日本応用動物昆虫学会誌
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27 巻, 1 号
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  • 加藤 義臣, 影森 一裕, 佐藤 高子, 坂手 栄
    1983 年 27 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    主に0∼2日齢のヤママユガ雌を用いて,まず自然条件下におけるコーリング活動を調査し,次に12L-12Dの明暗サイクル下におけるコーリング活動およびコーリングに対する温度や光の強さの影響を調査した。
    1) 本種のコーリング活動は次のような特徴を示した。(a)室内条件下でもほとんどの個体がコーリング活性を示す,(b)コーリングの期間はほぼ暗期全体にわたり,しかもその間高いレベルの活性が保たれる,(c)同一個体が長時間にわたりコーリングを継続する,などである。そして,このようなコーリング活性の性質を本種の生理的および生態的特徴から議論した。
    2) 外界の温度が低くなるほど,また雌成虫の日齢が経過するほど,本種のコーリング開始時刻は早くなりコーリング頻度も高まった。特に15∼20°Cの温度下では消灯直後からかなりのコーリング活動がみとめられた。
    3) 明暗サイクルの暗期の間に光をあてると,コーリング活動が抑制された。その閾値の光の強さは約20∼25luxであった。
  • 井上 忠彦, 林 栄一
    1983 年 27 巻 1 号 p. 7-16
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    多数の4-(フェニルアゾ)フェノール系化合物から,in vitroにおいて強い殺ユリミミズ作用を示す23種の化合物を選抜した。これら化合物について,泥中の棲息孔内に棲息するエラミミズ,ゴトウイトミミズ,ウイリーイトミミズ,およびヤマトシタミミズに対する致死効果を検討した結果,一般式において,R1がハロゲンまたはニトロ基,R2, R3がハロゲンまたはハロゲンとニトロ基である5化合物が,供試したすべてのミミズに強力な効果を示した。
    これら5化合物は,他の作合物よりもミミズに対する忌避性が弱かった。またこれら化合物は,ミミズに対し速効的効果を示した。これら5化合物を含めたアゾフェノール化合物の,土壌吸着性と致死効果に相関は認められなかった。
    つぎにこれら5化合物のうち,ミミズに強力作用を示し,かつ合成が容易なP-99(ユリミン®),2, 6-ジブロモ4-(4-ニトロフェニルアゾ)フェノールを選び,殺ミミズ効果におよぼす種々の因子について検討した。
    P-99の致死効果は土壌のpHが低下すると減少したが,これは低いpHにおいてP-99の溶解度が低下するためであった。ミミズに対し十分な殺虫効果が期待できるpHは,5.3以上であった。なお土壌温度は致死効果にさしたる影響を示さなかった。
    エラミミズの自発運動に対するP-99の最小影響濃度は0.4ppmで,復帰法による場合は4ppm, 5分間の浸漬で著しい影響を与えることが認められた。P-99の溶液に浸漬されたミミズは,激しい強直性の収縮と痙攣様のらせん運動に続いて,麻痺が起こり,最後に虫体の尾側の部分が脱落し斃死した。
    シマミミズ筋標本を用いた実験において,P-99は最初は興奮的影響を示し,ついで麻痺した。またP-99で侵襲を受けたミミズの病理組織学的所見では,まず体表組織が崩壊し,内部の筋肉層,神経組織,消化管などにも障害が認められた。シマミミズ筋ホモジネートの組織呼吸に対し,P-99はPCP-Naと同程度の強い阻害作用を示した。
  • 山田 偉雄, 川崎 健次
    1983 年 27 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    コナガの季節的発生消長に環境温度がどのように影響を及ぼしているかを明らかにするため,卵から成虫羽化まで17.5, 20, 22.5, 25, 27.5, 30および32.5°Cの各温度条件下で飼育し,夏季の高温が個体群の増殖に及ぼす影響について検討した。
    卵・幼虫・蛹は,22.5°Cおよび25°Cで生存率が高かった。30°C以上の高温度条件下では死亡率が高かった。産卵数は17.5°Cおよび30°Cの低温および高温条件下で少なかった。卵から成虫羽化までの生存率および羽化成虫の産卵経過,生存率から1雌当りの増殖倍数を計算すると,27.5°C条件下の場合に最も高い値を示し,比較的高温度条件下においても,増殖力はおう盛であることを示した。一方,30°Cでは著しく低くなった。関東以西の暖地では,一般にコナガは夏季に少発生状態で推移するが,夏季の日平均気温は大多数の日において26°Cまでで,30°Cに達する日数はごく限られることから,高温が夏季のコナガ個体群の増殖を抑制している最も大きな要因であるとは考えられなかった。
    コナガの発育に及ぼす湿度の影響は認められなかった。
  • 寒川 一成, 佐藤 昭夫
    1983 年 27 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    稲品種に対する寄生性が異なる上越産と筑後産ツマグロヨコバイ個体群の形態的および生理的諸形質を比較し,下記の結果を得た。
    1) 上越個体群雌雄成虫は,筑後個体群のそれらよりも,それぞれ黒化および大型化の傾向を示した。
    2) 両個体群幼虫の長日と短日条件下での発育や,冬期間の生存率に大差はなかった。
    3) 筑後個体群雌成虫は,上越個体群雌成虫よりも,約2.5倍多く産卵した。
    4) 上越個体群雌成虫は,筑後個体群雌成虫よりも多量の甘露を排出した。また前者は14%,後者は10%の蔗糖溶液で吸汁が最も強く促進された。
  • 奥 俊夫, 宮原 義雄, 藤村 建彦, 土岐 昭男
    1983 年 27 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 日本に分布するヒメサヤムシ類5種のうち,マメヒメサヤムシガ,ダイズサヤムシガ,クズヒメサヤムシガおよびヒロバヒメサヤムシガが東北地方において大豆に寄生することを確認した。このうち,マメヒメサヤムシガはきわめて少なく,野草からは発見されなかった。各種の分布および識別法についても二,三の知見を得た。
    2) 東北地方では,ダイズサヤムシガは6月まで発見されなかった。大豆の被害は7月から散発し,秋には東北地方に広く発生するが,概して南部に多い傾向があった。本種は休眠期を欠き,東北地方では越冬世代の死亡率が高いように思われた。
    3) クズヒメサヤムシガの幼虫は晩春にクズおよびフジに発生するが,その多くは蛹態で越冬休眠に入り,年内のその後の世代の発生密度は非常に低下した。年内に羽化する蛹も,多くは一種の休眠状態を経過するようで,蛹期間が非常に長かった。
    4) クズにおけるヒロバヒメサヤムシガの第1世代は,クズヒメサヤムシガよりもやや遅く発生し,その蛹は休眠することなく羽化した。晩夏に発生する第2世代幼虫は,蛹化後に大半が越冬休眠に入った。幼虫に対し肥大終期の大豆莢を与えたところ,表面を摂食したのみで莢内に食入しなかった。
    5) 東北地方における大豆の被害は主としてダイズサヤムシガによるものであり,とくに種実の被害は大半が本種によるとみなされた。クズヒメサヤムシガおよびヒロバヒメサヤムシガは夏季に大豆の新梢を食害するが,被害は軽微であった。その理由を大豆の生育と関連して考察した。
  • 野里 和雄
    1983 年 27 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    多くの成虫は成苗と同じように稚苗へもよく産卵したが,一部の個体は産下卵数の60%以上を苗を覆ったケージに産みつけた。稚苗区においては,産卵初期でさえも大卵塊はまれにしかみられず,各産卵回数での平均産下卵数と卵塊当たり卵粒数は成苗区より少なかった。その反面,産卵中期から後期にかけては,両区の差は逆の傾向を示した。成苗区における幼虫の生存率が産卵回数の経過につれて減少したのに対し,稚苗区においては,孵化3日後の幼虫生存率は産卵回数との間に一定の関係は見いだせなかった。
  • 加納 昌彦, 桐谷 圭治, 川崎 建次郎
    1983 年 27 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. 25°C, 16L-8D条件下でチャハマキの雌,雄成虫の日周行動のパターンを調べた。雌のコーリング,雄の活動,そして交尾はすべて暗期に行われた。羽化後0日でコーリングをする雌は全体の20%だが,羽化後3日で最大値(83%)になった。消灯後コーリングを開始する時刻は日齢の経過とともに早まった。活動性(歩行,翅振動,飛翔運動)を示した雄は羽化後0日では全体の30%だが,羽化後2日で最高(83%)となった。最も動きが活発化する時間帯は日齢に無関係で,消灯後3∼5時間だった。交尾開始時刻は雌依存で,日齢を経過した雌を用いた対ほど早く始めた。
    2. 成虫の日齢と交尾率の関係は,雌,雄とも羽化後2∼4日に交尾率が最大となる。羽化後0日や羽化後5日以降の成虫は交尾率が低かった。
    3. 交尾雌は翌夜から産卵を始めるが,産卵時刻は,雌の日齢に関係なく消灯後0∼4時間であった。
    4. 交尾によって雌は精包1個を得れば産卵数に関係なく80%以上の受精率を示す。複数回交尾による総産卵数,受精卵率,成虫寿命への影響はみられなかった。
  • 山田 政枝, 中村 晃三, 井口 民夫
    1983 年 27 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    家蚕の繭層に検出される遊離ニンヒドリン陽性物質と尿素の含量は飼料条件によって異なる。全ニンヒドリン陽性物質の合計量は人工飼料育で得られた繭層のほうが桑葉育で得られた繭層よりはるかに高い値を示した。個個のニンヒドリン陽性物質についても両飼料区間で著しい違いがみられ,桑葉育ではロイシン,メチオニンスルホキサイド,アスパラギン,イソロイシン,バリンが多く検出されるのに対して,人工飼料育繭層では尿素がきわだって多く検出され,またグルタミン酸とロイシンも繭層g当たり95μg存在した。
  • I. オオクロコガネ成虫の地上への出現と産卵
    吉岡 幸治郎, 山崎 康男
    1983 年 27 巻 1 号 p. 52-54
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    オオクロコガネ成虫の地上への出現と産卵について調査し,次のような結果を得た。
    1) 成虫は夜間に地上へ出現するが,過去4年とも一晩おきに一斉に出現することが明らかとなった。
    2) 室内飼育でも野外と同じ晩に一晩おきに出現し,全暗条件下でも48時間ごとの出現周期は維持された。
    3) 産卵は周期的に出現する日の昼間に,雌1頭あたり平均2∼3個ずつ産まれ,出現日との関係がみられた。
  • 細田 昭男
    1983 年 27 巻 1 号 p. 55-62
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    トビイロウンカの薬剤感受性の年次変動および薬剤感受性の地域差を1970年より調査するとともに,薬剤感受性の異なる個体群を薬剤で淘汰し,薬剤に対する感受性低下の可能性を検討して,次の結果を得た。
    1) 広島県で採集した個体群のダイアジノン,MEP,マラソンなどの有機リン剤に対する感受性は1973年ごろより低下し,NAC, BPMC, PHCなどのカーバメート剤に対する感受性は1979年ごろより低下し始めたものと推察された。
    2) 1979年に広島県内で採集した7個体群に対する各種殺虫剤のLD50値を,1973年採集の無淘汰系統(F67)のLD50値と比較すると,MEPとマラソンは約10倍,ダイアジノンは約5倍,NAC, BPMCおよびPHCは約5∼7倍高くなっていた。
    3) その7個体群に対する11薬剤のLD50値の個体群間の差異はほとんど認められなかった。1981年採集の5個体群の間でも同様の結果であった。
    4) 1970年採集の竹原個体群をNACで累代淘汰しても,NACに対する感受性は低下しなかった。しかし,ダイアジノンで累代淘汰するとダイアジノンに対する感受性は低下し,その後の有機リン剤に対する著しい感受性低下が予測された。
    5) 有機リン剤に対する感受性低下が認められた1975年採集の竹原個体群をBPMCで累代淘汰すると,BPMCとMEPに対する感受性はさらに低下した。また,同じ個体群をMEPで累代淘汰すると,BPMCとMEPに対する感受性の低下が認められた。このことから,本種の有機リン剤とカーバメート剤に対する感受性低下はたがいに交差関係にあるものと考えられた。
  • 小滝 豊美, 畑 公夫, 軍司 守俊, 八木 繁実
    1983 年 27 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) チャバネアオカメムシを実験室内で簡易・大量・累代飼育することを目的として果実・毬果・種子・新鮮植物・人工飼料による飼育を行った。
    2) 果実・毬果・新鮮植物は均質な食餌が得難く,食餌によっては羽化個体が現われない場合があり,変性しやすいなどの点から本研究の目的に適合しないと結論された。
    3) 種子による飼育では生ピーナツを与えた区が最もすぐれており,幼虫期間が短く,羽化体重は重く,高い羽化率,長寿命で産卵数も多かった。
    4) ダイズによる第3世代までの累代飼育では羽化率等が極端に悪くなることはなかった。
    5) 生ピーナツおよび生ピーナツにネズミの固型飼料を加え作成した人工飼料による飼育で30%をこえる羽化率が得られた。
  • 小山 健二, 三橋 淳
    1983 年 27 巻 1 号 p. 69-71
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Effects of a short photoperiod (8L-16D) on the nymphal growth were examined in Laodelphax striatellus, Sogatella furcifera and Sogatella longifurcifera. The short photoperiod caused marked elongation of nymphal duration especially of the 4th instar in L. striatellus, while no difference was observed between long and short photoperiods in other two species.
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