日本応用動物昆虫学会誌
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17 巻, 4 号
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  • 中筋 房夫, 山中 久明, 桐谷 圭治
    1973 年 17 巻 4 号 p. 171-180
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    サトイモ畑の雑草を一部残したり,天敵のかくれ場所として「こも」を敷き込んでハスモンヨトウの捕食性天敵の密度を高め,夏季のハスモンヨトウ多発生時に忌避的作用を通してふ化幼虫集団を分散させ死亡に導く働きをもつクロルフェナミジン剤を超低濃度(30ppm)で散布してハスモンヨトウを有効に防除できるかどうかを検討した(モデル防除区)。対象区として慣行栽培圃場にメソミル剤を散布した区(慣行防除区)と無防除区を設けた。
    ハスモンヨトウ1令および4令幼虫密度はモデル防除区で最も低く,慣行防除区と無防除区は高かった。しかし6令幼虫密度は慣行防除区で老令幼虫の区外への逃亡が起こりモデル防除区とほぼ等しくなった。クロルフェナミジン剤は散布後7日間にわたって有効にハスモンヨトウふ化幼虫を分散させたが,2令以降の幼虫や天敵類には殆んど影響はみられなかった。メソミル剤はハスモンヨトウのすべての令の幼虫をほぼ100%死亡させたが天敵類にも大きな影響を与えた。また残効期間が短かく,散布後急速にハスモンヨトウの幼虫密度が回復した。捕食性天敵の密度は1, 2の例外を除いてモデル防除区で最も高く,続いて無防除区,慣行防除区の順であった。また殺虫剤散布の影響のない時期でのハスモンヨトウ幼虫の生存曲線を比較したところモデル防除区の生存率が最も低く,続いて慣行防除区,無防除区の順であった。しかし慣行防除区では老令幼虫の区外への逃亡が起こっているため後二者の順位はみかけ上のものである。次に捕食性天敵を四つのグループに分け,それらの密度と捕食されるハスモンヨトウ幼虫の令期の生存率の関係をみたところいずれの間にも負の相関が得られ,捕食性天敵がハスモンヨトウ幼虫の生存率を有効に下げる働きをしていることが示唆された。
  • 浜 弘司, 岩田 俊一
    1973 年 17 巻 4 号 p. 181-186
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ツマグロヨコバイの抵抗性系統のアリエステラーゼ活性は,感受性系統に比較して高い活性を示すが,カーバメート剤に著しく阻害されやすいことから,種々な系統に対するカーバメート剤と有機リン剤の共力作用を検討し,次の結果を得た。
    (1) 感受性系統や有機リン剤に抵抗性を示すがカーバメート剤には感受性の2系統に対する,各種有機リン剤とカーバメート剤の共力作用はいずれの組合わせでも顕著でなかった。
    (2) 一方,両薬剤に抵抗性を示す中川原系統に対する両薬剤の共力作用は幾つかの組合わせで高い効果が認められた。比較的高い効果を示した組合わせはマラソン,ダイアジノン,ジメトエート,PAPの有機リン剤とカーバメート剤の組合わせであった。
    (3) また,中川原系統に対するマラソンと各種カーバメート剤の組合わせでは,カーバメート剤単独のLD50(μg/g虫体重)は18.8から263までと大きな幅があったが,マラソンと混合施用した場合には,いずれのカーバメート剤もLD50は30前後に集中した。
    (4) マラソンとPHCの混合比をかえた場合,1:1混合が最も高い効果を示した。
    (5) マラソンとPHCの共力効果は両薬剤に抵抗性の個体群に対しても中川原系統で得られたと同様の効果があった。
    以上の結果から,有機リン剤とカーバメート剤の共力作用の機作について考察し,この共力作用はカーバメート剤が有機リン剤の分解解毒酵素を阻害することによって発現する可能性を示した。
  • 中村 和雄
    1973 年 17 巻 4 号 p. 187-192
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ハスモンヨトウ成虫の性比と温度が産卵数と卵のふ化率に与える影響を知るために,実験室内と野外ケージ内で実験を行なった。その結果,
    1) 18°∼30°Cの各温度区とも産卵曲線は,羽化後1∼2日目にピークをもち,あとは漸減していく形を示した。成虫の総産卵数も卵のふ化率も,温度間で差はみられなかった。Vx(=lxmx)曲線から,各温度区とも羽化後7日目までに大部分の卵が産卵されることが示された。
    2) 未交尾雌の産卵曲線は,中期にピークを持つゆるいドーム型を示した。未交尾雌の産む卵塊数は交尾雌の卵塊数より多かったが,産卵数ははるかに少なかった。
    3) 1晩の交尾回数は雌雄ともに1回以内で,雄は2晩目も交尾可能なことが示された。2晩目の交尾では,すでに交尾した雌との交尾はさけられる傾向のあることが示された。
    4) ふ化卵塊率,ふ化率,産卵数に与える性比の影響は,実験室内では,1日目にはいずれも性比が減少するにつれて減少したが,2日目,3日目とたつにしたがって減少の割合は小さくなった。野外ケージ内でもふ化卵塊率,ふ化率,産卵数のいずれも性比の減少にともなって減少し,ふ化卵塊率,ふ化率は3日目にもその傾向がみられた。
  • 小林 四郎, 柴田 広秋
    1973 年 17 巻 4 号 p. 193-202
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1972年4月から11月まで宮城県内の水田と畦畔でクモ類個体群の調査を行なって次の結果を得た。
    1) クモ類個体群の組成は水田と畦畔で大体同じであり,コサラグモ科とPirata属が主体であった。畦畔のクモ類密度は春季約50頭/m2で,以後3回のピークをへて秋まで増加し,最高時には230頭/m2に達する。
    2) クモ類は田植後約1か月へて水田に侵入し,7月下旬から8月上旬に急増し,以後刈り取りまで約40頭/m2の密度を維持した。水田でクモ類が達する密度レベルは,6月の畦畔におけるクモ類密度と正の相関関係があり,クモ類供給源としての畦畔の重要性が示唆された。
    3) クモ類の密度増加は餌密度に依存する傾向を示した。しかし,餌動物のうちウンカ・ヨコバイ類だけをとりあげて,クモ類密度との間の関係を調べたところ,数の反応は不明瞭であった。
    4) クモ類の天敵としての効果を助長するための方策について考察した。
  • 河野 義明
    1973 年 17 巻 4 号 p. 203-209
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    休眠蛹および休眠除脳蛹に移植した5令3∼4日目の幼虫の脳の光周期感受性を知るための実験を行ない,同時に移植脳のII型神経分泌細胞の変化を電子顕微鏡によって観察し光周期の細胞に及ぼす影響を検討し,以下の結果を得た。
    冷蔵していない休眠蛹を短日条件と長日条件に置いた場合,これらの条件に移してから50∼83日の間に,前者では10%の蛹が成虫化したに過ぎないのに対し後者では67.5%が成虫化した。5令4∼5日目の短日幼虫の脳を除脳休眠蛹に移植し,同様に短日および長日条件に置いた場合,前者で27%,後者で76%の被移植蛹が成虫化し,移植脳の光周期感受性が示唆された。移植された短日幼虫の脳は,短日条件に置かれ,被移植蛹が成虫化の兆候を現わさないときには,幼虫時の形態を保持し,そのII型神経分泌細胞には,移植前の細胞に比べ粗面小胞体が少ない。これに対して,長日条件に置かれ成虫化の兆候を現わしたときには,脳の視葉部がやや発達し,II型神経分泌細胞内では粗面小胞体が空胞化し,遊離リボソームの分布密度が著しく高い状態が観察された。
  • II. 生息場所の条件について
    中村 好男
    1973 年 17 巻 4 号 p. 210-214
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ツリミミズ科の生息場所,特に土地利用の異なる土壌条件について調べた。
    66か所の調査地からツリミミズ科4属6種類(サクラミミズ,AおよびB型Allolobophora japonica MICHAELSEN,クロイロツリミミズA. caliginosa (SAVIGNY),バライロツリミミズA. rosea (SAVIGNY),シマミミズEisenia foetida (SAVIGNY),ムラサキツリミミズDendrobaena octaedra (SAVIGNY),キタフクロナシツリミミズBimastus tenuis (EISEN)が採集された。各種類とも出現率は季節間に差違を示したが,サクラミミズ(A型)とムラサキツリミミズの出現率は3季節(春・夏・秋)とも高かった。調査地は土地利用の状態により9生息地に分けられ,そのうち草地,林地および畑地の種類構成は互いに似ていた。
    土壌条件(含水量,有機物量,pH)と各種類の出現頻度および個体数との間には明確な関係はみられなかった。
  • 小美野 禎司, 横井 進二, 辻 英明
    1973 年 17 巻 4 号 p. 215-220
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    タマナヤガ,カブラヤガ,ヨトウガ,ハスモンヨトウの各幼虫の昼間の生息場所及び潜土性を,25°C, 16時間照明の実験条件下で比較検討し,走光性についても予備的な実験を行なった。結果は次の通りである。
    1) シャーレ内のハクサイ葉片上に幼虫を放った場合,タマナヤガは1・2令の間は葉片上に付着していたが,3令で半数,4・5令で大部分,6令(終令)で大部分又は全部が地中(バーミキュライト中)に入った。ヨトウガは5令で一部,6令(終令)の初期から大部分又は全部が地中に入った。ハスモンヨトウはヨトウガに類似していたが,蛹化の直前になってから潜土するものが多かった。
    2) ガラスポット内に生育中のササゲ豆の幼植物に幼虫を放った場合,タマナヤガは1令で植物上,特に頂芽にもぐるものが多かったが,行方不明の虫も多かった。2, 3令では地表(バーミキュライト上)の物かげにいるものが多く,4・5令で大部分,6令(終令)で全部が地中に入った。カブラヤガはタマナヤガに類似し,ヨトウガではシャーレ内の実験とほぼ同様の結果を得た。ハスモンヨトウは1∼3令では大部分が植物上に静止したが,4令以上では落下するものが増加し,5・6令では蛹化直前を除いて地表にいるものが大部分であった。
    3) 60cmはなれた60W白色光に対する反応実験において,ハスモンヨトウとヨトウガでは,若令時はプラスの走光性を示したが,中間令では不明瞭となり,老令特に蛹化近くではマイナスの走光性を示した。カブラヤガは,はじめから17日目まで終始走光性は明らかでなく,タマナヤガは17日目(蛹化直前)にマイナスの走光性を示したが,それまでは走光性は不明瞭であった。従がって,地中に潜入する性質の変化や種間の差を,走光性だけで説明することは出来ないようである。
  • 奈須 壮兆, 中須賀 正子
    1973 年 17 巻 4 号 p. 221-223
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 松本 義明, 正野 俊夫
    1973 年 17 巻 4 号 p. 223-225
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 奥 俊夫, 佐藤 平典
    1973 年 17 巻 4 号 p. 225-227
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 根本 久
    1973 年 17 巻 4 号 p. 227-230
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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