日本応用動物昆虫学会誌
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27 巻, 4 号
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  • 阿久津 喜作, 窪木 幹夫
    1983 年 27 巻 4 号 p. 247-251
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    センノカミキリの交尾行動について解析を行った。その結果,
    1) 雄による雌の認知には視覚は必須の役割を果たしていない。
    2) 雄による雌の認知は,雌の体表に存在する接触化学感覚性の物質,すなわち接触性フェロモンへの接触によって行われる。
    3) 性フェロモンの受容は雄の触角と小あごひげによって行われる。小あごひげは主として触角の補助的役割を果たしていることが示された。
    4) 雌の触角の塩酸浸漬,小あごひげの切除を行うと,雌は雄を排除するようになる。これは雌が雄を認知する何らかの信号を遮断された結果と考えられる。
    5) 雄は冷凍死雌にも強く反応し,腹曲げ行動をとる。その行動の解発効力は17日間持続し,その間,日を追って低下した。
  • II. 成虫および幼虫による被害と被害許容密度の推定
    都築 仁, 浅山 哲, 滝本 雅章, 下畑 次夫, 粥見 惇一, 小林 荘一
    1983 年 27 巻 4 号 p. 252-260
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    イネミズゾウムシの加害がイネの生育および収量に及ぼす影響について,網枠を使用し成虫放飼密度を変えた成虫および幼虫加害試験とdiflubenzuronを使用した成虫単独加害試験を同時に実施し,成虫および幼虫による被害を解析し,さらに,本種の被害許容密度を推定した。
    1) 成虫によるイネ葉身の食害程度は成虫密度に比例し,放飼2週間後ころに最大となった。
    2) 移植直後に成虫を放飼すると,成虫および幼虫の加害により,イネの草丈,茎数は極端に抑制され,その影響は約2か月間続いた。
    3) 成虫加害の影響は,一時的に草丈の低下,茎数の減少として現われた。幼虫加害の影響は成虫加害に引き続き現われ,草丈の低下,茎数の減少が顕著で出穂期に至るまで続いた。
    4) 成虫加害のみでは収量にはほとんど影響はなかったが,幼虫加害が加わると減収が顕著となった。
    5) 移植直後に成虫を放飼した場合,減収率(Y)と放飼成虫数(X)との間にはY=8.44+13.98logXの回帰式が成り立ち,この式から被害許容密度(Y=0)を推定すると株当たり成虫0.25頭となった。
  • I. 施設栽培のキュウリにおける発生動態
    河合 章
    1983 年 27 巻 4 号 p. 261-264
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ミナミキイロアザミウマの施設内発生動態を明らかにするため,キュウリハウス内にミナミキイロアザミウマを放飼し,増殖・分布の解析を行った。
    1) 放飼後,個体数は指数関数的に増加し,成虫の日当たり瞬間増加率は0.05であった。
    2) 成虫は摘心前には頂葉から5∼10番目の中位葉に多く,摘心後は頂葉付近に多かった。幼虫の多い葉位は7日前の成虫の多い葉位とよく一致し,摘心前には頂葉から10∼15番目の下位葉であった。
    3) 成虫の分布は個体を単位とし,葉単位では集中的,株単位ではほぼランダムであった。幼虫の分布は小さなコロニーを単位とし,葉単位では集中的,株単位ではやや集中的であった。
  • 湯川 淳一
    1983 年 27 巻 4 号 p. 265-269
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ダイズサヤタマバエはこれまで本州(青森以南)と四国,九州(種子島以北)だけに分布していることが知られていた。しかし,同属近縁種が奄美大島や沖縄県にも分布していることや,本種の寄主範囲がマメ科植物以外にも及ぶ可能性を考慮に入れると,本種がこれらの地域に分布していても不思議ではない。そこで,鹿児島県名瀬市と沖縄県東村でダイズを栽培し,本種による加害の有無を調べたところ,1982年8月23日に名瀬市で播種したダイズに被害莢が見られた。被害莢から得られた蛹を飼育して成虫を羽化させ,形態計測を行い,鹿児島市や埼玉県産の標本と比較した結果,ダイズサヤタマバエであることを確認し,本種の分布南限を奄美大島に改めた。沖縄県で栽培したダイズには被害莢が見られなかったが,今回の結果や,最近,インドネシアでも本種らしいタマバエが得られていることから,沖縄県からも,早晩,本種が発見される可能性は高いと思われた。
  • 大口 嘉子, 鈴木 秀明, 田付 貞洋, 深見 順一
    1983 年 27 巻 4 号 p. 270-275
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    食品類の酸化や劣化あるいはカビなどの防止の目的で広く使用されている脱酸素剤エージレス®の昆虫に対する致死効果を調べた。
    4種の貯穀害虫,コクゾウSitophilus zeamais,コクヌストモドキTribolium castaneum,アズキゾウムシCallosobruchus chinensis,スジマダラメイガEphestia cautella,と2種の衣類害虫,イガTinea pellionella,ヒメマルカツオブシムシAnthrenus verbasciiを透過性の低いフィルムでエサ,脱酸素剤とともにパックし,殺虫率をみた。低O2耐性は,供試虫の種類やステージにより大きな変異をみたが,最も耐性が大きかったのはコクゾウの卵であり脱酸素剤を処理してから殺虫率が100%となるまでに,12日を要した。
    また,脱酸素剤の他の効果として,コクゾウにおいて成虫の羽化の遅延がみられた。
    以上をもとに脱酸素剤の害虫防除への利用について検討した。
  • 緒方 健, 笹川 満廣
    1983 年 27 巻 4 号 p. 276-279
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    異なる温度および日長条件下におけるサンゴジュハムシ成虫のサンゴジュ葉の摂食量,ならびに夏眠を経験した個体と未経験個体との摂食量および産卵数の差異を調べ,本種が夏眠を経ることの生態的意義について検討した。
    1) 長日条件(15L-9D)下では,飼育開始後,20°C区で25日目,30°C区で15日目以降に摂食量が激減し,いわゆる夏眠状態に入った。しかし,20°C,短日条件(10L-14D)下では夏眠しないで,雌成虫は産卵を開始した。
    2) 30°C区の夏眠虫はすべて70日以内に死亡したが,20°C区のそれらは5日以上摂食しない期間があっても少量の摂食を続け,平均254日以上生存した。3) 夏眠中の摂食量について,両温度区間に有意な差がみられなかった。
    4) 夏眠虫を短日条件下に移すと,雌雄ともに摂食量は夏眠前のそれにもどり,雌成虫は夏眠を経験しないそれとほぼ同数の卵を産んだ。
    5) したがって,本種は夏季には性成熟が抑えられて夏眠に入り,生命維持に必要なだけの摂食を続け,加害樹から移動することもなく,初秋になって産卵を開始するという適応を示しているものと思われる。
  • 井上 晃一, 田中 学
    1983 年 27 巻 4 号 p. 280-288
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) ケボソナガヒシダニの雌成虫はミカンハダニの各発育ステージのなかで,卵を最も好んで捕食した。
    2) 本種のミカンハダニの卵に対する1日1雌当たり捕食数は餌密度が高くなるにつれて増加したが,その曲線の傾斜はゆるやかで飽和型を示した。また,卵の密度が1葉当たり2∼16個と餌密度が低い場合でも1日当たりの捕食率が30∼45%程度で,かなり食い残しがみられた。
    3) 本種は15∼25°Cの範囲では温度がくなるほど,ミカンハダニの卵に対する1日1雌当たりの捕食数は1∼6.1個と多くなったが,30°Cでは3.4個と25°Cの場合より減少した。
    4) 本種の生存力,産卵力および増殖率を20, 25, 30°Cの条件で比較した。その結果,いずれの温度条件下でも,とくに幼若虫の死亡率が高かった。また,1日1雌当たり産卵数は20°Cで1.5個,25°Cで3.8個,30°Cでは3.1個であった。本種の10日間の増殖率(e10rm)は20°Cで約2.3倍,25°Cで4.4倍,30°Cで5.5倍であり,25°Cと30°Cではミカンハダニの増殖率より低かった。
    5) ケボソナガヒシダニの放飼実験の結果,ミカンハダニとケボソナガヒシダニの雌成虫の放飼時の比率が5:1以上に捕食性ダニのほうの比率が高い場合は,放飼後ミカンハダニの雌成虫の密度が1葉当たり3.4個体以下に抑制された。
    本種はハダニの密度に依存して増減するが,その制御効果はニセラーゴカブリダニに比べるとかなり劣っていた。
    6) ケボソナガヒシダニはカンキツ園では,雌成虫態で主として葉裏に生息して越冬するが,越冬期間中の死亡率はきわめて高かった。
  • 桑原 雅彦, 沢田 正明, 久保田 篤男, 岩田 直記
    1983 年 27 巻 4 号 p. 289-294
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    本邦の主として西南暖地の野菜・花卉に寄生・加害するカンザワハダニとナミハダニの有機リン剤および選択性殺ダニ剤に対する薬剤感受性を検定し,両種の薬剤感受性の特徴とその背景について考察した。
    1) ナミハダニの各種薬剤に対する感受性はカンザワハダニよりも相対的に低下していた。この傾向は各種の選択性殺ダニ剤でとくに顕著であり,ナミハダニの各種薬剤に対する感受性の著しい低下が本邦の西南暖地における多発生の一要因となっている可能性が考えられた。
    2) 両種の各系統の有機リン剤に対する感受性はいずれも標準系統より低下していた。しかし両種の系統間の感受性の違いは最大でも2.4倍以下であり,感受性のパターンは類似していた。この結果から,両種の有機リン剤に対する抵抗性は互いに交さ関係にあること,そして抵抗性には各系統に共通した主要な抵抗性機構が関与していることが推定された。
    3) 各種の選択性殺ダニ剤に対する両種の感受性は系統間で著しく異なり,有機リン剤の場合のように感受性スペクトルの類似性は認められなかった。薬剤感受性の高い系統の採集地ではこれら薬剤の投下量も少ないことから,選択性殺ダニ剤感受性の違いはその地域で過去に使用された選択性殺ダニ剤の投下量をある程度反映したものであると考えられた。
    4) 両種の各系統の選択性殺ダニ剤に対する感受性の相関を検討した結果,dicofolとchlorbenzilate, phenisobromolate, tetradifonは程度の差こそあれ交さ抵抗性の関係にあると考えられた。
  • 野田 隆志, 釜野 静也
    1983 年 27 巻 4 号 p. 295-299
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ホソヘリカメムシの幼虫発育に及ぼすビタミンとアミノ酸の影響を,人工飼料を用いて調べた。ビタミンでは,リボフラビンが不可欠であり,葉酸あるいはパントテン酸を欠くと発育,羽化率に悪影響が現われた。アミノ酸では,イソロイシン,ロイシン,フェニルアラニン,スレオニン,トリプトファン,バリンが必須であり,リジン,メチオニン,セリンのいずれかを欠く飼料では,発育がやや遅れた。ただし,飼料組成との関連で,その他のアミノ酸については結論が出せなかった。乾燥飼料から除いたアミノ酸を,水溶液として別に与えれば正常に発育することから,アミノ酸が摂食刺激となっている可能性は否定された。
  • 石川 巌, 島村 玲郎, 渡部 仁
    1983 年 27 巻 4 号 p. 300-303
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    宮崎県の茶園から採集したチャノコカクモンハマキ幼虫に昆虫ポックスウイルス病を発見した。罹病虫は体色の黄白色化などの病徴を示し,長く幼虫のまま生存したのち蛹化できずに致死するものが大部分で,一部蛹化し,羽化でぎずに発病致死した。
    本ウイルスは脂肪体,血球,中腸,筋肉などに感染し,細胞質内に長楕円形を示す大小の封入体(平均6.0×3.5μm)を形成した。封入体中にはクワの実状を示すウイルス粒子(大きさの平均:290×240nm)とともに菱型の紡錘体(spindle)(大きさの平均:300×240nm)が多数包埋されていた。
    本ウイルスはリンゴコカクモンハマキ,リンゴモンハマキ,ミダレカクモンハマキ,およびチャハマキに交差感染したが,トビハマキ,モッコクハマキには病原性を示さなかった。
  • 川田 均, 北村 實彬
    1983 年 27 巻 4 号 p. 304-306
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 西東 力, 池田 二三高
    1983 年 27 巻 4 号 p. 307-308
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 是永 龍二
    1983 年 27 巻 4 号 p. 308-310
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 桑原 雅彦
    1983 年 27 巻 4 号 p. 310-312
    発行日: 1983/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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