日本応用動物昆虫学会誌
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14 巻, 2 号
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  • 佐藤 仁彦, 諏訪内 正名, 畑中 勲
    1970 年 14 巻 2 号 p. 49-56
    発行日: 1970/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アズキゾウムシ成虫を所定濃度の殺虫剤(パラチオン,γ-BHC,デナポン)水溶液にディッピング処理し,処理後ガラス容器に移し,容器内の空気を真空ポンプを用いてCO2またはN2ガスと置換し,所定時間放置後,虫を空気中に解放し,経時的に虫の活動状況を観察し,殺虫剤の虫体内浸透移行に与えるガス麻酔効果について調べた。
    1) 殺虫剤の濃度の低い場合には,虫はいったん蘇生し,活発に動き回ってから徐々に不活発になり,ついには死んでいった。
    2) 殺虫剤の濃度の高いほど完全蘇生個体が少なくなり,完全に動かなくなるまでの時間も短かった。
    3) ガスの中に置かれる時間が長いほど,蘇生に要する時間が長く,蘇生個体も少なくなり,動かなくなるまでに要する時間も短くなった。
    4) ガス麻酔が殺虫剤の虫体内浸透移行に大きな影響を与えることが分った。
  • 小山 重郎
    1970 年 14 巻 2 号 p. 57-63
    発行日: 1970/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. アワヨトウの大発生の実態を1941∼1968年の全国的発生記録と1957∼1968年の秋田県の発生記録について検討した。
    2. アワヨトウの大発生は局地的におこり,この局地性は必ずしも幼虫のえさとして好適な作物が局地的に分布するためにおこるとはいえない。
    3. このような大発生地点は,秋田県または全国的な規模からみると,大発生地点の多い年には集中的に分布する傾向をもつ。
    4. 大発生地点の位置は年,世代,発生時期によって異なり,同じ地点でつづけて次の世代に大発生がおこることはない。
    5. 全国を北海道・東北地方,関東地方,中部地方,近畿地方,中国・四国地方,九州地方の6地方にわけ,大発生のおこりかたを年次的に比較すると,数地方を含む広い範囲で同時的に発生する年と,限られた地方に大発生がおこる年とがある。
    6. 1年のうちで大発生のおこる時期を全国の地方別に比較すると,地方によって大発生のおこりやすい時期は異なるが,大まかにみて,北海道・東北地方と関東地方,中部地方と近畿地方,中国・四国地方と九州地方がそれぞれ似ている。
  • 古田 公人
    1970 年 14 巻 2 号 p. 64-70
    発行日: 1970/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    In this paper, a regulatory process for population density of the camphor leaf miner population in a camphor tree crown is analyzed. 1. Larval mortalities increased with a rise in the number of eggs deposited per leaf. This density dependent process is caused mostly by carnivalism and plays an important role in population regulation. 2. In low densities, the distribution pattern of eggs deposited per leaf is underdispersed, and in high densities, it is overdispersed. Thus, the distribution pattern of this insect larvae promotes the regulatory process. 3. Full grwon larvae make cocoons beneath the underside of a leaf. When a cocoon is made beneath the leaf that is already occupied by larvae of the same species, the leaf and cocoon gets blown away by wind before any emergency can occur. At high densities, the rate of cocoon that gets blown away is increased, and the mortality of pupae also increases. 4. With increasing adult density, the number of eggs deposited per adult decreases and the total number of hatched larvae increases to some extent and an equilibrium level is generally maintained. 5. Thus, when one of these density dependencies operates in some developmental stage, the population density could be regulated.
  • 内田 俊郎
    1970 年 14 巻 2 号 p. 71-78
    発行日: 1970/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    It was observed by UTIDA (1954) and CASWELL (1960) that the percentage of emergence of the flight form decreased gradually from generation to generation in the breeding population of southern cow pea weevil, Callosobruchus maculatus. In the present study, this secular trend of decrease in the percentage of the flight form was demonstrated experimentally in both cases where the population started from the non-flight form or the flight form. The percentage took rather higher values at the initial five generations and after that it decreased and kept to a low level. After continuing the breeding in the experimental condition for over two years, the percentage droped to 0 to 2. A genetical factor ought to be considered for the explanation of the results obtained, though the flight form is induced phenotypically by the influence of the some environmental factors such as high temperature, low content of water in the larval food, larval crowding, and so on. Waddington's theory of genetical assimilation (1953) and the natural selection seem to be pertinent to elucidate the present finding. It can be assumed that the results obtained in the present experiment is an example of the evolving process of the young species which have adapted to environments of stored beans or cereals that have recently been turned out by man.
  • 山田 堅一郎, 徳光 崇, 四方 英四郎
    1970 年 14 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 1970/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) ヒメトビウンカの胚子組織より体外培養で増殖細胞を得,さらにその増殖細胞を100日以上培養することができた。
    2) 基本培地(NCM-4A)にシンジュ蚕幼虫の体液を添加することによって,増殖細胞が得られた。
    3) 胚子をトリプシン処理したものと,しないものの培養状態をみると,処理しないものでもガラス面への付着は良好であったが,移住は処理したものの方が良好で,その後の細胞増殖も活発であった。
    4) 継代培養の試みでは,初代培養の移植片を植えついだ場合だけ,伸びは遅いが,初代培養と同じような増殖細胞が得られた。
  • 第2報 林型と野ネズミ類の分布
    大津 正英
    1970 年 14 巻 2 号 p. 85-88
    発行日: 1970/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    山形県の中央部に位置する白鷹山(海抜992m)の東側山腹,標高550∼600mにおいて,アカマツ,スギ,カラマツおよび広葉落葉樹の幼・壮令林において野ネズミを採集し,つぎの結果を得た。
    1) ハタネズミは,日当たりのよいアカマツ,スギ,カラマツおよび広葉落葉樹のいずれの幼令林においても採集数が多かったが,カラマツおよび広葉落葉樹の壮令林では,採集することができなかった。
    2) ヤチネズミは,スギ,カラマツおよび広葉落葉樹林で陰湿な場所に多く,壮令林より幼令林における採集数が多かった。アカマツ林では,まったく採集することができなかった。
    3) アカネズミは,山形県の森林に最も普遍的に生息する。また樹種や林令には,ほとんど関係なく生息する。アカネズミは,ハタネズミの採集が少なかったカラマツ林と,広葉落葉樹林に多かった。
    4) ヒメネズミは,アカマツ,スギおよびカラマツ林では,壮令林より幼令林における採集数が多かったが,広葉落葉樹林だけは,幼令林よりも壮令林における採集数が多かった。アカマツ壮令林では,まったく採集することができなかった。
  • 本間 健平
    1970 年 14 巻 2 号 p. 89-94
    発行日: 1970/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    各地のリンゴ,ナシ,チャおよびマサキにつくコカクモンハマキの成虫,さなぎ,幼虫を検討した結果,リンゴ,ナシを加害するリンゴ型と,チャやマサキにつくチャ型とに分類できた。この2型は実験室で数世代飼育しても,各ステージで形態に相違が認められた。
  • 牛山 欽司
    1970 年 14 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 1970/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) カラタチ,ユズ,夏橙の各実生苗を供試し,ミカンネセンチュウの寄生数,発育期間および発育温度を黒色火山灰土壌(植質壌土)で調査した。
    2) ミカンネセンチュウの寄生数は,夏橙が最も多く,ユズも多いが,カラタチではかなり少なかった。しかしカラタチがこの線虫に抵抗性あるいは耐虫性であるとは認められない。
    3) ミカンネセンチュウは,幼虫寄生から成熟雌の産卵までの期間が,20∼26°Cの温度(深さ5cmの平均地温)で,夏橙とユズでは5∼6週間,カラタチではこれよりも遅れる。
    4) この線虫の増殖の適温は20∼33°Cで,神奈川県の黒色火山灰土壌で4月下旬から9月下旬までの期間に主として増殖する。
  • 第1報 窒素欠乏水稲での吸汁
    寒川 一成
    1970 年 14 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 1970/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    窒素欠乏の稲と正常な稲でのトビイロウンカ雌成虫の吸汁習性を比較し,下記の結果を得た。1)ウンカは窒素欠乏水稲に対して非嗜好性を示した。2)ウンカが窒素欠乏水稲を吸汁する際の甘露排泄は非常に少量であった。3)窒素欠乏水稲でのウンカの口針挿入頻度は,正常稲での場合にくらべかえって高かったが,同時に無効な口針挿入の割合がやや増加する傾向も認められた。
    これらの結果のうち,窒素欠乏水稲での甘露分泌量の減少が,同稲上でのウンカの吸汁率の低下を反映した事実として重視し,その原因と窒素欠乏水稲でのウンカの増殖率の低下との関連性について予備的な考察を行なった。
  • 寒川 一成
    1970 年 14 巻 2 号 p. 107
    発行日: 1970/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 高木 一夫
    1970 年 14 巻 2 号 p. 108-110
    発行日: 1970/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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