ツマグロヨコバイ地方個体群の,対稲品種反応を比較調査し,バイオタイプ的変異の存在を明らかにした。
1. 上越および筑後個体群は,IR 24, IR 28, IR 32,および関東PL 3号に対して,それぞれ非選好性および選好性を示した。これらの品種上での,両個体群の幼虫発育も有意に相違した。また,IR 24上で,後者は前者よりも,多量のニンヒドリン陽性甘露を排出した。
2. 上越・筑後交雑F
1個体群幼虫は,IR 24に対し非選好性を示し,同品種上での羽化率も極めて低かった。F
2個体群のIR 24に対する選好性,および同品種上での羽化率は,両親個体群のほぼ中間であった。
3. 九州,四国南部,および南紀に分布する,鹿児島,筑後,海南,伊野,白浜,および尾鷲個体群は,IR 24上でも発育増殖し,個体群が維持された。ただし,伊野,白浜,および尾鷲個体群の,IR 24上での,第1および第2世代幼虫の死亡率は高かった。一方,北陸各地,出雲,湖北,鴨島,および堺個体群は,IR 24に対する寄生性を欠いており,同品種上で累代飼育できなかった。
抄録全体を表示