日本応用動物昆虫学会誌
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22 巻, 4 号
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  • 杉本 渥
    1978 年 22 巻 4 号 p. 219-227
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    久米島での不妊虫放飼実験のためのウリミバエ大量飼育法を設定するため,幼虫の飼育法を検討した。飼育上の新手法として,卵をトマトジュースと混ぜて幼虫培地に接種する方法と,室温の一時的引き下げによる老熟幼虫の回収促進法を見出し,これらを飼育実験に用いた。
    幼虫培地はふすまを基材としたが,大豆粕の加用によってたん白質含量を増し,それに伴い蔗糖含量にも検討を加えた結果,老熟幼虫脱出の集中度と回収虫数が向上した。供試培地中のBST-3が大量飼育用として実用的であると認めたが,この培地は1mlあたり7匹から8匹近くが回収でき,そのとき平均蛹重が15mgを割らず,卵-蛹収率も70%強であった。この培地は初代飼育での卵-蛹収率も50∼60%と高かった。この培地の生産力に基き,1箱から老熟幼虫50万匹が回収できる幼虫大量飼育箱を設計した。
    将来の飼育能率高度化への試みとして,特に栄養的成分量を増した培地による高密度飼育を行った。ここでは培地の過熱が著しかったが,前記の培地BST-3に比べて1mlあたりの回収虫数は2倍近くに達し,卵-蛹収率も劣らず,蛹や成虫にも幼虫培地の過熱の悪影響は見られなかった。
  • 赤井 弘, 佐藤 茂, 坂手 栄
    1978 年 22 巻 4 号 p. 228-233
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    テンサン(Antheraea yamamai GUÉRIN)の5令幼虫の血球を超薄切片法により透過電子顕微鏡で観察した。
    テンサン幼虫の血球は,原白血球,顆粒細胞,小球細胞,プラズマ細胞,およびエノシトイドに分類できる。原白血球は未分化の血球で,細胞内小器管の発達が低調である。顆粒細胞は細胞質中に特徴的な縞状顆粒が存在し,体液中へ放出される。粗面小胞体は槽を形成し,暗調の顆粒やリソソームも見られ,仮足状の細胞質突起を保有する。小球細胞は極めて少数であり,細胞質に特有の小球を有し,顆粒細胞とを区別することができる。プラズマ細胞は,紡錘形または洋梨状をなし,細胞質中に顆粒や小球はなく容易に区別することができる。エノシトイドは大形の血球で,数は少なく,細胞内小器管の発達は概して低調である。細胞質中には微細な細繊維状物を保有している。
    テンサンの血球は,カイコガに比較し基本的に異なる点はほとんどみられなかったが,顆粒細胞,小球細胞ならびにエノシトイドに若干の特徴が見られ,これらの点について考察した。
  • 土山 彬
    1978 年 22 巻 4 号 p. 234-237
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. わが国においては,BT剤の力価検定はカイコを用いて行なわれているが,これはただちに害虫に対する力価を示すものではなく,防除対象害虫による力価検定法の確立が必要である。
    2. 人工飼料で飼育したコナガ幼虫を用い,BT剤の生物検定法について検討した結果,これによる力価検定が可能となり,PXU (Plutella xylostella unit)によって表示することができた。
    3. PXUおよびBMU (Bombyx mori unit)の相関を調べた結果,高い相関r=0.997(p<0.001)が認められた。BMUの推定値は回帰式Y=0.748X+50.4(X;PXU)から得られた。
    4. 上記回帰式を用い,実測PXUより推定されるBMUは実測値と非常に近似した。
  • I RFPとウイルスとの間の沈降反応
    林屋 慶三, 内田 由子, 姫野 道夫
    1978 年 22 巻 4 号 p. 238-242
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 家蚕幼虫の中腸および消化液中に存在する赤色螢光性たんぱく質(RFP)と家蚕核多角病体ウイルス(NPV)との間で特異な沈降反応がみられた。すなわち,RFPとNPVを毛細管重層法を用いて接触させると界面に白色環を,また凝集板上で混合すると白色沈澱が生じた。この反応の至適pHは7.5∼8.5であった。
    2) RFPは家蚕軟化病ウイルス(FV)とも沈降反応をおこしたが,tabacco mosaic virus (TMV), Autographa carifornia virus (AcNPV)とは反応しなかった。また核多角体たんぱく,アルブミン,ヒストンのようなタンパク質とも反応しなかった。
  • 姜 鐘大, 桐谷 圭治
    1978 年 22 巻 4 号 p. 243-249
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    5,10,15,20,25°Cでキクヅキコモリグモ,コサラグモ,アオバアリガタハネカクシ,コナガゴミムシのツマグロヨコバイ老熟幼虫に対する日当たり攻撃頭数と捕食臨界温度を推定した。10°C以上ではコモリグモが捕食能力において他の3種より格段に優れていた。前2種では5∼10°Cでも捕食活動が認められた。
    冬期地表面の日平均気温は地上1.2mのそれより平均7°C高く,コモリグモの捕食臨界温度(5.2°C)をほとんど下廻ることがないので,冬期中も捕食活動が行なわれていると考えられる。
    他方,冬期休閑田に方形枠を設け,1週間毎の調査からコモリグモ,コサラグモ類,ハネカクシ,ゴミムシ類のそれぞれの延べ存在頭数とヨコバイ消失数間の重回帰分析を行なった結果,コモリグモがヨコバイ幼虫の死亡に最も重要な役割を果たしていると推察された。
    1月下旬から3月下旬の間のヨコバイ消失数は,コモリグモの存在しなかった枠のY=3.7に対し,存在した枠でY=19.5と格段に大きかった。
    コモリグモ延べ存在頭数とヨコバイ消失数の関係から,コモリグモ密度とヨコバイ消失数の関係式を得,模擬計算から,冬初期のヨコバイ密度が200頭/m2前後では,コモリグモ初期密度5頭/m2のとき越冬後ヨコバイ密度はほぼ半減するという結果を得た。
  • 小林 四郎, 高野 秀樹
    1978 年 22 巻 4 号 p. 250-254
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. 鶴岡市の面積約7haのほ場で,6月中旬(第2世代)と7月下旬(第3世代)に,羽化後24時間以内のモンシロチョウ成虫に個体別標識をつけ,1回放逐多回再捕の結果から生存率と分散を調べた。
    2. 推定平均生存日数は第2世代雌4.58±0.24,雄5.44±0.26,第3世代雌3.24±0.05,雄3.06±0.04であった。
    3. 再捕地点の位置からみると,第2世代は放逐地点からどの方向にも同じように分散したが,第3世代は東ないし南にかたよる傾向があった。また,分散は第2世代よりも第3世代の方が早く起こっている。
    4. 第3世代の成虫期間の短縮は移出と死亡の増大による可能性が示唆された。
  • 小山 重郎
    1978 年 22 巻 4 号 p. 255-259
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1975∼1977年,秋田市において,毎年生育条件の異なる2枚の水田で,イネクビホソハムシ幼虫の密度を3段階に変え,被害解析をおこなった。
    最高被害葉率が30%を越える試験区で減収するものがあらわれたが,ほ場によっては30%を越えても減収しない試験区が認められた。被害葉率が30%を越えた場合,稲の茎数増加がおそい水田や,有効茎歩合の低い生育条件の水田で,被害による減収が起こることがみられた。
    被害による減収は,有効茎歩合と穂数の減少によってもたらされ,1穂籾数,登熟歩合,玄米1000粒重,未熟粒率への被害の影響は認められなかった。
  • I. 水田での生存曲線と死亡要因の考察
    江村 一雄, 小嶋 昭雄
    1978 年 22 巻 4 号 p. 260-268
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    イネクビボソハムシの要防除密度を推定するために,1973∼1977年に新潟県下の水田で生存曲線とそれに及ぼす死亡要因を調査した。
    1) 卵を起点として得た9個の生存曲線は,年次,場所,産卵時期などで大きな変動を示した。
    2) 主なステージ別の生存率は,1令初期では93.9(86.8∼98.9)%,3令初期では30.7(8.7∼64.9)%,営繭期では15.2(4.9∼29.3)%で,成虫の羽化率は10.2(2.3∼19.8)%であった。
    3) 卵期における死亡要因は,寄生蜂が主なものであったが,寄生率は一般に低かった。幼虫期の死亡はかなり多く,かつその変動も大きかった。主な死亡要因は,気象とくに湿度の低い条件であるらしく,その影響は幼虫の若令期ほど大きかった。捕食者としてはキバラコモリグモが考えられたが,個体数が少なく,これに捕食される個体もまた少ないと推定された。営繭期以後に起こる死亡は寄生蜂によるものが大部分であった。
    4) 以上のことから,本種の要防除密度推定に個体群密度の経時変化を予測して利用することは,主な死亡要因が気象条件であることから困難であるが,多くの生存曲線を調査してこれを活用することによって,要防除密度を推定することが可能になると考えた。
  • 小山 光男, 若村 定男, 滝川 昇, 釜野 静也, 岡田 斉夫, 三田 久男, 岡田 忠虎, 平井 一男
    1978 年 22 巻 4 号 p. 269-280
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ハスモンヨトウの性フェロモンおよび核多角体病ウイルス利用の素材研究の成果を結集して,2種の技術の組合せによるハスモンヨトウ防除の可能性を検討するために,現地試験を1975年4月15日から9月30日にわたって,愛媛県伊予三島市のサトイモ栽培地帯の10haを対象として実施した。
    1) 雄成虫の誘殺数は5月下旬から徐々に増加し,7月上旬∼7月下旬に急激に増加した。その後も次第に上昇し,9月下旬の誘殺数が最も多かった。
    2) 放飼したマーク雄のうち,捕獲されたものの大部分は放飼場所に最も近接したトラップ列で誘殺され,そのトラップ列を越えて他のトラップ列で誘殺されることは少なかった。捕獲率は野外雄の誘殺数の増加に伴なって減少した。
    3) 野外雄密度の低かった7月上旬には,性フェロモン構成成分等による交尾阻害区において,交尾はほぼ完全に阻害された。またトラップによる雄の誘殺だけでも交尾は相当抑制された。しかし,野外雄の密度の増加に伴なって交尾阻害効果は低下した。
    4) 核多角体病ウイルス散布による幼虫の死亡率は82∼90%で,青刈ダイズ,アズキおよびクローバほ場での試験結果と比較してやや劣った。しかし,ウイルス散布区,特に2回散布区では被害につながる老令幼虫の密度が他区と比較して著しく低かった。
    5) 性フェロモン利用による大量誘殺,および性フェロモン構成成分等による交尾阻害によって幼虫密度を顕著に低下させるような効果は認められなかった。これは成虫の行動範囲に比較して,処理区域が狭かったためと考えられる。マーク雄の放飼および捕獲実験などから,処理面積を拡大すれば防除効果を期待できることが示された。核多角体病ウイルスの適期散布は,被害に直結する老令幼虫の密度を著しく低下させることができるので,これら両者を組合せると防除に十分利用できる可能性が示された。
  • 真梶 徳純, 浜村 徹三, 芦原 亘
    1978 年 22 巻 4 号 p. 281-283
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The feeding activity of Pyrrhalta humeralis adults decreased significantly after ca. 2 weeks from the adult emergence of June, and was maintained at a low level towards the end of August or the beginning of September.
  • 武田 享, 中根(引地) 昌美
    1978 年 22 巻 4 号 p. 283-285
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 釜野 静也
    1978 年 22 巻 4 号 p. 285-286
    発行日: 1978/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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