日本応用動物昆虫学会誌
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29 巻 , 4 号
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  • 大口 嘉子, 田付 貞洋, 臼井 健二, 新井 好史, 栗原 政明, 内海 恭一, 深見 順一
    1985 年 29 巻 4 号 p. 265-269
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ニカメイガの雌の暗期における性フェロモン生成は,その前の明期における断頭により抑制された。雌の頭部抽出物を断頭個体に注射すると,性フェロモン生成が回復した。これらから,雌の頭部から分泌されるホルモン様物質が性フェロモン生産を支配していることが示された。さらに,性フェロモンの生成が継続されるためにもこの物質が存在する必要のあることがわかった。頭部からの神経的制御は性フェロモン生成には関与していないことが示された。断頭により性フェロモン放出行動も抑制されたが,その機構が性フェロモン生成の支配機構と共通であるかどうかは不明である。
  • 奥 俊夫, 小林 尚
    1985 年 29 巻 4 号 p. 270-277
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    岩手県中部の種々の高度の地点から採集したシロモンヤガを,16時間照明を行い,12.5∼30°Cの範囲内の種種の定温下で継続飼育し,その発育を相互に比較するとともに,北海道十勝地方の低地産の系統とも比較した。
    1) 各発育段階における発育零点は7∼8.5°Cの間にあり大差がなかった。卵はつねに正常にふ化したが,幼虫および蛹は30°Cで多少とも死亡した。
    2) 岩手県高地(1,250m)産の1化系統は,これ以下の高度に広く分布する2化諸系統よりも発育期間が長かった。北海道芽室産の2化系統の発育期間は上記各系統より概して短かった。発育の差はとくに幼虫および蛹において顕著であった。
    3) 岩手県中部の種々の高度地点で得られた2化性諸系統間では発育期間に顕著な差がなく,産地の高度に対応した変異は認められなかった。
    4) 蛹重は一般に高温域で明らかに低下した。岩手1化系統の蛹重は低温域では2化系統にほぼ匹敵したが,高温域における低下がいっそう顕著であった。北海道2化系統は岩手2化諸系統よりもつねに軽量であった。
    5) 北海道2化系統の発育が早いことおよび岩手県の高地に1化系統が存在することは,それぞれの産地における発育有効温量が少ないことと関係づけて説明できた。
    6) 岩手県中部の2化諸系統間に産地の高度に対応した発育の変異を生じない理由を,成虫の局地的移動と関連して考察した。
  • 野口 浩, 杉江 元, 玉木 佳男, 大政 義久
    1985 年 29 巻 4 号 p. 278-283
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) チャノコカクモンハマキの雌が放出する性フェロモンおよびその関連化合物を濾紙吸着法およびガラス壁吸着法によって比較したところ前者の方法は後者よりも10倍量多く捕集された。
    2) 虫体からの直接抽出法と濾紙吸着法による性フェロモンの抽出,捕集量は前者の1雌当りと後者の1雌夜当りがほぼ同量である。また,両者間には混合比の大きな差は認められない。
    3) チャノコカクモンハマキとリンゴコカクモンハマキの性フェロモンおよびその関連化合物の放出量は前者が後者の約3倍量多い。しかし,両種が放出するアルコール成分はほぼ同量であった。
    4) チャノコカクモンハマキの微量性フェロモン成分である10Me-12Acはリンゴコカクモンハマキには検出されなかった。
    5) 両種が放出する性フェロモン以外の成分で一方にのみ存在するものはチャノコカクモンハマキがアセタート成分5種,アルコール成分4種に対し,リンゴコカクモンハマキではアルコール成分1種であった。
  • 森 精, 木口 憲爾
    1985 年 29 巻 4 号 p. 284-297
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カイコの終齢期の幼虫皮膚を光学顕微鏡および電子顕微鏡で経時的に観察し,皮膚の組織学的変化と血中エクジステロイド濃度との対応関係を調べた。5齢脱皮直後のクチクラにはほぼ15層の層状のクチクラが観察される。その後摂食期間中1日に7∼12層の層状クチクラが分泌され,熟蚕時には約70層に達する。血中にエクジステロイドが認められ始める熟蚕約8時間前頃になると,真皮細胞相互の間に細胞間隙が形成され始め,この細胞間隙は熟蚕期および吐糸期にきわめて顕著になる。また細胞間隙の出現と同時に真皮細胞とクチクラの境界部にecdysial dropletsと考えられる不定形の暗調小体が生成され,これがクチクラに移行して脱皮層をつくり,クチクラの分解が進行する。明瞭なlarval-pupal apolysisはガットパージ後12時間以内に起こり,吐糸営繭中に急激に進行する。一方,摂食期間中の真皮細胞にはよく発達したマイクロビリーが観察されるが,摂食停止とともに不活性な状態を示し,その後エクダイソン分泌の蛹化誘導臨界期にあたる70%吐糸時頃から再度,よく隆起したマイクロビリーが観察される。新しい蛹クチクラの分泌は吐糸終了後急速に進行する,などの諸点が明らかになった。
    以上得られた知見と血中エクジステロイドとの対応関係に基づいて,カイコの5齢期における発育のタイムテーブルを作成した。
  • 後藤 三千代
    1985 年 29 巻 4 号 p. 298-303
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ヒエを摂食する単食性の昆虫,ホソメイガの休眠制御に及ぼす日長と寄主条件の影響について調査を行った。休眠決定の有無は長日条件によって強く制御され,わずか2日間長日条件を処理しただけで過半数が非休眠となった。幼虫齢による日長感受性に差はみられなかった。臨界日長は12∼15時間の付近であったので,その日長域で2種ヒエの生育ステージの違いと休眠率を調べたところ,日長が短くなるにつれ,ヒエの生育ステージが進むにつれ,またタイヌビエに比ベイヌビエで休眠率は有意に高かった。2種ヒエの生育ステージの違いによってホソメイガの休眠率が異なることから2種ヒエに寄生する幼虫の休眠率と野外における発生世代数との関連性について検討を行った。
  • 大野 和朗
    1985 年 29 巻 4 号 p. 304-308
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    チャバネアオカメムシの越冬後成虫を室内で生ピーナツを用いて飼育し,その繁殖能力ならびに産卵特性について以下の結果を得た。
    1) 成虫は雌雄ともに,飼育開始後50日を経過した頃より生存率が急激に低下した。成虫の平均生存期間は雄で85.9±34.8日,雌で90.6±31.5日であった。
    2) 雌あたり日あたり産下卵数は,飼育開始から最初20日間は増加し,その後50日間では6∼11卵の幅で変動し,さらに70日以降は減少した。飼育期間を通しての雌あたり総産下卵数は461.6卵,総産下卵塊数は36.4個であった。これらの結果より,本種の純繁殖率は231.7と推定された。
    3) 卵塊サイズ(卵塊あたり卵粒数)は14が基本的なサイズと考えられたが,飼育後の日数が経過するにつれて小さくなる傾向が認められた。また,卵塊サイズは産卵部位でも異なり,とくにろ紙上には平均サイズ以上の卵塊が産下される傾向が認められた。
    4) 卵塊はおもに飼育容器の側面と二つ折りにしたろ紙上に産下されたが,飼育開始から51日目以降では飼育容器への産卵は減少し,ろ紙上への産卵が多くなった。
    5) 産卵時刻の調査より,産卵が暗期開始前後に集中することが明らかとなった。
  • 斉藤 修
    1985 年 29 巻 4 号 p. 309-313
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 同一圃場に設けた慣行施肥区と倍量施肥区のトウモロコシでのアワノメイガの発生生態,とくに産卵量と時期,および幼虫発育を比較した。
    2) 多肥区のトウモロコシは慣行区のそれよりも草高が高く,葉数が多く,生育ステージが早まった。
    3) 第1世代では慣行区よりも多肥区のトウモロコシに産卵が多く,幼虫の発育もやや早まったが,幼虫生存率では両区がほぼ等しかったため,老熟幼虫密度は多肥区のほうが高くなった。
    4) 第2世代では第1世代とは逆に多肥区よりも慣行区のトウモロコシに産卵が多かったが,幼虫生存率は多肥区で高かったので,老熟幼虫密度は両区ほぼ等しくなった。
    5) これらの結果から,多肥施用栽培はアワノメイガの多発を助長すると考えられた。
  • 渡辺 朋也, 福島 信夫, 高橋 史樹
    1985 年 29 巻 4 号 p. 314-320
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    東広島市の水田において,1981, 1982年にアメリカカブトエビの個体数調査を行った。
    1) 発生前の土壌中卵数には差がなかった。しかし,1982年は1981年に比べて初期発生数が1/5∼1/10であり,これは高水温によるふ化抑制と考えられた。
    2) 個体数の減少傾向は,密度独立的であった。
    3) 各個体の生長は密度依存的であり,密度が低かった1982年のほうが生長が速く,大きな個体が得られた。
    4) 水田に産下された卵の密度は1981年と1982年で大きな違いはみられなかった。
    5) 注水・代かき後もふ化せず,次世代へ繰り越す卵の割合は,約60%で安定していた。
    6) 以上の結果より,アメリカカブトエビは,毎年の発生個体数を安定にする性質をもつが,外的な環境要因により,発生数のふれ幅が大きくなるものと推測した。
  • 松浦 博一, 石崎 久次
    1985 年 29 巻 4 号 p. 321-325
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    イネゾウムシ越冬成虫による食害程度と減収量の関係を,無防除ほ場における食害株とイネゾウムシの食害を想定した切葉モデル株を用いて検討した。
    1) 田植7日後に1回切葉しただけでは,切葉率が100%でも減収せず,この時期のイネは食害に対する感受性が低いものと推察された。
    2) 切葉率30%の状態を田植7日後から約20日間継続させても,減収がみられなかった。また,現地ほ場において,食害葉率が30∼40%発生しても,減収が認められなかった。こうした知見から,減収限界食害葉率は30%以上のレベルにあると想定された。
    3) 切葉率70%以下で生ずる減収が田植12日後の切葉に依存すると推定されたことから,一般ほ場においてて,減収限界食害葉率を見定める時期はこの頃と考えられた。
    4) 切葉率と精玄米重の関係には,y=24.86+0.19x-0.01x2+0.000056x3 (r2=0.55)の曲線回帰式が比較的適合していた。この式から,減収限界切葉率は約50%と推定された。
    5) 切葉に基づく減収は穂数の減少に起因しており,イネゾウムシの食害による減収は穂数の減少に起因すると推察された。
  • 奥田 裕志, 鈴木 重孝
    1985 年 29 巻 4 号 p. 326-329
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The numbers of bark beetles (Ips cembrae (HEER)) attacking the fenitrothion sprayed logs decreased with increasing the concentrations. Residues from bark sample analysis indicated that fenitrothion remained in the outer bark at effective concentrations over 3 months.
  • 鎌田 直人, 吉田 成章
    1985 年 29 巻 4 号 p. 329-332
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ゴールを形成するための刺激がエゾマツカサアブラムシによっていつ与えられるかを調べるための実験を行った。
    1) ゴールを形成する刺激は幹母によって与えられる。
    2) 幹母が与える刺激に対するエゾマツの反応は,オール・オア・ナン的なものではない。また,刺激の量に対して連続的に反応しているのではないかと思われる。
    3) 第2世代虫だけではゴールはできない。
  • 北村 實彬, 小山 重郎
    1985 年 29 巻 4 号 p. 332-334
    発行日: 1985/11/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Orientation of Plusia agnata males to the conspecific virgin females confined in a small mesh cage was observed overnight in a walk-in field cage. When the females started calling, the male approached from obliquely above toward the lower surface of the female cage, and continuously hovered up and down underneath the cage. Sometimes the male alighted on the lower edge of the cage, curved his abdomen toward the females and everted his hairpencils. Meanwhile the male flew away. The peak orientation of the males occurred twice in a night probably corresponding to the two peaks of the calling activity of the females. Males were caught in a water pan trap baited with virgin females set in the field cage because of their flight behavior underneath the female cage. The peak catch of males in the trap occurred once at the first peak of orientation.
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