チャノコカクモンハマキの4成分系合成性フェロモンによる野外誘殺試験により,以下の結果を得た。
1. 微量成分の1つである10-methyldodecyl acetateは
R体が
S体よりも活性が若干高い傾向が認められたが,その差は顕著ではなく,ラセミ体にも十分の活性があり実用に供せられる。
2. 10-methyldodecyl acetateの誘殺最適混合比は主成分の20∼200%であり,自然混合比の2%より著しくはずれていた。
3. 主成分の(
Z)-9-tetradecenyl acetateと(
Z)-11-tetradecenyl acetateの誘殺最適混合比は70:30∼30:70の範囲にあった。
4. 微量成分の1つである(
E)-11-tetradecenyl acetateの誘殺最適混合比の範囲も比較的広く主成分に対して1∼40%であった。
5. (
E)-9-tetradecenyl acetateの混入は主成分に対して0.5%まで許容できるが,1%以上の混入は誘殺効力を著しく低下させた。
6. 以上の結果からチャノコカクモンハマキ雄誘殺用合成品混合物としては(
Z)-9-tetradecenyl acetateと(
Z)-11-tetradecenyl acetateの65:35前後の混合比のものに5%前後の(
E)-11-tetradecenyl acetateおよび20∼200%の10-methyldodecyl acetateラセミ体を添加したものが使用できる。
7. 上記混合物のディスペンサーへの使用量はプラスチックカプセルを使用した場合は主成分量で3mgが最も誘殺効力が大であった。プラスチックディスペンサーは初期の誘殺力が大であるが短期間で効力が失われるに反し,ゴム製ディスペンサーはその効力が長期にわたって安定していた。
8. 今回開発された誘殺用製剤の誘殺効力は処女雌のそれを上まわることが示された。
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