌植物はアメリカシロヒトリの発育ならびに栄養的に好適なものであると考えられた。
    ニワトコおよびカキで飼育した場合の幼虫体液蛋白質にはB泳動帯が認められなかったが,これらの食餌植物をクワへ転換したところ約3日後からB泳動帯が出現した。
  • 第3報 置換フェニルN-メチルカーバメートのウンカ・ヨコバイ類に対する殺虫特性の比較
    風野 光, 黒須 泰久, 浅川 勝, 田中 俊彦, 福永 一夫
    1969 年 13 巻 4 号 p. 191-199
    発行日: 1969/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. 前報までの試験結果でウンカ・ヨコバイ類にすぐれた殺虫力の認められた2-クロル-3, 5-ジメチルフェニルN-メチルカーバメート(CXMC), 3, 5-ジメチルフェニルN-メチルカーバメート(XMC), 2-アリル-4-メチルフェニルN-メチルカーバメート(AMPMC)の3種のカーバメート化合物および既存のカーバメート系殺虫剤,CPMC, PHC, MPMC, MIPC, MTMC,カーバノレート,NACの殺虫特性を比較検討した。
    2. 局所施用法によるツマグロヨコバイに対する殺虫力,ドライフィルム法によるヒメトビウンカ,ツマグロヨコバイに対する殺虫力はNACがヒメトビウンカに,AMPMCがツマグロヨコバイに対しそれぞれ他のものよりかなり低い殺虫力を示した以外はほぼ同程度の殺虫力を示した。また,ドライフィルム法と局所施用法による殺虫力は同一の傾向を示した。
    3. 低温における殺虫力の低下はNACを除き小であった。
    4. 殺虫速度について,ヒメトビウンカに対しては殺虫力の劣るNAC以外のカーバメート系殺虫剤ではMIPCがやや遅効性であったが,他はいずれもマラソンと同程度で,PHCがとくに速効性であった。ツマグロヨコバイについては殺虫力の劣るAMPMC以外のものではNACとカーバノレートが他のものに比較して遅効性であった。
    5. トビイロウンカに対してはAMPMC, CXMC, XMC, PHCおよびNACなどの効力がとくにすぐれていた。
    6. 葉面散布によるポット試験ではCXMC, NAC, PHC,カーバノレートは残効性が他のものよりすぐれ,他はマラソンと同等かまたは劣った。水面施用ではMIPCとPHCはヒメトビウンカ,ツマグロヨコバイに対してかなりの残効性が認められた。
  • 土生 昶毅
    1969 年 13 巻 4 号 p. 200-205
    発行日: 1969/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    京都におけるマツカレハDendrolimus spectabilis BUTLERの生活環を明らかにするため野外の越冬幼虫の体の大きさ(発育令期)の変異と羽化時期の関係,およびこの両者と化性との関係を1967, 1968年の2年にわたり調査した。
    1. 越冬は4∼7令の幼虫態で行なわれた。
    2. 幼虫が越冬する場合,ふ化期の早い個体ほど越冬時の発育令期は進んでいた。
    3. 越冬時発育令期の進んでいるものほど早い時期に羽化する傾向がみられた。
    4. 1年に2回の発生の場合,第1回目の成虫に由来する幼虫の内,7月中旬までにふ化したものからは第2回目の成虫が9月末までに羽化した。しかし一部羽化しなかったものは5∼7令で越冬した。一方,7月中旬以降にふ化したものはすべて4∼7令で越冬した。
    5. 第2回目成虫の次世代はすべて4令で越冬した。
    以上のことから京都でも,1年に2回羽化する場合のあることが明らかになった。そしてその生活環は,系統として分離しているか否かは明らかでないが,年1化,年2化のものや2年で3化,3年で4化といった変則的な経過を示すものが混じり合っていることが考えられる。
  • 吉武 成美, 橋口 勉
    1969 年 13 巻 4 号 p. 206-207
    発行日: 1969/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 浅山 哲, 尾崎 典光
    1969 年 13 巻 4 号 p. 207-209
    発行日: 1969/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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