日本応用動物昆虫学会誌
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19 巻, 4 号
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  • 立花 観二
    1975 年 19 巻 4 号 p. 223-226
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    昆虫背脈管における脈動を,弾性論的に考察を加え,その伝ぱの様相をFRANKの用いた解析法に模して図化し,さらにその伝ぱ速度などを測定した。すなわち,背脈管における収縮・拡張活動は,全体として同時に生起するものではなく,正脈の場合,背脈管後端部が収縮し,やがて拡張するが,その収縮にややおくれて前節が収縮をはじめ,そして拡張するといったふうに次第に前方へ伝ぱされていく。また,心臓部においては拡張期が収縮期にくらべて長く,大動脈部ではその逆となる。脈動の伝ぱ速度は1.2∼7.6cm/secであったが,幼虫のそれは蛹・成虫よりいずれも速やかであり,同一個体にあっては,正脈の脈動の伝ぱ速度は逆脈にくらべて速やかである。さらに,同一個体におけるはく動数の多少は,主として拡張休止期の長短によって左右され,はく動数が増加すれば休止期が消失することを知った。
  • 若村 定男, 北村 実彬, 高橋 正三
    1975 年 19 巻 4 号 p. 227-231
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    透明プラスチックの箱(容積46.7l)に,20個のフェロモンホルダーをとりつけ,それぞれに,合成性フェロモンcis-9, trans-12-tetradecadien-1-ol acetateを350μgずつ浸み込ませ,羽化後間もないスジマダラメイガ(Cadra cautella WALKER)成虫を2対入れ,配偶行動の観察と,産卵数の調査を行なった。フェロモンを供試しなかった対照区では,第2夜までに,すべての雌に交尾が観察されたのに対し,フェロモン処理区では,第4夜まで観察を続けたが,交尾は1例も認められなかった。また,ホルダーあたりの供試量を35μg, 3.5×10-2μgと減ずるに従って,交尾は,より早い時期に高いひん度で観察され,3.5×10-4μgの場合には,対照区とほとんど差がなくなった。したがって,スジマダラメイガの密度が十分に低い条件では,多量の合成フェロモンにより,交尾が阻害されることが確認された。また,交尾阻害の程度は,合成フェロモン供試量と依存関係にあることも示された。
    同様の実験を,性フェロモン類縁化合物の一つであるcis-9-tetradecen-1-ol acetate (c-9-TDA)についても行った。c-9-TDAは,スジマダラメイガの雄に対し,性フェロモンの104倍の量を供試すると,同程度の性フェロモン活性を示す。しかし,実験の結果c-9-TDAは合成性フェロモンと同程度の交尾阻害力を有することが確認された。
  • 岩橋 統, 照屋 林宏, 照屋 匡, 伊藤 嘉昭
    1975 年 19 巻 4 号 p. 232-236
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    久米島でのウリミバエ根絶のための不妊虫放飼実験に先だち,1972年12月より抑圧防除を行った。
    1. 抑圧防除前(1970年6月から1972年11月まで)の久米島におけるウリミバエ個体数は2∼3月と7∼8月に少なく,5∼6月と11月頃にピークとなった。もっとも多い時期で1日1,000トラップあたり約1,000匹であった。
    2. 月平均最高気温が31°C以上および月平均最低気温が14°C以下となると誘殺数は減少した。
    3. 1972年12月から1973年6月までと,1974年1月から3月まで,キュールア97%とジブロム3%の混合剤24gを含ませた,6cm×6cm×9mmのテックス板を1月1haあたり1.85枚から2.77枚の割合で空中投下したが,十分な抑圧効果は得られなかった。
    4. 1973年3月から6月まで,久米島の2地域に通常の10倍量のテックス板を空中投下したところ,誘殺虫数は通常散布区の10分の1程度に減少したが十分ではなかった。
    5. 1974年6月より1975年1月まで月2回,プロテイン剤(140倍アンバーBYF 100水溶液にマラチオン(800倍)を加えたもの)560,700lをウリミバエ多発生地域のヤブを中心にhaあたり80lの割合で,スピードスプレイヤーで散布した。さらに1974年10月から12月までは,キュールア97%とジブロム3%の混合剤2gをしみ込ませた直径5mm,長さ5cmの木綿ロープも1月1haあたり40本の割合で空中投下し,1日1,000トラップあたり50匹以下の誘殺虫数に下げることができた。
  • 笹川 満広
    1975 年 19 巻 4 号 p. 237-242
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    キイロコキクイムシTaenioglyptes fulvus (NIIJIMA)の発育経過および習性を適確に観察するために,アカマツ樹皮を2枚の塩化ビニール板で挾みこんだ簡単な飼育装置を用いたところ,全発育期間を通じて生育が可能であった。
    まず,雌成虫による母孔形成の過程を経時的に明らかにし,正常な横平孔を形成するためには蛹室内で羽化後数日間の後食が必要であることがわかった。交尾は侵入孔に接した交尾室内で行われ,雌は数日間の産卵前期間を経て,交尾室付近で2∼4回に分けて計20個内外の卵をルーズな卵塊として産みつける。産卵数は母孔の長さや雌成虫の生存日数が長いほど多くなる。ふ化幼虫の食入部位は不規則であるが,母孔の両端近くから始まるのが通例である。幼虫は2令を経過し,20日内外で老熟し,蛹室を作る。蛹期間は約1週間である。
    最適生息密度よりも高い寄主では,かなりの個体が母孔形成および産卵を中止して寄主から脱出する。そして適当な寄主と密度条件が満たされれば,脱出前よりも長い母孔を作り,再交尾ののち産卵を続けるので,1雌あたりの総産卵数が増加する。したがって,本種の寄主脱出と再寄生現象は寄主内密度調節とともに個体数の増大をもたらすという生態学的意義がある。
  • 片桐 一正, 串田 保, 春日 山平, 大庭 道夫
    1975 年 19 巻 4 号 p. 243-252
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    静岡県浜北市および奈良県桜井市のドウガネブイブイの高密度野外個体群の幼虫に流行病が観察されたが,病原調査の結果,これは,一種の昆虫ポックスウイルス(EPV)病であることが判明した。野外個体群では,2令後期から3令期で病徴が現われる。病気の進行は緩慢で死亡までの期間は一般に長い。
    このEPVは脂肪体および血球を冒す。感染を受けた細胞の細肪質中には,楕球状(Spheroid)と長い八面体状または紡錘体状(Spindle様体)の2種類の封入体が形成される。Spheroidは平均5×8μで大きいものは15μに達する。Spindle様体は4.5×7μ程度のものが最も多いが,大きいものでは長軸が18μに達し,小さいものは1μ以下である。
    電子顕微鏡観察によると,Spheroid中には多数のウイルス粒子が含まれており,Spheroid自体は115Åの幅をもった結晶格子状構造をしている。Spindle様体もまた結晶格子状構造をしているが,格子幅は50∼57Åで,中にはウイルス粒子を含まない。
    ウイルス粒子は最初,感染細胞の細胞質中に球状の未熟粒子として現われ,次第に内部構造が分化し成熟するにつれてSpheroidたん白質中に包埋されていく。ウイルス粒子の成熟はSpheroid中で完成する。
    成熟したウイルス粒子は,長軸4400Å,短軸2500Åの楕球状で表面は桑実状をしている。ウイルスのcoreは一方に湾曲した腎臓型をしており,core shellは2層からなる約200Åの厚さをしている。coreの中には直径約350Åのひも状構造が含まれている。
    Spheroid, Spindle様体とも,2つあるいは2つ以上が融合したような異形がみられることもある。
    本病はドウガネブイブイの高密度個体群中に高い率で発生し,発病率は場所により85%以上にも達する。感染はすでに7月からみとめられ,感染率は次第に高くなる。発病率は秋から冬に最高になる。
  • 新井 哲夫
    1975 年 19 巻 4 号 p. 253-259
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) ミカンコミバエDacus dorsalis HENDELの生活史の経過にともなういろいろの行動の日周りリズムを,N-LD, N-DD, N-LL, 25°C-DDおよび25°C-LL条件下で調べた(Nは温度が自然条件,LDは日長が自然条件,DDは全暗黒でLLは全照明を示す)。
    2) 産卵活動には,1日のうちで最も気温と照度の高い12∼16時にピークがみられた。
    3) ふ化には,日周期性はみられなかった。
    4) 幼虫のとび出し行動(土中で蛹化するために,餌よりとび出す行動)は,25°C-DDおよび25°C-LLにおいて日周期性はみられなかった。N-LDおよびN-DD(11月下旬)では,日の出前後にピークがみられたが,N-DDでは,N-LDよりピークが少しおくれた。N-LLでは,夜間の低温中のとび出しが多かったが,決まった時刻にピークはみられなかった。
    5) 卵から羽化まで25°C-DDおよび25°C-LLに保つと,羽化に日周期性はみられなかったが,N-LD, N-DDおよびN-LL(11月上旬)において,10時頃に羽化のピークがみられた。
    6) 幼虫期の環境リズムによって羽化時刻は決定されるが,蛹期の環境の影響によって変更されると考えられる。
    7) 幼虫のとび出しまたは培地からの人為的な取り出しと羽化の間には,かならずしも一定の位相関係を認めることはできなかった。
  • 高田 肇
    1975 年 19 巻 4 号 p. 260-266
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    十字花科植物上の共通の寄主,モモアカアブラムシに対する2種の寄生蜂Diaeretiella rapae (=Dr)とAphidius gifuensis (=Ag)の選好性の差異を実験的に調べた。
    1. Agは寄主発見回数の比率,発見寄主に対する産卵率のいずれもDrより優り,その累積である産卵効率ではDrの5倍に達した。
    2. 1∼2令(=S), 3令(=M), 4令(=L)の寄主幼虫を同数供試した場合,産卵効率はDrではL<M≤S, AgではL≤S<Mの順に高くなった。
    3. Agは体長,触角の節数と体長に対する相対長,行動の敏しょう性においてDrより優り,寄主探索活動がより広い範囲にわたる。
    4. モモアカアブラムシは両寄生蜂の攻撃に対し,け飛ばし,前進逃避,甘露の排出などによって反応し,その率はS<M<Lの順に,また,AgよりDrに対して高くなった。
    5. DrAgのモモアカアブラムシに対する産卵効率および寄主令期選好性の差異と寄生蜂の形態,行動の差異との関連について考察した。
  • 村越 重雄, 中田 忠, 大塚 晏央, 秋田 弘幸, 田原 昭, 田村 三郎
    1975 年 19 巻 4 号 p. 267-272
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    すでに,筆者らは化学物質を経口投与することによって,4眠性の交雑種から3眠蚕を出現させうることを,コウジ酸やその関連物質で見い出していたが,今回,アビエチン酸と37種の関連化合物および16種のヒドロフルオレン系化合物の3眠蚕出現活性を調べたところ,それらのあいだに,コウジ酸より強い活性を示す化合物を見い出すことができた。
    すなわち,供試化合物を200ppm添加した人工飼料を4齢起蚕より連続投与したところ,アビエチン酸誘導体で3種,ヒドロフルオレン系化合物で11種のものが3眠蚕を出現させた。そして,これらの化合物のあいだで,構造-活性相関について若干の知見が得られた。上記14種の化合物のうち,9種類については,100ppmでも3眠蚕出現活性が認められた。最も強い活性を示した〔A-11〕 (methyl 6, 7-dioxo-5α, 10α-podocarpa-8, 11, 13-trien-15-oate)は,50ppmでも3眠蚕を出現させた。また,この化合物の100ppm添加飼料を3齢起蚕より連続投与したところ,無添加区が5齢になった時点でも,多くの幼虫が3齢のままで生存することがわかった。
  • 山田 房男, 小林 一三, 山崎 三郎, 西野 トシ子
    1975 年 19 巻 4 号 p. 273-280
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) マツカレハ幼虫の発育におよぼす日長時間の影響を知るために,主として25°Cで飼育試験を行い,休眠誘起の臨界日長および休眠型と非休眠型の発育経過を産地別にしらべた。
    2) 25°Cにおける休眠率50%の臨界日長は,茨城県村松産マツカレハでは15∼15.5時間,鹿児島県山川産では14.5∼15時間の範囲内にあり,休眠率が100%になる日長は,村松産では14.5∼15時間,山川産では13∼13.5時間の範囲内にある。東京都目黒産マツカレハの臨界日長は村松産の値に近いものと推定される。
    3) 長日下にあっても,夜間低温という変温条件では休眠率が高まる。
    4) 25°C恒温下では,3令あるいは4令以後,休眠型個体の令期間が非休眠型にくらべて長くなる。しかし1令および2令においてはそのような差はない。
    5) 非休眠型幼虫は6令で営繭するのが普通であるが5令あるいは7令で営繭する場合もある。その幼虫期間は6令経過では49.9∼72.5日であったが,7令経過ではこれよりも長くなる傾向がある。
    6) 5令期または6令期において,休眠型と非休眠型は体色と大きさによって区別できる。
    7) マツカレハには,休眠誘起の臨界日長に地理的変異があり,幼虫の発育にもそれぞれの産地の自然条件に適応した経過をたどる特性があると推定される。
  • 松田 一寛, 松本 義明
    1975 年 19 巻 4 号 p. 281-284
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) タデ科植物を寄主とするハムシ4種に対してジカルボン酸11種,オキシ酸3種の摂食刺激活性を調べた。
    2) タデ科に存在が知られているシュウ酸,リンゴ酸酒石酸,クエン酸は,ショ糖の共存下でコガタルリハムシ,オオイタドリハムシ,イタドリハムシに顕著な摂食刺激活性を示した。またオオイタドリハムシ,イタドリハムシの2種では,ショ糖を混ぜないそれぞれの酸単独でさえも若干の刺激活性がみられた。
    3) さらにコガタルリハムシではシュウ酸からセバシン酸にいたるまでの飽和ジカルボン酸9種,およびマレイン酸,フマル酸の不飽和ジカルボン酸についても,ショ糖の存在下で顕著な摂食刺激活性が得られた。
    4) オオイタドリハムシではシュウ酸からアジピン酸までの5種の飽和ジカルボン酸およびマレイン酸,フマル酸がショ糖存在下で顕著な摂食刺激活性を示した。
    5) 一方,イチゴハムシについては,コハク酸が弱い摂食刺激活性を示したに過ぎない。
    6) 以上の結果から,タデ科を特異的に食べる3種のハムシの寄主特異性に植物中の水溶性有機酸の摂食刺激活性が関係している可能性を指摘した。一方,イチゴハムシではそのような酸の摂食刺激活性がみられず同種の寄主特異性機構の複雑さが推察された。
  • III. アオムシサムライコマユバチおよび顆粒病ウイルスの導入結果
    伊藤 嘉昭, 崎山 正美
    1975 年 19 巻 4 号 p. 285-289
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    沖繩本島に侵入したモンシロチョウの個体群密度を低下させる目的で,1974年10月アオムシサムライコマユバチを,1975年1月モンシロチョウ顆粒病ウイルスを導入した結果を生命表データを基礎として検討した。両種ともほ場で繁殖をくりかえし,冬を含め10ヵ月間(1975年7月現在)繁殖を続けた。アオムシサムライコマユバチ単独放飼の場合世代死亡率は,やや上昇したように見えるが,成虫羽化数への影響は明らかでなかった。顆粒病ウイルスもともに作用した場合には世代死亡率が上昇し,産卵数に比して5齢幼虫数が減り,また羽化虫数は著しく減少した。本試験で天敵を放飼した範囲が小さいため,成虫の侵入によって産卵数にはほとんど変化がなかったが,広範囲に放飼を行なえば密度を低下させうる見通しが得られた。
  • 岸 洋一
    1975 年 19 巻 4 号 p. 290-291
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 谷本 智昭
    1975 年 19 巻 4 号 p. 292-294
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 石井 象二郎, 市川 俊英
    1975 年 19 巻 4 号 p. 295-296
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    トビイロウンカの雄腹部第1, 2節に鼓膜(発音)器官があり,その外部,内部形態を調べた。発音は直接聞くことはできないが,薄い紙に共鳴させれば,これを聞くことができ,その方法を記載した。
  • 瀬戸口 脩
    1975 年 19 巻 4 号 p. 296-297
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 東海林 修, 野村 健一
    1975 年 19 巻 4 号 p. 298-299
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 永田 徹, 守谷 茂雄
    1975 年 19 巻 4 号 p. 300-301
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • VII. 卵および幼虫の死亡率
    大内 実
    1975 年 19 巻 4 号 p. 302-304
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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