日本応用動物昆虫学会誌
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20 巻, 4 号
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  • 田中 福三郎
    1976 年 20 巻 4 号 p. 173-176
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. 籾を水に20∼24時間浸漬して吸水させ,灯の上においた白色プラスチック容器に入れて観察すると,籾殼を透して黒点米や斑点米の病斑が識別できることが分った。
    2. ただし,下側になった病斑は識別困難であり,また,死米と全変色病斑米との識別はできなかった。
    3. 水温は5°∼25°Cがよく,30°C以上では玄米が白濁化して透光性が悪くなり,好結果が得られない。
    4. 減圧してほぼ真空状態で浸漬し,籾の吸水を促進すると,処理時間を30分位に短縮できた。
  • 鈴木 芳人, 山口 勝幸, 伊賀 幹夫, 広瀬 義躬, 木本 浩之
    1976 年 20 巻 4 号 p. 177-183
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ウンシュウミカン幼木園においてアゲハ卵の空間分布を経時的に調査し,母蝶の産卵行動の観察に基づいて空間分布の成立過程を明らかにした。
    ほ場に飛来した母蝶は,ジクザグまたは直線的に一方向に移行しながら産卵し,途中ですでに訪問した木にもどることはまれであった。しかし,ほ場に侵入直後には同一の木に続けて産卵する習性を有すること,および環境に異質性が存在したために,多数個体による産卵の累積結果である卵の空間分布は周年集中的であった。
    環境の異質性をもたらした要因の1つは,木毎の新葉数の違いであった。木当り新葉数の変動係数は萠芽初期に大きく,展葉がすすむとともに低下した。このため,春芽の展葉期には,時間の経過にともなって卵の分布集中度は低下した。しかし,夏・秋芽の展葉期には準新葉が環境を一様化していたと考えられ,分布の集中度はどの時期も低かった。
    調査結果の考察に基づいて,より広いミカン園におけるアゲハ卵の空間分布の特性を予測した。
  • 奥 俊夫, 小山 重郎
    1976 年 20 巻 4 号 p. 184-190
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. 東北地方における1969年のアワヨトウ第1回発生は少なく幼虫の集中発生は秋田県南部の1地点に認められたのみであったが,第2回発生は激甚で,集中発生地点は40数個所に達し,各県でかなりの被害を生じた。第1回に比較して第2回発生が非常に激甚であったことから,第2回多発はこの地方外から成虫群が移動侵入したことによって起こった可能性が大きいと考えられた。
    2. 地上の風向風速観測値,ならびに地上及び850MB面天気図を検討した結果,7月27∼28日は中国大陸東北区の吉林省方面から北海道東部に向かって急速に東進した低気圧があり,その南側上空に生じた強い西風によって成虫群が運ばれ,28日夕刻の寒冷前線通過時にその多くが東北地方に着地した可能性があることが判明した。
    3. 秋田市及び岩手県安代町細野における成虫の糖蜜誘殺では,6月中旬から7月中旬までアワヨトウは全く認められず,7月28∼29日の夜に初めてアワヨトウがトラップに入り,しばらく誘殺が続いた。細野では誘殺数が極めて多く,この成虫群の産卵によると思われる幼虫の集中発生が起こった。これらの事実も28日夜に成虫群が飛来したと言う推測を支持するものであろう。
    4. 1969年第2回の幼虫集中発生地点が奥羽山脈の西側平坦地に広く分布したことも成虫群が西岸から侵入したとこを示唆する。また,成虫群の一部は東西に走る溪谷沿いに移動し,さらに奥羽山脈の低部を越えてその東側に侵入した形跡が認められたた。
  • 河野 義明, 坂井 道彦, 守谷 茂雄
    1976 年 20 巻 4 号 p. 191-197
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ツマグロヨコバイによって媒介されるイネ萎縮病の発病がカルタップの育苗箱処理によって抑制される機作として,
    1. 保毒虫に対する殺虫作用
    2. 保毒虫の媒介行動に対する抑制
    3. 植物体中での萎縮病の発病に対する直接の作用の3つが考えられるので,それぞれの可能性を保毒虫を使って実験的に解析した。
    その結果,カルタップはツマグロヨコバイに対して速効的に殺虫作用を示すこと,および,sublethal doseによってツマグロヨコバイの萎縮病媒介行動を鈍らせることが明らかになった。
    しかし,カルタップがイネ体内での萎縮病の発病に対して直接に作用する可能性は少ない。
  • 守谷 茂雄, 前田 洋一
    1976 年 20 巻 4 号 p. 198-202
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    2-sec. butylphenyl methylcarbamate (carbonyl-14C) [BPMC]およびo-cumenyl methycarbamate (carbonyl-14C) [MIPC]を合成し,カバメート系殺虫剤に感受性の異る筑後系,新和系のツマグロヨコバイに局所施用し,その吸収,代謝を調べた。
    虫体表からの薬剤の吸収浸透は速かで,フェニルカーバメート殺虫剤の速効性の一因と考えられた。殺虫成分の体内への浸透量は筑後系,新和系の間で差がなく,その体内濃度の推測値は感受性系統のコリンエステラーゼ活性を阻害するに足りるが,抵抗性系統の阻害には十分でないと推定された。水溶性分画,不溶性部中の14C放射能はいずれも筑後系において高いことが認められ,筑後系と新和系では体内における薬剤の消長に差のある可能性が示唆された。
  • 小山 光男
    1976 年 20 巻 4 号 p. 203-207
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ハスモンヨトウの野外雄と飼育雄について余命,授精能力,フェロモントラップでの再捕率および飛しょう時間の差異について,比較検討を行い次の結果を得た。
    1. 乾式フェロモントラップで捕獲した野外雄の捕獲後の平均生存日数は10.9日であったのに対し,飼育雄の羽化後の生存日数は,17.0日であった。したがってこの試験を行った11月頃の野外では,フェロモントラップにいろいろな日令の雄が集って来ていることが推察された。
    2. 雄成虫の生存期間における授精精包数は,飼育雄の平均が6.8個であり,羽化後比較的新しいと思われる野外雄のそれは平均6.3個であり,両者にほとんど差はなかった。
    3. フェロモントラップにおける再捕率は,飼育雄より野外雄が明らかに高かった。その差異は低温など気象条件の悪化とともに大きくなる傾向が認められた。
    4. 1回の飛しょう時間は野外雄も飼育雄も個体変異が大きく,両者の差は認められなかった。しかし,飛しょう活動は野外雄の方が活発であることが観察された。
  • 行成 正昭
    1976 年 20 巻 4 号 p. 208-211
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ナシ園付近の生垣のイヌマキにつくチャハマキ,チャノコカクモンハマキの寄生性天敵は,ナシ園の主要ハマキガ類の寄生性天敵と共通のものを多く有しており,イヌマキが天敵函養に利用できる可能性を示している。
  • II. ガラス室におけるアブラムシ類の増殖パターンに対する薬剤散布の影響
    斎藤 哲夫, 小倉 信夫, 巌 俊一, 宮田 正, 本多 八郎
    1976 年 20 巻 4 号 p. 211-212
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 山田 偉雄, 腰原 達雄
    1976 年 20 巻 4 号 p. 213-214
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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